この素晴らしい世界で本当の居場所を!   作:味噌おでん

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おまたせしました!
今回はようやくこのすばキャラが出ます!

※漢字を知らないこのすば世界のキャラからの三日月の呼称は「ミカヅキ」で統一します。


Enter the first quest / build a flag in little wizard

三日月が最初に選んだのは、森に生える薬草の採取だった。本当は荒事のほうが羽振りもいいし慣れた仕事なのだが、金欠ゆえの装備不十分で諦めざるをえなかったのだ。

依頼書に書かれた通りの薬草を摘み取ってはカバンにつめていく。気が付くと辺りには木々がうっそうと生い茂っていた。どうやらいつの間にか森の奥に来てしまったらしい。

必要な薬草はそろったし、帰り道がわからなくなる前に戻ろうとしたその時、

―――悲鳴と雄たけびが聞こえた。

 

―――少女は走っていた。

はぐれた仲間と合流するために、そして何より背後から迫る死の恐怖から逃げるために。

黒くしなやかな体躯と凶暴性を象徴する鋭く伸びた牙と爪。地球の『虎』に酷似したそのモンスター―――「初心者殺し」と呼ばれるそれは、目の前の獲物(少女)を追いかけていた。

知能が高く狡猾なこのモンスターは、雑魚モンスターの縄張り付近に現れ、それを討伐しに来た冒険者たちを狙って狩りをする。

彼女もまた同じく、狩りの帰りに襲われた。それどころかパーティから分断され一人追いかけられるという事態に陥っていた。

『ウィザード』の彼女に初心者殺しから逃げ切る体力があるはずもなく、ほどなくして転んでしまった。

―――ああ、私、死んじゃうんだ

少女の脳裏に浮かぶのは、これまでの自分の人生、仲間との思い出。

―――短い人生だったなぁ

少女は、これから自分に起こることから逃げるように、目をつぶった。

―――っ!・・・?

おかしい、なぜ何も感じない?私の体はあの化け物に引き裂かれたはずじゃ?

恐る恐る瞼を開いた少女の目に映ったのは、

―――目をつぶされてうなり声をあげる初心者殺しと、

 

「大丈夫?生きてる?」

 

―――(リーン)の身を案じる、緑の外套を羽織った蒼い瞳の少年だった。

 

―――声のしたほうに走った三日月の目に飛び込んできたものは、今にもモンスターに襲われそうな少女だった。

反射的に武器―――安く売っていた片手剣を抜き音もなくとびかかる。

不意打ちによる目つぶしには成功したようで、相手は狙いが定まらない様子だった。

 

「―――走るよ!」

 

今なら逃げ切れると踏んだ三日月は、座り込んだまま動かない少女に声をかける。

対して少女は微動だにしなかった。

 

「早くしないと―――」

 

「―――こ、腰が抜けちゃった・・・」

 

沈黙。

あきれる反面、ここで見捨てるのも後味が悪いと思ったのか、三日月は少女を抱えて走ることにした。

 

「え!?ちょ、ちょっと・・・!?」

 

―――相手を米俵のように肩に担ぐ、所謂「お米さま抱っこ」で。

 

――――森をぬけ、初心者殺しが追ってこないのを確認した三日月は、少女を地面に下した。

少女はうつむいたままで、顔色をうかがうことはできない。

 

「大丈夫?」

 

どこかケガしてない?と聞こうとしたところで。

―――目の前の少女に抱き着かれた。

 

「・・・は?」

 

「・・・怖かった。本当に怖かった…!」

 

自分にしがみつきながら震えた声で怖かったと泣き出す少女。

どうしたことかと反応に困った三日月は、

 

「―――ふぇ?」

 

―――少女の頭をなでることにした。

 

『女の子が泣いてたら男の子は慰めたりとか・・・そう!抱きしめてあげたりとか!ほら!』

 

思い出すのは大切な人の言葉。優しい手つきで慰められた少女は―――

 

「―――あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

決壊したダムのように泣き崩れた。

 

 




紅魔族かと思った?残念!リーンちゃんでした!
初めて2巻を読んだときは「この世界こんな普通にかわいい娘いんの!?」と驚いたものです。
出会いは無理やりだったかと思いますが、目の前で本当に困っている人がいたら三日月は手を貸すと思います。誰かを気遣う心がなければアトラから好かれることもなかったはずですし。
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