前回後書きに書いた通り、新キャラ・フォームが出ます。
フォームの一部はコア(?)なライトノベルから出しています。
そして今回の後書きは新キャラ君のプロフィール(男の状態)書きます。
それでは、本編へどうぞ。
翌朝の4時25分、僕たち3人は同時に目が覚めた。……何だか不吉な予感がする。
手を組んで上に伸ばしてから、僕はそれに対する不安を口にした。
「……う、う~~ん……。被害が拡大してませんように……。」
予感したことは、キリトもアラストールも同じだったらしい。
「うむ、そうであるな。」
「だな。」
口をそろえて、僕の言ったことに同意している。
……起きたからには、自分の役割をすぐに果たすとしますか。
そこからいつも通りの流れで、僕たちは7時20分ごろに家を出た。
「……別の被害者なんて出たら嫌だな。」
「ああ。ただでさえ、この崩壊はどれだけの規模か、はっきりとしてないからな。」
歩きながらキリトと話をしていると、すぐ横をサッと自転車に乗った少女が通っていった。
……あれ、あの制服に自転車って……。
「わーーっ!! ウソだろ?! おーい! ストップ、ストップ!!!」
止めないとまずい、と思って僕は駆け出した。
「あ、待てよ!!」
反応が遅れたキリトが、僕の後を走ってついてくる。
駅前のコンビニが面している交差点で、やっと追いついた。
息を切らしながら、僕はこちらを見ている人に言った。
「まさか……隆之介まで……、それに何で桐乃……。」
スタイルから分かっていたが、『高坂桐乃』になっている少年は、僕の中学時代からの友達、新嶋隆之介だった。
「…お前が『アスナ』になってるのも驚きだし、キリトもアラストールも、な。……しかも、今日、この姿になってたし。」
隆之介が思いを率直に話した。
………そこで、今日一発目の『時間封鎖』が来た。僕ら4人以外の全てのものが、動きを止める。
イラついた僕は、つい眉を逆ハの字にしてしまう。
「あーっ!! こんな朝早くからあいつらは!!! キリト、隆之介を守ってくれないか!!」
「……昨日の2回目からしても……わかった! 光汰、お前はそっちに専念しろ!ダチの護衛は任せてくれ!!」
キリトの返答を聞いてから、僕は『血盟騎士団』副団長・アスナのベースフォームに。
「了解!!」
右手にレイピアを構え、現れた怪物に向かって走り出す。
一つ一つの動きが大きい怪物には、ちょこまかと動く方が狙いをつけられにくい。
「シューティング・スター!!」
「グァッ!!」
怪物の右肩を深く切り裂く。そして、背後に着地。次は右足に、
「はあーーっ!!」
連続8回の突き攻撃《スプラッシュ・スター》を、間髪入れずにお見舞い。
こちらの攻撃の痛みに怪物は右肩を押さえ、右膝をついた。
だが、次の瞬間には不意を突かれ、口から炎弾をキリトと隆之介がいる方向に吐かれた。
「っ! フォーム・チェンジ、ノエル!!!」
瞬く間にノエルに変身してから、炎弾の速さをコンマ3秒で判断する。
腰のケースからさっと、両手にチェーン・リボルバーを持って、右の銃で狙いを定め、撃った。
――――――ボカァン!!
あからさまに銃弾の方が速いから、追いついて共に爆発。
ぎろり、と怪物の視線が僕に突き刺さる。
「やはり、あなたたち怪物は、脳がそこまで大きくないようですね。視界に入った敵はとにかく攻撃する。……なんてバカらしい戦法なんですかね。戦いが初心者の私にだって、あんな単発的なことはしませんよ。……ただ、長期戦はまだ慣れてないので、速攻で決めさせてもらいます!!」
言うだけ言って、僕は怪物の足の間めがけて、走り出す。
怪物は何にも考えず、左の拳を上げる。……やはり遅すぎる。
背後に再び回り込んで、『あの技』の準備を始める。………チェーン・リボルバーをマシンガンに換装。
持ち手にあるトリガーを引き、弾丸を高速で当て続けて、空中に。
「消えてくださいっ!!」
すぐにまた換装して、あの、『フェンリル・レディス・スタベーション』を放つ。
ロケット弾を発射して『コア』を砕くと、怪物は吹き飛びながら崩壊した。
「!!」
すぐ新手の気配を感じ、この近くに飛んでいる光球がないか、急いで確かめた。
幸い、一秒もかからず見つけ出し、ライトを当てる。
「あ………ヴィルヘルミナさんと『俺ガイル』の雪ノ下雪乃さんじゃないですか……。」
キャプチャーモードを起動し、2人を『回収』した。
急いでキリトたちのところへ戻る。
「まだ、『時間封鎖』を行った敵の人物がいますね。隆之介さん、私の制カバンを持って、すぐどこか見つかりにくいところに隠れてください。」
「あ、ああ。」
隆之介は、すぐに僕の制カバンを持って、自転車ごとこの場から離れた。
「ところで、2人手に入れたようだけど、誰だったんだ?」
「ヴィルヘルミナさんと雪ノ下雪乃さん、ですね。………フォーム・チェンジ、シャナ。」
キリトとの話を一度やめ、シャナに変身。『夜笠』から出した『贄殿遮那』を構える。
そして、《フレイムヘイズ化》する。
「……近いな。」
「うん。」
「ゲネオスという男の気配ではないな。」
アラストールの言っている通り、今回はゲネオスの奴ではない。
「……女、だな。」
僕もキリトと同意見だ。………殺意があるのは当然、でも少し違う。
「朝から怪我なんてしてられない。」
1人で呟く。
そして、前方から、女が堂々と姿を現した。……あれは、敵だ。
「あなたね。ゲネオスの脇腹、切りつけてみせた男の子って。」
開口一番、女はそう言った。……ほんと、礼儀を知らないな。
「先に名乗れ!!」
「それが礼儀というものであろう!! 貴様は……この少年らを決して殺せんぞ!!」
キリトとアラストールが僕の気持ちを代弁。同意見で助かる。
「あら、そう? じゃ……私はへレイオナ。……ここで息の根を止めてあげる。」
静かで大胆な殺害宣言だ。でも、そうはいかない。
「フレイムヘイズになっている今の私と、キリトが本当に殺せると思うのなら……来い!!」
キリトに視線を送る。そしたら、キリトがうなづき返してきた。
「いつでもいけるさ。」
僕たち2人は同時に腰を深くする。
「ふん。死んでよね。」
へレイオナはそう言って、ダッシュで接近してきた。
でも、距離がある分、対応も簡単。
「この体の身軽さ、なめてるのは、そっち。」
へレイオナの意識が、僕の方に向いているのを利用し、炎の翼で空へ舞う。
キリトは距離を取って彼女の後ろ側に。
「私より……速い!!」
のうのうと驚くとは、なんてまぬけな様だ。
「甘い。」
高速で急降下し、へレイオナに蹴りを一発決める。
「あぐっ!!」
後ろによろけ、へレイオナはキリトの前に。
「もらった。……ホリゾンタル・スクエア!!」
「ああっ!」
キリトの攻撃が直撃し、僕の方に吹っ飛んだへレイオナ。
「『断罪』ッ!!」
容赦なく僕も『断罪』を放つ。
「ぐぶっ!!!」
これもへレイオナにクリーンヒット。また彼女はよろけた。……足元に早々に血溜まり。
僕はキリトのそばに降り立つ。
「………ど、どうして、こ、こんなに……あるはずのない力の差が存在しているの?」
へレイオナが自問に近い、僕たちへの問いかけをした。
「貴様が甘く見るからに決まっておろう。3回目とは思えん戦術だが。」
アラストールが、己の率直な感想を混ぜて答える。その後に僕が続ける。
「私は……初めての戦いで、私なりの力の扱い方を覚えた。『アスナ』としての昨日のあれは……頭蓋骨割ったけど、もう、大丈夫。」
キリトは僕の言葉に相槌を打つように言った。
「確かに、頭への衝撃が大きくて、出血していたけどな。回数を2、3と積んで、もう十分な力がある。」
へレイオナは悔しいのか、
「覚えてなさい!!」
と叫んで退却していった。
「……不覚。逃げられた。」
僕はそうひとりごちて、「KoB」副団長の姿に戻った。
また同時に『時間封鎖』が解けて、制服姿にも戻った。
静かに隆之介が近寄ってくる。
「……終わったのか?」
「ああ、うん。僕の制カバンの保管、ありがとう。」
僕らはそこで隆之介と別れた。
学校に着いてから、僕とキリトは他の仲間に、隆之介のことを報告した。
「そうですか……光汰さんの中学からのお友達が……『高坂桐乃』に……。」
「この目で見たんです。だから、キリトに守ってもらいました。」
ちょっぴり悲しそうなフィオナさん。言葉を付け足しつつ、申し訳なく思う。
「そういえば、さ。キャプチャーできた奴いるか?」
機転を利かせて、純が話題を変えた。波に乗らないと、空気が読めない人としてみなされるね。
やけに純も祐太郎も嬉しそうだし。
「その顔だと、いるんじゃないの? 誰なのさ?」
試しに2人に聞いてみた。
「オレは『フェアリーテイル』の『ミラジェーン』。」
「『ブレイブルー』の『マコト』。」
……なんだって? ………一体その報告は。
「1人ずつ、なんだ……。」
「……場所に偏りがあるな。俺たちのところに一番来てるよ。」
「2回、戦闘をしかけられちゃったけどね。」
僕とキリトは苦笑いをしながら、祐太郎たちに伝えた。
「その……光汰君が手に入れたのって…。」
ものすごく悠二が聞きたそうにしている。『回収』が役目なんだし、当然だけど。
「帰りから順に、『ブレイブルー』のノエル、ヴィルヘルミナ、『俺ガイル』の雪ノ下雪乃。……これで、もう5人だね。」
ある人物名に、悠二が飛び上がるように反応した。
「カ、カルメルさんも?!」
急に素っ頓狂な声を出されて、顔を赤くしつつ、僕は続けた。
「ヴィルヘルミナは背が高いし、変身しないよ。戦闘時のフォーム・チェンジ以外はね……。」
さらに言おうとしたら、何か軽いものが頭に乗っかった。
それを手に取って、すぐ理解した。
「……って、『ペルソナ』のティアマトーだ……。」
「仕方あるまい。シャナも『万条の仕手』も、今は貴様の体の1つであるからな。」
アラストールが、現状を考慮しての言葉を発した。
「容認。」
状況の飲み込みが早いティアマトーは、どうやら僕を、しばらくのパートナーとして認めてくれたようだ。
……ちょっとした知識だが、ヴィルヘルミナのどうしようもない料理下手は、完全にシャナに影響が出ている。シャナが普通の人間なら、夫(おそらく悠二)に迷惑かけまくるダメ妻に、確実になる。
ホームルームの後、僕は思い立って、今朝手に入れたばかりの新しいフォームに姿を変えることに決めた。
「フォーム・チェンジ、雪ノ下雪乃。」
小声でそう唱えると、僕は『俺ガイル』の完全主義者でヤルキナイネンさん、雪ノ下雪乃になった。
「何でそうするんだよ?」
祐太郎が近寄ってきて、僕に質問した。
祐太郎は偶然だから気にしてないだろうけど、僕は『アスナ』になってから、少し気掛かりだったことを言い訳にした。
「何だか黒髪じゃないと落ち着かないんだ。少なくとも午前中は、この姿でいたいんだ。」
ここでふとアラストールは、
「……その女からは、冷静で繊細な雰囲気を感じるな。」
と、小声でつぶやき、それに対してティアマトーが、
「邪険。」
と、アラストールを非難した。
「ティアマトーは厳しいな~。ははは。」
悠二がのほほんと笑いながら言った。
僕はふと、日本史の小テストがあることを思い出して、会話を打ち切って席に戻った。
何事も無く、無事午前中の授業は終わって昼休み。
弁当を10分ほどで食べた僕は、雪乃姿からアスナ姿に戻った。
昨日と同じように窓から外を眺めていると、突然、空から地上に降りる人のシルエットが見えた。
不吉な感じがしたから、無言で(キリトを驚かせるつもりはないけど)席を立ち、教室を出た。
そして、うちの学園の大学合格者数を示すボードの、すぐそばまで移動した。
「何があるんだよ?」
やはりキリトが質問をしたから、理由を話した。
「さっき、怪しい感じのする人影が、地上に降りていくのが見えたんだよ。きっと……また戦うことになる。」
説明したところで、予想通り『時間封鎖』の波動を感じた。
「的中。」
ティアマトーが感心を示すことを言ったが、構わず『血盟騎士団』副団長・アスナに変身。
「……結構な個体数ね……。」
「うむ。今回は5体、であるな。」
「じゃあこれで、あとの4人は慌ててこっちに飛んで来るな。」
キリトやアラストールと話していて、少し不可解なことが起こった。
「……動いてない?……フォーム・チェンジ、シャナ。」
シャナに変身して、《フレイムヘイズ化》。炎の翼を出して、少し飛んで確かめる。
「光球を求めてないのか?」
キリトが僕に向かって叫んだ。移動しようとしてないのを確認してキリトのところに降りた。
「うん、見た限り、ない。」
「面倒だな。」
刹那、1つの光球が僕らのそばを通った。
「!!」
「くっ!!」
すぐに僕はライトを当てる。
「『フェアリーテイル』の『ウェンディ』?!」
キャプチャーモードをオンにして、今回も『回収』が成功した。
切り替えて、キリトと一緒に正門を出て、突っ立っている怪物たちに先制攻撃を仕掛けた。
「薙ぎ払いっっ!!!」
「「「「ギィヤァァァァッ!!」」」」
「スター・バースト・ストリーム!!」
一気に5体中4体を倒すが、奥にもう1体、すでに捕らえた光球を口の中に放り込もうとする奴がいた。
……何てことだ。早とちりをしてしまった。
「!! 『断罪』っ!!」
とっさの判断で『断罪』を放ち、怪物の両腕を切り落とした。……ところが。
予想を裏切って、そいつは切られた腕ごと、光球を食いにかかった。
「まずい! 間に合わんぞ!!」
「くっ!!」
炎の翼を出して、フルスピードで怪物に近づいたが、こちらが一瞬遅かった。
両腕を飲み込んだ怪物が、僕とキリトをぎょろりとした目で見た、その時。
「ゴブッ?!!」
そいつの体に異変が生じた。飲み込んだ両腕が生え、どんどん人間の形を成していく。……直接口にしていいのかわからないけど、やけにあそこが大きく突き出てくる。……この場に本物のシャナがいたら、思いっきり土下座したい。
「な……何……?」
「………変化。」
さっき僕がウェンディを『回収』したのと関係があるのか、その怪物は『ルーシィ』の姿に変化した。
「……………?」
変身するのは初めてらしく、怪物は変わった自分の姿をまじまじと見つめている。
僕は驚き過ぎて、右手に『贄殿遮那』を持ったまま立ち尽くす。
「何だか知らないけど、光球を解放するには倒すのみだ!!」
キリトが物怖じせず、走り出した。
「………正論。」
ティアマトーがキリトの言うことに同意した。そこで、僕もはっとなる。
「よし!!」
気合を入れ、キリトを追いかける。
………突っ立っているだけだから、対処は簡単すぎた。
2人で同時に怪物を斬り捨てて、ルーシィの光球を解放した。その光球が素早く移動していたら。
…やっとこさ駆け付けた祐太郎が、すぐルーシィを『回収』した。
余りにもタイミングが良すぎて、呆れてしまう。レイピア戦士・『閃光』アスナの姿に戻る。
「………いいとこ取りだけしないでよ、もう。それ、ルーシィなんだから。……ほんと、巨乳好きね。嫌になっちゃうわ。」
呆れた故の本音をついぼやいてしまった。
「……それは、祐太郎をバカにしてる、と解釈していいのか?光汰。」
さすがキリト。よくわかってくれました。
ふん、と微笑みながら僕は鼻を鳴らし、キリトに言葉を返した。
「当たってるわ、キリト君。」
すぐに笑みを消し、さっき来たばかりの2人に、真剣な顔で報告する。
「まあ、こう言いつつ私も、また1人、手に入れたわ。」
「わ……これで6人目?!」
また悠二の驚きの声。やめなさい、と言いたくなる。
それとは関係なく、僕に皮肉を言われた祐太郎が、
「それにしても、よく事前に気付けたな。」
と、黒雪姫の格調高い男言葉で、僕にささやかな驚嘆を示す。
僕はここではあーっ、と大きくため息一つ。
「…不審な人、見たもの。さっき手に入れたのは『ウェンディ』、なんだけど。」
「そうか。……ならば、変身すれば……制服であればだぶつくだろう。」
祐太郎と話しつつも、新手の気配を察知したから、切り替える。
「………その前に、また、来るわ。」
「次のが、今回一番やばいな。」
次の瞬間、物凄い地響きを起こして、目の前に巨大な恐竜っぽい怪物が現れた。
「何よ……こいつ、この2日で一番ハードな相手じゃないの!!」
思わず僕は叫んだ。何しろ大きさが半端ない。
「でも、こいつと戦うしかないよ。」
「……確実に倒さないとな。」
「そう……だろうな。」
3人は次々と自分の意見を言った。
そこに、純とフィオナさんも加わって、戦闘開始。
「グォォォォォン!!」
怪物が地面に尻尾をつけて、振り回す。
「体が大きい割には機敏だ……。」
キリトが言葉を漏らしているのを聞きつつ、純と共に、タイミングよく跳んでかわし、怪物の足元へ。
「「やっ!!」」
純と同時に、全力で怪物の右足に、タックルを決める。
「?!!」
ドシン、と今にもアスファルトが壊れそうな音を立てて、怪物が横倒しに。
「今です!!」
フィオナさんの指示で、ここぞとばかりに6人で可能な限り、多い手数を当てていく。
僕も《スプラッシュ・スター》を、相手へのダメージ追加のために何度も連発していた。しかし、やり過ぎは反撃を食らうだけだから、一旦後ろに下がった。
「フォーム・チェンジ、シャナ!!」
唱えつつもう一度駆け寄る。シャナに変身しきってから、炎の翼を出して、さらに加速をかける。
タイミング良く、怪物がゆっくり起き上がった。
「どいて!!」
「わかったわ!!」
僕の声にまず純が返答して、つられて皆が進行方向を開けてくれた。純がさっと超電磁砲の準備をしたのを、一瞬で目で捉える。
「紅蓮の大太刀っ!!」
回転斬りをしながら、怪物を宙に浮かべる。
「やーーっ!!」
最後の1回転で地面に叩き落とした。前回とは大きさが比にならないから。
「グワァァァ!!」
怪物がほんのわずかにバウンドした。これを純が見逃すはずがない。
「『超電磁砲』ッ!!」
きっちりクリーンヒット。怪物は周囲のものを壊しながら、ずいぶん後退していった。
けれども、次に、のっそり立ち上がったとき、
「グワァォォォォーーッッ!!!」
口から火炎放射。僕以外を狙って放たれた。
「ちっ!!」
「危険。」
アラストールとティアマトーが、それぞれ苦言を漏らしている。
仕方ないけど、あの子の力を使って、炎を帳消しにしよう。
「空中でやりたくないけど………フォーム・チェンジ、ウェンディ。」
僕はウェンディに変身したから、当然体が落下を開始する。
でも、この体でやりたいのは、地面に着地するまでのほんの数秒間にある。
「どうしようというのだ?!」
アラストールが焦りの声を上げる。失礼だが、先に口に空気を吸い込む。
「……天竜の咆哮ッ!!」
すさまじい突風を、魔方陣が出ると共に、怪物に向かって吐き出した。
おかげで炎はみんなに届く前に消えて、ついでにまた怪物も吹き飛ばした。
僕はつま先からうまく着地する。
「ふう。……みなさん、大丈夫ですか?」
振り返ると、キリトや純たちがほっと一息ついている。
「うん。助かったわ。」
純が僕の『天竜の咆哮』へのお礼を言った。
「光汰さん。6つのフォーム・チェンジが上手く活用できていますね。」
「ありがとうございます。でも、まだ1つやっていません。……フォーム・チェンジ、ヴィルヘルミナ。」
フィオナさんの感心を素直に受け入れ、僕は『万条の仕手』に変身する。
そして、パートナーのキリトに視線だけ送る。
「………言いたいことはわかった。」
それだけ言うと、キリトは僕の前に出た。
「さすが、私の近くにいてくれる剣士なのであります。」
うれしく思っているんだけど、僕は(ヴィルヘルミナのように、)表情を変えずに怪物に向けて、たくさんの包帯を放ち、動きをがっちり封じた。
動けなくなった怪物が無駄な足掻きを見せているのを無視して、キリトはもう一本剣を出し、走り出す。
「スターバースト………ストリーーム!!」
16回の連続攻撃で、やっと敵の『コア』が露出した。
「フォーム・チェンジ、アスナ。」
止めの一撃を入れるため、『血盟騎士団』副団長姿に。それから怪物に急接近する。
「キリト君……、どいて!」
「! よし、スイッチだ!! 頼むぜ!!」
キリトの「頼む」という言葉に、無言でうなづき、そして。
「これで終わりよ! ……フラッシング・ペネトレイター!!」
空中で高速突進。見えていた『コア』を破壊する。……で、怪物は崩壊。
完全にちりと化したのを確認してから、僕たちは校内に急いだ。
『時間封鎖』が解け、制服姿になる。……が。
――――――――――――グルルル~~………
「……っ、弁当食べたばっかりなのに……」
「相当なエネルギーを使わされたな……。」
「うむ。」
僕はキリトと同じくらい動いたから、行儀悪いことに、お腹が空いてしまった。
午後の授業も、無事に終わって、下校時間。僕と純は駅のコンビニでちょっと買い物。キリトとフィオナさんに、外で待ってもらっている。
「ったく、弁当の後のアレはすっげー効くな。」
「でしょ? そのせいで午後は集中しにくかったよ。」
話しながら僕は6本入りのスティックパンと、ハイチュウ(ぶどう)を選んでレジへ。
先に会計を済ませて外に出る。数秒遅れて純も出てくる。
「お待たせしました、フィオナさん。」
「じゃあ、帰ろう、キリト。」
「そうですね。」
「ああ。」
純とは乗る線が違うから、同じ改札から駅構内に入って、その後で別れた。
早速買ったスティックパンの袋を開け、キリトと一緒に食べ出す。
「僕さ、コストが安いし、おいしいから、このパン好きなんだ。」
2本目のパンを持ちながら、僕はなぜかキリトに購入理由を意気込んで話した。
「確かにそうだな。」
キリトも素直に返してくれる。
「それにおやつみたいでいいしね。」
「うんうん。」
そこで電車がプラットホームに入ってきた。
それから数十分後、僕らはもう地下鉄を降りて、家に向かって歩いていた。
途中からあることを考えていた僕は、ふとそのことを口にする。
「今日はもう嫌だなあ……。」
それが戦いのことだと分かったのか、3人が立て続けに言った。
「こんなに暑いと……俺も同感だ。」
「うむ。1日3回以上の戦闘は、身体の疲労を考慮すると、危険としか言えん。」
「嫌悪。」
そのまま何分か歩き続けて、僕の不安は的中した。
貫禄のある感じのする男の人が、不敵な笑みを浮かべて、僕たちの進路を塞いでいた。
気に入ったライトノベルはとことん読む僕には、そいつが誰かわかった。
「何で……『時間封鎖』なしで……今日3回目の敵が……。」
気付いたら僕はそう口走っていた。
キリトが当然、不思議に思わないわけがない。
「……知っているのか?」
僕は無言でうなづく。
「まあね。………あの男は『殺マト』…『殺戮のマトリクスエッジ』の、ディアウス・デーヴァ……。第2の〝窮(エイ)極(ペッ)種(クス)〟。フォーム・チェンジ、シャナ。」
シャナに変身して、『夜笠』から『贄殿遮那』を取り出す。
デーヴァの笑みが深くなる。
「ふっ、私は蘇った……。かのギルドの者たちの手で!!」
奴が《ホラー》形態に変形すると同時に、『時間封鎖』が来た。
僕の制服がシャナのものに変わる。それから両手でしっかり『贄殿遮那』の柄を握る。
「………キリト。」
今回は僕が警告させてもらう。
「何?」
キリトが振り返った。
「あいつの速さと重力(グラビトン)球(ボール)に気をつけて。不覚を取られたら、圧迫されて、死ぬ。」
デーヴァが、僕のキリトに対する忠告に向けて、高らかに笑った。
『ハハハ!! よく知っているな!!』
自覚あるのか知らないけど、言わせてもらおう。聞いてて苦虫を噛み潰したような気分だ。
「……お前の合成音声、嫌い。」
僕の好きな『彼女』たちと比べたら、なのは言わない。
余計なことになるから。
プロフィール
新嶋 隆之介 ―― 光汰の中学時代の友人で、光汰のボカロオタク化の元凶。共学の高校に通う。
/11月19日生・O型・167cm・61㎏
さて、次は、あるアニメから邪悪な存在を引用してストーリーを進めます。
次回もよろしくお願いします。
こんなカオスなものを読んでいただき、ありがとうございます。