W&ARTHUR スピンオフ大戦ブレイク 作:名もなきA・弐
記念すべきコーナーはWパートで登場するキャラ『左雷華』がメインのコーナーです。それでは、どうぞ!
懺悔その1 本音を聞く
風都には不可思議な都市伝説が数多く確認されているがその中でも、実在する話がある。
風都風花町一丁目二番地二号の付近に存在する懺悔室…銀色の風車で作った十字架がある段ボールで出来た小屋で懺悔をすると、その人間は救われると……。
これは、そこの主『シスター雷華』と、癖の強い来訪者たちとの戦いである。
今日も変わらず、シスター雷華は修道服で身を隠しながら来訪者を待っていた…ちなみに本人がこのコーナーを担当することになったのは常識人なのと、真面目に懺悔を聞いてくれそうだからと言う周囲の意見で強制的に決められたのだ。
コーナーの概要事態は至って単純でありシスターが来訪者たちの懺悔を聞く、ただそれだけのルールなのだがどうにも嫌な予感が拭えない。
「何で私が」と文句を言いながらも彼女はセッティングされた椅子に座ると正面の衝立の方に向き直る…やると決まった以上はきちんとやるのが自分の流儀だ。
それならば、懺悔を聞くだけ聞いて来訪者たちには早く帰ってもらおう……。
そこまで考えると、丁度記念すべき一人目の来訪者が現れた。
「あのー、すいません。ここで懺悔が出来るって聞いたんですけど」
「はい。ここでのことは誰も聞かれていませんので、安心してください」
ボイスチェンジャー越しの不安そうな声が聞こえると、雷華は努めて穏やかな声で返す。
衝立越しなので分からないが女性で恐らく十六歳ぐらいだろう。
席に座ると最初は沈黙していたが、イニシャルで「K・Y」と名乗った少女はやがて意を決したように話し始めた。
「じ、実は私…ゲームでキャラメイクの際、その……む、胸を少し大きく作ったんです」
「……」
「だから何ですか」と言いたかったが黙って先を促す雷華。
K・Yは話を続ける。
「当初は、もっと大きく作ったんです。で、でも後で絶対茶化されると思って…最初は優越感があったんですけど…」
「偽ることに罪悪感を?」
そう尋ねるが、K・Yは少し困ったように唸ると彼女の言ったことに訂正を加える。
「正確には、落ち着かなくって…げ、現実で育つことが出来れば、あんな気持ちにならないはず…友達に胸が大きく方法を教えてもらったり、胸に効く食べ物を食べたり…体操もマッサージだって色々試したのに…!!」
段々雲行きが怪しくなってきたK・Yに対して不安を覚えた雷華は制止させようとするが遅かった。
何かに耐えるように身体を震わせると、今まで俯けていた顔を思い切り上げた。
「何でっ、何で……一センチどころか一ミリを育たねーんだよおおおおおおおおっっ!!私の胸ええええええええええええええっっっ!!!!」
周囲を震わせるぐらいの声量が小屋中に響き渡ると何とか彼女を落ち着かせようとフォローを送る。
「だ、大丈夫です。胸が小さくて困ることはありませんし…意外と本人以外気にしていないものですから…」
「本人である私がこんなにも気に病んでいるだろうがあああああああああああっっ!!!」
埒があかない……。
流石にこのままだと小屋を破壊しかねないと判断した雷華は相手の懺悔を終了させる言葉を紡ぐ。
「あなたの道に幸あらんことを……アーメン」
「うがああああああっっ!!離せっ、離せええええええええええええっっ!!!」
「アーメン」と口にした途端、神父服を着たスタッフが出現し暴走するK・Yを退出させていった。
「はぁっ、何で一人目からこんな疲れなきゃ…」
「シスター、お時間よろしいですか?」
「あ、はい。どうぞ」
休憩しようにも、すぐに来訪者が出てくる。
シスターに休む時間などないのだ。
服装を正し、息を整えると話を聞く態勢に入る。
「実はわたくし、その…最近クラスに来た殿方が気になっていまして…///」
「ふむ」
「色恋沙汰か」と思いながらも雷華は来訪者『I』の話を聞く。
だが、それなら懺悔をする必要はないと思うのだが……。
Iは話を続けていく。
「最初は特に意識をしていなかったのですが、あることをきっかけにその、意識するようになってしまって…最近だと彼の姿を見るだけで胸の奥がこう、ドキドキして…///」
「はい」
「でも、その殿方の気を少しでも惹こうと……し、下着を黒の派手なものにして昨晩…」
最後の部分で言いよどんだが、やがて口を開いた。
「そ、その殿方の部屋に忍び込んでその姿で添い寝してしまいましたっ!!///」
(思ったよりも罪深い懺悔がキターーーーーーーッッ!!!?)
Iのとんでもないカミングアウトに雷華は絶句する。
ボイスチェンジャーと衝立越しだから分からないが清楚なお嬢様タイプの口からこのような懺悔を始めたことに驚く。
そんな彼女の事情など露知らず、Iは話を続けていく。
「肌で伝わるあの人の体温はとても心地よくて…彼の女性のような顔立ちを見ていると鼓動が激しくなって、彼の身体にくっつきました。寝相が悪いのかわたくしのむ、胸を…///」
「今後はこのようなことがないよう気をつけてください!アーメンッッ!!!」
これ以上は年齢制限的に…何より彼女のキャラを守るために強制的にIを退出させた。
ちなみにIがやったのはその日だけであり、弟に怒られて改めて反省した。
「何で二番目から難易度が上がっているんですか…チュートリアルからルナティックじゃないですか」
好い加減、アクの濃い二人に翻弄された雷華は眉間を揉む…だが、これで最後だ。
「これで帰れる」と気合を入れ直すと最後の来訪者が現れた。
「ハードボイルド探偵、S・Hだ。よろしく、シスター?」
「はぁ……」
帰りたくなってきた……。
よりによって一番会いたくない人物が懺悔しに来たことに苛立ちを募らせるも、息を深く吐いてクールになる。
そんな彼女の様子に気づくこともなく席に着いたS・Hは話を始める。
「実はこんなとこまで来たのは他でもねぇ…正直な気持ちを吐き出したかったんだ」
「それは一体?」
「しかし、顔ははっきりと見えないが素敵だな。シスター」
「っ!?///(な、何を言って…!)」
「周りの奴らから話を聞いたが、あんたは街の人たちの話を親身になって聞いてくれる。そう考えれば、あんたも街の涙を許さない女性なんだろ?だから気になってな…」
どうやら自分とは気づていないのか歯の浮くようなセリフを吐くS・H。
一度は頬を赤らめて動揺するも、すぐに冷静さを取り戻すとキザったらしい言葉を右から左へと受け流していく。
だが、次に発せられた『ある言葉』が彼女の逆鱗に触れた。
「最近、馴染みのキャバクラに行ったんだが可愛い子が新しく入ってな」
「……はっ?」
空気が凍ったがそれに気づくこともなく彼は雷華に対して話を続けていく。
「周りに内緒でこっそり行ってるんだが控えめな子でな?その子を指名したは良いんだが諸事情で席を立ってしまったんだ。その時に……彼女のグラスで飲み物を飲んでしまったんだ」
彼が話をしていく度に雷華の体温はどんどん冷えていく…それと同時に怒りのゲージも頂点へと達していく。
「シスター、俺の罪を……神は許してくれるのだろうか?」
脚を組んで最後の最後でカッコつけたS・Hが帽子のツバを撫でる……その動作で彼女の堪忍袋の緒が切れた。
「……」
沈黙が支配する中、それに耐え切れなくなったS・Hが遠慮するように彼女に声をかける。
「あの、シス…」
「…神は許してくれますよ」
淡々と、それでいて明るい声で遮り、ゆっくりと席を立った。
「ただし」と雷華は愛刀を手に取りそして。
「えっ?」
「私は許しませんけどね♪」
衝立を斬り裂いた。
何が起こったのか分からず目をぱちくりとさせるS・H……『左翔太郎』に対して雷華は満面の笑みを見せた。
シスターの正体が自分の良く知る…しかもよりによって一番聞かれたくなかった人物であったことに翔太郎は冷や汗を流し、先ほどの話を必死に弁解しようとする。
「ま、待て、ちょっと待ってください。あの、すいませんでした…だから俺の話を…」
「さぁて……地獄を楽しんでこいいいいいいいいっっっ!!!!!」
雷華の怒りと翔太郎の恐怖の叫びがシンクロし、風の街へと木霊した。
ここは、シスター雷華の懺悔室……。
癖の強い来訪者がこの世にいる限り、シスター雷華の戦いは終わらない!
一先ず最初のコーナーです。懺悔室と言ってはいますが相談室みたいなことを行うかもしれません。
ちなみに配役はこんな感じでした。
K・Y→幸村琴音(KOTONE YUKIMURA)
I→斑鳩(IKARUGA)
S・H→左翔太郎(SHOTARO HIDARI)
今後まともな方が来るかは分かりません。いたらそれは多分奇跡に近いと思います。