Fate/GrandOrder GhostFriends (beta)   作:影色の烏

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不定期更新です、今更ですが。


alpha-6

一連の挨拶を終えようとしたその時、歓迎文句を謳っていた、彼女が、何を思ったか、突然右の方に行った。それを目で追うと、そこには何と明らかに寝ている男が。いやいや、俺でもそんな事はしないぞ?等とつまらない突っ込みを心の奥の方へ仕舞いながら、どうなるのかと見ていた。

最初は勿論声掛けをしていたが、よく分からない腕に着けているブレスレット(?)をかざしたかと思うと、もう一度名前を呼びながら声を掛け始めた。

そして次の時にはそいつはモロに平手打ちを喰らっていた。

その後は訳が分からないという風に、なすがままに部屋を出て行った。

そして軽い咳払いを終えた後、再び話し始めた。こちらの方が、自分には少し興味が湧いた。

 

内容は大体耳に入れなかったが、俺達を身分に関係なく扱うと言うものだった。

それに対して周りはざわつき始めていたが、鶴の一声でそれは止まった。この雪山を降りろだなんて、所長殿も鬼だな。

それからは非常につまらない説明を聞かされ、半ば真面目に聞きながら、ボケーッとしていた。

そして気がつくともうすでにそれは終わろうとしていた。

 

「ここまでが以上です。何か質問は?」

 

当然答えはなし。寧ろ、彼女に質問をしろという方がおかしいのだ。

 

「それでは班分けを言い渡します。1〜24まではAチーム。それ以降をBチームとします。それではこれよりグランドオーダー作戦を開始します!」

 

 

 

 

 

 

話の後、別室にて戦闘服なるものに着替えさせられた。今度は何をさせるつもりなのだろうか。

少し楽しみである。

 

 

 

 

 

「では着替えが済みましたら、あちらのコフィンにお入りください」

 

などと案内された先には、まさにその名を恥じぬ棺桶のような、所謂カプセルのようなものがあった。

正直、昨今のアメリカンSFに出るかどうかも怪しいものではある。

だが、もしかすればこれが本当に棺になってしまうのでは?などと、不意に考えてしまった。

少しネガティブに考えてしまうが、やはりそこは緊張からなるものだろう。

などと、冷静に自己分析している場合ではない。ここに入って『任務』とやらをこなさなければならないのだから。

 

「入ってまーす」

 

しかし、俺のそのような考えを否定するかのように、それは居た。

……なるほど。

『入るな。』

彼女はそう言いたい訳か。

……乗ってやるのもいいが、そう簡単に上手くいくだろうか?

 

「すみません…」

 

「はい?何か問題でも?」

 

「はい、実は体調が優れなくて…」

 

「はい…もしかして、月宮さん、ですか?」

 

「はい。そうですが?」

 

「あ、いえ。お話は伺っています。なんでも、来られる途中に気を失っていたとか。勿論、今回の任務には不参加でも構いません。医務室で診察を受けた後、自室にて待機しておいてください」

 

…正直驚いた。こんなにも上手く行くとは。

まあ、話を聞く限り妥当だろう。逆に足を引っ張られても困る。そういう判断をしたのかもしれない。

 

「分かりました。では医務室で診察を受けてまいります」

 

「ああ、うん。…報告、要らないから」

 

「…分かりました」

 

…さて、誰かの思い通りに成るのは、中々に癪だな。しかし、分かる警告を無視する通りもない。

 

「ま、待って!!」

 

入り口まで戻ったところで、後ろから声が聞こえた。その正体を探ろうと、後ろを振り返った時、

 

 

 

真後ろで衝撃的な音がした。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

「目が覚めた?お兄ちゃん。朝だよ、起きる時間だよ?起きて、生きなきゃ。お兄ちゃんは生き残らなきゃ。ほら、早く、立ち上がって、息を吸って――」

 

「鬱陶しいわっ!!!」

 

…恐らく生涯最悪な目覚めだろう。

………。

そうだ、確か爆発音が聞こえて。いや、その前に何か声が聞こえて…。

確か。そう。少女の。今日会った。そうだ。今日会ったばかりの。少女の声だ。

 

しかし、目の前には、瓦礫にその華奢な体を貫かれている、赤毛の少女の無惨な姿があった。

 

「…これは、お前の仕業か?」

 

「違うよ?」

 

「……そうか」

 

…犯人はこの少女(悪魔)ではないらしい。

では、誰か。この目の前に憎たらしく、恐ろしいまでに中傷的な。糞ったれたオブジェクトを創った犯人は。

 

「お兄ちゃん。怒ってる?」

 

「ああ、非常に」

 

「ふーん?」

 

「…何だ?」

 

「別にー?」

 

…どうやら、ただ構って欲しいだけらしい。

全く…。

しかし、俺もこの状況で怪我の一つもしていないでは済まないだろう。昔から怪我が治るのは早かったが、今回ばかりは流石に未だ治ってないらしいな。なぜ分かるか?

体が軋むように痛いからだ。

 

「っ……」

 

…いかん。意識すれば、益々痛くなってきた。

まず、どうしたものか。

只々顔も知らぬ犯人に怒っていても時間の無駄だ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「…ん?」

 

ふと声が聞こえた気がした。だが、今は思う様に声が出ないらしく、声は相手に伝わって無さそうだった。

その証拠に、男は奥の先程の部屋に行ってしまった。

……全く、俺は非力だな。こんな痛みも我慢できず、起き上がることもできないとは。

ははは。笑いが込み上げてくる。

そうだな、今はただ、あいつ(犯人)の顔をこの手で殴ってやりたい気分だ。

『俺はこれ以上の痛みを味わったぞ』という風に。

 

「それじゃあ起きてみようか、お兄ちゃん」

 

…一体、どうやって?足だって、瓦礫でも乗ってるのか、重いし。

 

「大丈夫だよ」

 

何故そう言い切れる。

 

「だって。お兄ちゃんはそれをどうにかする方法を知ってるもん」

 

「正気か?」

 

「ううん。狂気の沙汰だよ」

 

「はは、そうかそうか…」

 

だがな、少女よ。降霊術では幾ら頑張っても生身をどうにかすることはできんのよ。

 

「耳を澄ませて」

 

…駄目だ。爆発の衝撃で耳はあまり聞こえない。先ほどだって、男性らしい声だということ以外何も分からなかった。

 

「違うよ。死者の声を聞くの」

 

…ああ、なるほど。だがな。そんなもの、今は聞こえない。

 

「ううん。絶対聞こえるよ。諦めないで」

 

……残念だな。聞こえんよ。

 

 

だがな、俺は未だ諦めん。

すまんな、悪魔の様な少女よ。お前のお陰でほんの少し、抗ってやろうという気になった。

 

 

『該当マスターを検索中・・・・発見しました』

『適応番号 48 藤丸立花、49 月宮小詠 をマスターとして再設定します』

『アンサモンプログラム スタート。霊子変換スタート』

 

「今…のは?」

 

「貴方を呼ぶ声。世界、そして私が貴様を必要としている」

 

「…そう、か」

 

「誠にすまない」

『レイシフト開始まで あと3』

「…お前」

『2』

「何だ?」

『1』

「謝れたのか」

 

光に包まれて見たのは、少女のピエロのような悪魔的な笑顔であった。

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