東方組曲   作:閏 冬月

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ヒトリシズカ
作曲 ZUN (上海アリス幻樂団)
作詞 かませとら(幽閉サテライト)
原曲 東方紅魔郷 妖魔夜行
Vo. senya


第1楽章 暗闇の中の光 ~ヒトリシズカ~

「お前!何をやっとる!」

 

村長の言葉の意味が分からない。

村長の眉間に皺が寄せられる。

 

「? 私の大切な友と一緒にいただけですが」

「お前が何をやっているのかわかっているのか!」

「この異端者が!」

 

周りにいた村人たちが、口々に罵詈雑言を投げかけてきた。

いつもならば、ぬらりくらりとやり過ごすところだが、異端者の言葉に怒りを覚えた。

 

「何故!友と共にいることが悪いと言う!私の好きな人と一緒にいて何が悪い!」

「静まれ!」

 

村長が他の村人たちを静めた。

しかし、私に向ける視線は失望が渦巻いていた。

 

「お前の言うお前の好いているモノに聞いてみるといい」

 

そう、村長が言うと後ろから頭を殴られ、意識が途絶えた。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

今日も1日、楽しかった。

多分、彼と一緒にいたからだ。

明日も一緒にいよう。そして、明後日も、その次の日も、私の大好きな人と一緒に。

 

そして、私の縄張りの中から人間の血の匂いがした。

 

「もしかして、久しぶりの獲物!」

 

匂いのする方向へと闇を纏いながら初めて走った。

視界には、縄で縛られた人間が見えた。

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

「……う、ここは?」

 

気がつくと、薄暗い森の中にいた。

しかし、ここは見覚えがある。

ルーミアの縄張りだと思う。

 

「ルーミア!いるんだったら返事してくれ!」

 

呼んでいる時に、闇を纏った獣が目の前に迫っていた。

 

「ルーミ

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

「な、なんで貴方がここに……」

 

私が獲物と勘違いしたのは、彼だった。

 

私が彼を殺してしまった。

 

その事実が私を支配する。

私の瞳から涙が零れていた。

 

「泣か……な、いでく…れ」

 

彼の右手が私の涙を拭きとるように手を伸ばすが、途中で力尽きた。

私が出来るのは、ただただ泣き、彼から血を流れていくのを見ることだけだった。

 

「泣くなって言われても、無理だよ。…私ね、貴方に嫌われたくなくて、ずっと心配していたんだよ」

 

私は後悔の記憶に縋りながら、もう冷たくなった彼に抱いていた気持ちを伝えた。

変に見えるかもしれないが、それでもいい。

どうせ誰もこんなところに来ない。

それに、話さないと心が暗闇に呑まれそうだから。

 

「強がりかもしれないけど、1人は慣れてるから心配しないでね」

 

暗闇の中に、私の肌に雫が一滴、落ちたが私の涙か彼の血か分からない。

私の気持ちがぐしゃぐしゃになる前に、全部伝えようとしていたが無理だった。

 

「はは、おかしいよね。私。……、好きになってくれるわけないよね」

 

今いる暗闇に絶対に慣れたくないと思っていたけれど、もう慣れてしまった。

 

孤独からのいつもの独りぼっちだ。

こんな時だからこそ思う。

時の流れは非情だ。

彼が人間じゃなくて、妖怪ならばもっと一緒にいることが出来たのに。

 

後悔の涙もいつかは感謝の涙に変わればいいのに。

 

 

 

 

 

いつもの朝だけれど、今はとっても鬱陶しい。

 

「誰だ。私の彼を殺したのは」

 

彼の住んでいた村を闇で包む。

多分、この中に彼を殺すに等しいことを犯した人間がいる。

でも、全員殺す。

全員が私の敵だ。

 

そこから10分は、一方的な殺戮だ。

私の彼を傷つけたや奴は許さない。

 

 

 

 

 

 

殺した後に感じたのは、強いという漠然とした感情だった。

そんな『強い』わたしを受け入れてくれた貴方という特別な存在を噛み締め、村だったところから歩いていく。

豊かな繁栄を遂げていく人間は簡単に死んでいく。

 

「彼も呆気なく死んで行くのかな?」

 

そんなことを考えながら、彼の笑った顔を記憶の中から探していた。

 

「なんで、こんな時に彼のことを思い出すのよ……。吹っ切るって決めたはずでしょ」

「貴女がルーミアさんかしら」

 

どこからともなく現れた女声に少し驚いた。

その声の主は、上半身だけ、現れていた。

 

「私は八雲紫という妖怪。今は幻想郷という場所を作ろうとしているの。貴女もどう?」

「…………また来て」

「解ったわ」

 

そして、八雲紫は消えた。

 

一度、幻想郷について考えてみよう。

 

「私のことを恐れずに接してくれる人間がいるのかな」

 

けれども、貴方は一切出て来ない。

それでも良い。

貴方が見てくれるのなら、私はキミのために魅せつけるように生きていこう。

 

 

 

 

 

 

幻想郷で、私の縄張りの森の中に、人の少年が迷いこんだ。

しかし、その足取りは誰かを探しているように見える。

 

「やっぱりここに妖怪はいたんだ。貴女はなんて名前の妖怪?」

「私はルーミア。貴方の名前は?」

「私は○○○○○」

「良ければ、友達になりませんか?」

「こんな私で良ければ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、私は暗闇の森に住んでいた。

けれど今は違う。

陽の差し込む森に変わった。

光の存在、それを教えてくれたのは、○○○○○。キミだ。




次回、愛き夜道
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