死神より哀を込めて ~英雄達を裁くは少女~ 作:ウージの使い
まずは、かつて削除した話を投稿します。
少しいじった部分もあります。
Side アカネ
現段階で、復讐を果たした紅き翼のメンバーは一人だけ。
次は復讐を進めることができるだろうかとくぐった扉の先は今までとは少し違った雰囲気で、大きな建物がたくさんある場所でした。
しかも見渡す限り人、人、人……。
「はぁ、はぁ」
マケイヌは今も私の横で、子犬の姿をして足を動かしています。
聞いたところ人の姿もできるそうですが、今はまだしないとのこと。
元は憑依もできる魂のような存在なので体も自由に作りかえることができるそうです。
そして今、よく晴れた青空の下で私は。
「マケイヌ。ひっじょうに聞きたいことがあるのですが」
『んあ? 無駄口言ってる暇があるのなら……』
ちなみに、今の私の服装はシャツと袖のない上着に首元にはリボン、下はチェックのスカートです。
よく見ると、周りにいる人達の中にも私と同じ服装をしている人がちらほら……。
私と違って、カバンとか荷物を持っているようですが。
さて、勘の良い方はもうお気づきでしょう。
『遅刻する前にダッシュ! ダッシュ! ダアアアアアッシュ!!』
「何で私がぁぁぁぁぁぁ!?」
絶賛、全力疾走中です。
転移はするなと言われたので、ただ走るしかない私。
しかもやたら距離が長いこと長いこと……。
食パンくわえたら完璧とか言われましたがしませんよ、そんなこと。
「つ、疲れた……」
『死んでるのにか?』
「精神的にですよ! 余計な茶々を入れないでください……」
そりゃ、死んでますから肉体的なしんどさは無いんですがね?
どうやら走るという行動から精神的な疲れが発生しているようなのです。
行動が精神を疲れさせるという経験を、直にすることとなってしまいました。
「それより、なぜ私は学校に……? わざわざ遅刻しないよう全力ダッシュする必要はどこにもないと思うのですが……」
余談ですが、ここが町ではなく学校だと知った私は相当びっくりしました。
アリアドネーという学術都市の存在は知っていて、ここも似たようなものだと言われましたが……。やはり、びっくりしました。学校にしては広すぎるんですもの。
しかも、魔法を知らない一般人に交じり魔法使いがいる、魔法使いが作った学園都市。
それがこの麻帆良なのだそうです。
あれから私はカフェテラスでぐったりしています。
何度か教師らしき人から「授業はどうした!」と怒鳴られたのでその都度逃げています。
あぁ……なんで、こんな目に。
「マケイヌ……一体私に何をさせたいんですか?」
復讐の相手に、ここで会うとでも言うのでしょうか?
しかし前回と違いここは人が多いので復讐の場所として不向きな気もします。
相手が動かないというなら、何かしら考える必要があるでしょうね。
『ん? いや、今回も嬢ちゃんが殺す相手とすぐ会うわけじゃないんだが……』
「待ちなさいあなた」
ということは何か?
私が全力ダッシュして疲れたことに、なにも意味がなかったというのですか?
……怒っていいでしょうか。
『まぁ待て! ただ、会わせたいのさ。嬢ちゃんの仇……その
「む、むすこ……?」
私の仇というと、あの赤毛の少年。
まさか、彼に息子がいるとは……。
いえ、今は私が殺されてからだいぶ月日が流れているということでしょう。
しかもさらに話を聞いたところ、この前訪れた街にいたそうです。
……わかりませんでした。言ってくれればよかったのに。
マケイヌの話によると、息子の名はネギ・スプリングフィールド。
魔法学校の卒業課題として、十歳でありながらこの学園で先生をしているそうです。
十歳で先生って……生徒の方が年上ではないですか。
本当に先生としてやっていけるのでしょうか?
『ちょうどいいことに。すぐ側に、そのネギって奴の生徒がいる』
「へ……?」
マケイヌにつられ、右の方を見てみると。
テーブルに肘をつき、私の方をガン見している金髪の女の子がいました。
私と同じ制服を着た、まるでお人形のような綺麗な女の子。
ハッ、もしかして、彼女は……。
正真正銘の、「サボり」でしょうか。
Side エヴァンジェリン
私がそいつを見つけたのは、学校を身体測定の後すぐ早退という名目でサボった時のことだった。
フン、一応学校には出ているんだぞ。今日は身体測定で授業はほとんど無かったしな。第一、真面目に出席したところで「登校地獄」の呪いが解けねば卒業できん。ならばサボったっていいではないか。
ここ数年、サボタージュこそわが人生の一部、と言ってもおかしくなくなった。
言っててすごく、むなしい。
話を戻そう。
私がそいつに目を向けたのは、なにも同じサボリだと感じたからだけではない。
そいつからは、何か……他とは違う魔力を感じたからだ。
いや、魔力と呼ぶにはまがまがしい感じがしたが。
それに何より、そいつからはごくわずかではあるが……血のにおいを感じた。
間違いない、こいつは人を殺している。
その理由まではわからんが……なぜか、共感できる気がした。
「…………」
テーブルに座りしばらくじっと見つめていると、やがて気付いたのだろうか私と目があった。すぐにそむけられたが。
ククク、そういえば今夜は満月だったな。ちょうどいい……。
「おい、お前」
「私……ですか?」
そいつに話しかけると、驚いたような反応をされた。
ま、いきなり知らん奴から話しかけられたらそういう反応になって当然か。
「お前……今夜暇か?」
「へ? まぁ……今のところ、特には」
む、切り出し方を間違えたか?
まぁいい、ようは今夜桜通りに一人で来るよう誘いこめばいい。
どう言えばいいか……こういうのは慣れてないからな、良い言い方が思いつかん。
そうだ、魔力を感じるということはおそらく「関係者」だろう。
ちょっとこの名前を使ってみるか。
「ネギ・スプリングフィールドに会わせてやろうか?」
「!!?」
お、思った以上に食い付きが良かった。
血相を変えて立ちあがったぞ、こいつ。
立ち上がった勢いでそいつの椅子は地面に転がった。
「……その話。嘘偽りはありませんね?」
「あ、あぁ……」
しかし、こいつの目……憧れとか期待とかそういう目ではない。
むしろ逆……嫌悪とか憎悪とか、そういった負の感情だ。
おもしろい。あのぼーやに最初からそのような感情を抱いているとは。
お前の血を飲むのが楽しみになってきたよ。
Side アカネ
私をずっと見つめていた女の子。
急に私に話しかけてきたかと思えば、とんでもないことを言い出し始めましたよ。
“ネギ・スプリングフィールドに会わせてやろうか?”
まさかいきなり仇の息子と接触するチャンスを得られるとは……。
この女の子、いったい何者でしょう?
「では今夜、桜通りで。待っているぞ」
外見に似つかわしくない話し方をしていた女の子は、話し終えると優雅に背を向けてどこかへと歩いて行きました。
綺麗な長い金髪でしたね……。ちょっとうらやましいです。
『はっはっは、またすごいやつが話しかけてきたなぁ』
「と、いいますと……?」
やはりあの女の子、ただものではないのでしょうか?
堂々と授業をさぼっていたようですしね。
『いや、サボりはどうでもいいだろ』
そうですかね?
まぁいいです、マケイヌはどうやら何か彼女について知っているようなので、話してもらうとしましょうか。
『あいつはエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。“闇の福音”、“人形使い”、“不死の魔法使い”とまぁいろいろ呼び方はあるが……一言で言えば、真祖の吸血鬼、だ』
「は!?」
ちょちょ、何でそんな大物がこんな学園に!?
“闇の福音”なら私だって聞いたことがあるくらいです! ましてや真祖の吸血鬼なんて……不老不死でしかも最強の魔法使いが何で私に話しかけるとか!?
『ははっ、嬢ちゃん大パニックだなぁ』
「これがパニックにならずにいられますかぁッ!!」
確か賞金首でしたよね? そんな人がのんびりここで学生しているとも思えないのですが……何か理由があるのですかね?
『そうだな。エヴァンジェリンは
どうせ呪いが解けなきゃ卒業できないからな
マケイヌの話を聞いていると、少しかわいそうになっていました。
いえ、確かに悪いことはしている以上同情の余地はないのかもしれないのですが。
……そして。
「サウザンドマスター……」
『そう、サウザンドマスター。その人物が嬢ちゃんにとって何者か、言う必要もないよな?』
サウザンドマスター……ネギ・スプリングフィールドの父であり、私の、仇。
しかも彼女は、犯罪者とはいえある意味彼の被害者ということですか。
…………
『どうした? 嬢ちゃん』
「いえ……彼女が今縛られているのは、正当なのか不当なのか、よくわからなくて……」
『そうか。だったらちょうどいい。アイツの誘い、受けてみろよ』
「え?」
そう言えば、私誘われていましたね。
今夜桜通り……でしたっけ。
一体何が目的かはわかりませんが……それがいいかもしれません。
しかし、彼女に何かを尋ねたところで、ちゃんとした回答がもらえるとも限りません。
『そうそう、嬢ちゃん。エヴァンジェリンと話すなら、こっちには一つでかい交渉材料がある』
「え? なんですか?」
見下ろす私と、見上げるマケイヌ。
犬の姿をしているマケイヌが、どこかニヤッと笑った気がしました。
『奴の呪い、俺なら解ける』
エヴァの呪いをどうするかは現在検討中です。
この次の話を今現在執筆中なのですが、一週間で投稿するのが目標です。
学校は始まるけど、バイトが楽になるからできる……かな?
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