僕と猫   作:逸般ピーポー

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(まだ)生きてます


生きているだけで

頭痛が酷い。吐き気がする。

 

真っ暗な中、家に帰る。

 

家に着いたところで、玄関からすぐに暗くなり、先が見えなくなる。あまり、外と大差はない。そう感じる。

 

ただ単に生きているだけで、酷く気持ちが悪い。

別に、何があったという訳でもない。ただ、自分から見たら周りが酷く丈夫で鈍感で、そしてただ普通なのだろうと思う。

他の人が楽しそうに談笑している内容を聞いたところで、さして楽しく感じる訳でもなく。

他の人が悔しそうにしていても、どことなく冷めた目で見ている自分がいることに気付く。

 

生きているだけで褒めてくれる動画を見た。

 

『煽ってる?』

『これは煽ってるwww』

 

なんてコメントもあれば、そうじゃないコメントもある。

 

『すくわれた』

『ありがとう…ありがとう…』

 

こんなコメントもあった。

 

『これで煽ってると感じる奴は元気』

『これが胸に来るやつは本当の鬱病。末期』

 

なら、全てが全て。全く何も感じなくなった奴は。

一体何なんだろうね。終わってるのか。

 

クロには水と、餌の準備をしてやった。

最初は水だけでいいだろう、と思ったが(水だけあればしばらくは死なないから)、さすがにそれは可哀想かと思って(生殺与奪の権利は全て自分が握っているため)、面倒でも餌まで準備した。

 

でも別に、仮に僕がどれだけ悲しんだり苦しんだりしても、きっとクロ(こいつ)は特に見向きもしないんだろう。

人の世とはそういうものだし、世界とか、世の中とか、そういった大層な言葉で括られるものとは得てしてそういうものだ。

頑張っていれば必ず報われるのは、子ども向けのアニメの中くらいのものだろう。

 

ハァ、と、つい溜め息が出そうになって、クロの奴の方に目を向ける。

こいつ、僕が死んだら生きていけないんだよな…。とか思いつつ、いちいち僕に手間を掛けさせるのが癪に感じる。

自分の都合で拾っておきつつ、なんて自分勝手な奴だと一人自嘲していると、先までしかめっ面して眉間に寄せていたシワが苦笑に変わる。

 

なんだかんだ言って、こいつは僕が生きていくための重しになっているんだな、なんて感じつつ。

若干のわずわらしさと、ほんの僅かな仕方なさが同居する、小さな世話のやけるやつを見ると、ベッドの上で大きく伸びをしていた。おい、そこは僕のベストプレイスだーーーーー。

 

そんなことを考えながら、クロの奴を容赦なく退かしにかかる。

 

また一つ、季節が過ぎようとしていた。

僕もこいつも、少しずつ歳をとってゆく…。

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