小人族の女神がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:Matu/非ログイン時はunknown
最初はほんの少し、本当に少しの憧れだった。
綺麗で、勇気があって、強くて、誰よりも優しい彼女。
絵本の中のその人を自分に置き換えるだけで、毎日ワクワクして眠れない。
そんな子供なら誰でも抱く空想のものへの憧れ。
「お母さん!フィアナ様って本当に綺麗だね!」
「そうよ。フィアナ様はいつだって私達
だから見られても大丈夫な、誰にでも誇れるようなことをしなさい。
「そんなに特別な事じゃなくていいの。困ってる人がいたら助けれるような、そんなことをたくさんしてね。」
「でもそれはフィアナ様じゃなくて英雄様だよ?」
首を傾げ頭の上に?マークを出しながら尋ねる
「...そうね。なら」
きっとフィアナ様は英雄なのね。
その日、少女の憧れは
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「おい待てえええええええええええええええええええ!」
「きゃあああああああああああああああああああああ!」
とある村に響く野太い男性とか弱い少女の声。
今まさに少女が殴られようとしている瞬間だった。
その二人の間に入る一つの小さな人影。
パシイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン
頬を叩かれる乾いた音がした。
「いてて...」
「「なっ...?!」」
驚愕を顔に浮かべる2人。
痛そうに顔を歪める少女。
何が起きたのかは一目瞭然だった。
「...殴って解決するのは子供だけよ。」
「痛い思いはしない方がいい。あなただってそこの女の子を叩いたらきっと心が痛む。彼女は体が痛む」
「殴ったって解決にはならないわ!!」
「はっ!ガキは黙ってな。これは大人の話だ。」
「そんな英雄みたいな話が通じるのは絵本の中だけなんだよ。さっさとママのとこに戻りな」
「それでも!私は...っ」
反論しなければ。
そんなおとぎ話のような話でも。私は。
そこに響く大きな女性の声。
少女にとって聞きなれた声。
「こーーーーら!!」
声の主は自身の祖母だった。
「ひっ!」
「フィアナちゃんったらまた?」
そう
また なのである。
実はこの親子は引っ越してきたばかりなので知らないが
彼女は英雄ごっこが好きなのである。
本人に言ったらごっこではないと否定するだろうが。
「ごめんなさいねえ...うちの孫が。」
「どうやらお節介を焼いてしまったようで...」
「でもね。孫の言う通りですよ」
「殴るだけじゃ解決しな...」
「お姉ちゃん逃げて!!!!!!!!!!!!」
先程から怯えていた少女の悲痛な声。
見ると男の手にはナイフが握られていた。
「ピーチクパーチクうるえせな...田舎ってのはこんなもんなのか?
俺の
向かってくるナイフ。
その動きはとても早くて。
怖くて怖くて、避けようにも足がすくんで
グサッ
ベチョッ
え?
途端に広がる血溜まり。
それが誰から広がっているのかなんて考えるまでもなかった。
自分を慰めてくれた青い目。
フワフワしていた綺麗な金髪。
私にそっくりな目元。
毎日毎日みていた、とても見慣れたもの。
「ちっ。ババア刺しちまったか」
それは自身の祖母だった。
それが呻くように、囁くように。
何かを言っている。
聞かなければ。
どこかで分かっていた。
これが
「...フィア、ナ様は、いつだ、って、みてい、るわ」
そう微笑んで
安らかに。まるで眠るかのように。
死んだ。
殺した。
私の勝手なお節介のせいで。
ごっこのせいで。
目眩がする。
くらくら、して。
何もかもよく分からない、
ただ私のせいだという事実だけを自覚して、
私は、眠った。