W&ARTHUR スピンオフ大戦ブレイク   作:名もなきA・弐

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 スーパー雷華さん受難タイム、その2です。
 次の来訪者はどのような人たちなのか……それでは、どうぞ。


懺悔その2 相談室じゃない!

この世は老いも若きも、男も女も、心の寂しい人ばかり……。

風都には不可思議な都市伝説が数多く存在するがその中でも、実在する話がある。

段ボールの小屋と銀色の風車で作った十字架で懺悔をすると、心のスキマを持ったその人間は救われると……。

これは、そこの主『シスター雷華』と、癖の強い来訪者たちとの戦いである。

 

 

 

 

 

今日も変わらず、シスター雷華は修道服で身を隠しながら来訪者を待っていた。

まさかの二回目に驚きと疲れがにじみ出ているが無情にもコーナーは進んで行くため、自分ではどうすることも出来ない。

「速攻で終わらせる」と覚悟を決めた雷華は扉の方を見つめると、扉が開く。

活発な印象を与える少女らしき来訪者は一度お辞儀をしてから椅子に座ると自己紹介を始めた。

 

「えっと、名前は言わなくて良いんですよね?」

「はい、私は人のお話を聞くだけですし声も加工されておりますので」

 

定型句を告げた雷華に安堵した一人目の来訪者『A』は話を始める。

 

「実は、私……ある作品の原作で主人公をやってまして」

「はぁ」

「自分で言うのもあれですけど、元気もあって容姿もそこそこ良いし胸も大きいし…互いに切磋琢磨し合うライバルもいるんです。でも、でも…」

 

途中で声を震わし始めたAは衝立に顔を近づけて叫ぶ。

衝立越しだと言うのに鬼気迫る勢いに雷華は身体をのけ反らしてしまう。

 

「酷いと思いませんっ!?ファンからは『地味(笑)』や『無個性』とネタにされ、SVから登場した雪…Yちゃんが公式人気投票で連続一位っ!!主人公なのに、主人公なのにっ!」

 

仕舞には涙声になってきた彼女に流石にシスター雷華も何とか宥めようとするがAの話はヒートアップしていく。

 

「何が駄目なんですか!?脱げば良いんですか!だからアーサー本編でも出番が少ないんですか!!胸を露出すれば良いんですね、分かりましたっ!じゃあ今から上着を全部脱ぎますからっ!!」

「あの、ちょっと…」

 

やけになったのか、勝手に自己完結したAは衝立の向こう側で何やらおかしい動作をする…自分の上着に手を掛けようとているのだ。

それに対して焦ったのは他でもない雷華だ。

 

「ちょっ、やめてくださいっ!この小説をR-18にする気ですか!?雑用係(翔太郎と戒)もいるんですよっ!?」

「だったら新しくタグを張れば良いじゃないですかっ!!これからはトップレスで一生戦ってやるうううううううううううううっっ!!!」

「ベスト10に入るだけマシだと思いなさい、アーメンッ!スタッフ、早くこの人追い出してえええええええええええっっ!!!!」

 

雷華がスタッフを呼ぶと、上着を脱いでブラにまで手を掛けようとしたところで作業服を着た雪泉と両備が現れて両脇を固めて強制退室させていった。

 

「私は、不滅だああああああああああああああああああっっ!!!」

 

 

 

 

 

Aが退室してから数分後、雷華は雑用から渡された透明なレモンティーを飲んでいた。

前回以上に疲れる来訪者に早くも帰りたいオーラが出てくるが迷える子羊はまだまだいる。

しばらくレモンティーで喉を潤していると、来訪者が現れた。

 

「シスター、話を聞いてくれませんか?」

「あぁっ、はい。どうぞ」

 

現れたのは室内なのに日傘を差している小柄な女性に、完全に心当たりがある彼女は頭を抱えそうになる。

間違いない、紛れもなく自分の姉だ……「帰れ」と声高らかに宣言したいがここではシスターの役割を与えられているため話を聞くしかない。

そんなことを考えているとは露知らず、来訪者『M・K』は日傘を畳んで椅子に座る。

 

「実は、私には可愛い可愛…」

「お子さんが二人いるんですよね?長男の話ですか、次男の話ですか?」

 

M・Kの話を遮るように言う雷華。

親バカの長ったらしい話を聞いてる暇がない彼女はさっさと本題に入ろうとしているのだ。

明らかに懺悔ではないが話を聞いて彼女には退場してもらうしかない。

 

「なぜ、それを…?はっ!シスター…あなたはもしや予知能力を…」

「本題を」

「はいっ、実は息子二号についての話でして…」

 

咳払いをしたM・Kは話を始めた。

 

「最近、息子二号が構ってくれないんですけどどうしたら良いのでしょう?」

「子離れしなさい」

「いやでも、あの子はまだ子ども…」

「あなたの道に幸あらんことを……アーメン」

 

何かを言おうとした彼女を無視して雷華は締めの言葉を紡ぐと、スタッフを呼んで強制的に退出させていった。

 

「嫌だああああああああっ!あぁっ、嫌だああああああああああっ!!消えたくないいいいいいっっ!!」

「何処ぞのゲームマスターみたいな言い方をやめなさいっ!!」

 

 

 

 

 

「本当に勘弁してください、何で癖の強い人間が一々集まるんですか…」

 

無駄に懺悔室内に響き渡った声に文句を零した雷華は三人目の来訪者を待つ。

すると、彼女の祈りが通じたのか三人目が姿を見せた。

 

「村雨ですっ!!匿名志望でお願いしますっ!!!」

「開口一番に名乗ってますけどね…てか志望するんですか?希望じゃなくて」

 

ボイスチェンジャー越しの声でいきなりボケを始めた村雨に冷静なツッコミを入れるも彼は呑気に話を始めて行く。

 

「シスター、俺の話を聞いてくれっ!」

「高いところにある果物は踏み台と棒切れを使えば届きますよ」

「シスター!今日は果物の話じゃないんだよ!」

「『今日は』って何ですか。違う話なら果物の話もありってことですか?」

 

ツッコミを入れるが、村雨は改めて話を続けた。

 

「話ってのは他でもない、妹のことでな」

「はぁ」

「人を観てきた俺だからこそ分かるが、あいつはある少年に慕情の念を抱いている。ならばそれを押してやるのが兄の使命だ。そしてそれを実現させる神の才能が、俺にあるのだからなぁっ!!」

 

何で今回は来る人来る人、某GM(自称)の真似をするんですか……。

そんな言葉を言おうとしたが、あえて堪える。

第一印象は面倒な人物だと思っていたが中々に妹思いの人物のようだ。

ならば、話を最後まで聞こうと雷華も改めて椅子に座り直す。

 

「そこで俺は、応援としてシュウゾーの言葉を最後まで言えるようになった。シスター、俺の生きざまを見届けてくれ」

「はっ?……あの、ちょっ…」

「頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるってやりぇ…くそっ、噛んだ!もう一度だ…頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるってやれる気みょち…駄目だっ!もう一度っ!!…頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるってやりぇ…くそっ、噛んだ!…頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるってやれる気の問題だ頑張れ頑張れそこだ!そこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジチ…畜生っ!!もう一…」

「いや、しつこいわっ!!そもそも何でシュウゾーにこだわっているんですか!却って迷惑でしょうがっっ!!!」

 

何度も何度も噛んでは最初からやり直す村雨に、好い加減堪忍袋の緒が切れた雷華は素の口調で叫んでしまう。

しかし、村雨はそれを無視してマイペースに事を進める。

 

「そうだっ!あいつに妹の想いが綴られた日記を渡して…」

「あなたの道に幸あらんことを、アーメン」

 

投げやりになった雷華は適当に締めの言葉を贈ると、懺悔室の扉から彼の妹が入ってくる。

その手にはメスシリンダーを構えておりそれを見た村雨は冷や汗を流す。

 

「ん?…いや待て妹よっ、ちょっと待て。メスシリンダーは割れるから…駄目だって、割れる物は危ないって。お願いだからやめ…」

 

ボイスチェンジャーで加工された村雨の悲鳴を無視して、雷華はゆっくりと伸びをするのであった。

 

 

 

 

 

今回の来訪者は三人…前回もそれで終わったしそろそろ良いだろう……。

 

「……帰りますか」

 

そう一人ごちて身支度を整えようとした時だった。

 

「シスターッ!私の懺悔を聞いてくれないっ!?」

 

駆け込むように慌てて懺悔室に入ってきた何処か大人らしい女子『H』は衝立にぶつからんばかりの様子だ。

「何事か」と焦った雷華は外しかけたキャップを被り直すと話を聞く。

 

「どうしましたっ!?」

「眠っていた戒君を見ていたら興奮して頬を舐めちゃったんだけど…私の罪は許されるわよねっ!!」

「許されるかああああああああああああっっ!!!」

 

ギリギリアウトの発言をした彼女に雷華はドロップキックを衝立越しに叩き込んだのであった。

ここは、シスター雷華の懺悔室……。

癖の強い来訪者がこの世にいる限り、シスター雷華の戦いは終わらない!




 二回目の懺悔室です。この話を書いている時、懺悔とは何かを常々考えています。雷華には愚痴を聞いてくれる人が必要だなと思いました(小並感)。
 ちなみに、今回の配役はこんな感じとなりました。

A→飛鳥(ASUKA)
M・K→門矢美緒(MIO KADOYA)
M→村雨(MURASAME)
H→春花(HARUKA)
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