誤字脱字あったらごめんなさい。
「海斗、今日は我と寝床をともにするのだ!」
清楚とのデートから帰宅した海斗を門の前で待ち構えていたのは仁王立ちの紋白だった。
しかし仁王立ちしていても全体的に小さいので、威厳というより愛らしさが勝ってしまう
のは致し方ないところだが……
「いきなりどうしたんだ、紋白?」
「いきなりではないぞ。今までも海斗と一緒に寝たいとは思っていたが、従者たちが口々
に同衾はまずいというのでな。我慢しておっただけのこと。だが聞けば、ステイシーやあ
ずみとは寝たというではないか!ずるいぞ、我も海斗と一緒に寝るのだ。」
「ああ、確かにそうか。」
紋白は一緒に寝るのだけはと止められていたのを渋々ながらに納得していたということで
あったのに周りの従者がそれをやっていればずるいとなるのは当然だった。
しかし、またこれを勝手にやるとなると問題になりそうな気がする。
特にヒュームあたりは黙っていないだろう。
「やっぱ誰かの許可とってから……」
「我も、海斗と同じ布団で……」
次第に涙目になっていく紋白。
「おいおい、泣くなって。分かった、今日は一緒に寝るか」
「ほ、本当か?」
「ああ、俺は紋白の執事なんだろ。主のわがままを聞いてやるのも仕事のうちだ。紋白に
は笑っててほしいしな」
「ふは、ふははは!そうであるな!海斗は明日までは我の執事だ、だから今何をしようと
主の命令であるから海斗は逆らえないのだーっ!」
そうと分かれば遠慮なしとばかりに海斗の体に全身でもってまとわりついてくる紋白。
「では、早速お風呂に入ろうではないか!」
「またか?」
「今日は我が直々に海斗の体を洗ってやるぞ」
「それはまた……」
絶対にばれるわけにはいかないと思う海斗だった。
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「ふぅ……」
スーツに袖を通した自分の姿を鏡で見る。
そこに映った不自然な光景も今日で見納めだ。
「たった七日で随分と様になったものだな」
「揚羽か」
前に立っていたのは九鬼揚羽。
どうやら廊下で偶然出くわしたというわけではなさそうだ。
「一応の主に対してその言いぐさでは、中身は全く変わっていないがな」
「ほっとけ、こういう性格だ」
「そんな取り繕わないところが紋にも大うけということか」
「なんで紋白の話が今出てくるんだ」
「聞いたぞ、昨日のこと」
「………………」
「こちらから聞かなくとも嬉しそうに話しておったわ」
それを持ち出されては海斗は黙るしかない。
今朝海斗が部屋を出た後、紋白が誰かに話したいとうきうきしていたところに揚羽が通り
かかり幸せのままに語りつくしたという事の顛末が見透かせるようだ。
「そうじゃなくて、なんか話があるから俺を待ってたんだろ?」
「明らかなごまかしだがまあいいわ。確かに本題はある。今日は海斗、お前に卒業試験を
受けてもらう」
「卒業試験?」
耳慣れない単語につい聞き返す。
「そうだ、そもそもここで働き始めた理由は贖罪である。他の者たちはその辺りの詳しい
事情までは知らぬ。おまけに今回は1週間かぎりという特例中の特例で行われた。普通な
らありえぬ話だ」
「なるほどな。後から他の従者たちにこそこそ噂されず、気持ちよく終わりたいなら見え
る形で示しをつけろと」
「その通り、卒業試験を突破しさえすれば後腐れなく処理するとこの九鬼揚羽が約束しよ
う。どうだ卒業試験を受けるか?」
「実質俺に選択肢はないしな、どうせなら綺麗さっぱり片をつけよう」
どうやら最終日の今日は執事としての通常業務がない代わりに随分派手なパフォーマンス
をしなければならないらしい。
詳しい内容はまだ聞かされていないが九鬼のことだ、生半可なものではないだろう。
「ダメもとで聞くが、どういう試験なんだ?」
揚羽が卒業試験があるというときに詳しいことを話さなかったということはつまりまだ教
えるわけにはいかない事情がある、もしくは本番前に知られると試験結果に関わってくる
など何らかの理由があることは明白だ。
だから、こういった質問の形にする。
「まあ簡単に言えば戦闘訓練とでも思っておけばよい」
「それは執事としての試験なのか……」
まあ、掃除や事務処理よりも周りに見せつける点でインパクトがあり都合がいいといった
事情も垣間見えるがそれ以外の思惑があるような気がしてならない。
「こちらとしても下への示しとして見せつけるためにそれなりに厳しい試験にしなければ
いけないのでな。特別に流川に助っ人を用意することにした」
「待て、俺の卒業試験だろ?人の手なんて借りていいのか?……まさか弱いサポーターで
もつけて逆に俺の邪魔をしようって魂胆じゃないだろうな」
「安心せよ、九鬼もそこまで小賢しいことはしない。実力のほうは我自身が保証してやっ
てもいいくらいの豪傑だ」
「武道四天王にそう言われちゃこっちもとやかく言えないな」
「ふん、そんな肩書きなんとも思っていないくせによく言うわ」
流石に人の上に立つ者。
武道四天王なんて呼称すら知らなかったこともしっかり見抜かれていた。
「なら期待していいんだな」
「ああ、名を聞けば納得できるレベルだ」
「…………名は?」
「川神百代」
次回バトル書けるかな……