Re:ブラッキーが呼び出されしは本物の異世界!?   作:煌めきの風

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こんにちは、というよりこんばんは。

無事に九月以内に書き上げることが出来ました。パチパチ




第6話「サウザンドアイズ」

 

 

 黒ウサギを先頭に石で舗装された道を歩いて行く。すれ違う人々は何も人間だけではなく、様々な種族が行き交っている。足首の具合が良くなったレイナは俺のすぐ後ろを歩いている。

 その道には日本の四季の一つである桜のような花が満開に咲いていた。時折吹く風が、花弁の花びらを散らしている。

 その光景が前を歩いている久遠さんの視界に入ったのか、久遠さんは素直な感想を述べる。

 

「あら、素敵な花ね。でも桜の木………ではないわよね?花弁の形が違うし、何より真夏になっても咲き続いているわけがないもの」

「何言ってんだ、お嬢様?まだ初夏になったばっかだろ、気合いの入った桜が残っててもおかしくはないだろ」

「………?今は秋だったと思うけど」

「そのはず」

 

 久遠さんの疑問に十六夜が答えるが、話がかみ合わない。季節の話になり春日部さんや俺も会話に混ざるが、それぞれが言っていることがかみ合わない。

 そのことに首をかしげる。すると、この光景を見ていたのか、黒ウサギは微笑みながら説明し始めた。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から呼び出されているのです。時間軸以外にも歴史や文化、生態系など違う点があるはずです」

「へえ、パラレルワールドってことか?」

「惜しいですね。正しくは立体交差平行世界論っていうものです。この仕組みを今からお話ししてもよろしいのですが、説明するのに一日二日では終わらないのでまたの機会と言うことで……」

 

 黒ウサギが言ったことから考えると、たくさんの世界が立体的に交差や平行して存在している、ということか。正直、この世界に呼び出されただけでも信じがたいのに、ほかにも似たような世界があるらしい。

 こっちを向いて説明していた黒ウサギは、説明を曖昧に濁して振り返る。そして黒ウサギが指差した先の店が歩き始める前に話していた“サウザンドアイズ”という店だろう。

 

「皆さん!あれが超巨大コミュニティ“サウザンドアイズ”のお店です!!」

「………店を閉めようとしてるんだが」

 

 日が暮れ始めたからか、店の看板を下げようとしている割烹着を着た女性店員。それに気づいた黒ウサギは待ったをかけるべく、走り出して、

 

「まっ」

「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやっておりません」

 

 ストップをかけることは出来なかった。

 やっぱり超巨大なコミュニティだと時間というか規則に厳しいみたいだと、一人で納得する。エギルがゲームでやってる店とはある意味正反対だな。

 黒ウサギは女性店員をにらみつけ、久遠さんは女性店員の態度に悪態をつく。まあ、時間ぎりぎりに来る俺たちも悪いと言えば悪いんだけど。

 

「なんて商売っ気のないお店なのかしら」

「ま、全くです!閉店時間の5分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるならどうぞ他所へ。今後、あなたたちの出入りを禁止します。出禁です」

「出禁!?これだけで出禁とか御客様なめすぎでございますよ!御客様は神様ですよ!!」

 

 神様は言い過ぎなのでは?と危うく言いそうになったがギリギリのところで飲み込む。

 女性店員の納得のいかない対応にキャーキャー喚く黒ウサギ。その様子を冷めた目と侮蔑を込めた声で、女性店員はさらに対応を続けていく。

 

「なるほど。“箱庭の貴族”であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

「うっ……」

 

 先ほどまでキャーキャー騒いでいた黒ウサギは、女性店員の言葉を聞くと一転して言葉に詰まった。

 黒ウサギの隣にいた十六夜は躊躇いもなく答えた。

 

「俺たちは“ノーネーム”っていうコミュニティなんだが」

「ほほう、ではどこの“ノーネーム”でしょうか?よかったら旗印を確認させていただいても?」

「ぐっ………」

 

 黙り込む黒ウサギ。この様子からして、黒ウサギが言っていた名と旗印がない弊害なのだろう。恐らくコミュニティの名と旗印はこの世界での身分証明書のようなものだろう。

 身元の分からない者は店内に入ることが出来ないし、店員も店内に入れない。客を選ぶことが出来るのは力の強い商業組織の証拠だ。

 だから俺たちが門前払いされても仕方が無いことだ。無理を言って来てるのはこちら側だから。

とりあえずここから先の対応は黒ウサギに任せておくのが一番だろう。当の黒ウサギは数秒間黙った後、悔しそうな顔をして小声でしゃべりだした。

 

「その……あの………私達に旗印はありm」

「いぃぃぃぃぃやほおおぉぉぉぉぉぉぉ!!久しぶりだ黒ウサギイイイイィィィィィィ!!!!!」

 

 黒ウサギが出しかけた声は、店から突如として走り出してきた白髪の和服を着た少女に勢いよく抱きつかれたことで消えた。そして、黒ウサギは爆走してきた少女の勢いを殺すことは出来ず、少女と共にクルクルクルクルと空中で回転したまま街道の反対側にある水路まで吹き飛んだ。

 

「きゃあーーーー…………!」

 

 ボチャン、と水面に落ちる音と共に遠くなる悲鳴。

 突然の予測できない事態に目を丸くする十六夜。さっきまで冷たい対応をしていた女性店員は、痛そうな頭を押さえていた。久遠さんも十六夜と同じような感じで、春日部さんは……猫と戯れていた。

 

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?もしあるなら俺も別バージョンで」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

 

 飛んでいった黒ウサギを他所に、真剣な表情で女性店員に言い寄るも、彼女も真剣な表情できっぱりと断る。二人の間には真剣な雰囲気が漂い、それがこの二人が真剣だったことを物語っていた。

 この真剣な二人から黒ウサギの方に視線を戻すと、そこでは黒ウサギに抱きついた白髪の少女が黒ウサギの胸にスリスリと頭をこすりつけていた。それはもう止まることなく。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

「そんなの黒ウサギが来る予感がしたからに決まっているだろうに!!フフ、フホホフホホ!黒ウサギは触り心地が違うのぅ!ほれ、ここか!それともこっちか!ここが良いか良いか!!」

 

 白夜叉様と呼ばれた白髪の少女はひたすらに頭をこすりつける。

 スリスリ。スリスリ。スリスリ。スリスリ。スリスリ。スリスリ。………

 

「ちょ、ちょっと離れてくださいッ!!」

 

 自分の体に抱きついている白夜叉を引きはがすと、頭を掴んで十六夜が立っている方向へ投げ飛ばした。

 クルクルと縦回転している白夜叉は、飛んでいていった着地点にいた十六夜にダイレクトボレーの要領で蹴られて軌道を変えた。

 

「てい」

「ゴフッ!!」

「え?」

 

 そして、軌道が変わった先には俺がいて、避け————

 

「あぶなっ!!」

「ガバァ!」

 

 ——ることが出来た。

 その結果、白夜叉は地面とぶつかり変な声をあげているが、そんなことは気にせずに十六夜に怒る。

 

「十六夜!いきなり何すんだよ!!」

「ヤハハハ、悪い悪い。避けられたんだから良いじゃねえか」

「当たっていたらどうしていたんだよ!?」

「そん時はそん時だろ」

「お、おんし!!飛んできた美少女をさらに蹴り返すとは何様だ!」

「十六夜様だぜ、以後よろしく和装ロリ」

 

 十六夜の方に詰め寄ると、軽く受け流された。後先考えないでやったのかよ…。

 すると、先ほど十六夜に蹴られた白夜叉がこっちの方に走ってきた。その表情には怒りが感じられた。

 そして十六夜はヤハハと笑いながら自己紹介をした。

 

「おんしもだ!!なぜあそこで避けるのだ!!あそこは優しく受け止めるべきであろう!!」

「え?そ、そうなのか。すまん」

 

 他人事だと思って見ていたら、白夜叉はこっちにも言ってきた。いきなり言ってきたので思わず謝る。だけど、あれを避けてしまうのは当たり前だと思うんだけどな。ほぼほぼ条件反射だったし。

 ふと、久遠さんの方を見ると一連の流れに呆気にとられていた。こっちの視線に気づいたのか、思い出したように白夜叉に問いかけた。

 

「貴女はこの店の人?」

「おお、そうだとも。この“サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。依頼ならその発育の良い胸ワンタッチで引き受けるぞ。もしくはそこのシルフの娘でも良いぞ」

「嫌」

「オーナーそれでは売り上げが伸びません。ボスに怒られます」

 

 白夜叉がおそらく冗談で言ったことに女性店員が変わらずの冷静な声で釘を刺す。白夜叉に名指しで言われたレイナは、嫌悪感をむき出しにしてきっぱりと拒絶した。

 白夜叉は俺たちのことを一瞥した後、ニヤリと笑った。

 

「まあいい、話があるなら店内で聞こう」

「良いのですか?規定では“ノーネーム”はお断りでは」

「よいよい。“ノーネーム”と分かっておきながら名前を尋ねる性悪店員に対する詫びじゃよ」

「ですが……」

「身元は私が保証するし、責任も私が負う。いいから入れてやれ」

 

 む、とすねるような素振りを見せる女性店員。彼女にとっては店の規律を守っているだけなのである。それでも上司の言うことに逆らえないのは、元の世界でも箱庭の世界でも共通なようだ。だが、この少女が上司というのだから、相当な実力者なのだろう。

 店の暖簾をくぐって店内に入ろうとしたとき、側に立っている女性店員はそれでも自分のしたことは正しいと思っているのか俺たちのことを睨んでいた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 白夜叉の私室に案内された俺たちは、すでに用意されたいた座布団に腰を下ろす。部屋の中は外観から想像できた通り和で統一された和室だった。入った瞬間に既に焚かれていた香のような物が鼻腔をくすぐる。

 上座には既に白夜叉が座っており、大きく背伸びをする。

 

「さて、もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の外門、三三四五に本拠地を構えているコミュニティ“サウザンドアイズ”の幹部、白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな、ちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女だ」

「はいはいお世話になっております本当に」

 

 黒ウサギは投げやりに答える。黒ウサギの隣に座っている春日部さんが疑問の声をあげる。

 

「その外門って何?」

「箱庭の外層にある門のことですよ。数字が若ければ若いほど街の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者がいます。単純に言うと木の年輪みたいなものですね」

 

 そう言うと黒ウサギは白夜叉から紙とペンを受け取ると簡易的な見取り図を描いた。見取り図を見て確かに年輪みたいだと納得する。だけど、年輪っていうより……

 

「………超巨大タマネギ?」

「いえ、どちらかというと超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな、バームクーヘンだな」

「…………思い出したら、腹減ってきた」

 

 俺たちにはバームクーヘンに見えた。いや、まあタマネギや木の年輪にも見えないことはない。だけど、バームクーヘンの方がしっくりくるんだよなあ。

 俺たちがそんな話をしていると、レイナが黒ウサギの描いた箱庭を上から見た見取り図をのぞいてきた。

 

「バーム、クーヘン……ですか。どういう物なんですか、そのバームクーヘンって」

「知らないのか?」

「箱庭の中にいた頃の記憶はあまりなくて……」

 

 バームクーヘンを知らないと言ったレイナの顔は少し寂しいというか、実物が分からなくて話についていけないことが悲しいような表情をしていた。

 隣に座っていた久遠さんが彼女の表情を読み取ったのか、彼女の頭を静かに撫でた。

 

「そうなの…でも、大丈夫よ。和人君が手に入れてくれるもの」

「え?」

「そうだな、桐ヶ谷が責任を持って手に入れないとな」

「俺かよ。そもそもどうやって手に入れるんだよ?」

「ギフトゲーム」

「………そういえばそれがあったな…」

「本当ですか!」

「はあ、分かったよ…」

 

 十六夜達に知らないうちにバームクーヘンを手に入れなければならないことになっていた。どうにか断ろうとしたが、レイナの期待が込められた視線に耐えられずに引き受けてしまった。

 

「ふふ、良いバームクーヘンを商品にしているギフトゲームを今度紹介しよう。して、その例えなら今いる七桁の外門は一番外側の皮の部分になるな。この外門のすぐ外は“世界の果て”と向かい合う場所となっている。そこにはコミュニティに所属していないものの、強力なギフトを持っている者もいるぞ。その水樹の持ち主とか、な」

 

 バームクーヘンの例えのせいか笑顔だった白夜叉は、黒ウサギの方を向いて薄く笑い、彼女が抱えている水樹の苗を指差した。

 この苗は街に入る前に世界の果てに行った十六夜と合流したときに、黒ウサギが抱えて持っていた物だ。何でも、十六夜が蛇神とギフトゲームをやって得た戦利品らしい。

 

「して、誰がどのようなゲームで勝ったのだ?」

「十六夜さんが蛇神様を直接素手で叩きのめしたのですよ」

 

 自慢げに言った黒ウサギの言葉に白夜叉は驚きの声をあげる。黒ウサギが自慢げに言っているけど、実際に手に入れたのは十六夜なんだよなあ。

 

「なんと!!クリアではなく直接倒したとな!ならば、その童は神格持ちの神童……?いや、それなら一目見れば分かるはずだし…だが、神格を倒すには同じ神格をもつか、よほど崩れた種族のパワーバランスがあるときのだけなはずだし……」

 

 驚きの声をあげたと思ったら、今度は一人でぶつぶつ言い出して、考えにふけってしまった。俺もよく考えに夢中になることがあるけど、こんな感じなのか…。

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「知り合いも何も、あやつに神格を与えたのはこの私だぞ」

 

 エッヘン、と余り主張のない胸を張って黒ウサギの質問に答えた。そして、豪快に笑う。

 その言葉を聞いた十六夜が物騒に瞳を光らせたのが、目に入った。彼の目つきは獲物を見つけた動物のような感じがした。

 

「へぇ?じゃあ、お前はあの蛇より強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の階層支配者(フロアマスター)だぞ。この東側の四桁以下のコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだから」

 

 “最強の主催者”という言葉に、十六夜以外に久遠さんと春日部さんも目が光った。そのことに黒ウサギが気づかない時点で手遅れか。

 

「そう…ということは貴女のゲームをクリアできれば、私達のコミュニティが東側最強ということになるのかしら?」

「無論、そうなるのう」

「そりゃ、景気のいい話だ。探す手間が省けた」

 

 白夜叉のゲームをクリアできれば、東側最強のコミュニティになるということが、三人の心に火をつけたらしい。剥き出しの闘争心を視線に込めているのか、三人は白夜叉を見つめる。

 その視線に込められた闘争心に気づいたのか、白夜叉は高々と笑い声を上げた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼をしておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

 

 突然のことに驚いて十六夜達を止めようとするも、白夜叉が右手で制する。

 

「よいよい、私も遊び相手には常には飢えている」

「ノリが良いわね。そういうの好きよ」

「ふふ、そうか。それでそちらの小僧とシルフの娘も参加するかの?」

 

 十六夜達の提案にのった白夜叉は俺とレイナに聞いてきた。

 

「……俺は遠慮しとくよ。最強の主催者と呼ばれている白夜叉に、この世界に来た俺たちがそう簡単に勝てると思わない。そもそもギフトに心当たりがないしな」

「私も参加しません」

 

 白夜叉の誘いを俺たちは断った。確かに強い相手とは戦いたい。けど、そう思うのはゲームの中だけだ。ゲームという形をとっていても、この世界ではギフトを所持している必要があり、俺は所持していない。ゲームに参加する以前にスタートラインに並んですらいないのだ。

 

「そうか…なら、そっちの三人に確認しておくことがある」

「なんだ?」

 

 白夜叉は視線を十六夜達の方に戻し、着物の裾から“サウザンドアイズ”の旗印——向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

「おんしらが望むのは“挑戦”か————もしくは“決闘”か?」

 

 

 




そういえば今月の27日にオーディナルスケールのBD・DVDが発売されますね。皆さんは買う準備は良いですか?私はもちろん予約済みです!!先にレンタルが始まっているのがなぜか分かりませんけど…

感想待ってまーす(^_^)ノシ
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