バディファイトLoveLive!サンシャイン!!   作:ヤギリ

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己の正義

前回の『バディファイト LoveLive!サンシャイン‼︎』

 

 

魔星軍でもガノンにその実力を"強者"として認められた6人の清栄『魔星軍六強衆ませいぐんろっきょうしゅう』の2人、秀市、秀次の兄弟に挑む梨子と曜。 その兄弟の圧倒的な強さに翻弄される2人だったが、梨子と曜の諦めない、護りたいと言う意思が『超・ドラゴンフォース』を覚醒させた。

 

そして梨子と曜は新たなるアビゲールとジャックナイフ、超・ドラゴンフォースの力を用いて、魔星軍六強衆ませいぐんろっきょうしゅうの2人である秀市と秀次を撃ち破ったのだった。

 

ーーー

ーーー

 

襲い来る魔星モンスター達を援護に来てくれた局長とサツキに後を任せて、エースはクリシュイット・ディーボ・樫原の捜索を続けていた。

 

だが、エースの道を阻むかのように、行く先々で魔星モンスター達も襲撃して来る。

 

 

魔星モンスター『ぐぁぁぁぁぁ!』LP 0

 

エース「くそっ! キリがない!」

 

ガライオン『チッ! 焦ってぇーぜ! この俺を何度もカードに出し入れしやがって! エース、俺の背に乗れ!』

 

エース「ガライオン………良いのか?」

 

ガライオン『一々こいつらに足止めされてたんじゃラチがあかねぇ、それに、俺は一度戦った奴の匂いくらいは覚えてんだ。 効率よく探してぇんならさっさとしろ。』

 

エース「そうか、全く思いつかなかった。」

 

 

エースはクリシュイットを探す事と、魔星モンスターを退ける事に必死で、ガライオンの嗅覚に頼る事をこれっぽっちも思いついてはいなかった。と言うかそれを思いつく余裕がなかった。

 

エースは言われた通りガライオンの背に乗る。そしてガライオンは高くジャンプして魔星モンスターを飛び越えて走り去る。

 

 

ーーーーーー

 

とある廃墟………

 

 

クリシュイット・ディーボ・樫原は、俠兵とガノンが拠点としていた廃墟の入り口の壁に背をついて眼を瞑りつむり、周りから聞こえる喧騒をただじっと聞いていた。

 

 

クリッシュ「………………」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

クリシュイットは日本人の母親とアメリカ人の父親を持つハーフである。日本での名前は「樫原 陸斗」彼は産まれてから12年間を日本で過ごしていたが、中学に上がる頃から父親の仕事の都合でアメリカに移住し、今日までアメリカに住んでいた。

 

クリッシュには憧れの存在が居た。それは自分の父親だった。クリッシュの父は優秀な警察官であり、市民や後輩、先輩からも慕われ信頼されていた。 クリッシュの父親の信条は「善悪関係なく、平和を愛する」だった。

 

クリッシュが高校2年になる頃、彼の父親に予期せぬ不幸が起きた。彼の父親は上層部の命令で地元のマフィアに潜入捜索を命じられたが、不意のミスで警察官である事がバレてしまい、無残な死体となって家族の元に帰って来た。

 

クリッシュの母親は父親の死をきっかけに精神を病み、そして2ヶ月後、自ら命を絶ってしまった。 その時からクリッシュは、怒りと憎しみを胸に1人で生きる事になる。 彼はいつか父親を殺し、母親を自殺へおおいやり、自分の家族を奪った犯人を恨み、そしてこの世に生きる全ての悪党を許すまじと、自分なりの『正義』を掲げて今までを生きてきたのだ。

 

クリッシュは地元に居る身近な悪党から有名な悪党まで、自分なりの正義の下に制裁を降していた。暴行も然り、バディファイトも然り、二度と悪事ができないように脅迫じみた説得も然り………。いつしかクリッシュは地元の市民の間で有名になっていた。 彼の行動には賛否両論があったが、悪党のみを狙った犯行である事が幸いしてか、彼の行動を支持する市民は少なくはなかった。勿論、クリッシュの事は警察でも広まっており、警官の中でもクリッシュを支持する者は少なからずは居たのだ。

 

だが、悪党を対象にしてるとは言え、暴行や脅迫といったクリッシュの行き過ぎた行動は目に余るものがあると感じた警察の上層部は、クリッシュの逮捕に踏み切り、そしてクリッシュはアメリカ支部に配属されていた新人、エースとのバディファイトで敗北し、ついに身柄を拘束された。 その時クリッシュは23歳だった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「見つけたぞ。クリッシュ」

 

 

突然聞こえた聞き覚えのある声に、クリッシュは静かに目を開き、因縁の相手を見据える。

 

 

クリッシュ「エース………よく見つけたな。そのにゃんこの能力か?」

 

ガライオン『誰がにゃんこだ! 俺様の嗅覚を舐めるなよ、ゲロ以下のてめぇの匂いなんざ鼻にこびりついてんだよ!』

 

 

因みに、ガライオンの見た目はライオンモチーフである。たしかに猫科である以上、にゃんこには変わりないだろう。

 

 

エース「クリッシュ、俺は諦めない必ずお前を捕まえる。」

 

 

エースの言葉に、クリッシュは眉一つ動かさず、ただ向き直る。

 

 

クリッシュ「そういや、俺達はまだ1勝1敗だったな。 いい加減にケリをつけるか。」

 

 

クリッシュはデッキを構える。それに応えてエースもデッキを構える。

 

 

エース「ああ、行くぞ!」

 

 

 

 

エース「さあ食事の時間だ。目覚めろ暴食の山賊達よ!ルミナイズ!〈バンデット・エース〉」

 

クリッシュ「囚われし復讐の囚人達よ、俺こそが裏世界の正義となる! ルミナイズ〈プリズナー・ジャスティス!〉」

 

 

オープンTHEフラッグ

 

 

エース「デンジャーワールド」

◼️手札6/ゲージ2/LP10

 

クリッシュ「ヒーローワールド」

◼️手札6/ゲージ2/LP10

 

 

クリッシュ「俺の先攻だ。ドロー、チャージ&ドロー。」

◼️手札6→7/ゲージ2→3

 

クリッシュ「キャスト〈悪正義の足枷〉」

◼️手札7→6

 

 

悪正義の足枷

ヒーローW

ダークヒーロー

◼️君のライフが7以上あるなら使える。

◼️君のデッキの上から3枚見て、1枚を手札に加えて、残りは君の手元に裏向きで置く。「悪正義の足枷」は1ターンに1回だけ使える。

 

 

クリッシュ「デッキトップから3枚見る。」

 

 

◼️確認したカード

正義囚人 ハンマードウ

効かぬわぁッ‼︎

悪正義の足枷

 

 

クリッシュ「カードを1枚手札に加えて、残りを裏向きで手元に置く。」

◼️手札6→7/裏向きのカード2

 

クリッシュ「ゲージ3払い、バディ変身!〈蒼魔戦鬼 ガウト〉」LP10→11

◼️手札7→6/ゲージ3→0

 

 

蒼魔戦鬼 ガウト

ヒーローW

ダークヒーロー

サイズ3/攻6000/防6000/打撃2

◼️このカードはコールできない。

◼️"爆蓄"【起動】お互いのデッキの上からカード2枚を裏向きで、お互いの手元に置く。(手元に置いたカードは場と手札にあるカードとして扱われない。)このカードの"爆蓄"は1ターンに1回だけ使える。

◼️このカードが攻撃した時、お互いの手元に置かれているカードの合計が5枚以上なら、このカードの攻撃力+2000、打撃力+1!!

【2回攻撃】【変身】(ゲージ3払う。)

 

 

クリッシュは、肩や腕、膝などに角のような突起のついた蒼い鎧を纏い、顔には仮面をつける。そして胸の鎧には悪魔の顔を思わせる塗装がされていた。

 

 

エース「来たか………!」

 

クリッシュ『ガウトの"爆畜"発動! お互いのデッキトップから2枚を裏向きで手元に置く。』

◼️裏向きのカード2→4

 

エース

◼️裏向きのカード2

 

クリッシュ『ライトに〈正義囚人 ハンマードウ〉をコール』

◼️手札6→5

 

 

正義囚人 ハンマードウ

ヒーローW

ダークヒーロー

サイズ2/攻5000/防1000/打撃1

◼️君が〈ダークヒーロー〉に【変身】しているなら、このカードは【コールコスト】を払わずにコールできる。

◼️【コールコスト】ライフ1払う。

◼️"爆畜"このカードの登場時、お互いのデッキの上からカード1枚を裏向きで手元に置く。

◼️お互いの手元に裏向きのカードが4枚以上あるなら、このカードの打撃力+2して、このカードのバトル終了後、このカードを破壊する。

【貫通】

 

 

クリッシュ『ハンマードウの登場時に"爆畜" お互いにデッキトップから1枚を裏向きで手元に置く。』

◼️裏向きのカード4→5

 

エース

◼️裏向きのカード2→3

 

クリッシュ『アタックフェイズだ。 蒼魔戦鬼ガウトで攻撃! ガウトの能力で、お互いの手元に裏向きのカードが5枚以上あれば、ガウトの攻撃力+2000/打撃+1!』

 

 

ガウト

攻6000→8000/打撃2→3

 

 

クリッシュとエースの手元に置かれているカードから紫のオーラが出て、全てガウトに集まっていく。

 

ガウトの手に青い炎の刀が現れ、エースを斬る。

 

 

エース「ぐぅぅ!」LP 10→7

 

クリッシュ『先攻の攻撃は1度のみ。ターンエンドだ。』

◼️手札5/ゲージ0/LP11

 

 

エース「俺のターン、ドロー、チャージ&ドロー!」

◼️手札6→7/ゲージ2

 

エース「ライトに〈アーマナイト・クロウ・バンデット〉をコール!」

◼️手札7→6

 

 

アーマナイト・クロウ・バンデット

デンジャーW

アーマナイト/バンデット

サイズ1/攻5000/防1000/打撃2

◼️このカードが登場した時、君のデッキの上からカードを1枚ゲージに置く。

◼️"略奪"【対抗】相手が効果でドローした時、君の場か手札の〈バンデット〉1枚をドロップに置いてよい。置いたら、相手は手札を1枚選んで捨て、君はカードを1枚引く。「アーマナイト・クロウ・バンデット」の"略奪"は1ターンに1回だけ使える。

【移動】

 

 

エース「クロウバンデットの登場時、1チャージ。」

◼️ゲージ3→4

 

エース「レフトに〈アーマナイト・ライノス・バンデット〉をコール!」

◼️手札6→5/ゲージ4→1

 

 

アーマナイト・ライノス・バンデット

デンジャーW

アーマナイト/バンデット

サイズ2/攻6000/防4000/打撃2

◼️【コールコスト】ゲージ1払う。

◼️このカードは相手の効果で破壊されない。

◼️"略奪"【対抗】相手のモンスターが君の場のモンスターに攻撃した時、君の場か手札のこのカードか〈バンデット〉1枚をドロップに置いてよい。置いたら、相手はライフ1を払う。さらにこのターン中、君のカード全ての防御力+3000!「アーマナイト・ライノス・バンデット」の"略奪"は1ターンに1回だけ使える。

【移動】

 

 

エース「〈山賊の契り〉を【設置】」

◼️手札5→4

 

 

山賊の契りバンデット・ルール

デンジャーW

バンデッド

◼️【設置】

◼️【使用コスト】ゲージ1を払う。

◼️君の〈バンデッド〉のモンスターの攻撃か効果で相手にダメージを与えた時、君のデッキの上から3枚を見る。その中のカード1枚を手札に加え、残りをドロップに置く。この能力は1ターンに1回だけ使える。

◼️【対抗】君のライフが0になる時、このカードをドロップに置き、君の場のカード全てを破壊する。そうしたら、カードを6枚引き、君のライフを1にする。

◼️「山賊の契りバンデット・ルール」は君の場に1枚だけ【設置】できる。

 

 

エース「アタックフェイズだ。 ライノスバンデットでクリッシュに攻撃! 打撃2!」

 

 

アーマナイトライノスバンデット

攻6000

 

ガウト

防6000

 

 

クリッシュ『ぐぅぅ!』LP11→9

 

エース「山賊の契りの効果、〈バンデット〉の攻撃か効果でダメージを与えた時、デッキトップから3枚見て、1枚を手札に加える。」

◼️手札4→5

 

 

◼️確認したカード

アーマナイト・スネーク・バンデット

山賊の宴

バンデット・ガード

 

 

エース「クロウバンデットでハンマードウを攻撃!」

 

 

アーマナイトクロウバンデット

攻5000

 

ハンマードウ

防1000

 

正義囚人ハンマードウ 撃破!

 

 

エース「ターンエンドだ」

◼️手札5/ゲージ3/LP7

 

 

クリッシュ『俺のターン、ドロー、チャージ&ドロー』

◼️手札5→6/ゲージ0→1

 

クリッシュ『〈正義の監獄 ジャスティス・プリズン〉を【設置】する』

◼️手札6→5

 

 

正義の監獄 ジャスティス・プリズン

ヒーローW

ダークヒーロー

◼️【設置】

◼️【起動】お互いの手元にあるカードの合計が2枚以上なら君のデッキの上からカードを1枚ゲージに置いて、手元のカードの合計が4枚以上なら君のライフ+1、手元のカードの合計が6枚以上ならカードを1枚引く。「正義の監獄 ジャスティス・プリズン」は1ターンに1枚しか【設置】できない。

◼️君のターン終了時、このターン中に君のカード名に「正義囚人」を含むモンスターが効果で破壊されていたら、相手にダメージ1! この能力は1ターンに1回だけ使える。

 

 

ファイトエリアを丸ごと囲むように、鉄の棒が何本も現れて、クリッシュとエースを囲む檻になる。

 

 

クリッシュ『ジャスティスプリズンの能力、お互いの手元に裏向きのカードが合計2枚以上あれば1チャージ、合計4枚以上あればライフ+1、合計6枚以上あれば1ドローだ。』LP9→10

◼️手札5→6/ゲージ1→2

 

 

お互いの手元にあるカードの合計は8枚ある。よって全てのアドバンテージを得られる。

 

 

エース「待った、相手が効果でドローした時、アーマナイトクロウバンデットの"略奪"発動! 場のクロウバンデットをドロップに置き、相手は手札を1枚捨てる! そして俺は1ドロー!」

◼️手札5→6

 

クリッシュ『何?』

 

エース「さあ、手札を1枚捨てるんだ。」

 

クリッシュ『仕方ない………。』

◼️手札6→5

 

クリッシュ『キャスト〈ハイパーエナジー〉4チャージだ』

◼️手札5→4/ゲージ2→6

 

クリッシュ『ゲージ3払い、ライトにコール〈正義囚人 ボルト・ジョーカー〉』

◼️手札4→3/ゲージ6→3

 

 

正義囚人 ボルト・ジョーカー

ヒーローW

ダークヒーロー/光

サイズ3/攻8000/防4000/打撃2→3

◼️【コールコスト】ゲージ2払う。

◼️"爆畜"【起動】お互いのデッキの上からカード2枚を裏向きで、お互いの手元に置く。この能力は1ターンに1回だけ使える。

◼️お互いの手元に裏向きのカードが合計4枚以上あるなら、このカードの打撃力+1!

◼️"正義の雷鎚"君と相手の手元に裏向きのカードが合計8枚以上あるなら、このカードは以下の能力を得る。

・君のアタックフェイズ開始時、相手のサイズ2以下のモンスター1枚を破壊する。

・このカードが破壊された時、君か相手の手元にある裏向きのカードを合計2枚までドロップに置いてよい。置いたら、このカードを場に残す。

【貫通】

 

 

クリッシュ『ボルトジョーカーはお互いの手元のカードが4枚以上あれば打撃+1される。』

 

クリッシュ『ガウトの"爆畜"、お互いのデッキトップから2枚を裏向きで手元に置く。』

◼️裏向きのカード 5→7

 

エース

◼️裏向きのカード3→5

 

 

クリッシュ『アタックフェイズだ。』

 

エース「ライノスバンデットをセンターに【移動】」

 

クリッシュ『俺のアタックフェイズ開始時、ボルトジョーカーの能力発動! 俺とお前の手元に裏向きのカードが8枚以上あれば、サイズ2以下の相手のモンスター1枚を破壊する。』

 

 

エースとクリッシュの手元にある裏向きのカードは合計12枚ある。

 

 

クリッシュ『アーマナイトライノスバンデットを破壊だ!』

 

 

アーマナイトライノスバンデット 破壊!

 

 

エース「くっ………」

 

クリッシュ『ボルトジョーカーでエースを攻撃だ!』

 

エース『ならやり返すまで! 【対抗】ライフ1払い、手札から【変身】〈オフィサー・エース〉』

◼️手札6→5

 

 

オフィサー・エース

ジェネリック

エース

サイズ2/攻7000/防4000/打撃1

◼️【コールコスト】ゲージ3払う

◼️【対抗】ライフ1払い、手札のこのカードに【変身】してよい。そうしたら相手の場のモンスター1枚を破壊する。

◼️君の場にバディが居るなら、このカードの打撃力+1し、【2回攻撃】を得る。

【変身】(ゲージ1払う。)

 

 

エースはダークグレーのメタリックで機械的なアーマーを装備した姿に変わり、口元に厳ついマスクが付けられ、テンガロンハットを被る。そして左側の腰には銃、腰の後ろに折りたたみの剣が横向きで装備されている。

 

 

エース『そして、ボルトジョーカーを破壊だ!』

 

 

エースは腰のガンホルダーから、通常の銃より銃身が少し大きく長い、4つの銃口がある銃を取り出し、攻撃しているボルトジョーカーに発砲する。

 

 

ボルトジョーカー 破壊!

 

 

クリッシュ『チィッ! ボルトジョーカーの能力発動! お互いの手元の裏向きのカードを合計2枚破棄して、ボルトジョーカーは場に残る。俺は自分の手元のカード2枚を破棄する。』

◼️裏向きのカード7→5

 

エース『何⁉︎』

 

クリッシュ『次はガウトでエースに攻撃! 攻撃力+2000/打撃+1!』

 

 

ガウト

攻6000→8000/打撃2→3

 

 

エース『その攻撃中、手札からガライオンの能力! "ガライオン奪取" ゲージ2払い、手札からライトにバディコール! 〈黒獣王 ガライオン・バンデット〉』LP7→8

◼️手札5→4/ゲージ3→1

 

 

黒獣王 ガライオン・バンデット

デンジャーワールド

バンデット

サイズ2/攻9000/防4000/打撃3 

◼️【コールコスト】ゲージ2払う

◼️"ガライオン奪取‼︎"相手の場のカードが攻撃した時、手札のこのカードを【コールコスト】を払ってコールしてよい。そうしたらその攻撃を無効化し、このカードで相手に攻撃する。"ガライオン奪取‼︎"は1ターンに1回だけ使える。

 

 

エースの場に現れたのは、人間より一回り大きい、黒い獅子だった。硬くて黒いタテガミ、部分的に黒い外装を纏い、その外装と身体に緑色の光のラインが走っている。そして赤い眼光が鋭く光る。

 

 

エース『さらにその攻撃を無効化し、代わりにガライオンで攻撃できる! クリッシュに攻撃だ! 打撃3!』

 

 

ガライオンはクリッシュが変身しているガウトの炎の刃を弾き、自分の爪でガウトを切り付ける。

 

 

クリッシュ『ぐぉぉ!!』LP LP 10→7

 

エース『山賊の契りの能力、〈バンデット〉がダメージを与えた時、デッキトップから3枚見て、1枚を手札に加える。』

◼️手札3→4

 

 

確認したカード

◼️鳳凰壁

◼️バンデット・トラップ

◼️アーマナイト・オルトロス・バンデット

 

 

クリッシュ『ぐっ………、ガウトで2回攻撃! 打撃3!』

 

エース「ぐぁぁ!!」LP8→5

 

クリッシュ『ターンエンドだ。』

◼️手札3/ゲージ3/LP10

 

 

エース「くっ………俺のターン!ドロー、チャージ&ドロー!」

◼️手札4→5/ゲージ3→4

 

エース「レフトに〈アーマナイト・オルトロス・バンデット〉をコール!」

◼️手札5→4/ゲージ4→2

 

 

アーマナイト・オルトロス・バンデット

デンジャーW

アーマナイト/バンデット

サイズ2→1/攻7000/防2000/打撃2

◼️【コールコスト】ゲージ2払う。

◼️君の場にカード名に「ガライオン」を含むモンスターがいるなら、このカードのサイズを1減らす。

◼️"略奪"このカードの攻撃が、相手の効果で無効化された時か、ダメージが減った時、場か手札のこのカードか〈バンデット〉1枚をドロップに置いてよい。置いたら、このカードは【2回攻撃】を得て、相手はライフ1払う。「アーマナイト・オルトロス・バンデット」の"略奪"は1ターンに1回だけ使える。

【貫通】

 

 

エース『アタックフェイズだ! オルトロスバンデットでクリッシュに攻撃! 打撃2!』

 

 

オルトロスバンデット

攻7000

 

ガウト

防6000

 

 

クリッシュ『くぅっ!』LP 10→8

 

エース『ガライオンでクリッシュに攻撃! 打撃3!』

 

クリッシュ『キャスト!〈お前の技は見切った!〉攻撃を無効化する。』

◼️手札3→2

 

 

クリッシュは高くジャンプしてガライオンの攻撃を避ける。だが……、エースはクリッシュよりさらに高くジャンプし、腰に刺した剣で斬り裂く!

 

 

エース『まだ俺の攻撃があるぞ! オフィサーエースでクリッシュに攻撃! 打撃2!』

 

クリッシュ『ぐぉぉ!』LP8→6

 

 

クリッシュを斬り付けた後、エースは落ちていくクリッシュに向けて銃を撃つ。

 

 

エース『2回攻撃だ! 打撃2!』

 

クリッシュ『ぐぁぁぁ!』LP6→4

 

エース『ターンエンドだ』

◼️手札4/ゲージ2/LP5

 

 

クリッシュは前回ファイトした時よりエースに苦戦している自分に苛立ちを感じる。そしてクリッシュは、前回よりギラギラしているエースの眼を見て静かに問う。

 

 

クリッシュ『………………エースよ、お前にとって『正義』とは何だ?』

 

エース「え?」

 

クリッシュ『お前はなぜ俺の前に立ちはだかる。なぜ挑んで来る。』

 

エース「そんなの決まってる。 お前は危険だからだ。」

 

クリッシュ『危険………、なぜだ?俺は正義の下に動いている。俺が悪党共に制裁を下していたおかげで、お前達バディポリスは多くの手柄を得ていたはずだ。それなのに、なぜお前達は俺を捕まえる。』

 

エース「制裁だと………?」

 

クリッシュ『そうだ。俺は全ての悪を許しはしない。俺は正義の為に全ての悪に制裁を与えているんだ。』

 

エース「くっ………! 何が、"悪を許さない"だ、"制裁を与えている"だ………! 力で誰かを傷つけて、無理やり従わせるような事をして何が正義だ! お前の正義は間違ってる!」

 

 

エースの怒りに満ちた言葉に、クリッシュは動じる事無くただ黙って聞いていた。だが、クリッシュには自分の正義が正しいのだと確固たる自信があった。

 

 

クリッシュ『ふふふ………、"俺の正義が間違っている"だと? ならば、市民達はどうだ? 悪党ばかりに制裁を与えていたこの俺を、市民達はなぜ見過ごしていた? 通報も何もせずに なぜ俺を放っておいていた?』

 

エース「何?」

 

クリッシュ『お前がどう思っていようとも、少なくとも市民達は、俺を支持していたはずだ。 俺が悪党に制裁を与えたおかげで、救われた市民だっていたはずだ。聞いているぞ、お前達バディポリスの中にも俺を支持する声があったと。俺の正義は確かに市民達には認められていたはずだ。』

 

エース「………………」

 

 

確かにクリッシュが居た事で、街の犯罪件数が減っていた事実はある。 クリッシュを捕まえてから、街の犯罪件数が少しずつ増えていた事も事実だった。 認めたくはないが、それを踏まえてもクリッシュが街に与えた影響は大きなものだっただろう。

 

だがやはり、エースにとってはクリッシュのやって来た事は許される事ではない。

 

 

エース『ふざけるな! 確かにお前が制裁して来た奴らは街では有名な悪党共だ。周りがお前を支持するのも分かる………。 だけど、それでも、お前の『正義』はただの屁理屈だ! 力で誰かを傷つける事のそれのどこに正義がある! お前の暴行で死にかけていた奴だっているんだ! はっきり言うぞ、お前の行動は"正義の皮を被った悪だ"! 力をかざして誰かを傷つける事、お前の正義は間違ってる!!』

 

クリッシュ『何だと………?』

 

 

エースの決定的な言葉に、今まで冷静だったクリッシュは初めて胸の奥から怒りにも似た感情が込み上げて来る………。

 

 

クリッシュ『黙れ! 知った風な事をベラベラ語りやがって! 貴様のようなガキに、俺の正義の何が分かるかぁぁ!!!!』

 

エース『っ⁉︎』

 

 

今までの自分の行動は全て正義の行いだと信じてして来た。だが今、目の前ではっきりと自分の正義を否定したエースにクリッシュは声を荒げずにはいられなかった。

 

 

クリッシュ『"俺の正義が間違ってる"だと? 違う!間違ってるのは貴様の方だ………! この世の悪は、圧倒的な力で根絶しなければならない! なぜそれが分からない!』

 

 

クリッシュが変身しているガウトから黒いオーラが出る。

 

 

クリッシュ『やはり貴様も同じだ………! 貴様も俺の正義を理解しようとしない………、貴様もそこらの悪と同じだ! 貴様も………いや、貴様だけじゃない。 俺は、俺の正義を否定する者を許さない!! この俺の正義を否定する者全てが俺の敵、そして"悪"だぁぁぁぁ!!!』

 

 

ガウトから放たれるオーラがより大きくなる。そして、クリッシュの手札から1枚のカードが独自に発動される。

 

 

クリッシュ『貴様のターン終了時、ゲージ2払い………"魔星浸蝕"』

◼️手札2→1/ゲージ3→1

 

クリッシュ『魔星龍の命の下に、浸蝕せよ我が世界!』

 

 

イロウシェンTHEフラッグ

 

 

クリッシュ『魔星龍域』

 

 

魔星龍域

フラッグ

◼️「魔星龍域」は最初のフラッグに選べず、全てのフラッグでデッキに入れて使える。

◼️君は「魔星ゾーン」のカードを使える。そしてこのカードの下にあるフラッグの能力を得る。

◼️"魔星侵蝕"相手のターン終了時、ゲージ2払ってよい、払ったら、手札のこのカードを君のフラッグの上に重ねる。"魔星侵食"はファイト中1回だけ使える。

◼️君のメインフェイズ開始時、君の手札を好きなだけ捨ててよい。捨てたら、その枚数分、魔星ゾーンからカードを手札に加える。この能力は1ターンに1回だけ使える。

◼️君の場のカード全ては属性に〈魔星龍〉を得て、君はサイズの合計8までのモンスターを置ける。

 

 

エース『フラッグが、変わった⁉︎』

 

クリッシュ『俺のターン、ドロー!チャージ&ドロー!』

◼️手札1→2/ゲージ1→2

 

クリッシュ『魔星龍域の効果で、俺の手札全て捨て、その枚数を魔星ゾーンから手札に加える。』

◼️手札2→0→2

 

クリッシュ『キャスト〈魔星侵攻:イロウシェン・クリプト〉』

◼️手札2→1

 

 

魔星侵攻:イロウシェン・クリプト

魔星龍域

チャージ

◼️君のデッキの上から1枚ゲージに置いて、デッキの上から2枚をドロップに置く。置いたら、魔星ゾーンから2枚を手札に加える。このカードは1ターンに1回だけ使える。

 

 

クリッシュ『1チャージ、さらにデッキトップから2枚捨て、魔星ゾーンから2枚手札に加える。』

◼️手札1→3/ゲージ2→3

 

クリッシュ『ゲージ3払い、【変身】! 〈魔星の神官 グランクリミナルヒーロー ガウト〉』

◼️手札3→2/ゲージ3→0

 

 

魔星の神官 グランクリミナルヒーロー・ガウト

魔星龍域

魔星龍/ダークヒーロー

サイズ6/攻6000/防8000/打撃2

『グランズァ』

◼️このカードはコールできない。

◼️このカードの能力は無効化されず、効果で手札に戻せず、破壊されない。

◼️"爆畜"【起動】お互いにデッキの上から2枚を裏向きで手元に置く。この能力は1ターンに1回だけ使える。

◼️君のアタックフェイズ開始時、お互いの手元にある裏向きのカード1枚につき、このカードの攻撃力+1000し、お互いの手元にある裏向きのカードが合計15枚以上あるなら、このカードの打撃力+2! さらに君のライフ+3!

【3回攻撃】【変身】(ゲージ3払う。)

 

 

クリッシュの場に青い鎧を来た黒い龍が現れ、クリッシュ改めガウトはその黒い龍の背に立つ。そしてガウトの下半身が黒い龍と同化する。

 

 

クリッシュ『ガウトの"爆畜"発動! お互いのデッキトップから2枚を裏向きで手元に置く。』

◼️裏向きのカード5→7

 

エース

◼️裏向きのカード5→7

 

クリッシュ『ボルトジョーカーの"爆畜"も同様だ。お互いのデッキトップから2枚を手元に置く。』

◼️裏向きのカード7→9

 

エース

◼️裏向きのカード7→9

 

クリッシュ『アタックフェイズだ………! グランクリミナルヒーローガウトの能力! お互いの手元にある裏向きのカードの枚数分、俺の攻撃力+1000! さらに合計15枚以上あるなら打撃+2だ! さらにライフ+3だ。』LP4→7

 

 

クリッシュとエースの手元にある裏向きのカードは合計18枚ある。よって、攻撃力+18000される。

 

 

グランクリミナルヒーローガウト

攻6000→24000/打撃2→4

 

 

エース『攻撃力………24000⁉︎』

 

クリッシュ『まだボルトジョーカーの能力がある。お前の場のサイズ2以下のモンスター1枚を破壊する。 ガライオンバンデットを破壊だ!』

 

エース『させるか!手札から〈アーマナイト・ラビット・バンデット〉を捨てて"略奪"!』

◼️手札4→3

 

 

アーマナイト・ラビット・バンデット

デンジャーW

アーマナイト/バンデット

サイズ1/攻4000/防1000/打撃1

◼️"略奪"【対抗】相手がカードの能力で、君のカードを選ぶ時、場か手札のこのカードをドロップに置いてよい。置いたら、相手の代わりに君が選んでよい。さらに君のライフ+2して、相手は手札を1枚捨てる。

 

 

エース『ボルトジョーカーの選択権は俺が得る。さらに俺のライフ+2、相手は手札を1枚捨てる。』LP5→7

 

クリッシュ『………ならば選ばせてやる。』

◼️手札2→1

 

エース『すまない、アーマナイトオルトロスバンデットを選ぶ。』

 

クリッシュ『ならば破壊だ。』

 

 

アーマナイトオルトロスバンデット 破壊!

 

 

クリッシュ『バトルだ。 ボルトジョーカーでエースを攻撃! 打撃3!』

 

エース『手札から〈アーマナイト・ゴブレン・バンデット〉を捨て、"略奪"!』

◼️手札3→2

 

 

アーマナイト・ゴブレン・バンデット

デンジャーW

アーマナイト/バンデット

サイズ2/攻5000/防4000/打撃2

◼️"略奪"【対抗】相手のモンスターが攻撃した時、場か手札のこのカードをドロップに置いてよい。置いたら、君のデッキの上からカードを1枚ゲージに置いて、カードを1枚引く。その後、その攻撃のダメージを2減らす。「アーマナイト・ゴブレン・バンデット」の"略奪"は1ターンに1回だけ発動する。

 

 

エース『1チャージ、1ドロー! さらにダメージを2減らす!』

◼️手札2→3/ゲージ2→3

 

 

ダメージ3→1

 

 

エース『ぐぅっ………』LP7→6

 

クリッシュ『ガウトでエースに攻撃だ! 打撃4!』

 

 

 

ガウトと同化している黒い龍が青い炎弾を放つ!

 

 

 

エース『キャスト!〈闘気四方陣〉攻撃を無効化する。』

◼️手札3→2

 

ガウト『ふん………、ならば2回攻撃だ! 打撃4!』

 

エース『キャスト!〈バンデット・ハウリング〉』

◼️手札2→1

 

 

バンデット・ハウリング

デンジャーW

防御/回復

◼️君が攻撃されている攻撃中に使える。

◼️【対抗】君が受けるダメージを2減らす。さらに君の場に〈バンデット〉があるなら、君のライフ+2!

 

 

エース『受けるダメージを2減らす!そしてライフ+2だ!』LP6→8

 

 

ダメージ4→2

 

 

エース『うぁぁぁ!』LP8→6

 

クリッシュ『ガウトで3回攻撃だ!打撃4!』

 

 

エースが2度凌いで来た黒い龍の攻撃だが、ついに3度目の黒い龍の炎弾をまともに受けてしまった。

 

 

エース『うわぁぁぁ!!』LP6→2

 

クリッシュ『俺は、俺の正義を否定する者を許さない!! ターンエンドだ』

◼️手札1/ゲージ0/LP5

 

 

ーーーーーーー

 

 

魔星軍とのファイトを終えたサツキと局長はクリッシュとエースを探して移動していた。

 

すると『ドガァァァァン!!』と言う爆発音と光と共に黒い煙が立ち昇る。

 

 

サツキ「な、何だ?」

 

局長「エース君か誰かがファイトしてるのかもしれない。行ってみよう。」

 

サツキ「はい!」

 

 

そしてサツキと局長は立ち昇る煙を目印に現場に向かった。

 

 

ーーー

 

 

エース『はぁ………、はぁ………』

 

クリッシュ『首の皮一枚繋げたか………、だがもう終わりは近い。お前の負けで、俺の正義が正しいのだと証明できる。』

 

 

エースのライフは辛うじて2残ったが、手札は1枚、ゲージも少ない今の状況で、エースの勝利はより厳しいものになった。

 

 

エース(くっ、ダメなのか………、俺はまたクリッシュに負けてしまうのか………? くそっ、ごめん……俺はもう………!)

 

 

エースは膝をついたまま危機的で絶望的な状況に諦めを感じてしまう。だが、そんなエースの耳に、聞き覚えた声が聞こえてきた。

 

 

「エース!」

 

「エース君!」

 

 

エースは頭を上げ自分の名を呼ぶ声が聞こえた方に振り返る。そこには、サツキと局長がいた。

 

 

エース『サツキ、局長………』

 

 

ーーーーーー

 

 

サツキ「エース、クリッシュとファイトしてるみたいですね。」

 

局長「ああ、だが今はエース君の劣勢みたいだ。」

 

サツキ「エース、頑張れ! クリッシュの間違った正義を正すんだろ? だったら立ち上がって、お前の正義を示すんだ!!」

 

 

ーーーーーー

 

 

エース『サツキ………、"俺の正義"………』

 

 

サツキから言い放たれた言葉に、エースは少しずつ活気付けられていく。そして、地につけた膝をゆっくり離して立ち上がる。

 

 

エース(そうだ………、俺は何を勝手に諦めてるんだ。俺には守るものがあるんだ。この街に、この街と、この街に住む人々、サツキ、絵里さん、そして2人の子供の咲絵ちゃん。 今ここで諦めたら、俺が背負ってるもの全部壊されちまう! だから、俺は負けられないんだ!!)

 

 

エースは決意した。このファイトの勝利を、そしてエースはガライオンに片腕を出してある願いを言う。

 

 

エース『ガライオン………、俺の腕を噛め。』

 

ガライオン『ああ⁉︎』

 

 

エースの突然の頼みにガライオンは驚く。ただ驚いたわけではない、まさかエースが自ら腕を差し出して来るとは思いもしなかった。

 

 

ガライオン『何言ってんだ、今はファイト中だぞ!』

 

 

今はファイトの途中、さすがのガライオンも今のタイミングでエースに噛み付くような粗相などする気はなかった。

 

 

エース『頼むガライオン、俺のエネルギーを全て食らい尽くしても構わない。俺の腕を噛め!』

 

 

だがエースは真剣な目でガライオンに頼み込む。ガライオンはエースの決意が本物だと知り、渋々だがガライオンはエースの指示に従う。

 

 

ガライオン『どうなっても知らねーぞ。』

 

エース『ああ。』

 

 

ガライオンは指示通りエースの腕に噛みつく。そしてエースの腕からエネルギーを吸収する。

 

 

エース『ガライオン、そのまま噛み付いて離すなよ………!』

 

ガライオン(?)

 

エース(ぐっ………、よし、イメージだ………、今、俺達に必要なカードをイメージするんだ!)

 

 

エースにはエース細胞を失った代わりにある特殊能力が発現していた。それは新しいカードを生み出す能力。だが自由自在にカードを生み出せるわけではなく、エース自身もこの能力を完全に扱いこなせるわけではない。そして確かなイメージを固めたとしても、イメージ通りのカードが生み出される保証もなければ、エースのイメージに関係なく全く別のカードが生まれる事もある。つまり、この能力は運に身を任せた賭け(ギャンブル)なのだ。

 

だが、たとえ不完全な能力だとしても、今のエースがクリッシュに勝つにはこれ以外に方法は無い。

 

 

エース(信じろ。たとえ不完全な能力だとしても、俺自身の能力である以上、運を味方につけられれば望むカードを生成できるはずだ………、頼むぞ………、クリエイション!)

 

 

エースは頭の中で今必要なカードをイメージする。すると、ガライオンに噛まれている腕が光り、ガライオンもその影響を受けて光りを発する。 そしてガライオンは驚きつつも静かに腕から歯を離すが、エースの手は光り続けたままだ。

 

 

エース『いくぞガライオン、俺達は絶対に勝つ!』

 

ガライオン『当然だ………!』

 

 

クリッシュ『何だ?………いったい何をした⁉︎』

 

 

エース『俺のターン、ドロー、チャージ&ドロー!』

◼️手札1→2/ゲージ2→3

 

エース『メインは何もしない。アタックフェイズ! ガライオンとオフィサーエースで連携攻撃! 連携打撃5!』

 

 

ガライオン+エース

攻16000

 

グランクリミナルヒーローガウト

防8000

 

 

クリッシュ『キャスト〈魔星侵攻:イロウシェン・バリア〉』

◼️手札1→0

 

 

魔星侵攻:イロウシェン・バリア

魔星龍域

◼️相手のターンの攻撃中に使える。

◼️【対抗】次に受けるダメージを0に減らして、君のライフ+3!

 

 

クリッシュ『攻撃を無効化し、ライフ+3だ!』LP7→10

 

 

 

オフィサーエースの攻撃力は7000、ガウトの防御力は8000、エース単体の攻撃力だけではクリッシュにダメージを与えられない。

 

 

 

エース『いくぞ! これが今の俺達に必要なカードだ。ゲージ2払い、変身! 〈コマンダー・エース〉』

◼️手札2→1/ゲージ3→1

 

 

フォースコマンダー・エース

ジェネリック

エース

サイズ2/攻7000/防5000/打撃2

◼️このカードはコールできず、君のライフが6以下で、君の場にバディモンスターがいるなら【変身】できる。

◼️【対抗】手札のこのカードに【変身】コストを払って【変身】してよい。その後、相手のモンスター1枚を破壊するか、手札に戻して、相手にダメージ1!さらに君のライフ+3!

◼️君の場にバディモンスターがいるなら、このカードの攻撃力+3000、打撃力+1!

【3回攻撃】【変身】(ゲージ2払う。)

 

 

オフィサーエースの機械的な装甲が外れ、両腕、両肩、両脚、胸当てが全身メタリックな鎧を装備した姿となる。さらに、身体には赤い光りのラインが入っており、お馴染みのテンガロンハットを被っている。そして手には銃口が3つに減り代わりに刀刃が付いた銃が握られている。そしてエースは青いオーラを纏う。

 

 

 

エース『フォースコマンダーエースの能力! ボルトジョーカーを手札に戻す!』

 

クリッシュ『何………⁉︎』

 

 

ボルトジョーカー バウンス!

 

 

ボルトジョーカーはお互いの手元にあるカード合計2枚をドロップに置いて場に残る能力があるが、それは破壊された時のみに発動する。つまり、手札に戻す能力には反応しないのだ。

 

 

エース『さらにクリッシュにダメージ1! 俺のライフ+3!』LP2→5

 

クリッシュ『ぐっ………』LP 10→9

 

エース『フォースコマンダーエースは、場にバディがいれば攻撃力+3000/打撃+1する!』

 

 

フォースコマンダーエース

攻7000→10000/打撃2→3

 

 

エース『フォースコマンダーエースでガウトに攻撃!』

 

 

フォースコマンダーエース

攻10000

 

グランクリミナルヒーローガウト

防8000

 

 

エースは手に持っている銃剣で黒い龍を斬る!

 

 

エース『打撃3!』

 

クリッシュ『ぐぁぁ!』LP9→6

 

エース『2回攻撃だ! 打撃3!』

 

 

エースは銃剣の引き金を引き、斬りつけた黒い龍を撃つ!

 

 

クリッシュ『ぐぉぉぉ!』LP6→3

 

エース『フォースコマンダーエースには3回攻撃がある。次の攻撃でとどめだ。クリッシュ………』

 

 

エースの勝利通告を聞いたクリッシュは観念したように静かに言葉を発する。

 

 

クリッシュ『俺にはすでに手札は無い………。終わりか。』

 

 

クリッシュはいつも通りの冷静な口調に戻る。

 

 

クリッシュ『最後の攻撃の前に、もう一度聞く。 お前にとって『正義』とは何だ?』

 

 

クリッシュが改めて問うた質問に、エースは少し考えこむ。そして静かに答える。

 

 

エース『正直言って………、その質問の答えはよく分からない。』

 

クリッシュ『?』

 

エース『お前の言う"力こそ正義"ってのも理解はしてたんだ。 正義の為の力って、もっと他にもあると思うんだ。でも、お前は力の使い方を間違えた。』

 

クリッシュ『………………かもしれないな。』

 

 

エースのはっきりとした言葉に、多少ながらクリッシュも納得する。

 

 

エース『でも、"正義は何か"って質問の答えにはならないけど、モットーみたいなのはあるんだ。』

 

クリッシュ『モットー?』

 

エース『ああ、それは『善悪関係なく、平和を愛する』』

 

クリッシュ『………⁉︎』

 

 

エースのモットーにクリッシュは少し驚く。多分偶然だろうが、そのモットーはクリッシュが小さい頃から聞かされて来たクリッシュの父親が抱いていた信条と全く同じものだったからだ。

 

 

クリッシュ『………そうか。 やれよエース。』

 

エース『ああ。 フォースコマンダーエースでクリッシュに最後の攻撃! 打撃3!』

 

 

エースは銃剣に力を込める。そして青いオーラが長刃となって、ガウトを斬り裂く!

 

 

クリッシュ『ぐぁぁぁぁ………………!!!!』LP3→0

 

 

エースの攻撃を受ける瞬間、クリッシュは父親との事を思い出していた。

 

 

 

ーーーーーー回想ーーーーーー

 

クリッシュがまだ小学生の頃の事だった………

 

 

父親「クリッシュ。父さんがバディポリスになったのは悪い奴らが憎いからじゃない。父さんには信条ってのがあるんだ。」

 

クリッシュ「信条?」

 

父親「ああ、それは『善悪関係なく、平和を愛する』事だ。」

 

クリッシュ「?」

 

父親「はははは! クリッシュにはまだ難しかったか。」

 

 

クリッシュのあまり理解できていない様子に父親は笑う。なぜ父が急に笑いだしたのかもクリッシュはよく分かっていない。

 

 

父親「ふふふふふ、悪いな。 だがクリッシュ。もしお前が父さんと同じバディポリスになりたいと思う時、正義を行使する立場になる時が来たら今の言葉を、父さんの信条を忘れるな。」

 

クリッシュ「うん!」

 

 

その時の父親の目はとても優しく、涙を流していた。

 

 

ーーーーーー回想 了ーーーーーー

 

 

クリッシュ(俺はどうして………、いつから、父さんの言葉を………信条を忘れていたのだろうか………。)

 

 

クリッシュは、いつ忘れたかも分からない父親の言葉を思い出し、ガウトの仮面越しに涙を流す。 そして、自分の正義とはなんだったのかを悔いる。 そして同化していて黒い龍は消え、同化していたクリッシュは地面に投げ出される。

 

 

クリッシュ(すまない。父さん………)

 

 

エースは変身を解き、手錠を持って大の字に横たわるクリッシュに近づく。

 

 

エース「クリシュイット・ディーボ・樫原。脱獄の罪で逮捕する、変身を解け。」

 

クリッシュ『悪いな。解きたくても解けない。 どうやら魔星龍に変身してしまった者は、しばらく人間には戻れないらしい………』

 

エース「そうか。」

 

 

観念してるだけではなく、ファイトの疲れやダメージもあるのかクリッシュは何の抵抗もする様子はない。エースはクリッシュの腕を自分の首に回し、ゆっくり立ち上がらせる。ガウトの姿だからか少し重い。

 

 

エース「歩けるか?」

 

クリッシュ『ああ………』

 

 

そして一緒に歩こうと一歩を踏み出す瞬間にクリッシュはエースを突き飛ばす。

 

 

エース「な、何をする、クリッシュ……… っ⁉︎」

 

 

突然突き飛ばされたエースがクリッシュに向き直ると、クリッシュの背後には魔星龍域のフラッグが黒い風穴を開けて周りの空気を吸い込んでいた。そしてクリッシュはその風穴の前に立つ。

 

 

エース「そこから離れろクリッシュ! 吸い込まれるぞ!」

 

クリッシュ『エース………、お前は、お前の正義を無くすなよ。 そして、自分の信条を忘れず、死ぬ最後まで貫き通せ。』

 

 

クリッシュは静かに言葉を紡ぐ。その声はいつも通り静かに、だが今までに聞いた事が無いほど優しく紡ぐ。 ガウトの仮面越しではあるが、クリッシュは確かに、今までの冷酷さが抜けたように笑う。

 

 

エース「いきなり何言ってんだ! 良いからそこから離れろ! 離れてくれぇ!」

 

 

クリッシュはエースの訴えを無視するように風穴に向かって後ずさる。エースはクリッシュを連れ戻そうと腕を伸ばして走り出す。

 

 

クリッシュ「言ったはずだエース。 俺は、俺の正義を否定する者を許さない。俺の正義を否定する者全てが"悪"だと。」

 

 

クリッシュはその言葉を最後に、足の力を抜き、風穴に吸い込まれる風に身を任せて風穴に落ちていく。 エースの手がガウトの手を掴もうとした瞬間に、風穴が閉じ、魔星龍域は消滅してしまった。

 

 

エース「クリッシュ………! ちっくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

エースは悔やんだ。あと一歩、あと一歩でも足が前に出ていたら………、あと少しでも腕が伸びていたら………。クリッシュを救えなかった自分に怒り、両膝をついて地面に拳を打ち付けた。 エースの拳は内出血を起こし、赤く染まる。

 

 

サツキ「エース………」

 

 

肩を震わせて俯くエースの肩に、サツキはそっと手を置く。

 

 

エース「サツキ………」

 

サツキ 「クリッシュは最後に言ったね。"俺の正義を否定する者は全て悪だ"って。」

 

エース「………………」

 

サツキ 「それは多分、自分自身に向けた言葉なんだと思う。」

 

 

エースはサツキの言葉の意味がよく分からず、顔を上げ、サツキを見つめる。

 

 

サツキ「クリッシュは気づいたんだ。『今まで自分が"正義"の為だと思ってして来た事が"悪"の行いだったんだ』って。だからあいつは、自分なりのやり方で、自分自身の"悪"に、自分の中の "間違った正義" にケリをつけたんだと思う。」

 

 

 

あくまでもこれはサツキの見解だ。だが、エースにはサツキの見解に納得できた。クリッシュとファイトしたのはほんの3回程度だが、ファイトの中でクリッシュがどう言う人間なのかをエースは分かっているつもりだ。 多分、サツキの見解は当たってると思う。 やり方は間違っていたとは言え、クリッシュはどんな悪にでも冷酷で、そして自分の正義に熱い人間だったからだ………。

 

エースは沈黙したまま立ち上がる。そして何かを決めたようにサツキに向き直る。

 

 

エース「なぁ、サツキ 。」

 

サツキ 「うん?」

 

エース「俺は、今の戦いで分かった事がある。 『正義』の本質ってのは、『平和を願い、 平和へ導く"心"』だと俺は思うんだ。少なくとも、俺はそれを『正義』だと思いたい。」

 

 

実際にクリッシュの中で正義の倫理は変わったのだと思う。それは紛れもなくエースが伝えたかった正義がクリッシュに届いた証拠である。

 

エースの考えに、サツキは優しく微笑みエースを撫でる。

 

 

サツキ 「………良い答えだと思うよ。エース」

 

 

エースは兄のようなサツキの優しさに感謝し、エースは声を殺して涙を流す。

 

 

 

 

 

 

 




今回も感想を是非‼︎

今回のお話はいかがでしたか? できればモチベアップの為に感想をください。  正義って難しいですよね。
あれ?梨子ちゃんが何か言いたげみたいだね。


梨子「ほんの少しでいいのでヤギリを褒めてあげてください 」


今回は次回予告は無しです。

次回『雷鳴と………、響く恋(仮)』

(仮)なのでタイトルは変わるかと思います。

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