バディファイトLoveLive!サンシャイン!!   作:ヤギリ

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決戦の前日

前回の『バディファイトLoveLive!サンシャイン‼︎』

 

 

ドラゴンフォースを進化させる為に、曜と梨子は炎斬、真柴とそれぞれファイトする。曜と梨子は炎斬と真柴に敗北するも、2人のドラゴンフォースは今までより強く光り輝き、曜と梨子はドラゴンフォースの成長と進化の兆しを確かに感じたのだった。

 

 

ーーー

ーーー

 

 

翌日の放課後、この日も曜と梨子、炎斬と真柴、Aqoursのみんなは、バディファイト専門スーパーモール「バディファイトアミューズ」に来店し、修行ファイトをしていた。

 

 

バディファイトアミューズ:ファイトステージ

 

 

梨子「ジャックナイフで炎斬君に攻撃!」

 

炎斬「甘いぜ!キャスト〈ドラゴンシールド 緑竜の盾〉!」

 

 

 

曜「ドラゴンフォースでヴァイオレットグリスに攻撃!」

 

真柴「ソウルガード!」

 

 

 

炎斬「クリムゾンブルグで梨子に攻撃だ!」

 

梨子「きゃぁぁぁ!」LP0

 

 

 

真柴「ヴァイオレットグリス、曜に攻撃!」

 

曜「うわぁぁぁ!!」LP0

 

 

 

ーーーーーー

 

 

果南「これで、昨日と合わせたら15戦目が終わったね。」

 

ダイヤ「ええ。 梨子さんが炎斬さんに6勝9敗、真柴さんには7勝8敗しています。」

 

鞠莉「曜も炎斬君に5勝10敗、真柴君とは8勝7敗してるわね!」

 

善子「やっぱり強いわね、あの2人。」

 

花丸「でも、曜ちゃんと梨子ちゃんもよく食らいついてるずら。」

 

ルビィ「見てるこっちも疲れて来ちゃうね。」

 

善子「同感ね………」

 

千歌「………………」

 

 

ーーーーーー

 

 

 

曜「ま、まだまだ!」

 

梨子「もう一戦お願い!」

 

炎斬「良いぜ、何度でもかかって来い!」

 

真柴「思う存分ファイトしよう!」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

曜と梨子が炎斬、真柴とファイトしている同時刻………

 

 

流は天音のミーティングが終わるまで、近くの公園のベンチに座って天音を待っている。

 

 

流「ふぅ………、缶コーヒーの熱が身体に染みるなぁ………ん?」

 

スメラギ『ワン! ハァ、ハァ』

 

 

流は缶コーヒーを飲みながら、口から吐く湯気を眺めて黄昏ていた。スメラギは公園を駆け回っている。

 

すると、公園の入り口に一台のパトカーが止まる。見たところバディポリスのパトカーみたいだが………、そのパトカーから2人の警官が降りて来た。 流はそのうちの一人を知っている。

 

 

流「サツキさん………!」

 

サツキ「やぁ流君、久しぶりだね。」

 

流「あ、はい、久しぶりです。えっと、何か用ですか?」

 

サツキ「ああ、今日は君に彼を紹介したくてね。」

 

 

すると、サツキの後ろに控えていたもう一人のバディポリス職員が前に出る。

 

 

「どうも、俺はエース・ツキムラだ。よろしく」

 

流「あ、はい。星野 流です。」

 

 

流はエースが差し出した手を握って握手する。

 

 

エース「君の事はサツキや父さんから聞いてるよ。」

 

流「え?」

 

サツキ「ツキムラって聞き覚えあるだろ?」

 

 

かつて流は、ファイナライズの影響でバディのレッド・グリムと同化したまま人間に戻れずにいた時があった。その時、流を診断したのが、エースの父、ツキムラ博士だった。

 

 

サツキ「エースはツキムラ博士の息子さんなんだよ。」

 

流「そうなんですね。エースさん」

 

エース「別に改まらなくていいさ、見たところ俺達は同い年だと思うからな。」

 

流「あ、うん。」

 

 

サツキとエースは流が座っているベンチに並んで座る。

 

 

サツキ「エースは3日前までアメリカにいたんだけど、ある理由で日本に戻ってきたんだ。」

 

流「ある理由?」

 

エース「ああ、実は、俺がアメリカから戻る2日くらい前に、この辺りからノイズ反応が確認されてさ。その原因を突き止めに日本に戻って来たんだ。」

 

 

ノイズ反応とは、"ファイナライズ"という能力によって発生する特殊なエネルギー波の事だ。

 

 

サツキ「それで、ファイナライズの経験がある君なら何か知っているんじゃないかって、君を訪ねようと思ったんだ。 グリムの事を思い出させるようで申し訳ないけど………ノイズ反応について心あたりないかな?」

 

 

サツキの気遣いに流は少し戸惑うが、隠しだてする事でもない為、流はサツキの質問に答える。

 

 

流「多分それ、僕だと思います………。」

 

サツキ「それってどういう?」

 

流「グリム。」

 

 

流はデッキから1枚のカードを出し名を呼ぶ。それに応えて、カードからモンスターが実体化した。

 

 

グリム『呼んだか? 流』

 

流「うん。」

 

サツキ「レッド・グリムだと………!」

 

 

実体化したモンスターに、サツキは驚きを隠せなかった。無理も無い。かつての流のバディだったレッド・グリムは巨大な時限爆弾と化した「人工情報演算神 IA」から、人間を守る為に宇宙へ飛び立ち、そして、たった1人で IAの爆発の犠牲となった。あの大爆発では、さすがのモンスターであろうと即死は免れない。

 

だが、そのグリムが、今再び目の前にいる。

 

 

サツキ「どうして………?」

 

流「話せば長くなるんですけど………」

 

 

流はグリムが現れた時の経緯を説明する。そして今起きている事なども話した。

 

 

サツキ「なるほど、魔星龍とか言う謎のモンスターとのファイト中に、君の新しいバディ、スメラギの青銅鏡からグリムが現れた。と」

 

流「はい。」

 

スメラギ『ワン!』

 

グリム『流のピンチに急いでいたからな、我の力はまだ未完全だが、致し方あるまい。』

 

流「でも君がいたから負けずに済んだよ。」

 

グリム『………次は奴に勝つぞ。』

 

 

俠兵とガノンとのファイト中、流のピンチにレッドグリムは現れた。久しぶりに流とファイナライズして良いところまでガノン達を追い詰めたが、後一撃のところで引き分けに持ち越された。

 

流は俠兵を取り戻す為に、グリムはガノンにリベンジする為に決意を固めていた。

 

 

サツキ「にしても話しを聞く限り、また厄介な戦いが起きてるようだね。 まさかとは思うけどAqoursの子達も関わっているなんて事はないよね。はははは………」

 

流「え、いや、その………Aqoursのみんなも、魔星龍達と戦ってたみたいで、この戦いに協力してもらってます。」

 

サツキ「だよね………。こういう戦いには、なぜかAqoursはよく巻き込まれるんだ。 あるいは自分達から巻き込まれていく子達だから。」

 

エース「けど、Aqoursのみんなが協力してくれたからこそ、今までの危機からこの街は守られて来た。そうだろ?サツキ。」

 

サツキ「ああ。彼女達が協力しているなら、特に問題はないけど……、僕達バディポリスもこの街を守るのが仕事だ。その魔星龍って奴も放ってはおけないね。」

 

流「あ、あと………」

 

 

流は、Aqoursと共にドラゴンワールドに行った事、そして各ワールドに魔星軍が進行して来た事、Aqoursと自分達でそれを食い止めた事など全てサツキに話した。そして、ガノンが魔星龍達を引き連れて人間界に攻め込もうとしている事も………

 

 

サツキ「ドラゴンワールドや、他のワールドでそんな事が………」

 

エース「だいぶ大規模な話しになって来たな………、その話しが本当なら、その魔星龍とかガノンって奴らは相当面倒な相手になりそうだ。」

 

サツキ「うん。 何にしても放っておける事態じゃない。」

 

流「魔星龍のボス、ガノンには僕の友達の俠兵がバディについてる。 僕は必ず、ガノンを倒して俠兵を正気に戻したいんだ。」

 

サツキ「そうか。」

 

 

サツキは時計を見てベンチから立ち上がる。

 

 

サツキ「じゃあ、そろそろ僕達はおいとまさせてもらうよ。」

 

エース「ああ、ノイズ反応の原因を突き止める目的も果たしたからな。」

 

流「お疲れ様でした。 あ、サツキさん!」

 

サツキ「うん?」

 

 

サツキとエースがパトカーに乗ろうとした時、流は2人を呼び止める。

 

 

流「あの、魔星龍達は多分、明日あたりにこの街に攻め込んで来るかもしれません。 その時は気をつけてください。」

 

サツキ「………ああ、分かった。 君達も気をつけて。 僕らバディポリスも協力は惜しまないから。 それじゃあ」

 

 

サツキとエースはパトカーに乗り、パトロールに戻った。

 

それからすぐにミーティングを終えた天音が公園にやってくる。

 

 

天音「流くーーん!」

 

流「天音!」

 

天音「今のパトカー、バディポリスだよね? なんかあったの?」

 

流「別に何もないよ。ちょっと職質受けただけだから。」

 

天音「そっか、なら良かった。じゃあ帰ろっか!」

 

流「うん。」

 

 

ーーーーーー

 

 

パトカーの中、エースは流の話しに出て来た「俠兵」と言う少年について、少し考えていた。

 

エースは自分の考えを整理する事も含めてサツキに話しかける。

 

 

エース「なあサツキ」

 

サツキ「うん?」

 

エース「局長が護送船の警備員から聞いた襲撃してきた"巨大なモンスターと1人の少年"って………」

 

サツキ「うん。流君の言ってた、俠兵君と魔星龍のガノンってモンスターの仕業かもしれないね。」

 

 

エースが考えていた事はサツキも同じことだった。

 

 

サツキ「もし俠兵君とガノンが護送船からクリッシュを脱獄させた本人達で、クリッシュが彼らと行動を共にしているのなら、これから起こる戦いは僕達も目逸らしできない戦いになる。」

 

エース「ああ。」

 

 

ーーーーーー

 

 

バディファイトアミューズ:ファイトステージ

 

 

時刻は5時半頃を過ぎたが、曜と梨子はまだ、炎斬と真柴とファイトを続けていた。

 

千歌、曜、梨子以外の6人は、日落ちも早く、時間も時間のため先に家に帰った。

 

 

梨子「ジャックナイフとドラゴンフォースで攻撃!」

 

炎斬「うぉぉぉぉ!」LP0

 

 

曜「アビゲールとドラゴンフォースで攻撃!!」

 

真柴「ぐぁぁぁぁ!」LP0

 

 

曜と梨子、炎斬と真柴は何回ファイトしたか、何勝して何敗したかはもう数えてはいない。数える必要はあまりなかった。 だが、何度もファイトしていく中で、曜と梨子のドラゴンフォースは確実に輝きを増し、光が強くなっている気がする。まだまだ"兆し"程度ではあるが、2人のドラゴンフォースは進化の可能性にかなり近づいてきているはずだ。

 

 

千歌「曜ちゃん梨子ちゃん、もう時間も遅いし、外もだいぶ暗くなってきたよ。今日はもう帰ろう!」

 

梨子「うん、そうね。」

 

曜「今日もありがとう。炎斬君、真柴君。」

 

真柴「ああ。」

 

炎斬「おう。じゃあ俺達はもう帰るぜ。じゃあな」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

炎斬と真柴と別れ、千歌、曜、梨子は帰路についた。

 

 

曜「結局今日もドラゴンフォースの進化はできなかったね。」

 

梨子「うん………」

 

 

ガノンが指定した猶予期限、1週間は今日を持って最後となる。明日は魔星龍とガノンが攻めて来るであろう決戦の日だ。 それまでにドラゴンフォースの進化は完成できなかった。

 

 

千歌「でも炎斬君と真柴君の2人のおかげで、2人ともだいぶ強くなったんじゃない?」

 

梨子「どうかしら?」

 

曜「やっぱりまだ、実感湧かないかも。」

 

千歌「そっか………でも、明日は負けられない戦いが始まる。 絶対に勝って、私達の街を守ろうね。」

 

梨子/曜「うん!」

 

 

千歌、曜、梨子は、明日始まる魔星龍達との決戦に燃えている。「必ず勝つ!」と3人は決意を固めるのだった。

 

 

そして3人は、決戦前夜の夜を過ごすのだった。

 

ーーーーーー

 

 

とある廃墟………

 

 

ガノン『俠兵よ………』

 

俠兵「ガノン?」

 

ガノン『ついに動き出す時は来た。明日、我々魔星龍は本格的な進行を開始する。 今あるこの世界に思い入れはあるか?』

 

俠兵「ああ………思い入れならたくさんあるよ。けど、俺は明日、この世界を屈服させ支配する"王"となる。 力を持つ者が虐げられる事のない、平等なる新世界を創りあげる。」

 

ガノン『そして我は、この世界の"王"をバディとした最強の存在とし、 我を封印した神々が創った全てのワールドを破壊して支配する。そして我が、新たな世界を創造する"神"となるのだ。』

 

 

俠兵とガノンの野望と決意に、アルナを始めとした数人の部下達が片膝をつき、頭をさげ、従順な姿勢をとる。 クリッシュは腕を組み、廃墟の壁にもたれかかってその様子をジッと見ていた。

 

 

アルナ「全ては、私達の新たなる"王"俠兵様とガノン様の為に。」

 

6人「そして全ては魔星龍様の下に。」

 

クリッシュ「ふん………………」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

翌日………、ガノンからの猶予期限、1週間が経過した。

 

Aqoursのみんなと、流と天音は、千歌の実家の旅館である「十千万」の前に集まっていた。

 

今日は平日で金曜日、本来ならみんな学校に行ってるだろうが、鞠莉の理事長権限により浦の星女学院は休校になった。 流と天音は学校を休んで、千歌達と合流していた。

 

そして、ドラゴンワールドの"帝"エンデュミアスは、珍しく志満の意識ではなく、実体化してみんなと共にいた。

 

 

千歌「いよいよ今日だね。」

 

曜「うん。」

 

梨子「勝てるかな………? ドラゴンフォースの進化は結局できてないままだし………」

 

エンデュミアス『気負う事はありません。たとえ進化が間に合わなかったとしても、今日までの修行が、あなた達をより一層成長させているはずです。』

 

ダイヤ「エンデュミアスさんのおっしゃる通りです。 何もドラゴンフォースの進化だけが、強さではない筈です。」

 

果南「そうそう、いつも通り自分の全力を出してファイトすれば良いんだって。」

 

鞠莉「果南の言う通りデーース! 」

 

ルビィ「うゅ………でも、やっぱりちょっと怖いね………」

 

花丸「大丈夫、まると善子ちゃんが絶対に守るずら。」

 

善子「ヨハネよ! ま、まぁ、この堕天使ヨハネがいる限り、大切なリトルデーモン達に手出しはさせないわ!」

 

天音「流君………私………」

 

流「天音、大丈夫だ。僕が必ず天音を守る。」

 

天音「うん。ありがとう。でも大丈夫! 私も流君を守るから。」

 

流「はははは、頼もしいな。」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

バディポリス 沼津支局………

 

 

バディポリスの周波レーダーが反応し、司令室に警報が響く。

 

 

オペレーター「局長! 沼津上空より巨大な彗星を確認!」

 

オペレーター2「それと同時に、多数の熱源反応を確認! 10体………20体………30体………まだまだ来ます!」

 

局長「うむ。サツキ君とエース君が聞いた通りみたいだな。 サツキ君に繋いでくれ。」

 

オペレーター3「了解!」

 

 

局長の指示で司令室からパトロール中だったサツキとエースのパトカーに通信が入る。

 

 

サツキ『はい、サツキです。』

 

局長「サツキ君、上空に多数の熱源反応が確認された。」

 

サツキ『はい。視認しています。 かなりの数のモンスターが、怪しい彗星から次々と現れているようです。』

 

局長「そうか。 よし、私も現場に出よう。大切な部下にだけ任せてばかりではいられないからな。」

 

エース『局長が自ら………?』

 

局長「もしこの件にクリッシュが関わっていた場合は、サツキ君、エース君、君達2人に任せる。 イリーガルモンスターを掃討しつつ、クリッシュを見つけ出して逮捕するんだ。」

 

サツキ/エース『了解!』

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

みんながそれぞれの心境の話しをしていると、エンデュミアスが何かのプレッシャーを感じとる。それも、50や60なんてものではない、もっと多数のプレッシャーだ。

 

"帝"であるエンデュミアスといえど、こんなにも多数の重いプレッシャーが 一斉に現れる事など初めての事で、軽い頭痛を感じる。

 

それと同時に、今まで消えていた黄黒いオーラを放つ巨大な彗星が現れ、その彗星から魔星龍が次々と現れる。

 

 

エンデュミアス『そろそろ開戦みたいですね。皆、気を引き締めてかかってください!』

 

Aqours「はい!」




今回も感想を是非‼︎


次回『決戦の日 魔星龍 vs 人』

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