─前回のあらすじ─
激おこで再びアクセルに現れたベルディア。配下のアンデッドナイトをめぐみんの爆裂魔法で焼き払い、残る敵はベルディアただ一人。
勝利の女神はどちらに微笑む───否、どちらに跪くのか?
あ、
「この数で全方向から攻撃すりゃ例え魔王軍の幹部でも対処出来ないだろ!お前ら、一気にやっちまえ!」
他の冒険者の掛け声で、その場にいた冒険者達が一斉にベルディアに襲いかかる。
確かに、相手の死角を突くのは戦いにおいて最も有効な戦術の一つだ。如何なる強者と言えど、後ろに目があるか、首が180度回らない以上後ろからの攻撃には数瞬遅れる。
───相手が普通の人間であれば、だが。
おもむろに抱えていた首を上空へ放り投げるベルディア。
嫌な予感と、何かに気づいたカズマ達は襲いかかった冒険者に静止の声を掛けようとしたが、それよりもほんの僅かに速く、冒険者達の刃がベルディアに襲いかかる───筈だった。
───まるで後ろに目があるかのように、ベルディアが攻撃をかわしたのだ。
「───は?」
返す刀で襲いかかった冒険者全員を切り伏せるベルディア。
その何が起きたかわからないと言っているような最期の言葉は、一体誰の口からこぼれたものだったのか。
誰もが絶望し、膝を折りかけた。ベルディアの目の前に立ち塞がる2人を除いて。
「次は私が相手だ、デュラハン!」
金髪の長い髪を靡かせ、ダクネスがベルディアに相対する。
「やめろダクネス!攻撃を当てられないお前が勝てるわけないだろ!?」
掠りもしない剣を振り、ベルディアの攻撃を一身に受けるダクネス。ダクネス本人がいくら堅くても、一方的に攻撃を受け続ければ倒れるのは時間の問題だ。
当然止めようとするカズマ。しかしダクネスは強い意思でそれを突っぱねるのだった。
「───私は聖騎士だっ!」
「例え何十回攻撃が外れても、攻撃が当たるまで何百回でも攻撃するだけだ!」
普段の行動がどんなに変態的でも、彼女の芯にあるのは正に騎士の誇りと呼ぶにふさわしいものだった。
それに、この場で立ち向かっているのは、ダクネスだけではない。
「───ふぅんっ!」
「ぬぅっ!?」
三日月の不意打ちをかわしきれず攻撃がかすってしまったベルディア。
「あんたはおれが潰す」
「・・・面白い!やってみろ!」
2人に呼応するように1人、また1人と冒険者達が立ち上がる。
魔法で2人をを援護しようとする者。窃盗スキルでベルディアから武器を奪おうとする者、襲いかかる恐怖を振り払おうと必死で立ち向かう冒険者達。
「この場にいるお前ら全員、1週間後に死にさらせぇぇぇ!」
動揺し攻撃を躊躇う冒険者達、ベルディアの攻撃に耐えられず、自分達の得物が砕けたダクネスと三日月、
少しずつ、しかし確実に詰まされているこの状況、それを一転させたのは、カズマが放った『クリエイト・ウォーター』をベルディアかわした理由にカズマが気づいたときだった。
───
考えろ考えろ考えろ!この状況を打開する方法を考えろ!
オレの取り柄なんて相手の嫌がる方法を見抜くくらいだろ!思考を止めるな、考え続けろ!
なんでアイツはオレの水を大袈裟にかわした?
──奴が避けなければならなかった理由、──流れる水、──アンデッドの弱点──!
「『クリエイト・ウォーター』!お前ら水だ!こいつの弱点は水だぁぁぁーーー!」
───
「『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』!」
カズマを筆頭に水魔法を唱える魔法使いたち。しかしベルディアには当たらない。
「ねえねえカズマ、何、皆して魔王軍の幹部と水遊びでもしてるの?」
この駄女神、今までどこで油を売ってた?
「水だよ水!アイツの弱点!お前確か仮にも曲がりなりにも一応はかろうじて多分水の女神だろ!なんちゃって女神じゃなけりゃ水の1つでも出してみろ!」
「仮でも何でもなく水の女神よ私は!分かったわよ!出せば良いんでしょ出せば!?」
売り言葉に買い言葉。カズマの言い様にキレたアクアが水を出そうとする。
「この世に在る我が眷族よ、水の女神アクアが命ず・・・」
爆裂魔法を放つめぐみんと似た威圧感を放つアクア。
危険を察知しベルディアが逃げようとするも、ダクネスと三日月にしがみつかれ動けない。
「『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』!」
アクアが放った洪水と言わんばかりの水は、ベルディアを、カズマを、そして周りの冒険者を達巻き込んだ。
「ぎゃーーー!」「ちょ!?ちょっとま───」「ゴボボボボ・・・」「め、めぐみーーん!?」
やがて水が引き、残されたのは倒れ込む冒険者と、
「馬鹿なのか?馬鹿なのか貴様・・・!?」
よろめきながら立ち上がるベルディア、そして
「────!」
獲物に飛びかかる狼のように真っ直ぐベルディアに飛び込む三日月だった。
───
やっぱりカズマは凄いや、こんな作戦■■■にだってできやしない。
背負っていた武器を抜き、目の前の敵目掛けて振り下ろす。
「小僧、まさかそれは・・・!?」
この前こいつが落としていった剣を加工して作った
「・・・ぐぅ!?貴様とてもうボロボロのはず・・・、どこにこんな力が・・・!」
ボロボロ?まだ動ける、まだおれはおれは生きている、まだおれは戦える・・・!
「魔王軍の幹部とかどうだって良い。あんたがおれたちを殺そうとするなら、おれの全部でそれを止める───」
おれには戦うことしかできない。カズマみたいにとんでもないことを考え付けないし、■■■■みたいに声だけで戦いを止めることも出来ない、■■■みたいに誰かを導くことも出来ない。オレにできることなんて───
「おれとおれの仲間のために、今できることを全力でやるだけだ───」
だから───
「とりあえず今はあんたが邪魔だ───!」
───
叩く、かわす、叩く、かわす、叩くかわす叩くかわす叩くかわす───
一体何度打ち合っただろうか、
「はあぁぁぁーーー!!」
「ああぁぁぁーーー!!」
手を出そうとする者は誰もがおらず、皆固唾を飲んで三日月の戦いを見守る。
彼を応援する者がいた。彼に畏れを抱く者がいた。彼を恐れを抱く者がいた。
やがて、戦いの音が止む。最後に生き残り、勝鬨とともに
「フハハハハ、見事だ小僧!よくぞこのベルディアを討ち取った!」
「・・・何でそんな嬉しそうなのさ」
「1度地獄に墜ちたこの身体、まさかお前のようなやつと戦って朽ちることができるとはな!だが忘れるな、幹部はまだ7人いる。やつらを倒さねば魔王城への道は開けない。地獄でまた逢おう。フハハハハ───」
ベルディアの身体が糸の切れた人形のように倒れる。
緊急クエスト:魔王軍幹部ベルディアの討伐。クリア───
───
あとの事を話すと、あのときアクアは倒れた冒険者達に蘇生魔法をかけていたらしい。
ダクネスが真っ赤になってたけど、どうかしたんだろうか。
あのアンデッドの討伐報酬だけど、どうしてかほとんどをおれが貰うことになった。アクアを除いて誰も文句を言わなかったのが不思議だったけど、そんなことを考える前に金の使い道が決まった、決まってしまった。
「ま、街の損害の弁償金額3億4千万エリス・・・!?」
アクアが出したあの水、どうやら街に入ったときにかなりの被害を出したらしい。
うちひしがれるカズマ、逃げ出すめぐみん、カズマに捕まるアクア、その肩に手を置くダクネス。
報酬のほぼ全部を持っていかれたけど、そんなに辛くはなかった。
──ねぇ、オルガ。見つけたよ、おれの新しい居場所。
だからおれはここで皆と一緒に生きていく。この理不尽で素晴らしい世界で───
・・・とりあえず、このままだとカズマがアクアを絞め殺しかねないから止めに入ろう。
この素晴らしい世界で本当の居場所を!
第1章: Iron Blooded Brutals ─完─
なんか三日月がすごいポエミーになった。ナズェだ・・・
ともあれ1章これにて終幕!皆様応援ありがとうございました!
こんなところじゃ終われねえ!そうだろ、ミカァ!?
─第2章予告─
冬が来ました。
「このまま馬小屋生活を続けてたら間違いなく凍死するぞ、どうする?」
窮地のカズマたちに舞い込んだ依頼とは──
「そしてそしてぇ!遂にメインヒロイン登場だよ!」
1章で全く出番のなかった彼女が遂に現れる!
そして───
「佐藤和真さん、ようこそ死後の世界へ・・・」
「この素晴らしい世界で本当の居場所を!」第2章!
『機動要塞デストロイヤー 血も涙もない外道ズ』
父さん母さん、オレ、大人になります・・・
「カズマ?おいカズマ!聞いているのか!?」
こうご期待!