東方組曲   作:閏 冬月

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作詞 U2
作曲 笥箪 雨天決行
原曲 東方萃夢想 砕月
Vo.魂音泉 ランコ 雨天決行


第2楽章 大切なことはいつも胸の中に~愛き夜道~ リクエスト

一度だけ、他の妖怪から聞いたことがある。

外の世界は、とても忙しいけれど、全てがカッパの機械みたいにしか動かないらしい。それほどにもつまらないことはあるだろうか。

私は彼と一緒にいることができるだけで、幸せだ。

その幸せなことを教えてくれた彼には感謝の気持ちでいっぱいだ。しかし、照れくさくてありがとうと言うのはまだ先になると思う。

 

「ま、明日もあるし」

「ん?萃香何か言った?」

「いや、何も言っていないよ。早く飲も!」

 

彼と一緒にいることができるのは、今日のような月の出る夜のみ。人里に昼の時に下りると大騒ぎになる。そういうのを回避するためだ。

本当は、一日中一緒にいたいと思うほどに彼のことは大好きだ。だけれど、彼は人間。そして、私は鬼。一緒にいるには時間の差がある。その時間の差で彼を傷つけたくない。だから、私は彼に片思いで居続けることにした。

 

「萃香は永いこと生き…」

 

彼の言葉はそこで止まる。

なぜなら彼は年齢の話をしようとした。だからそれを睨んで黙らせた。たったそれだけのことだ。

 

「す、萃香は最近の幻想郷をどう思う?」

 

おっと。少し怯えさせてしまった。

仕方ない。彼が悪いのだ。女性に対して年齢の話はタブーだと何回か言ったこともある。それを何回目だというぐらいに繰り返すもんだから、そろそろ手が出そうだ。

 

「んー。最近の幻想郷かぁ。楽しいとは思うよ」

 

君といれるから。

 

「強いて言うなら、いつもの幻想郷って感じがするね」

 

彼は深く悩んだような素振りを見せた。

私に対して、何か言おうとしたが、居酒屋の店主から、閉店時間だから。と言われ、店を追い出された。

 

「なあ、何か言おうとしてなかったか?」

「いや…別にどうでもいいことだから」

 

そう。と私は頷いて、彼と別れた。

 

 

 

_______________

 

 

 

 

その彼とはいうと、萃香と別れたあと、盛大なため息をついた。

なぜ、いつも好きだと言えないのか。

たった3文字の言葉だ。

それを言うのに、もう1、2年かかっている。

明日、絶対に言うぞ。と意気込みながら、酔いを少しでも醒まそうと、とても冷たい水を勢いよく飲み込んだ。

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

久しぶりに人里の昼を見た。

私が思ったのは、昼の人里の活気を見るためではなく、彼がどのようなことを昼にしているか。それが気になったのだ。

 

テクテクと歩みを進めていくと、すんなり、彼を見つけることができた。

大声で、彼を呼ぼうとしたけれど、周りには他の人間の女性がいた。ここで彼を呼ぶと迷惑になるかもしれない。

そう察すると、彼から背を向けて走り出した。

 

 

 

どこまで走ったのかは知らない。

もう周りは夜だ。

明るいと思われる月は雲に隠れて、周りを照らさない。

そのせいで、私が孤りでいることをいやがうえにも知らされる。今日、昼の人里になんか、行かなかった方が良かった。

 

そう思い始めた時、私の双眸から冷たい水が流れそうになった。

涙だ。

認識するのにはそんなに時間はかからなかった。

私が泣くのは何年ぶりだろうか。少なくとも、ここ数百年は泣いていない。

膝がガクガクと震えている。弱ったのか?

いや、弱っているのは、私の心だ。

何故、心が弱くなったのか?

 

そんな疑問が私の頭の中で、堂々巡りとなる。

その時、後ろから足音が聞こえてくる。今の状態でも、生半可な中級妖怪なら倒すことはできる。

後ろを向いて、足音の主を見ると、彼だった。

 

「ハァ…ハァ……やっと追いついた」

 

何故私のことを追いかけてきたのか、今の私は分からない。

顔に疑問符が出ていたらしく、彼はニッと笑って説明し始めた。

 

彼曰く、人里で囲まれていたのは言い寄られていただけで、他の人が好きだから。という理由で断っていたらしい。

そんな中、遠目に私のことを見つけたが、私が逃げ出したのを見て追いかけてきた。そうだ。

 

「なんだ。そんなことだったのか」

 

けれど、他の好きな人というのが一番引っかかる。

人里にいる誰かかもしれない。それでも、期待は捨てられなかった。

 

「そんなことって……。まぁいいか。萃香、言いたいことがあるんだ」

「な、なんだ?」

「俺はお前のことが好きだ。付き合ってくれないか?」

「………やっと言ってくれたか。いいぞ!私で良かったらな!」

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

 

いずれは彼とは別れてしまうだろう。

それは正直辛い。けれども、涙で別れるのはさらに嫌だ。

それなら、私はその時、笑って別れよう。

そう決意すると、自然と涙が零れそうになる。

それを彼に気付かれないように、腕でこっそり拭った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼は、もうこの世にはいない。

けれども、彼から教えてもらった大切なことはまだ、この小さな胸に仕舞われている。




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次回、goodbye friend。
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