DEVIL SURVIVOR 2 With you forever. 作:ルーチェ
「You changed my world.」より先に書き始めたものですが、途中で放置していました。
しかしせっかく途中まで書いたのだからもったいないと思い、暇な時間を利用して最後まで仕上げました。
よって初めの頃と後半はキャラが変わっていたり、文章の雰囲気が違うものになっています。
さらに「You changed my world.」と比べると、雑な部分が多かったり、同じような言い回しや展開も含まれます。
それでもよろしいという方は、最後までお楽しみくださいませ。
では、オリ主の紹介です。
久世 奏(くぜ かなで)
ダイチ・イオとは別の高校の2年生。生徒会長を務めており、ダイチとは小学校時代からの友人。
常にねこじゃらしを携帯し、猫を見つけると人格が変わるほどの猫好き。
猫に限らず、モフモフしていれば何でも好き。肉球も好き。
趣味は猫と遊ぶことと読書。読む本は文学に限らず、どの分野でも興味を持ったものは何でも読む。乱読派。
非常に負けず嫌いで、努力家。
両親は幼い頃に他界し、15歳まで父方の祖母に育てられたが、その祖母も他界している。
現在は高校の寮でひとり暮し。渋谷駅近くにあるファストフード店で土日にアルバイトをしている。
ひとりの少女が熟睡していた。
そして、その姿を見つめるものがいる。
”それ”は人ではない。
見た目こそ人間そっくりだが、人ならざるもののオーラを漂わせている。
「もうすぐ会えるよ、カナデ」
”それ”は少女の頬に手を伸ばして、そっと触れた。
彼女はその行為に気づかず、静かに寝息を立てている。
「明日から始まる神の試練をどのように乗り越えていくのかわからないけど、その戦いの果てに君はどんな世界を選ぶのだろうね?」
もちろん彼女は何も答えない。
「私は君を見守ってきた。そしてこれからも…」
“それ”は頬に触れていた指を横にずらし、彼女の唇を指先でなぞった。
「ずっと一緒だよ」
そう言い残し、“それ”は音もなく姿を消した。
◆
ひとりの少年がバルコニーで夜空を見上げていた。
「静かだな…。明日になればこの静けさが遠い昔の出来事のように感じられることだろう」
晩秋の夜の空気はひんやりとしていて、吐く息が白くなる。
「世界が変わろうとしている。正しき者に導かれた清廉で高尚な世界は完成され、峰津院家の宿願は達成される」
満足そうな笑みを浮かべ、彼はすぐそばに控えていた獣の頭を撫でる。
「ケルベロス、お前には見えるだろ? 私の創造する新世界が」
ケルベロスはYESと言いたげに、彼の身体に頭を擦りつけた。
「そろそろ休むとしようか。明日から寝る間もないほど多忙な7日間になるだろうからな」
少年はケルベロスを従えて室内へと戻った。
そしてベッドに横になり、ケルベロスは床に伏せた。
彼が眠りに就くと、窓辺に”それ”が現れた。
侵入者に気づいたケルベロスは唸り声を上げるが、”それ”の正体がわかると何事もなかったかのように再び眠り始めた。
「まもなく終わりにして始まりの時がやって来る。彼女との出会いが君の人生を大きく変えることになるだろう。彼女は君にとって運命の女性だから」
答えることのない少年に”それ”は続けた。
「君にはやってもらいたいことがある。友人である君を苦しめたくはないけど、私は君を利用させてもらうよ」
“それ”は申し訳ないという表情をするが、それは一瞬だけだった。
すぐに元の表情の乏しい顔に戻る。
「明日が楽しみだね、ヤマト」
そう言い残すと、”それ”は姿を消したのだった。
◆
”それ”は東京タワーの鉄骨に腰掛けて夜景を眺めていた。
「人間の繁栄の象徴である夜景…。この美しい景色も今日で見納めなのかな?」
”それ”はしみじみと言う。
「私はポラリスの下した裁定に疑問を持っていた。…はるか昔、人間に自由の可能性を見た私はポラリスによって生かされるだけの脆弱な存在だった人間に火や文字や絵といった彼らの欲するすべてを与えてきた。そして彼らは文明を持ち、文化を育み、自らの意思で生きることを可能にした。今や人間は自由だ。生物の中で無数の生き方が選択できる稀有な存在となった」
「しかし皮肉なことに、その自由な精神が逆に人間の心に歪みを生んでしまった。…私はわからなくなった。人間は自分の意思で自由に生きるのか、それとも再び管理される存在に立ち返るのか…。どちらが幸福なのだろうかと。もしかしたら私の行動がポラリスの裁定を早めてしまったのかもしれない。だとすれば私が彼らにしたことは善なのか、それとも悪なんだろうか?」
“それ”はすっと立ち上がると足を一歩前に踏み出した。
そこには足場になるようなものは何もない。
“それ”は空中に浮かんで大きく腕を広げた。
「さあ、人間よ。神の審判はまもなくやってくる。神の与えし試練を乗り越え、人間の意思を示してみせるがいい。そのための武器は与えた。その盾と矛を使って、摂理を覆してみせてくれ!」
その声に呼応したかのように、街の夜景は一層輝いて見えたのだった。