Re:ブラッキーが呼び出されしは本物の異世界!?   作:煌めきの風

10 / 10
なんか、久々に書くのが戦闘シーンで凄く辛かったです……。
(。゚ω゚) ハッ!これがブランクというやつか………!


第10話「対峙」

 俺の恩恵を確認した後、ガルドは屋敷の中にいるのではないか、という結論に至りその屋敷の玄関に俺たちはいた。ガルドの屋敷の中は、どれも高そうな家具が壊れていて散乱している。さながら、大きな屋敷がダンジョンのようになったものだろう。そういう場合は、領主が何らかの形で敵になっている場合がほとんどだが。

 屋敷に敵が侵入したことで、いきなり奇襲される可能性がある。なので、警戒を怠らないように周囲を首を振って確認する。

 

「……敵は、いないのか?」

「ガルドは二階にいた。だから、周囲に敵はいない」

「そ、そうか…」

 

 俺が周囲を確認していたことに春日部さんが、敵がいないことを俺たちに告げた。おそらく、犬の友達からもらった嗅覚で分かったのだろう。そのことに安堵したのか、久遠さんが肩に入れていた力を抜いた。それと同様にレイナとジンも力を抜いた。

 

「じゃあ、これからのことを少し話しましょ。春日部さんの言う通り、ガルドが二階にいるのならその内に方針を決めましょう」

「まずは指定武具の確保が最優先ですよね。森の中にはなかったのですから、ここまで来たらガルド本人が守っていると考えた方がいいでしょう」

 

 久遠さんの提案にみんなが首を縦に振る。これから、ガルドと戦うのだ。作戦はあった方がいい。レイナがまず指定武具の確保を促す。この屋敷に来る前に指定武具が森の中に隠されている可能性を考慮し、みんなで探した。結果は、森の中には指定武具といえるようなものはなかった。

 この屋敷の中にも指定武具がある可能性があるが、レイナの意見に納得する。ガルドにしたら、背水の陣でのギフトゲーム。そして、指定武具という分かりやすい攻略のヒント。そのヒントを野放しにしておくのは危険だ。自分を殺すことができるものを簡単にプレイヤーに渡してしまうのは、どうぞ殺してくださいと言っているようなものだ。

 だとすると、その指定武具を自分で守るのが一番安全なのだ。

 

「そうだな。だとすると指定武具を確保して一時撤退した方がいいかもな。指定武具がどういう武器かわからないから、確認して作戦を再度立て直した方がいいかもしれない。それに狭い部屋の中で戦うのはきついだろうしな」

「そうですね。ガルドが人間のままの姿で戦うとは考えにくいです。高い確率でワータイガーになっているでしょう」

 

 人間のままでも十分迫力のあるガルドだったが、自分のコミュニティの存続がかかったギフトゲームだ。手を抜くということはいないはずだ。そして、ガルドはワータイガーの姿で迎え撃ってくるだろうとジンが予想する。

 

「じゃあ、ガルドのいる部屋に入ったら、指定武具を確保して撤退でいいかしら?」

 

 久遠さんのその提案にみんなが了承したのを確認すると、彼女はジンに向かってあることを言った。

 

「じゃあ、部屋に行く前にジン君。貴方は此処で待っていなさい」

「ッ!…どうしてですか?僕だってギフトを持っています。足手まといには」

「そうじゃないわよ。先ほどの話で私たちは指定武具を確保したら、撤退することを決めたわ。あの外道に知恵があったら、先回りされる可能性がある。そうなった場合、私たちの作戦はダメになってしまう。だからジン君には一番大事な退路を守っていて欲しいの」

 

 その言葉はジンにとっては、自分が必要ないと言われたも同然のように感じられたのだろう。彼の表情からは自分も一緒に行く!という気概が感じ取れた。

 そのために反論しようとした人の言葉を久遠さんは遮り、自分の考えを伝えた。久遠さんの考えを聞いたジンは、しばし考えた後、その役割を引き受けた。

 だが、退路を守るのがジン一人では少々心許ない。それに見たところジンの持っている恩恵は戦う系ではないだろう。だったら、もう一人戦えるような人がいた方がいいな。

 

「レイナ」

「はい?」

「ジンと一緒に残ってくれないか?退路を守る重要性はさっき久遠さんが言ったけど、ジンだけでは心配なんだ」

「………本当は一緒に行きたいのですが、分かりました。お気をつけてください」

 

 これで退路を守るのがジンとレイナの二人、指定武具の確保が俺と春日部さんと久遠さんの三人、とそれぞれの役割が決まった。

 そして俺たちは物音を立てないように慎重に階段を上り、正面にある普通よりも少し大きい扉の前に立つ。

 

「指定武具を確保したら、急いで撤退だからな。俺がガルドを引き付けるから、確保は任せた」

 

 突入した後のことを二人に言うと、納得したのか首を縦に振った。

 これからガルドと戦い、ガルドを……殺さなければならない。俺に殺すことができるか?いや、やらなきゃこっちがやられるんだ。覚悟を決めろ。

 意を決して扉を開けるとそこには、

 

「……ギ…………GEEEEEEYAAAaaaaa!!!!」

 

 言葉を失ったガルドが知性も理性もない、本能だけの野生の虎となって、後方の白銀の十字剣を守るように立っていた。

 

 

 本物のホワイトタイガーとなったガルドの咆哮を正面から受けてしまい、思わず体が強張る。仮想世界のモンスターの咆哮とは格が違った。自分の縄張りへ侵入した外部者を排除するための咆哮からは、ガルドの怒りを感じることができた。

 俺たちを確実に敵と判断したのか、ガルドは目にも留まらぬ速さで突進を仕掛けてきた。

 

「…っ!!」

 

 ガルドが獲物と定めたのは、久遠さんだった。

 久遠さんは、とっさのことに反応できていない。このままだと、彼女はガルドの鋭利な爪で切り裂かれ…………死ぬ。

 

 分かっている。ガルドの動きは直線的で、しかも、俺が手を伸ばせば久遠さんに届く距離に俺はいる。

 

 でも、体が、本能が、SAOで培ってきた経験が今すぐこの部屋から逃げろと懸命に伝えてくる。誰よりも早くこの屋敷から出ろと言ってくる。生きるために逃げろと。

 

 頭では分かっているのに、体が動かない。

 

 こうしている間にも、ガルドは久遠さんを殺せる距離にまで距離を詰め、自身の爪で久遠さんを襲おうとしてその爪が――――

 

「逃げて!」

 

 ―――――当たらなかった。

 

 春日部さんが久遠さんを階段に突き飛ばしたのだ。そして、春日部さんも突き飛ばした勢いのまま転がり、かろうじて攻撃を避ける。

 しかし、ガルドは攻撃の手を弱めることなく、次の獲物を春日部さんと定めて追撃しようとする。ここにきてようやく体が思うように動き、追撃を防ぐために剣を抜きでガルドに斬りかかる。

 

「春日部さんは先にあの白銀の剣を!あれが多分指定武具だ!!ガルドは俺が引き付けるからそのうちに!」

「分かった」

 

 俺が春日部さんに促すと、春日部さんはすぐに剣を取るために走り出した。春日部さんが剣を取るためには、ガルドのすぐそばを通らなければならない。だからこそ、ガルドの注意を引き付けないと春日部さんが危険にさらされてしまう。

 

――――バチッ!!

 

「……くっ!」

 

 ガルドに斬りかかったが、やはりギアスで体が守られているらしく攻撃は通らない。感覚的は【Immortal Object】を斬った感覚と似ている。それでも攻撃は通らないが衝撃は伝わってくる。思い切り振りかぶって斬りかかったために体がのけぞる。

 

「GEEEYAAAaaa……!」

「……ッつ」

 

 だが、この隙にガルドが攻撃をしてこなかったことが幸いし、体勢を治すことができた。しかし、先ほど斬りかかったことでガルドのヘイトが俺に集まっている。その証拠にガルドは俺を中心にゆっくりと歩いている。獲物、つまりは俺の様子を見ているのだろう。

 冷や汗がゆっくりと頬を伝う。ガルドの呼吸が俺の緊張をより強くさせていく。SAOがデスゲームになった時のモンスターと対峙したときはレベルを上げなきゃならない一心で無我夢中だった。今になって思う。自分よりも大きい動物と対峙することがこんなにも怖いなんて。

 

「GEEYAAaa……!」

「…………いつまでもこうしてるわけにはいかないよな」

 

 このままガルドににらまれていても状況は好転しない。この様子だと俺が何もしないとガルドも行動を起こさないだろう。ならば、自分から攻撃するしかない。

 ソードスキルの構えをとろうと大勢を変える。俺が動いたことでガルドは歩きを止め俺のことをじっと睨んでくる。

 

 『二刀流スキル突進系二連撃技・ダブルサーキュラー』

 

 剣を握る手が微かに震える。これは、おそらく恐怖だろうか。しかし、恐怖なら今までに――それがたとえ仮想のものだとしても――多くを乗り越えてきた。

 狙う場所は、ガルドの前足の鋭利な爪の届きづらい後ろ足の付け根だ。このソードスキルは外すことはできない。ガルドの動きを注視しながら狙いを絞り……ソードスキルを、

 

「GEYA!?」

「……え?」

 

 突然ガルドが悲鳴のような鳴き声を上げながら、俺の後方へ大きくジャンプした。さっきまでガルドがいたところを見ると、そこには白銀の十字剣をもった春日部さんがいた。そして、彼女の持っている剣には鮮血がついていた。

 まだスキルが発動する前だったのでキャンセルによるペナルティは受けていない。

 

「ガルドは私が倒す」

「GEEYAAAAaa!!」

 

 春日部さんに攻撃されたことで、獲物の対象を変えたのか春日部さんの方を向く。春日部さんに斬られたところはあまり深くなく、あまり出血していない。

 春日部さんは白銀の十字剣を正眼に構えて対峙する。その当人である彼女も多少の恐怖を感じているのか顔が強張っている。

 

「待つんだ!指定武具を手に入れたから一旦撤退を…!!」

「GEYA!!」

 

 数の差で考えると2人いるこちらの方が有利だが、この状態はあまり良くない。今いる部屋は狭くガルドの速さで動かれたら目で追うのは至難だ。クリア条件に必須な指定武具を手に入れたから撤退を促すも、ガルドが動く方が早かった。

 ガルドは春日部さんに先ほどまでと同じように突進する。春日部さんは突進を右側に回避して、ガルドに斬りかかろうとするが、

 

「ガハッ……!ガッ……」

 

 剣の攻撃が当たる直前に春日部さんがなぜか壁まで吹き飛ばされる。そして、間髪入れずにガルドが壁から完全にずり落ちる前に爪で春日部さんを攻撃する。春日部さんは何とか回避したが、それでも攻撃を脇腹に食らってしまい、白い洋服に血があっという間ににじむ。

 

「春日部さん!!」

 

 ガルドがそんな状態の春日部さんを見逃すわけがなく、とどめを刺そうとしていた。彼女が吹き飛ばされてから、すぐに駆け出していた俺は春日部さんを守るために前に立つ。そして、ガルドから振り下ろされる爪を受けるために無意識にソードスキルを発動させる。

 

『二刀流スキル防御技・クロスブロック』

 

 両手に握る剣を交差させて爪を受ける。

 

「こん、のおおお!!!!」

 

 ガルドの爪は重かった。相手も真剣に来ているのだから手加減しないということは頭に入っていたつもりだった。そう、つもりだった。至近距離でより強く感じることができるようになったガルドの獣としての生への執着。邪魔者を排除しようとする本能。仮想世界では感じることのできないものが確実に俺の予想を超えていた。

 それでも、ここで負けるわけにはいかない。負けたら、最悪の場合死ぬのだから。それも春日部さんも巻き込む形で。それだけは避けなければならない。だから、今の力をすべて振り絞ってガルドの攻撃を受け切り、前方に強くはじく。

 ガルドがのけぞった隙に、二刀を手放して春日部さんの持つ十字剣を手に取る。そして、ガルドに対して横なぎに切り払う。今度はギアスによって防がれることなく、ガルドの白い毛並みの体に赤い横一線の傷口をつける。そして、わずかにできたこの隙に春日部さんを抱えて屋敷から一時撤退する。

 

「…ゴメン。躱し、きれ、なかった……」

「いや、あれをかわすのは無理だ。()()()からの尻尾による攻撃なんて、かわせる人の方が異常だ」

「それに……さっきまで使ってた…剣を置いていかせちゃって…」

「どうせ、あの剣じゃガルドに衝撃を与えることはできても致命傷を与えることもできない。ガルドを倒した後にでも回収するさ」

 

 俺は先に撤退した久遠さん達と合流するために、森の中を走った。

 

 




きりが悪かったので今回は短めです。次回でガルド戦が終わるといいですねー。

p.s.ロニエ可愛いhshsしたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:5文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。