ポケットモンスター イン・ムーン   作:せさみ〜

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はい、よーいスタート(棒)

なつかしさと新しさが交差する街、キンセツシティ。そこにある飲食店、キンセツキッチン。僕はよくここに来ている。この店のビレッジサンドが好きだからだ。前まではバトルフードコートなんて呼ばれていて、飲食というよりもバトルをメインとしたところだったのでポケモンを持っていない僕にとっては近付きづらい場所だった。しかし、最近になってバトルをする人としない人とで席を分けられる仕様になり、バトルをしなくても食事を楽しめるようになり格段に行きやすくなった。さらに、値段も見直されビレッジサンドは500円で食べられるようになった。僕は頻繁に行っているというわけだ。

 今日もビレッジサンドを食べるため、店に来ていた。

今日は客が少ないようで、かなり静かだ。バトル広場でなぜか小さい子達がバレーボールをしているが、特に気にしないようにして僕は注文をしに行く。

 店員「ご注文は?」

 ユウキ「ビレッジサンドセット1つください」

 店員「かしこまり!」

 注文をし終えた僕は空いている席に座り、商品が来るのを待つ。店員さんの返事が少しおかしかったような気がしたがまあ空耳だろう。

 ……それにしても本当に静かだな。いつもはもう少し人がいて、そこそこ賑やかなのに、今はボールを弾き合う音だけが店内に響いている。 

 

 

 店員「お待たせしました!」

 待つこと数分、注文の品がきた。できたてのビレッジサンドが目の前に置かれる。

 ユウキ「いただきます」

 

食べようとした瞬間だった。「あっ!」という声と共にボールがこちらに飛んできた。最初は受け止めようと思ったが、ボールの飛んできた位置が丁度ビレッジサンドの真上だったので「守らなきゃ……!」という使命感が生まれ反射的に弾き返してしまった。

 そして返したボールはカウンターのそばにあった植木鉢に激しくぶつかり、地面に落ち、ダイナミックに割れた。

 ユウキ「やってしまった!」

 すると入り口近くの店員専用のドアからスーツを着たおじさんが出てきた。おじさんは割れた植木鉢を見つけると、頭を掻きながらがっかりした表情になった。

おじさん「やられたなぁこりゃ……」

 彼は植木鉢を拾い、改めてその無残な姿を近くで確認し、舌打ちしている。

 おじさん「困るんだよなぁ……」

 すると僕を睨みながら、こちらへ歩いてきた。

 おじさん「お前か?」

 ユウキ「いや、その……」

おじさん「荒れてんだよなぁ」

 ユウキ「……えっ?」

 おじさん「荒れてんだよなぁ植木鉢ィ!」

 見ればわかるが、確かに改めて見ると無残な姿になっている。 

 おじさん「大体なんでお前店の中にボールなんか持ってきてんの? 馬鹿だろ?」

 ユウキ「いえ、これは僕のじゃ」

 おじさん「他に誰がいんだよ?」

 ユウキ「そこにいる子達の……って、あれ?」

 さっきまでいたはずの子達がいなくなっていた。どうやら逃げたようだ。

 おじさん「お前どうすんだよ? 高かったんだよなぁ! 植木鉢ィ!」

 ユウキ「すいません、弁償します」

こうなりゃお金を払うしかない。ここまでの旅で得たお小遣いを出せばなんとか買えるだろう。

 おじさん「お前の返せるような額じゃねぇんだよなぁ!」

 ユウキ「えっと、おいくらですか?」

 おじさん「114514円だよ!」

 114514円!? なんて中途半端な額なんだ。しかも高すぎる! 810円とか1919円ぐらいかと思ってた。こんなの僕が今すぐポンと出せるような金額じゃない。どうしよう……。

 

 悩んでいると今度は入り口から金髪でサングラスをかけた、上半身はがっちりしているが下半身が細すぎる男の人が入ってきた。

 男「あらレンさん、どうしたの?」

 男がおじさんに話しかける。どうやらこのスーツのおじさんはレンという名前らしい。

 レン「タクヤさん! 聞いてくださいよ。こいつがねぇ……俺の植木鉢を壊したんすよ」

 この金髪の人はタクヤさんというのか。タクヤさんは「んー……」としばらく考えこみ、何かを閃いたようにレンさんに提案する。

 タクヤ「あっそうだ。レンさんってここのオーナーでしたよね? 植木鉢代を稼ぐまでここで働かせてみるってのはどうですか? この前人手も足りないって言ってたし、レンさん好みの条件じゃないかな〜って」

 レン「あっいいっすね。そうしましょうか。じゃあお前早速明日から働けよ」

ユウキ「えっ!?」

急展開過ぎる。少し考えたい……と思ったがレンさんが鬼の様な形相で睨んでくるので何も言い返せず

 

ユウキ「はい……わかりました」

 こう答えるしかなかった。 しかし、事情はどうあれ、壊してしまったのは僕だ。ここは責任を取って働く事を決意をした。そして、タクヤさんには感謝しないといけないかも知れない。もしこのまま話が進まなかったら僕はどうなっていたかわからない。

 タクヤ「明日から頑張れよ」

 ユウキ「はい、ありがとうございます! おじさん」

タクヤ「おじ↑さん↓だとぉ!? お兄さんダルルォ!?」

 

こうして僕のキンセツキッチンでのバイト生活が始まった。

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