事故って遊戯王の世界に来ちゃった転世者   作:汰蹴

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この回はデュエルを致しません。

更に言うなら、アカデミアすらまだです。

まぁ、今は種まき期間だと思って見てください。


turn4 新たな出会い

やぁ、みんなのヒーロー葦原大和だ!御免なさい厨二病こきました。

 

 

それよりも、あれから幾日か経ち、結果が届いた。

 

 

結果は当然合格。

 

 

 だがしかし、何故かオシリスレッドに入れられるみたいだ。

 

 

 普通なら、ラーだよな~と思ったが、よくよく考えてみると、俺じゃない俺の筆記の成績が下位だったなぁと思い出した。

 

 

 それに、試験官を結構虐めてたのも、プラスされたんだろうなぁ……。

 

 

 だから、レッド行きになったんだろうなぁ……。

 

 

 参ったな……、あまり原作には係わらないで遠目からニヤニヤ見てるつもりだったのに、否が応でも係わる可能性が高くなったな……。

 

 

 まぁ、しばらくはケースバイケースで立ち回るしかないか……。

 

 

 

 残念ながら、大和の計画は、試験の時の一件で崩れ去っている事に、この時はまだ知るよしもなかった。

 

 

 

 

取り敢えず、今は合格発表が来て、アカデミアに入学するまでの余暇の期間なのだが、大和はデッキいじりとカード効果の復習をしながら、日々ゴロゴロしていたのだが、今日は休日で、学校が休みな妹の月陽がいて、その妹に纏わりつかれてうざったいのだ。

 

 

やれ、「デュエルのリベンジしよ!」だの「出掛けようよ~」だの「新しく作るデッキの調整を手伝ってよ~」等と言ってくる。

 

 

今日も今日とてゴロゴロしてたかった大和は、月陽の押しがあまりにもうっさいものだから一喝したが、効果は今一つだった。

 

 

そもそも、何故こんなに構ってちゃんになってるのかが大和には分からなかった。

 

 

確か、憑依?する前のこの世界の大和の日記には兄妹仲は良い悪い以前に、大和は家族の中では空気の様な存在だと書いてあった筈なのだ。

 

 

なのに、この変わり様。

 

 

切っ掛けはあのデュエルっていうのは分かるが、ああも簡単に懐くのか甚だ疑問だった。

 

 

寧ろ、我ながらSなデュエルをしてたから、更に離れる可能性もあったが、杞憂だった。

 

 

正直、懐いてくれるのは嬉しいが、毎回擦り寄って来ると少なからずうざったい。

 

 

だから、気分転換しようと月陽が離れた隙を狙って家を出ようしたのだが、運悪く見つかってしまい、「出掛けるの?私も行く~」と言い、大和は溜め息を吐きながら肩を落とし、渋々同行を認めた。

 

 

 

「ねぇねぇねぇ、所で大にぃって何処に行くの?」

 

 

「ん?ああ、取り敢えずカードショップにでも行こうかと」

 

 

「あ、そうなんだ?じゃあ丁度良かったな~。私も新しくデッキを作りたかったから、カードの補充したかったんだよね~」

 

 

「ふ~ん、何作るつもりなんだ?」

 

 

「ナ・イ・ショ♪」

 

 

茶目っ化たっぷりに応える。

 

 

「ところでさ~、大にぃって何処行く気?こっちの方角にカードショップないよ?」

 

 

 月陽の言葉に、大和は歩みを止める。

 

 

「……え?こっちにイエサブがあった筈なんだが……」

 

 

「ないよ。それにイエサブって何?一応こっちにも小さいカードショップあったけど、潰れたよ?」

 

 

 月陽の言う事実に、大和は言葉を詰まらせた。

 

 

「な、なん……だと……?ま、まじで?」

 

 

「うん、ホントだよ?カードショップ自体は、反対方向だよ?」

 

 

「まじかよ……」

 

 

「知ってるものだと思ってたけど、私とデュエルしてる時に、新しく買ったって言ってたよね?一体何処で買ったの?」

 

 

月陽は訝しんだ表情で、大和の顔をじーっと見詰める。

 

 

些細な事で墓穴を踏んだ大和は、月陽に訝しめられ、背中にじわーっと冷や汗を掻く。

 

 

「え、ええっと……(流石に、まだ俺が入れ替わっている事実は話さない方がいいよな?だったら、どーでもいい所で危機的状況に追い込まれたぞ。……あの軍団の人達ならこの危機的状況も笑いに変えて……否、そうじゃない。なんで、この状況でそれが出て来るんだよ……、兎に角落ち着くんだ……落ち着いてよく考えろ……)」

 

 

 しばし悩んで、ようやく出した応えが……

 

 

「そ、それはだな、ネットで買ったんだよ。そ、それを配達して貰ってだな……」

 

 

 ネットで購入したと、応えた。

 

 

「ふ~ん……私が知ってる範囲では、ここ最近ヤ○トも佐○も来てなかったよね?」

 

 

月陽は更に突っ込んで来る。

 

 

「そ、それは、お前が学校に行ってる間にだよ」

 

 

 大和はなんとか咄嗟に口には出したものの、月陽の訝しんでる表情は消えず、じーっと見続けて更に切り込んで来るかと思ったが、以外にもあっさり身を引いた。

 

 

「ふ~ん……、まぁそういう事にしておいてあげる」

 

 

 しかし、月陽の言葉からは言葉とは裏腹に、そんな答えで納得してると思ってんのか?コラ!?みたいな不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

 

「(どうにか、回避したか?だが、あの表情は納得し切ってない表情だな……兎に角、ボロは出さない様に気を付けておこう)い、いやぁ、ずっと引き篭もってたから土地勘が鈍ったなぁハハハ~……月陽が言うには反対方向だったな?」

 

 

 そう言って、大和は踵を返した。

 

 

(大にぃはやっぱり何か隠してるな?怪し過ぎるところ満載だもん。更に追求したい所だけど、敢えて此処は泳がせといてあげる。見てなさい、絶対暴いてやるんだから!)

 

 

 月陽の決意と共に、大和の背を睨みつけるのだった。

 

 

「ヘックシ!う~、なんかブルッと来たな~、風邪か?」

 

 

 月陽の睨みに触発されたのか、大和は大きなくしゃみをし、身を震わせた。

 

 

 

 

 

 そんなこんなあって、月陽に後ろ指さされる様な思いをしながら、なんとかカードショップに着いた。

 

 

「(何故、カードショップに行こうとするだけで、こうもピンチに陥らなきゃならんのだ。全く……)ふぅ、着いたな……じゃあ、俺は適当に徘徊してっから」

 

 

「え?うん、分かった(観察続けたい所だけど、せっかく来たんだし、新しくカード買おっと……)」

 

 

 そして、大和と月陽はそれぞれ散った。

 

 

「さ~て、なんか月陽も離れたみたいだし、俺もなんか適当にカード探してよっと……」

 

 

 大和はフラフラとあてもなく探していると、人目に突きにくい様な売り場の隅っこで、箱の中に乱雑に置かれているカードの山があるのを見付けた。

 

 

「お?何々?乱雑に置かれたカードの山だ。へぇ、基本は1枚1円で買えるけど、纏めて30枚買った場合は10円で買えんのか。いいねぇ。この世界なら、低レベルで低ステータスだけど、使える掘り出し物なカードがたくさんあると、相場が決まっている……筈だ。そんじゃ、早速……」

 

 

 大和は、山の様に積まれているカード群を漁り始めた。

 

 

「何々……うひょ、いきなりサクリファイスとか……、でも俺自身サクリファイスは4,5枚普通に持ってるからなぁ……其処までいらんな。お、金華猫じゃねーか。金華猫は1枚しか持ってないから、丁度いいな。あのデッキが作れる。取り敢えず、金華猫は2枚確保。さて、後は……もけもけ、おじゃま、ワイト、アメーバ……う~ん、使えるけど、どれも10枚以上持ってるなぁ。お、これは良いカードだ。お、コレも、コレも……」

 

 

 結局、大和は30枚きっちり買った。

 

 

「いやぁ、大量大量~。これで、10円とはなぁ……。この世界の奴等はボンクラばっかりだな。だが、そのお陰で良い思いはさせて貰ったがな……さぁて、これからどうすっかな……取り敢えず、やる事ないし、月陽はまだみたいだし、適当に見て回ってるか……」

 

 

 そして大和は、スリーブに入れられ宝石売り場のガラスケースの様にきちんと保管されているレアカードに驚きながら、ブツブツ呟きながら眺めていると、突然「大にぃ」と呼ぶ声が聞こえた。

 

 

 大和は、その声に気付き振り向くと、月陽が駆け寄って来るのが見えた。

 

 

「なんだ?買い終わったのか?」

 

 

「うん、一通りね」

 

 

「そうか。さて、これからどうしようか?」

 

 

 そう言って大和は、腕時計を見て時間を確認すると、12時10分前だった。

 

 

「ん~、ちと早いけど昼飯にするか?」

 

 

「え?うん、いいよ~」

 

 

 月陽は、特に反対するどころか悩む素振りも見せず、OKの返事をした。

 

 

「そうと決まったら、何処に行く?つか、何食べる?」

 

 

「この辺りだったら、ファミレスチェーン店から、ラーメン屋とか牛丼屋とか色々あるけど……改めて何食べたいか聞かれると悩むね~」

 

 

「じゃあ、お前のお勧めは?」

 

 

「そうだね~、あ!そういえば確か、今日イタリアン系ファミレスで、ジェラートが通常の半額で食べ放題だった筈なんだけど、其処にする?」

 

 

「反対する理由はないし、別に構わんぞ?じゃ、早速行こうか?」

 

 

「じゃあ、其処に決定だね」

 

 

 そして二人は、そのファミレスに向かう事にした。

 

 

 その時、大和は振り向きざまに柔らかめの何かにぶつかった。

 

 

 その瞬間、「キャン!」と何とも可愛らしい悲鳴が聞こえて来た。

 

 

 そして、同時にぶつかった拍子に、眼鏡が吹っ飛んだ。

 

 

「な、なんだ~!?あ~眼鏡~!あ~目が、視界が、世界が曇る~」

 

 

「ちょ、大にぃ何やってんの!?」

 

 

「知るか!そんな事より眼鏡は何処だ!?」

 

 

 そう言って大和は、膝を付き、手探りで、眼鏡を探し始めた。

 

 

 しかし次の瞬間、柔らかくムニュっとする感触が手に伝わった。

 

 

「ん?何じゃ?このやーらかい物は……」

 

 

大和は更に、ムニュムニュと揉みしだく。

 

 

 そして、すぐ近くから「アッ……アッ……」と色っぽくくぐもった声が聞こえてくる。

 

 

 そして「さ、さっさと離しなさい!この痴漢!」という声と同時にその瞬間、大和の頬からパチンという破裂音が響き渡った。

 

 

「ぐふぇ!?な、何だー!?つか、目の前が霞んで何も見えねー!早く眼鏡を!」

 

 

「大にぃ、はい、眼鏡。それと、さっさと眼鏡を掛けて今の状況見てみな?」

 

 

 月陽から声が掛かり眼鏡を受け取り、直ぐに付けると、視界が開けたと思ったら、目の前にはピンク色の髪という、奇抜な色ながら可愛らしい女の子を大和が押し倒し、左手がその女の子の胸を鷲掴んでいる光景が広がっていた。

 

 

「な、な、くぁwせdrftgyふじこlp!!?わ、わりぃ!」

 

 

大和は慌てて飛び退いた。

 

 

「あ、アンタねぇ、セクハラよセクハラ!警察に突き出すわよ!?」

 

 

「ど、どうもすんません。怒るのは御尤もだけど、アレは態とじゃなくて事故なんです!」

 

 

 大和は、素早く咄嗟にジャンピング土下座するものの、目の前の女の子の怒りは消えていない様子である。

 

 

「謝ったって許さないから!」

 

 

「そ、其処をナントカ……」

 

 

 大和は更に、地面に額が付くぐらいに頭を下げる。

 

 

 そんな大和を見兼ねたのか、大和に救いの天使が舞い降りる。

 

 

「あ、あの~、馬鹿兄が、オイタをして申し訳ないけど、許してあげて貰えないかな~?」

 

 

「誰、アンタ?」

 

 

「其処で土下座してる男の妹です」

 

 

「ホ、ホントにぃ?」

 

 

 ピンク髪の女の子は、訝しんだ表情で、月陽を見る。

 

 

「兄でなければ、嘘を付いてまで、庇わないと思いますけど?」

 

 

「た、確かに……で、でもボクの……その……、む、胸を揉んだ事は許される事ではないわよ!」

 

 

「私も女だから貴女の言い分には同意するけど、あんなんでも私の兄だし、何より事故だし、それに兄は眼鏡がないと殆ど見えないって言ってるし、その、だから……無理を承知で言ってるけど、許してあげて欲しいなぁと……」

 

 

 月陽は俯き加減で、兄のオイタを許して欲しいと懇願する。

 

 

 月陽のひた向きな態度に、ピンク髪の女の子は態度をだんだんと軟化し始める。

 

 

 と、其処に、女の子の軟化に拍車を掛ける様に、大和達に援軍が加わった。

 

 

「ほら、その子もこう言ってるんだし、許してあげたら?態とじゃないんだし」

 

 

「あ、雪乃……、でも、気持ちの整理が……」

 

 

「「え、誰?」」

 

 

(って、よくよく見て見ればTFに出て来る藤原雪乃とツァン・ディレじゃねーか!?何故、こんな辺鄙な所に……何故、この世界に居るし?……ああ、イレギュラーって奴かな?そもそも俺がこの世界に居る時点でイレギュラーなんだし、何があっても不思議ではないか……)

 

 

「私?其処に居る子の友人で、藤原雪乃よ」

 

 

(やっぱり……)

 

 

「あ、そうなんですか。(むぅ、どっちも胸が大きい……)助け舟有難う御座います」

 

 

「いいのよ。何時までもその調子だと周りにも迷惑かかるし、何より面倒じゃない?ほら、許してあげたら?」

 

 

「むぅ、雪乃が其処まで言うなら……アンタ!妹と雪乃に感謝しなさいよね!此処で手打ちにしておいてあげる」

 

 

「はは~、寛大な処置有難うございます」

 

 

 そして、ずっと土下座してた大和は立ち上がり、妹と雪乃に感謝した。

 

 

「えっと、月陽と……藤原さんだっけ?庇ってくれと有難う御座います」

 

 

「いいのよ、ボウヤ。フフフ」

 

 

「全く、気を付けてよね?大にぃ」

 

 

「……はい(にしては、事の成り行きを面白がってニヤニヤと見てませんでしたか?)」

 

 

 其処へ、月陽が鶴の一声を上げる。

 

 

「あ、そうだ!じゃあ、あの、私達これから、お昼に行く予定だったんですけど、一緒にどうですか?さっきの詫びも込めて奢りますけど……兄が……」

 

 

「え?何?」

 

 

 いきなりの晴天の霹靂に、大和は間が抜けた声をあげて、直ぐに抗議しようとしたが、自分の所為だったという事を思い出し、じゃあ、しゃーないかと諦め、大和は抗議の言葉を飲み込んだ。

 

 

「フフ、そうねぇ、じゃあ私はお呼ばれしようかしら。ツァンはどうするの?」

 

 

「ボ、ボクも行くわ!野獣の前に雪乃を一人にしておけないし……」

 

 

「ひでぇ、野獣扱いっすか」

 

 

「五月蠅い!あんた何て野獣で十分よ!」

 

 

「グフッ、言葉のゲイ・ボルグが俺の心臓に深く突き刺さってくるぜ……」

 

 

 

 そんなこんなで二人追加して、ファミレスに行く事になった。

 

 

 

 

ファミレスに行く間、大和は女子達3人でくっちゃべっている3歩後ろから歩いていた。

 

 

(蚊帳の外~。つか月陽の奴なんであんなに早く仲良くなれるんだ?コミュの高い奴だな全く……)

 

 

 そんな風に独り言ちていると、何故か雪乃が話し掛けて来た。

 

 

「フフ、さっきはとんだ災難だったわね?」

 

 

「あ、ああ、まぁね……それで俺に何か?あっちで同性同士で話してればいいだろ?」

 

 

「連れないわね~。私は、ボウヤとも話してみたかったのよ?」

 

 

「ボウヤ……ね……(最初はやっぱそういう呼び方になんのね。それにしても、色っぽい声だ……)。それで、何を話すんだ?」

 

 

 大和の顔色を覗き込んで来み、色っぽい声で聞いて来る雪乃にドギマギさせられ掛けるが、大和は平静を装い応える。

 

 

「ボウヤは、試験デュエルの時にスピリットモンスターを使っていたわよね?」

 

 

 雪乃は唐突に、試験の時のデュエルについて聞いて来た。

 

 

「は?俺の試験の時のデュエル知ってんのか?」

 

 

「ええ、見てたもの」

 

 

「そうかい。それで、俺がスピリットを使ってた事で何か思う事でも?」

 

 

「そうねぇ、珍しいってだけでなく、中々面白いデュエルをしてたから、ちょっと気になったのよ。そ・し・て……ボウヤ外で、須乃宮さんとタッグデュエルしてたでしょ?」

 

 

「む、アレ見てたのかよ……」

 

 

「ええ、一部始終ね。ボウヤ、デュエルだけじゃなくて腕っ節も強いのね」

 

 

「まぁ、あれぐらいは……な。偶々だ。それよか、須乃宮さんの事知ってんのか?」

 

 

「ええ、デュエルの実力もありながら、異性からの人気も多いみたいよ?」

 

 

「だろうな。ちょっとだけパートナー組んでみて分かったけど、かなりの実力者だったね。まだ、余力も残してたみたいだし。それに、あの容姿だったら、男受けするのは間違いないでしょ。そういう、ああ、藤原さんもかなりの実力があって、人気も高いんでしょ?カリスマ性ありそうだし……」

 

 

「さぁ、どうかしらね?ボウヤの想像にお任せするわ。でも、褒め言葉として受け取っておくわ。フフ」

 

 

 大和の含みを持たせた少し意地の悪い問い掛けだったが、雪乃は特に膠も無く応える。

 

 

(ヤレヤレ、困ったな……。まじまじと見れば、綺麗だし可愛いし、スタイル抜群だし、言動や一挙手一投足、纏う雰囲気がいちいちエロいし、思わず垂涎したくなるけど、オモチャを前にした子供の様に品定めされている感じが、俺の危機的センサーに反応してどうも身構えちゃうんだよなぁ~。油断してると色っぽい雰囲気から調子崩されかけるし……。だから、雪乃の方は極力見ない様にしてるけど、沈黙が怖い……)

 

 

(一目見た時から、何か感じる物があったけど、話してみて、他のボウヤとは一線を画すものがあるのは確かね。私の容姿を自慢するわけではないし、私自身が意図的にそういう間違われやすい素振りをするけど、私と会う殆どの人は肢体をじろじろ見て来るか、歯が浮くような台詞でナンパしてくるか、私の言動にモジモジさせてる事が多いけど、このボウヤはどれにも当て嵌まらないみたいなのよね。一応、一目か二目見て来る事はあったけど、それは最初だけ。後はこっちを見て来ないのよね。正直、女としてはちょっと悔しいものがあるけど、人としては高評価かしらね?)

 

 

 大和と雪乃の二人の間に、妙な雰囲気を纏いながら、牽制し合っていると、突然ツァンが割り込んで来て、雪乃を大和から遠ざけた。

 

 

「ちょっと、アンタ!何雪乃に近付いて話し掛けてるのよ!早く離れなさい、野蛮人!」

 

 

「あ~、ハイハイ、言われなくっても離れますよ~(言われ方は酷いが、ナイス割り込みだツァン。それにしても、野獣から野蛮人にクラスチェンジしたな。良いのか悪いのかは分からんけど、獣よりはいい方なのか?)

 

 

「フフ、気付かれちゃったわね~」

 

 

「まぁ、その子の言う通り、俺と話してないで、同性同士で和気藹々してた方がいいだろ?」

 

 

「あら、振られちゃったかしら?」

 

 

「いえいえ、なかなかお目にかかれない美人さんですから、俺も舞い上がっちゃいましてね?俺の様なボンクラには、話し掛ける事すら憚れますよ~」

 

 

 若干皮肉ってる感があるが、大和の言う事は一応は本当に思った事だ。

 

 

 そして再び、大和と女子3人との間が開き、大和は3人の後を付いて来る様な形の態勢になった。

 

 

 しばらく歩いていると、珍妙な男が一人突然現れ、立ち塞がった。

 

 

 その男の容貌を見てみると、銀髪オッドアイでイケメンだが何処か不自然で、少女漫画に出て来そうな鋭角な顎が目を惹き、身長は高いがキャプ翼の様な等身という奇抜な格好をした容貌の男が女子3人に話し掛けていた。

 

 

(なんだあれ?イケメン?だと思うけど、総じてバランスが悪いというだけでなく、色々とツッコミどころ満載な気持ち悪さだし物凄く係わりたくないんだけど……)

 

 

「なぁなぁ、君達って藤原雪乃とツァン・ディレだろ?君の事は分からないけど、君も可愛いね~」

 

 

 イケメン(笑)とはいえ、いきなり現れた男に、とおせんぼを喰らった彼女達は、傍から見ても不機嫌といえる顔とオーラが窺える。

 

 

「は?いきなり何なの?気持ち悪いんだけど……」

 

 

「私達の事を知っているみたいだけど、私はボウヤの事知らないわよ?それと、ボウヤが私達を知っているとしても、私達はボウヤの事を知らないのだから、呼び捨てにされるのは不快よ?初対面の人にはせめて『さん』を付けなさい。それがマナーというものよ?」

 

 

「何よアンタ?気持ち悪いわね……気味も悪いし……」

 

 

 案の定、彼女達は不快の言葉を示す。

 

 

「君達は有名だからね。僕を知らないのは無理ないけど、まぁ、其処はおいおい知って貰えればいいさ。僕の名前は薬師寺万里《ヤクシジ・バンリ》以後宜しく~!それと、君も自己紹介して貰えないかな?」

 

 

 薬師寺万里と名乗る男は、彼女達の言葉を全く気にする事なく満面の笑顔を浮かべて、歯をキランと光らせた様な仕種で、自己紹介をし、更に月陽についても知りたそうに聞いて来た。

 

 

「話しが繋がってないんだけど……。私は教える気はないのでパス」

 

 

 見ず知らずの男に名前を教える気はない様で、月陽はきっぱりと拒否の言葉を示す。

 

 

「要するにナンパという事でしょ?私は、ボウヤの様な男は嫌いなの。他を当たりなさい」

 

 

「アンタの魂胆は見え見えよ!アンタみたいな男に誰が靡くもんですか!?」

 

 

 こんなに言われてるのにも係わらず、薬師寺万里と名乗る男は気味の悪い笑顔を崩そうともしない。

 

 

「まいったな、全員ツンデレかぁ……。まだ、好感度がちょっとだけ足りないみたいだね」

 

 

 女子3人の言葉をどう理解したら、そういう結論に達せるのか全く意味が分からない。

 

 

 好感度があったとして、薬師寺についてはよく分からないが、女子3人には初対面で好感度0もいい所なのに、何故「ちょっとだけ」と自身あり気に言えれるのか、さっぱり理解出来ない。

 

 

「ハァ、どうやったらそんな自己完結出来るのか不思議だわ~。ある意味清々しいけど……。さて、あいつには係わるなと、俺の中で警鐘鳴らしてるけど、黙って待ってても長引きそうだし、割って入らないと駄目かね~?しゃーない、行くか……」

 

 

 そう独り言ちると、大和は、騒動の中心に向かって歩き出し、彼女達と男の間に割って入った。

 

 

「はい、STOP、其処まで~」

 

 

「あ、大にぃ!入るの遅いよ!」

「あら、ボ、じゃなくて大和、遅いじゃないの」

「何よあんた!見てたんなら早く助けなさいよ!」

 

 

「勝手に追っ払うかなぁと思ってな……(なんか雪乃からの呼ばれ方がボウヤじゃなくて大和になってるんだけど、まぁ其処はどうでもいいや)」

 

 

「なんだ貴様!?僕のスイートタイムに入るとはいい度胸だな!?」

 

 

「意味が分からん。スイートタイム(笑)って……、そんな云々の前に彼女達が嫌がってんじゃねーか。見て分からんの?」

 

 

「ふん!凡百な貴様には出来るまいよ。高身長、イケメン、才能溢れたこの僕の誘いを断る理由が無かろう?」

 

 

「(何、その自身?つか、自分でイケメンとか言うなし。はっきり言って不自然過ぎて気持ち悪いからな?)と、言っていますが、どうですかぁ?」

 

 

 彼女達の方を向き、聞いてみた。

 

 

「私は断固拒否」

「当然、私も拒否よ」

「ボクは、あんな奴絶対嫌よ!」

 

 

「って言ってるけど、断られたみたいだが?」

 

 

 3人に断固拒否され、薬師寺は一瞬慌てるも、直ぐに平静を取り戻し、見当違いな事を言い出した。

 

 

「そ、そんな訳がない!彼女達は人前で照れて素直になれないだけだ!大体、貴様は彼女達とはなんの関係もないのに、何故割り込んで来る!」

 

 

「いろんな意味でおめでたい頭だ事。言っておくが、俺は彼女達とは無関係じゃないぞ~。一人は俺の妹で、他はその友人達だ」

 

 

「ハァ?その可愛い子が貴様の妹だと?ハッ!馬鹿も休み休み言え!そんな事あるわけないだろ!?そうだよね、可愛い子ちゃん?」

 

 

薬師寺は一切信じなかった。

 

 

「残念でした!私は、れっきとした其処に居る兄の妹だよ!というか、可愛い子ちゃんとか言うなし!気持ち悪っ!」

 

 

「くっ、可哀そうに……本当は違うのに、この野郎にそんな事を言わされてるとは……なんて鬼畜野郎なんだ!」

 

 

 それどころか、薬師寺の目には無理矢理言わされている風に映ったらしい。

 

 

「否、本当の事だよ!?大体、初対面なのに、どうしてそういう事が言えるのさ!?」

 

 

「くっ、此処まで洗脳されているか……」

 

 

 どう見ればそういう極論が出てくるのか、さっぱり理解出来ない。

 

 

「話しを反らさないでよ!洗脳って……」

 

 

「チッ、もっと問い詰めないといけない事がありそうだ」

 

 

 月陽の反論は、薬師寺にとって都合の悪い言葉は耳に一切入らないらしい。

 

 

「不本意だが一万歩譲って貴様の妹だとしよう。では何故妹ちゃんは友人達といるのに貴様も居るのだ!?シスコンのストーカーか!?」

 

 

「(頭と目がバグり過ぎて怒る気にもなれん……)そりゃ、妹と一緒に出掛けようって事になって、その途中で偶然会っただけの事だ」

 

 

「奴の言っている事は本当かい?雪乃さん、ツァンさん、妹ちゃん?」

 

 

 大和の言っている事が本当かどうか、薬師寺は彼女達に真実を聞いてみた。

 

 

「そうだよ!兄の言ってる事は本当の事だよ。後、気安く妹と呼ばないで!」

 

 

「そ、そうよ!そいつの言ってる事は本当よ?それと、さり気無く名前で呼んでるけど、気易く名前を呼ばないでくれる!?」

 

 

「ええ、大和の言う事は間違いではないわよ。後、私もボウヤに名前を呼ぶ事を許可した覚えはないわよ。そ・れ・に、一つ言っておくけど私は彼と付き合っているわよ?」

 

 

「嘘だっ!そんな事ある筈がない!」「ハァッ!?」

 

 

 

 雪乃の爆弾発言に、薬師寺は強い反応を示した。

 

 

 

 同時に、大和にとっても寝耳に水だった為、驚きの声を上げたが、薬師寺の声の方が大きく、大和の驚きの声が掻き消された。

 

 

 

「態々、嘘を言う必要ないでしょ?だったら、証拠を見せてあげましょうか?」

 

 

 

 雪乃はそう言って、徐に大和の腕を取ると、その豊満な胸を押し付ける様にして腕を組んだ。

 

 

「「「雪乃!!!?(さん!!!?)」」」

 

 

 雪乃の大胆な発言と行動に、薬師寺だけでなく、さっきの雪乃の発言も相俟って、更に大和、月陽、ツァンも驚いた顔を見せる。

 

 

 まぁ、薬師寺と、月陽、ツァンの驚き方は半分違う種類の様だが……。

 

 

(む、胸の感触が……じゃなくて、此処は演技をしろって事か?)

 

 

「どう?これでも、嘘だと思うかしら?それと、まだ名前で呼んでるわよ?」

 

 

「まぁ、こういう事だから諦めたら?」

 

 

 ようやく、薬師寺の感情が揺れ動いた様だ。

 

 

「う、嘘だ、そ、そんな事ある筈がない!そうだ、こうなったら、貴様!デュエルだ!僕がデュエルで勝ったら、ゆき、藤原さん達から離れて、僕が藤原さん達を貰う!」

 

 

「デュエルするメリットが俺に物凄くないんだけど、そんな戯言がまかり通ると思ってんの?」

 

 

 薬師寺の滅茶苦茶な提案に、大和は即座に却下する。

 

 

「ちょっと待って!達ってボクも入ってるじゃないの!ボクは否よ!」

 

 

「うえ、気持ち悪っ……」

 

 

 ツァンは強く拒否し、月陽に至っては吐き気すら催している模様。

 

 

 しかし其処に、雪乃がある提案をした。

 

 

「それは、ある意味いい考えかしらね。彼ににデュエルで勝つことが出来れば、少しは考えてあげるわよ?ただし、負ければ、一切私達に係わらないで頂戴ね?私達から半径30メートル以内に近付くのも、駄目よ?それが、呑めれば受けてあげるわよ?」

 

 

(おいおい、その理論だと、勝ったとしても、飽くまで考えるだけじゃん。リスクがべらぼうに高いし、ハイリスクノーリターンもいい所だな。流石に受けないだろ?)

 

 

「分かった、それでいい!」

 

 

(マジで!?受けたぞ!?何、やっぱり頭バグってんの?アホなの?馬鹿なの?死ぬの?)

 

 

 大和は驚いているうちに、あれよあれよと事態は進められた。

 

 

「じゃ、宜しくね?期待してるわよ?勝てたら後でご褒美あげるわよ?」

 

 

「今の大にぃなら、大丈夫だと思うけど、あの人得体が知れないから気を付けてね?」

 

 

「ふん!精々頑張りなさい!」

 

 

 等と、励ましの言葉を頂きました。

 

 

「ハァ、其処まで言われればしゃーないからやるけど、その前にデッキはあるんだが、俺今日デュエルディスクを持って来てないんだけど?」

 

 

「あ、私持ってる!ハイ」

 

 

「おお、悪い月陽。さて、面倒だけど適当に頑張りますか……。なぁ、月陽、どのデッキがいい?」

 

 

「あら、スピリットではないの?」

 

 

「うん。残念ながら今日はスピリット持って来てないんだよね~」

 

 

「あら、そうなの?スピリット以外じゃ、他にどういうデッキ持ってるか楽しみね」

 

 

 雪乃は試験の時にスピリットしか見ていない為、大和が他にデッキを持ってる事を知り、興味を示した

 

 

「スピリット?大にぃってスピリット使ってたっけ?」

 

 

 逆に、月陽の前ではスピリットデッキを使っていなかった為、月陽はスピリットに興味を示した。

 

 

「まぁ、試験の時にな……」

 

 

「ふ~ん、今度それで私とデュエルして貰うから」

 

 

「はいはい。それで、話しを戻すけど、結局、どのデッキでやろうか?」

 

 

「そう言われても何を持って来てるか知らないし……」

 

 

「じゃあ、1~5の中で好きな数字を選んで?」

 

 

「え、なんで?」

 

 

「いいから」

 

 

 月陽は少し考えて、数字を言う。

 

 

「じゃぁ、1で」

 

 

「分かった」

 

 

 そして大和は、リュックからストレージケースを取り出し、一番左端のデッキを取った。

 

 

「ああ、このデッキか……」

 

 

「え、何々?」

 

 

「お前と連戦した時の最初のデッキ」

 

 

「うわぁアレかぁ……」

 

 

「因みに、あの後にちょいっと弄ってある」

 

 

「そうなんだ……じゃあ、このデュエル大丈夫だね」

 

 

 そして大和は、デュエルディスクにデッキをセットして、薬師寺と対峙した。

 

 

 

 

 

「月陽、結局大和はどういうデッキなの?」

 

 

「派手さはないけど、嫌~なデッキだよ。私としては、もうあのデッキとはあまりやりたくないかな?」

 

 

「そんなに?」

 

 

「ツァンさんは試験の時に、兄のデッキ見てませんか?」

 

 

「ボクはその日の試験デュエル見に行ってなかったから……」

 

 

「惜しかったわね~。あのデュエル見てれば大和に対する態度も少しは軟化していたかもしれないのに……」

 

 

「い、今更遅いわよ!でも、丁度いい機会だから、アイツを見極めてやるわ!」

 

 

 そして女子3人は、そのデュエルを見守った。

 




という事で、雪乃とディレにヒロイン決定しました。

雪乃とディレは友人ポジションにしてあります。

それにしても、雪乃とディレの口調ってこれで良かったんだっけか?

若干、曖昧だなぁ……。ちょっと口調が辺でもあまり突っ込まないで下さいね~。


そして、転生者の登場です。所謂、テンプレの神様転生って奴ですね。

まぁ、ただのよくある踏み台転生者ですけど……。

逆にこの踏み台転生者のデッキをどうしようか迷いましたね。

弱すぎてもダメだし、ガチ過ぎると絶対勝てなくなるし……、色々悩みましたが、決めてはあります。

ああ、シンクロ、エクシーズはしませんよ?それでも普通にやれば強いデッキですよ。

次の回にそのベールが現れるでしょう。では、また次回。
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