コラプスィング・ワールド   作:初霧零音Mk-Ⅱ

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どうも初霧零音Mk-Ⅱです。
前回後書きに書いた通り、新キャラ・フォームが出ます。
フォームの一部はコア(?)なライトノベルから出しています。
そして今回の後書きは新キャラ君のプロフィール(男の状態)書きます。
それでは、本編へどうぞ。


#3 4人目の被害者と新たな「フォーム」

 

 

 

 

 翌朝の4時25分、僕たち3人は同時に目が覚めた。……何だか不吉な予感がする。

 手を組んで上に伸ばしてから、僕はそれに対する不安を口にした。

「……う、う~~ん……。被害が拡大してませんように……。」

 予感したことは、キリトもアラストールも同じだったらしい。

「うむ、そうであるな。」

「だな。」

 口をそろえて、僕の言ったことに同意している。

 ……起きたからには、自分の役割をすぐに果たすとしますか。

 

 そこからいつも通りの流れで、僕たちは7時20分ごろに家を出た。

「……別の被害者なんて出たら嫌だな。」

「ああ。ただでさえ、この崩壊はどれだけの規模か、はっきりとしてないからな。」

 歩きながらキリトと話をしていると、すぐ横をサッと自転車に乗った少女が通っていった。

 ……あれ、あの制服に自転車って……。

「わーーっ!! ウソだろ?! おーい! ストップ、ストップ!!!」

 止めないとまずい、と思って僕は駆け出した。

「あ、待てよ!!」

 反応が遅れたキリトが、僕の後を走ってついてくる。

 

 駅前のコンビニが面している交差点で、やっと追いついた。

 息を切らしながら、僕はこちらを見ている人に言った。

「まさか……隆之介まで……、それに何で桐乃……。」

 スタイルから分かっていたが、『高坂桐乃』になっている少年は、僕の中学時代からの友達、新嶋隆之介だった。

「…お前が『アスナ』になってるのも驚きだし、キリトもアラストールも、な。……しかも、今日、この姿になってたし。」

 隆之介が思いを率直に話した。

 ………そこで、今日一発目の『時間封鎖』が来た。僕ら4人以外の全てのものが、動きを止める。

 イラついた僕は、つい眉を逆ハの字にしてしまう。

「あーっ!! こんな朝早くからあいつらは!!! キリト、隆之介を守ってくれないか!!」

「……昨日の2回目からしても……わかった! 光汰、お前はそっちに専念しろ!ダチの護衛は任せてくれ!!」

 キリトの返答を聞いてから、僕は『血盟騎士団』副団長・アスナのベースフォームに。

「了解!!」

 右手にレイピアを構え、現れた怪物に向かって走り出す。

 一つ一つの動きが大きい怪物には、ちょこまかと動く方が狙いをつけられにくい。

「シューティング・スター!!」

「グァッ!!」

 怪物の右肩を深く切り裂く。そして、背後に着地。次は右足に、

「はあーーっ!!」

連続8回の突き攻撃《スプラッシュ・スター》を、間髪入れずにお見舞い。

 こちらの攻撃の痛みに怪物は右肩を押さえ、右膝をついた。

 だが、次の瞬間には不意を突かれ、口から炎弾をキリトと隆之介がいる方向に吐かれた。

「っ! フォーム・チェンジ、ノエル!!!」

 瞬く間にノエルに変身してから、炎弾の速さをコンマ3秒で判断する。

 腰のケースからさっと、両手にチェーン・リボルバーを持って、右の銃で狙いを定め、撃った。

 

 ――――――ボカァン!!

 

 あからさまに銃弾の方が速いから、追いついて共に爆発。

 ぎろり、と怪物の視線が僕に突き刺さる。

「やはり、あなたたち怪物は、脳がそこまで大きくないようですね。視界に入った敵はとにかく攻撃する。……なんてバカらしい戦法なんですかね。戦いが初心者の私にだって、あんな単発的なことはしませんよ。……ただ、長期戦はまだ慣れてないので、速攻で決めさせてもらいます!!」

 言うだけ言って、僕は怪物の足の間めがけて、走り出す。

 怪物は何にも考えず、左の拳を上げる。……やはり遅すぎる。

 背後に再び回り込んで、『あの技』の準備を始める。………チェーン・リボルバーをマシンガンに換装。

 持ち手にあるトリガーを引き、弾丸を高速で当て続けて、空中に。

「消えてくださいっ!!」

 すぐにまた換装して、あの、『フェンリル・レディス・スタベーション』を放つ。

 ロケット弾を発射して『コア』を砕くと、怪物は吹き飛びながら崩壊した。

「!!」

 すぐ新手の気配を感じ、この近くに飛んでいる光球がないか、急いで確かめた。

 幸い、一秒もかからず見つけ出し、ライトを当てる。

「あ………ヴィルヘルミナさんと『俺ガイル』の雪ノ下雪乃さんじゃないですか……。」

 キャプチャーモードを起動し、2人を『回収』した。

 急いでキリトたちのところへ戻る。

「まだ、『時間封鎖』を行った敵の人物がいますね。隆之介さん、私の制カバンを持って、すぐどこか見つかりにくいところに隠れてください。」

「あ、ああ。」

 隆之介は、すぐに僕の制カバンを持って、自転車ごとこの場から離れた。

「ところで、2人手に入れたようだけど、誰だったんだ?」

「ヴィルヘルミナさんと雪ノ下雪乃さん、ですね。………フォーム・チェンジ、シャナ。」

 キリトとの話を一度やめ、シャナに変身。『夜笠』から出した『贄殿遮那』を構える。

 そして、《フレイムヘイズ化》する。

「……近いな。」

「うん。」

「ゲネオスという男の気配ではないな。」

 アラストールの言っている通り、今回はゲネオスの奴ではない。

「……女、だな。」

 僕もキリトと同意見だ。………殺意があるのは当然、でも少し違う。

「朝から怪我なんてしてられない。」

 1人で呟く。

 

 そして、前方から、女が堂々と姿を現した。……あれは、敵だ。

「あなたね。ゲネオスの脇腹、切りつけてみせた男の子って。」

 開口一番、女はそう言った。……ほんと、礼儀を知らないな。

「先に名乗れ!!」

「それが礼儀というものであろう!! 貴様は……この少年らを決して殺せんぞ!!」

 キリトとアラストールが僕の気持ちを代弁。同意見で助かる。

「あら、そう? じゃ……私はへレイオナ。……ここで息の根を止めてあげる。」

 静かで大胆な殺害宣言だ。でも、そうはいかない。

「フレイムヘイズになっている今の私と、キリトが本当に殺せると思うのなら……来い!!」

 キリトに視線を送る。そしたら、キリトがうなづき返してきた。

「いつでもいけるさ。」

 僕たち2人は同時に腰を深くする。

「ふん。死んでよね。」

 へレイオナはそう言って、ダッシュで接近してきた。

 でも、距離がある分、対応も簡単。

「この体の身軽さ、なめてるのは、そっち。」

 へレイオナの意識が、僕の方に向いているのを利用し、炎の翼で空へ舞う。

 キリトは距離を取って彼女の後ろ側に。

「私より……速い!!」

 のうのうと驚くとは、なんてまぬけな様だ。

「甘い。」

 高速で急降下し、へレイオナに蹴りを一発決める。

「あぐっ!!」

 後ろによろけ、へレイオナはキリトの前に。

「もらった。……ホリゾンタル・スクエア!!」

「ああっ!」

 キリトの攻撃が直撃し、僕の方に吹っ飛んだへレイオナ。

「『断罪』ッ!!」

 容赦なく僕も『断罪』を放つ。

「ぐぶっ!!!」

 これもへレイオナにクリーンヒット。また彼女はよろけた。……足元に早々に血溜まり。

 僕はキリトのそばに降り立つ。

「………ど、どうして、こ、こんなに……あるはずのない力の差が存在しているの?」

 へレイオナが自問に近い、僕たちへの問いかけをした。

「貴様が甘く見るからに決まっておろう。3回目とは思えん戦術だが。」

 アラストールが、己の率直な感想を混ぜて答える。その後に僕が続ける。

「私は……初めての戦いで、私なりの力の扱い方を覚えた。『アスナ』としての昨日のあれは……頭蓋骨割ったけど、もう、大丈夫。」

 キリトは僕の言葉に相槌を打つように言った。

「確かに、頭への衝撃が大きくて、出血していたけどな。回数を2、3と積んで、もう十分な力がある。」

 へレイオナは悔しいのか、

「覚えてなさい!!」

と叫んで退却していった。

「……不覚。逃げられた。」

 僕はそうひとりごちて、「KoB」副団長の姿に戻った。

 また同時に『時間封鎖』が解けて、制服姿にも戻った。

 静かに隆之介が近寄ってくる。

「……終わったのか?」

「ああ、うん。僕の制カバンの保管、ありがとう。」

 僕らはそこで隆之介と別れた。

 

 学校に着いてから、僕とキリトは他の仲間に、隆之介のことを報告した。

「そうですか……光汰さんの中学からのお友達が……『高坂桐乃』に……。」

「この目で見たんです。だから、キリトに守ってもらいました。」

 ちょっぴり悲しそうなフィオナさん。言葉を付け足しつつ、申し訳なく思う。

「そういえば、さ。キャプチャーできた奴いるか?」

 機転を利かせて、純が話題を変えた。波に乗らないと、空気が読めない人としてみなされるね。

 やけに純も祐太郎も嬉しそうだし。

「その顔だと、いるんじゃないの? 誰なのさ?」

 試しに2人に聞いてみた。

「オレは『フェアリーテイル』の『ミラジェーン』。」

「『ブレイブルー』の『マコト』。」

 ……なんだって? ………一体その報告は。

「1人ずつ、なんだ……。」

「……場所に偏りがあるな。俺たちのところに一番来てるよ。」

「2回、戦闘をしかけられちゃったけどね。」

 僕とキリトは苦笑いをしながら、祐太郎たちに伝えた。

「その……光汰君が手に入れたのって…。」

 ものすごく悠二が聞きたそうにしている。『回収』が役目なんだし、当然だけど。

「帰りから順に、『ブレイブルー』のノエル、ヴィルヘルミナ、『俺ガイル』の雪ノ下雪乃。……これで、もう5人だね。」

 ある人物名に、悠二が飛び上がるように反応した。

「カ、カルメルさんも?!」

 急に素っ頓狂な声を出されて、顔を赤くしつつ、僕は続けた。

「ヴィルヘルミナは背が高いし、変身しないよ。戦闘時のフォーム・チェンジ以外はね……。」

 さらに言おうとしたら、何か軽いものが頭に乗っかった。

 それを手に取って、すぐ理解した。

「……って、『ペルソナ』のティアマトーだ……。」

「仕方あるまい。シャナも『万条の仕手』も、今は貴様の体の1つであるからな。」

 アラストールが、現状を考慮しての言葉を発した。

「容認。」

 状況の飲み込みが早いティアマトーは、どうやら僕を、しばらくのパートナーとして認めてくれたようだ。

 ……ちょっとした知識だが、ヴィルヘルミナのどうしようもない料理下手は、完全にシャナに影響が出ている。シャナが普通の人間なら、夫(おそらく悠二)に迷惑かけまくるダメ妻に、確実になる。

 

 ホームルームの後、僕は思い立って、今朝手に入れたばかりの新しいフォームに姿を変えることに決めた。

「フォーム・チェンジ、雪ノ下雪乃。」

 小声でそう唱えると、僕は『俺ガイル』の完全主義者でヤルキナイネンさん、雪ノ下雪乃になった。

「何でそうするんだよ?」

 祐太郎が近寄ってきて、僕に質問した。

 祐太郎は偶然だから気にしてないだろうけど、僕は『アスナ』になってから、少し気掛かりだったことを言い訳にした。

「何だか黒髪じゃないと落ち着かないんだ。少なくとも午前中は、この姿でいたいんだ。」

 ここでふとアラストールは、

「……その女からは、冷静で繊細な雰囲気を感じるな。」

と、小声でつぶやき、それに対してティアマトーが、

「邪険。」

と、アラストールを非難した。

「ティアマトーは厳しいな~。ははは。」

 悠二がのほほんと笑いながら言った。

 僕はふと、日本史の小テストがあることを思い出して、会話を打ち切って席に戻った。

 

 何事も無く、無事午前中の授業は終わって昼休み。

 弁当を10分ほどで食べた僕は、雪乃姿からアスナ姿に戻った。

 昨日と同じように窓から外を眺めていると、突然、空から地上に降りる人のシルエットが見えた。

 不吉な感じがしたから、無言で(キリトを驚かせるつもりはないけど)席を立ち、教室を出た。

 そして、うちの学園の大学合格者数を示すボードの、すぐそばまで移動した。

「何があるんだよ?」

 やはりキリトが質問をしたから、理由を話した。

「さっき、怪しい感じのする人影が、地上に降りていくのが見えたんだよ。きっと……また戦うことになる。」

 説明したところで、予想通り『時間封鎖』の波動を感じた。

「的中。」

 ティアマトーが感心を示すことを言ったが、構わず『血盟騎士団』副団長・アスナに変身。

「……結構な個体数ね……。」

「うむ。今回は5体、であるな。」

「じゃあこれで、あとの4人は慌ててこっちに飛んで来るな。」

 キリトやアラストールと話していて、少し不可解なことが起こった。

「……動いてない?……フォーム・チェンジ、シャナ。」

 シャナに変身して、《フレイムヘイズ化》。炎の翼を出して、少し飛んで確かめる。

「光球を求めてないのか?」

 キリトが僕に向かって叫んだ。移動しようとしてないのを確認してキリトのところに降りた。

「うん、見た限り、ない。」

「面倒だな。」

 刹那、1つの光球が僕らのそばを通った。

「!!」

「くっ!!」

 すぐに僕はライトを当てる。

「『フェアリーテイル』の『ウェンディ』?!」

 キャプチャーモードをオンにして、今回も『回収』が成功した。

 切り替えて、キリトと一緒に正門を出て、突っ立っている怪物たちに先制攻撃を仕掛けた。

「薙ぎ払いっっ!!!」

「「「「ギィヤァァァァッ!!」」」」

「スター・バースト・ストリーム!!」

 一気に5体中4体を倒すが、奥にもう1体、すでに捕らえた光球を口の中に放り込もうとする奴がいた。

 ……何てことだ。早とちりをしてしまった。

「!! 『断罪』っ!!」

 とっさの判断で『断罪』を放ち、怪物の両腕を切り落とした。……ところが。

 予想を裏切って、そいつは切られた腕ごと、光球を食いにかかった。

「まずい! 間に合わんぞ!!」

「くっ!!」

 炎の翼を出して、フルスピードで怪物に近づいたが、こちらが一瞬遅かった。

 両腕を飲み込んだ怪物が、僕とキリトをぎょろりとした目で見た、その時。

「ゴブッ?!!」

 そいつの体に異変が生じた。飲み込んだ両腕が生え、どんどん人間の形を成していく。……直接口にしていいのかわからないけど、やけにあそこが大きく突き出てくる。……この場に本物のシャナがいたら、思いっきり土下座したい。

「な……何……?」

「………変化。」

 さっき僕がウェンディを『回収』したのと関係があるのか、その怪物は『ルーシィ』の姿に変化した。

「……………?」

 変身するのは初めてらしく、怪物は変わった自分の姿をまじまじと見つめている。

 僕は驚き過ぎて、右手に『贄殿遮那』を持ったまま立ち尽くす。

「何だか知らないけど、光球を解放するには倒すのみだ!!」

 キリトが物怖じせず、走り出した。

「………正論。」

 ティアマトーがキリトの言うことに同意した。そこで、僕もはっとなる。

「よし!!」

 気合を入れ、キリトを追いかける。

 ………突っ立っているだけだから、対処は簡単すぎた。

 2人で同時に怪物を斬り捨てて、ルーシィの光球を解放した。その光球が素早く移動していたら。

 …やっとこさ駆け付けた祐太郎が、すぐルーシィを『回収』した。

 余りにもタイミングが良すぎて、呆れてしまう。レイピア戦士・『閃光』アスナの姿に戻る。

「………いいとこ取りだけしないでよ、もう。それ、ルーシィなんだから。……ほんと、巨乳好きね。嫌になっちゃうわ。」

 呆れた故の本音をついぼやいてしまった。

「……それは、祐太郎をバカにしてる、と解釈していいのか?光汰。」

 さすがキリト。よくわかってくれました。

 ふん、と微笑みながら僕は鼻を鳴らし、キリトに言葉を返した。

「当たってるわ、キリト君。」

 すぐに笑みを消し、さっき来たばかりの2人に、真剣な顔で報告する。

「まあ、こう言いつつ私も、また1人、手に入れたわ。」

「わ……これで6人目?!」

 また悠二の驚きの声。やめなさい、と言いたくなる。

 それとは関係なく、僕に皮肉を言われた祐太郎が、

「それにしても、よく事前に気付けたな。」

と、黒雪姫の格調高い男言葉で、僕にささやかな驚嘆を示す。

 僕はここではあーっ、と大きくため息一つ。

「…不審な人、見たもの。さっき手に入れたのは『ウェンディ』、なんだけど。」

「そうか。……ならば、変身すれば……制服であればだぶつくだろう。」

 祐太郎と話しつつも、新手の気配を察知したから、切り替える。

「………その前に、また、来るわ。」

「次のが、今回一番やばいな。」

 

 次の瞬間、物凄い地響きを起こして、目の前に巨大な恐竜っぽい怪物が現れた。

「何よ……こいつ、この2日で一番ハードな相手じゃないの!!」

 思わず僕は叫んだ。何しろ大きさが半端ない。

「でも、こいつと戦うしかないよ。」

「……確実に倒さないとな。」

「そう……だろうな。」

 3人は次々と自分の意見を言った。

 そこに、純とフィオナさんも加わって、戦闘開始。

 

「グォォォォォン!!」

 怪物が地面に尻尾をつけて、振り回す。

「体が大きい割には機敏だ……。」

 キリトが言葉を漏らしているのを聞きつつ、純と共に、タイミングよく跳んでかわし、怪物の足元へ。

「「やっ!!」」

 純と同時に、全力で怪物の右足に、タックルを決める。

「?!!」

 ドシン、と今にもアスファルトが壊れそうな音を立てて、怪物が横倒しに。

「今です!!」

 フィオナさんの指示で、ここぞとばかりに6人で可能な限り、多い手数を当てていく。

 僕も《スプラッシュ・スター》を、相手へのダメージ追加のために何度も連発していた。しかし、やり過ぎは反撃を食らうだけだから、一旦後ろに下がった。

「フォーム・チェンジ、シャナ!!」

 唱えつつもう一度駆け寄る。シャナに変身しきってから、炎の翼を出して、さらに加速をかける。

 タイミング良く、怪物がゆっくり起き上がった。

「どいて!!」

「わかったわ!!」

 僕の声にまず純が返答して、つられて皆が進行方向を開けてくれた。純がさっと超電磁砲の準備をしたのを、一瞬で目で捉える。

「紅蓮の大太刀っ!!」

 回転斬りをしながら、怪物を宙に浮かべる。

「やーーっ!!」

 最後の1回転で地面に叩き落とした。前回とは大きさが比にならないから。

「グワァァァ!!」

 怪物がほんのわずかにバウンドした。これを純が見逃すはずがない。

「『超電磁砲』ッ!!」

 きっちりクリーンヒット。怪物は周囲のものを壊しながら、ずいぶん後退していった。

 けれども、次に、のっそり立ち上がったとき、

「グワァォォォォーーッッ!!!」

口から火炎放射。僕以外を狙って放たれた。

「ちっ!!」

「危険。」

 アラストールとティアマトーが、それぞれ苦言を漏らしている。

 仕方ないけど、あの子の力を使って、炎を帳消しにしよう。

「空中でやりたくないけど………フォーム・チェンジ、ウェンディ。」

 僕はウェンディに変身したから、当然体が落下を開始する。

 でも、この体でやりたいのは、地面に着地するまでのほんの数秒間にある。

「どうしようというのだ?!」

 アラストールが焦りの声を上げる。失礼だが、先に口に空気を吸い込む。

「……天竜の咆哮ッ!!」

 すさまじい突風を、魔方陣が出ると共に、怪物に向かって吐き出した。

 おかげで炎はみんなに届く前に消えて、ついでにまた怪物も吹き飛ばした。

 僕はつま先からうまく着地する。

「ふう。……みなさん、大丈夫ですか?」

 振り返ると、キリトや純たちがほっと一息ついている。

「うん。助かったわ。」

 純が僕の『天竜の咆哮』へのお礼を言った。

「光汰さん。6つのフォーム・チェンジが上手く活用できていますね。」

「ありがとうございます。でも、まだ1つやっていません。……フォーム・チェンジ、ヴィルヘルミナ。」

 フィオナさんの感心を素直に受け入れ、僕は『万条の仕手』に変身する。

 そして、パートナーのキリトに視線だけ送る。

「………言いたいことはわかった。」

 それだけ言うと、キリトは僕の前に出た。

「さすが、私の近くにいてくれる剣士なのであります。」

 うれしく思っているんだけど、僕は(ヴィルヘルミナのように、)表情を変えずに怪物に向けて、たくさんの包帯を放ち、動きをがっちり封じた。

 動けなくなった怪物が無駄な足掻きを見せているのを無視して、キリトはもう一本剣を出し、走り出す。

「スターバースト………ストリーーム!!」

 16回の連続攻撃で、やっと敵の『コア』が露出した。

「フォーム・チェンジ、アスナ。」

 止めの一撃を入れるため、『血盟騎士団』副団長姿に。それから怪物に急接近する。

「キリト君……、どいて!」

「! よし、スイッチだ!! 頼むぜ!!」

 キリトの「頼む」という言葉に、無言でうなづき、そして。

「これで終わりよ! ……フラッシング・ペネトレイター!!」

 空中で高速突進。見えていた『コア』を破壊する。……で、怪物は崩壊。

 完全にちりと化したのを確認してから、僕たちは校内に急いだ。

 『時間封鎖』が解け、制服姿になる。……が。

 

――――――――――――グルルル~~………

 

「……っ、弁当食べたばっかりなのに……」

「相当なエネルギーを使わされたな……。」

「うむ。」

 僕はキリトと同じくらい動いたから、行儀悪いことに、お腹が空いてしまった。

 

 午後の授業も、無事に終わって、下校時間。僕と純は駅のコンビニでちょっと買い物。キリトとフィオナさんに、外で待ってもらっている。

「ったく、弁当の後のアレはすっげー効くな。」

「でしょ? そのせいで午後は集中しにくかったよ。」

 話しながら僕は6本入りのスティックパンと、ハイチュウ(ぶどう)を選んでレジへ。

 先に会計を済ませて外に出る。数秒遅れて純も出てくる。

「お待たせしました、フィオナさん。」

「じゃあ、帰ろう、キリト。」

「そうですね。」

「ああ。」

 

 純とは乗る線が違うから、同じ改札から駅構内に入って、その後で別れた。

 早速買ったスティックパンの袋を開け、キリトと一緒に食べ出す。

「僕さ、コストが安いし、おいしいから、このパン好きなんだ。」

 2本目のパンを持ちながら、僕はなぜかキリトに購入理由を意気込んで話した。

「確かにそうだな。」

 キリトも素直に返してくれる。

「それにおやつみたいでいいしね。」

「うんうん。」

 そこで電車がプラットホームに入ってきた。

 

 それから数十分後、僕らはもう地下鉄を降りて、家に向かって歩いていた。

 途中からあることを考えていた僕は、ふとそのことを口にする。

「今日はもう嫌だなあ……。」

 それが戦いのことだと分かったのか、3人が立て続けに言った。

「こんなに暑いと……俺も同感だ。」

「うむ。1日3回以上の戦闘は、身体の疲労を考慮すると、危険としか言えん。」

「嫌悪。」

 そのまま何分か歩き続けて、僕の不安は的中した。

 貫禄のある感じのする男の人が、不敵な笑みを浮かべて、僕たちの進路を塞いでいた。

 気に入ったライトノベルはとことん読む僕には、そいつが誰かわかった。

「何で……『時間封鎖』なしで……今日3回目の敵が……。」

 気付いたら僕はそう口走っていた。

 キリトが当然、不思議に思わないわけがない。

「……知っているのか?」

 僕は無言でうなづく。

「まあね。………あの男は『殺マト』…『殺戮のマトリクスエッジ』の、ディアウス・デーヴァ……。第2の〝窮(エイ)極(ペッ)種(クス)〟。フォーム・チェンジ、シャナ。」

 シャナに変身して、『夜笠』から『贄殿遮那』を取り出す。

 デーヴァの笑みが深くなる。

「ふっ、私は蘇った……。かのギルドの者たちの手で!!」

 奴が《ホラー》形態に変形すると同時に、『時間封鎖』が来た。

 僕の制服がシャナのものに変わる。それから両手でしっかり『贄殿遮那』の柄を握る。

「………キリト。」

 今回は僕が警告させてもらう。

「何?」

 キリトが振り返った。

「あいつの速さと重力(グラビトン)球(ボール)に気をつけて。不覚を取られたら、圧迫されて、死ぬ。」

 デーヴァが、僕のキリトに対する忠告に向けて、高らかに笑った。

『ハハハ!! よく知っているな!!』

 自覚あるのか知らないけど、言わせてもらおう。聞いてて苦虫を噛み潰したような気分だ。

「……お前の合成音声、嫌い。」

 僕の好きな『彼女』たちと比べたら、なのは言わない。

 

 余計なことになるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プロフィール

新嶋 隆之介 ―― 光汰の中学時代の友人で、光汰のボカロオタク化の元凶。共学の高校に通う。
/11月19日生・O型・167cm・61㎏

さて、次は、あるアニメから邪悪な存在を引用してストーリーを進めます。
次回もよろしくお願いします。
こんなカオスなものを読んでいただき、ありがとうございます。
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