Re:ブラッキーが呼び出されしは本物の異世界!?   作:煌めきの風

7 / 10
先日の電撃文庫秋の祭典でSAOの3期が発表知れましたねー。一番激アツな物語なだけに楽しみです!!
11間に及ぶ長編なので、遅くなってもいいのでじっくりと完成度の高いやつを作って欲しいところです


第7話「白き夜の魔王」

 

 

「おんしらが望むのは“挑戦“か————それとも”()()“か?」

 

 

 

白夜叉がそう言うと袖から出したカードが光り、部屋全体が白い光りに包まれた。あまりのまぶしさに目をつぶり、開けるとそこは、白い雪原と凍る湖畔、そして————太陽が水平に廻る世界だった。

 

「…なっ………!?」

 

突然変わった光景に言葉が出ない十六夜達。そんな十六夜達に白夜叉は問う。

 

「いま一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”————太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは試練へ“挑戦”か、それとも対等な“決闘”か?」

 

少女とは思えない程の威圧感を出す白夜叉。その威圧感は三人を圧倒していた。

 

「水平に廻る太陽と………そうか、白夜と夜叉。この世界はお前を表してるってわけか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私が持つゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を拡げると、空の雲海が裂け、薄明に照らす太陽が姿を表した。

 

「この莫大な土地が、ただのゲーム盤………!?」

「如何にも。して、おんしらの返答は?“挑戦”であるならば手慰み程度に遊んでやる。————だが、“決闘”を望むなら話は別。魔王として命と誇りの限り戦おうではないか」

「……っ」

 

蛇神を倒すほどの実力を持っていた十六夜までもが白夜叉の問いに返答することを躊躇っていた。

十六夜は明らかに自分の力に自信を持っていて、なおかつプライドも高いだろう。だからか、自分が言ったことを取り消すのは自身のプライドが邪魔しているのだろう。

暫しの静寂の後————十六夜が諦めたように笑いながら言った。

 

「……参った、参ったよ白夜叉。こんだけのもんを見させてくれたんだ。今回は()()()()()()()()()()

 

プライドが許す最低限の言葉で言っただろう十六夜に、白夜叉は高らかに笑った。笑いを噛み締めた後、後の二人にも問う。

 

「く、くく……して、他の童も同じか?」

「…ええ。試されてあげてもいいわ」

「右に同じ」

 

一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ここまでの流れがいったん止まったところで三人の方へ近づいていった。

 

「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!“階層支配者”に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う“階層支配者”なんて冗談にしても寒すぎます!それに、白夜叉様が魔王だったのは何千年も前じゃないですか!」

「何?今は元・魔王様ってことか?」

「はてさて、どうじゃったかな?」

 

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。肩を落とす黒ウサギと白夜叉が魔王だったのがとうの昔ということを聞いて少し驚く十六夜。何千年も前に魔王だった白夜叉でさえ、この威圧感。いまも魔王と呼ばれ、人々に恐れられている魔王はどれほどなのか計り知れない。

おそらく黒ウサギはこれからもこういう感じでこの三人を中心に振り回されるんだろうな。

そのとき、彼方にある山脈から甲高い声が聞こえた。その声にいち早く気づいたのは春日部さんだった。

 

「何、今の声?初めて聞いた」

「ふむ、おんしらを試すにはうってつけかもしれんの」

 

白夜叉は山脈の方へチョイチョイと手招きをした。すると、山脈から体長5メートルはあると思われる獣が翼を広げて滑空し、四人の前に降り立った。

 

「あれは.....まさかグリフォン!?」

 

 上半身が鷲、下半身が獅子の体を持つグリフォンはよくゲームの中のモンスターとしても登場することが多い。それはSAOでも同じで何度も戦った。鷲の鋭いくちばしの攻撃と翼による突風、獅子の足の鋭い爪による攻撃など色々と苦労させられたことを思い出す。

 だが、今はゲームの世界の中の世界ではない。襲われればひとたまりも無いだろう。

 

「グリフォン……嘘、本物!?」

「フフン、如何にも。あやつこそが鳥の王にして獣の王。“力”“勇気”“知恵”のすべてを備えるギフトゲームを代表する獣だ」

「……襲ってこないのか?」

「大丈夫だ。コミュニティに所属している幻獣は礼節をわきまえておる。さて、肝心の試練だが、このグリフォンで“力”“勇気”“知恵”の何れを試させてもらおうかの」

 

言い終わると、白夜叉は双女神の紋が入ったカードを出す。すると、虚空から“主催者権限(ホストマスター)”にのみ許される羊皮紙が現れる。白夜叉はそれに記述し、ゲーム内容が明らかになった。

 

『ギフトゲーム名:鷲獅子の手綱

  ・プレイヤー一覧 逆廻十六夜 

久遠飛鳥

春日部耀

 

・クリア条件 グリフォンの背に股がり、湖畔を舞う

 

・クリア方法 ゛力″゛勇気″゛知恵″の何れかでグリフォンに認められる

 

・敗北条件 プレイヤーが降参、または上記の条件を満たせなくなった場合

 

宣誓 上記のことを尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します

 

“サウザンドアイズ”印』

 

「私がやる」

 

ゲーム内容を確認するなり、いつも主張が少ない春日部さんにしては珍しく自分から挑戦すると言った。それを十六夜達がオーケーしたことで挑戦するのは春日部さんに決まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

『ギフトゲーム:鷲獅子の手綱 勝者 春日部耀』

 

 結果から言うと、ギフトゲームは春日部さんが無事に勝利を収めた。

 ゲーム内容はグリフォンの背にまたがり、湖畔を一周する。しかし、白夜の世界であるこの世界は先ほどまでいた箱庭に比べると寒い。普通に立っているだけでも寒いのに湖畔を疾走するグリフォンにまたがっている春日部さんは俺たちよりも寒かったはずだ。

 寒さと衝撃に耐えきった春日部さんの勝利が確定した瞬間、春日部さんがグリフォンから落ちて宙を舞ってしまった。そして、春日部さんは重力に従って落ちるはずだったんだが————

 

「…………なっ」

 

 ————風をまとって浮いていたのだ。驚くのも無理はない。

 ふわふわと慣れない様子で着陸した春日部さんに十六夜が近づいていった。

 

「やっぱりな。お前のギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類のものだったんだな」

 

 十六夜の言葉に春日部さんはむっとした表情で返す。

 

「……違う。これは友達になった証。けど、いつから知っていたの?」

「ただの推測。はじめに会ったときの“風上に立たれたら嫌でも分かる”っていう言葉は人間には到底出来ないことだからな。だから、春日部の能力はコミュニケーション能力じゃないだろうと」

 

 十六夜の興味津々な視線に耐えきれなくなったのか、春日部さんはそんな彼から顔を背ける。

 

「いやはや、大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。……ところでそのギフトは先天性のものか?」

「違う、父さんに貰った木彫りのおかげ」

「木彫り?」

 

 首をかしげる白夜叉に、いつの間にか春日部さんの隣に移動していた三毛猫が説明?していた。動物とコミュニケーションがとれる恩恵を持ってないので分からないが。

 

「にゃーにゃにゃーにゃにゃにゃー、にゃーにゃーにゃー」

「ほほぅ…彫刻家の父か。よかったらその木彫りというものを見せてくれぬか?」

 

 恐らく三毛猫の説明で出てきた彫刻家の父親手作りの木彫りが気になったらしく、春日部さんに頼んでいた。

 春日部さんは、自分が身につけていた木彫りのペンダントを白夜叉に渡す。白夜叉がペンダントを見て顔が険しくなったので、気になって俺ものぞき込む。俺以外にも久遠さんと十六夜ものぞき込んできた。

 

「複雑な模様ね。何か意味があるのかしら?」

「意味はあるけど知らない。昔教えて貰ったけど忘れた」

「前にネットで似たやつを見たことがあった気がするんだけどな…」

「………。これは」

 

白夜叉だけでなく十六夜や黒ウサギも鑑定に参加する。木彫りの表や裏を何度も見たり、幾何学線をなぞり黒ウサギは首を傾げる。

 

「材質は楠の神木…?神格は残っていないようですが……この中心を目指す幾何学線……そして中心に円上の空白………もしかしてお父様の知り合いに生物学者がおられたのでは?」

「うん。母さんがそうだった」

「生物学者ってことはやっぱりこの図形は系統樹を表しているのか、白夜叉?」

「おそらくの…ならこの図形はこうで…そして収束するは…いや、これは…これは、すごい!!すごいぞ、娘!!これが本当に人造ならばおんしの父は神代の大天才だ!!まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!!これは正真正銘“生命の目録”として称しても過言のない名品だ!!」

「それってかなりすごいんじゃ…?」

 

 俺のつぶやきに白夜叉はカッと目を見開いて、俺に詰め寄ってきた。そして、春日部さんの木彫りを持って解説し始めた。何を言っているか余り分からないけど。

 

「当たり前じゃ!普通の系統樹はもっと樹の形を成すのものだが、円形になっているのは恩師の父のセンスが成すものだ。中心が空白なのは、世界の流転を表しているからか、生命の完成が未だ見えぬからか、それともこの作品自体が未完成だからか。―――うぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されとるぞ!実にアーティスティックだ!おんしが良ければ私が買い取りたいぐらいだの!」

「ダメ」

 

あっさり断る春日部さん。そして自分の玩具を取り上げられたように落ち込む白夜叉。そんな二人のやりとりを見ていると苦笑いが出てくる。

 

「で、これはどんな力を持ったギフトなんだ?」

「それは分からん。今わかっとるのは異種族と会話ができること、友になった種族から特有のギフトを貰えるということだけだ。これ以上詳しく知りたいなら店の鑑定士に頼むしかないの。それも上層に住む者にしか鑑定は不可能だろう」

「え、白夜叉様でも鑑定出来ないのですか?今日は鑑定をお願いしようと思っていたのですが」

 

黒ウサギの言葉を聞くなり、げっ、と気まずそうな顔をする白夜叉。ひょっとしたら専門外なのだろうか?

 

「よ、よりによってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなんだがの…どれどれ……ふむふむ……うむ。四人とも素養が高いのは分かる。しかしこれでは何とも言えんな。おんしらは自分のギフトをどのくらい把握している?」

 

 俺たちのことをじっと見つめてきた白夜叉。その目は品定めをしているようだった。

 白夜叉に自分の能力のことを聞かれたが、俺はまず“恩恵”について心当たりが無い。それに俺以外は心当たりがあっても恐らく言わないだろう。

 自分の力のことを会ってすぐの人物に話すことをするのはよほどの馬鹿がすることか自分の力によっぽどの自信を持っている奴だけがすることだ。こういうことは、あの世界(仮想世界)でもこの世界でも変わらない。自分のスキル構成や得意な技を知っているプレイヤーと戦うことほど嫌なことはなく、自分が負ける可能性がよりいっそう高くなる。

 

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「心当たり無し」

「うおおおい?いやまあ、最後はまだしもそれじゃあ話が進まんだろうに」

「別に鑑定なんていらねえよ。人に値札を張られるのは好きじゃない」

 

きっぱりと断る十六夜に同調するように頷く二人。思った通り、三人は言わなかった。そのことに白夜叉は呆れた顔をした。

 

「ふむ。何にせよ“主催者”として、星霊のはしくれとして、試練をクリアしたおんしらには“ギフト”を与えなければならん。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉が柏手をパンパンと打つ。すると、俺達の頭上が白く輝く。光の中には一枚のカードらしきものが現れて、白い光が収まると共にそれぞれの手の中に収まった。

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明”

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエラメルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の目録(ゲノムツリー)”“ノーフォ―マー”

 

 ミッドナイトブルーのカードに桐ケ谷和人・ギフトネーム“黒の剣士”“スプリガン(影妖精)

 

ライムグリーンのカードにレイナ・ギフトネーム“風の姫(プリンセスオブウインド)”“シルフ(風妖精)

 

 

「ギフトカード!!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

 

 黒ウサギが歓喜半分、驚き半分といった声を挙げた。白夜叉が贅沢な代物と言っていたから、便利なものだろう。自分たちが渡されたものが分からないからか、もしくは黒ウサギをからかっているのか分からないが十六夜達は明らかに違うことを口にしていた。

 

「……クレジットカード?」

 

 少しばかり考えてこの流れに乗ってみることにした。

 

「ち、違います!何で皆様そんなに息が合っているのです!?というか考えてからこの流れに乗らないでください和人さん!!このギフトカードは顕現しているギフトをしまうことができるのです!耀さんの“生命の目録”だっていつでも収納できる凄く高価なカードなんですよ!」

「つまり超素敵アイテムってことで良いのか?」

「重要なことなんですからそんな簡単に聞き流さないでください!あーもう、そうです!超素敵アイテムなんです!」

 

黒ウサギに何か言われながらも、三人は物珍しいそうにカードを見る。俺もカードに書かれていることを見る。

 

「…………っ!」

 

カードに書かれていることに多少驚いていると、レイナが申し訳なさそうに白夜叉に尋ねていた。

 

「私たちまで貰って良かったのですか?私たちは白夜叉さんの試練に参加していないんですけど」

「良い良い。さっきも言ったように復興の前祝いだ」

 

レイナが試練に参加していない自分達までギフトカードを貰っていいのかを聞いていた。白夜叉は復興の前祝いだから良いと言った。

 タダでくれると言ってくれるのだから、もらっといて損はないはずなのでありがたくもらっておこう。

 

「我らの双女神の紋のように所属するコミュニティの名と旗印が刻まれるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気無いが文句は黒ウサギに言ってくれ」

「あの、この刀もギフトカードに収納することって可能なんですか?」

 

レイナが自分の腰に吊していた“絶刀・鉋”を指差した。

 

「ああ、出来るとも。ギフトカードはギフトなら何でも収納可能だ。しかし、切刃造の直刀で鍔や鞘がなく、綾杉肌に二筋桶が彫られている刀ということはその刀は“絶刀・鉋”じゃな。これまた珍しいギフトを有しておるな、シルフの少女よ」

「これは、おじいさんとおばあさんの形見なんです」

 

 レイナはそう言うと、絶刀・鉋にカードを向けると絶刀・鉋は光の粒子となってカードの中に吸い込まれた。そして、レイナのギフトカードに“絶刀・鉋”の文字が追加された。

 レイナの隣で十六夜も持っていた水樹を収納していた。

 

「おお、面白いなコレ。もしかしてこのまま水も出せたりするするのか?」

「ああ、出せるとも。なんなら試してみるか?」

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 

興味本位で水樹の水を出そうとする十六夜は慌てる黒ウサギに注意されて、イラついたように舌打ちをする。

 

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”即ち全知の一端だ。そこに刻まれているギフトネームとはおんしの魂と繋る“恩恵”の名称。鑑定はできずとも名前を見れば大体のギフトが分かるというもの」

「へぇ、じゃあ、俺のはレアケースなわけだ?」

 

ん、という感じで白夜叉が十六夜のカードを除き込む。俺も気になり、白夜叉に続いて十六夜の後ろから覗く。十六夜のギフトカードには“正体不明”と書かれていた。それを見た白夜叉は驚愕の表現をした。

 

「“正体不明”だと??いいやありえん。全知であるラプラスの紙片がエラーを起こすなど」

「まあ、何にせよ俺にとったらこっちの方がありがたいさ」

 

 白夜叉がさっき言ったとおりにこのカードが全知全能だとすると、正体不明ということはあり得ないはず。可能性としたらこのカードのギフトを無効化するギフトということだけ。しかし、このぐらいなら少し考えれば分かること。ならば、白夜叉があそこまで驚くはずがない。つまり、十六夜のギフトは分からないということだな。

カードを白夜叉から取り上げて黒ウサギ達がいるところに歩く十六夜。白夜叉は十六夜を怪訝な表情で睨んでいた。

 その後、“サウザンドアイズ”を後にした俺たちは黒ウサギに案内されて、コミュニティの本拠地へと向かった。

 

 

 

 

 

 




今日から大学が始まってしまいました……なるべく早く書き上げられればと思います。
まあ、期待せずに待っていててください(待ってる人いるよね?

感想待ってマース(・ω・)ノシ
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