けもフレはいいぞ!博士と助手もいいぞ!でもキンシコウちゃんがどストライクなので誰か書いてください。
「かばん、われわれに料理を作るのです」
「作るのですよ」
いきなりボクの元にやってきた博士さんと助手さんはそれだけ言うと、ボクとサーバルちゃんを捕まえて飛んでいってしまいました。
どこまで行くのかと思っていると、そこまで遠くには運ばれませんでした。図書館にあるあの調理台。そう、ボクがカレーを作ったあの場所です。
「さあ、食材は使いそうなものを用意してやったのです」
「用意してやったのですよ」
「すぐに料理を作るのです」
「とびきりおいしいものを作るのですよ」
「「われわれはぐるめなので」」
……いきなり連れてこられたとはいえ、だいたい予想できていた自分が悲しいなあ。
つまり博士さんたちはまたボクに料理を作ってほしいようです。この前のカレーが気に入ってくれたみたいですね。
「ちょっと待ってよ! なんで私まで?」
「お前は食材を切る係なのです、サーバル」
「かばんだけでは大変と思って連れてきたのですよ」
「お前の食材を切る手際だけは評価しているのです」
「ええ、手際だけは」
「うーん、ほめられてるようなほめられてないような……。かばんちゃんはどうする?」
「えっ?」
いきなり連れてこられて混乱しているけど、なんとか博士さんたちが用意したという食材をざっと見てから、図書館にある本のページをめくってみました。うん、これなら作れそう。
「サーバルちゃん、手伝ってくれる?」
「もっちろん!」
「じゃあこれとこれ、細かくして?」
「うん、わかった! うみゃみゃみゃみゃ!」
サーバルちゃんが玉ねぎと食パンを細かくしてくれている間に火を起こしてフライパンに油をひきます。
「またあれなのですよ、助手」
「またあの火というやつですね、博士」
やっぱり博士たちがすこし離れてしまいました。サーバルちゃんはもう平気! と言っていたけど大丈夫かなって心配していたけれど本当に問題ないみたいで、切ってくれた玉ねぎと食パンを持ってフライパンを火にかけているボクの隣に来てくれました。
「かばんちゃん、これでいい?」
「ありがとう、サーバルちゃん」
サーバルちゃんが細かくしてくれた玉ねぎを油で炒めます。図書館の本によると、透明になるまで炒めるんだそうです。
炒め終わったら……ボウルに挽き肉と卵とパン粉と牛乳、塩コショウ、ナツメグ、オールスパイスを入れてこねる、かぁ。
「えいっ、えいっ」
「今日はどんな料理ができるのか楽しみですね、博士」
「そうですね、助手」
「ていうか博士たちもかばんちゃんを手伝ってあげてよ!」
「われわれは食材を用意したのです」
「あとは任せた、なのですよ」
「えー」
「大丈夫だよ、サーバルちゃん。あとはボクだけでもなんとかなるから」
むー、と納得できなさそうにサーバルちゃんが頬を膨らませます。でも本当にここからは1人でもできるから大丈夫だってば。
こねて全体的に馴染ませたら形を整えます。本によると、真ん中を窪ませた平たい楕円にするそうです。
あとは手のひらで叩きつけるようにして空気を抜くって書いてあります。
「なにそれ! わぁ、楽しそう!」
「サーバルちゃんもやってみる? 落とさないように気をつけてね」
「うん! うみゃ……みゃ、みゃみゃみゃ……」
ぺったん、ぽったんとサーバルちゃんの手の間を肉ダネが踊ります。苦戦はしてるみたいだけど、ちゃんとできているのはサーバルちゃんらしいなぁ。
「できたよ、かばんちゃん!」
「ありがとう、サーバルちゃん」
「なんだか形が出来てきましたよ、博士」
「出来てきたのですよ、助手」
「もうちょっとだけ待っててください。あと少しですから」
そわそわとし始めた博士さんたち。このまま出したら、まだ火を入れてないからお腹を壊しちゃいますよ?
えっと次は……油を引いたフライパンで形を整えた肉ダネを焼いていくんだそうです。
フライパンに肉ダネを落とすとジューっという油が弾ける音とお肉の焼ける匂いが辺りに漂い始めました。ひっくり返してから素早くフタをしたけれど漏れ出る匂いと音は隠せません。
「博士、よくわからないのですがお腹が空いてくるのですよ」
「助手、私もなのです。これは研究が必要だと思うのです……じゅるり」
背後からすごい視線を感じます……。と思ったら横のサーバルちゃんからも。「おいしそう……」って言いながらじっと見つめないでよぉ……。
「サーバルちゃんのぶんもあるから待っててね」
「ほんと! かばんちゃんありがとう!」
小躍りしながらサーバルちゃんが喜んでくれるのを見ると、作ってよかったなってすっごく思わされます。
そろそろ大詰め。フタを開けて焼き上がったそれをお皿に置いたら軽く油を拭き取ってデミグラスソースを作ります。隠し味にケチャップとウスターソースを少し入れるって本に書いてあったのでその通りに。
できあがったデミグラスソースをお皿に置いたらそれにさっとかければ完成。
「えーっと、ハンバーグです」
「ほう、ハンバーグですか」
「初めて食べるのですよ。いかほどのものか」
「すっごーい! ねぇ、かばんちゃん。これ私も食べていいの?」
「サーバルちゃんのぶんも作ったから大丈夫だよ。はい、これ」
食器としてフォークだけを渡して3人の前にハンバーグを置きます。アツアツで湯気を昇らせるハンバーグ。それは博士さんも助手さんもサーバルちゃんも目が離せないくらい魅力的なものみたいです。
「それでは実食なのですよ、博士」
「実食です、助手」
「いただきまーすっ!」
「いただきます、なのです」
「いただきます、なのですよ」
フォークで1口サイズに切ると、断面からジューシーな肉汁がジュワッと溢れ出します。とろみのついたデミグラスソースと絡めてからパクリと口に入れてしまいました。
「どう、ですか?」
「……博士、これは」
「助手、言わなくてもわかります。これは危険です」
「えぇっ!? も、もしかしておいしくありませんでしたか……?」
「違うのですよ、かばん」
「これは……」
「わー! なにこれ! すっごくおいしいよ!」
真面目そうな顔の博士さんたちを遮ってサーバルちゃんが声を上げました。よかった。おいしかったんだ……。
「みごとなできばえなのです、かばん」
「博士も私もまんぞくなのですよ」
「臭みもなく、このかかっているのとの相性もさいこうなのです」
「それにこの前のカレーと違って食べやすいのですよ」
前回、作った時はカレーのスパイシーさが少し苦手そうだったから今回はそんなにたくさんスパイスを使ってないお料理を選んだけど正解だったみたいです。
「あれ? このハンバーグ、3つしかないけどかばんちゃんのぶんは?」
「えっと……」
「まさか作っていなかったのですか?」
「作っていなかってのですね?」
「は、はい……あはははは」
ボクは作る人であって食べる人ではないから作らなかったんです。お手伝いしてくれたサーバルちゃんのぶんは用意したけと、ボクのぶんまで用意しなかったのはそのせい。けどサーバルちゃんは気に入ってくれたし、ボクはそれでよかった。
でも隣にいるサーバルちゃんがぷっくりと頬をふくらませているのはなんでだろう?
「むー。かばんちゃん、目を閉じて口を開けて」
「こ、こう?」
「うみゃ!」
「むぐっ!」
目を閉じたせいで真っ暗。そんな時に口の中に何かが入れられました。もぐもぐと口を動かすと、それがなんなのかすぐにわかりました。
ボクの作ったハンバーグだ。
「かばんちゃん、これからお料理を作る時は自分のぶんも作らなきゃだめ!」
「そうです、かばん。なんのためにわれわれが多めに食材を集めたのかわからないではないですか」
「かばんのぶんも作れるように多めに集めたのですよ」
「「われわれはかしこいので」」
閉じていた目を開いて呆気に取られるボクの前にお皿がスライドされてきます。それはサーバルちゃんのハンバーグが乗ったお皿。
「はい! 今日は私のをはんぶんこしよう?」
「……うん。ありがとう、サーバルちゃん!」
たぶんこれよりおいしいハンバーグはそうそう巡り会えないと思った。
いかがでしょうか。突発的に思いついたものを書きなぐっただけなのでこれは続きません。これで完結です。
少しでもこれを読んでおもしろい、と感じていただける人がいることを雪山の温泉に浸りながら祈らせていただくと共に筆を置かせていただきます。
けもフレはよいぞ!