トントントン…。
仕事を終えた提督が今宵も台所に立つ。提督食堂の基本的なメニューは豚汁とご飯、自家製白菜の漬け物。このシンプルなメニューが戦闘で疲れた艦娘達に好評である。鎮守府内部には間宮や鳳翔が営む食堂があるが…。夜遅くには閉まってしまう。その為、提督食堂が開いているときには艦娘達が集まってくる。
ボーン…。
柱に掛けた時計が9時を知らせる。ラジオからは高度経済成長期の歌謡曲が流れている。大抵、混み始めるのは大抵12時を過ぎてからだ。今日は金曜日。昼間の演習を終えた艦娘達が多くやって来る日だ。
ガラガラガラ…。
「じゃーん!提督!今夜は来てあげたわよ~!」
人気のない食堂の静寂を破るかのように雷が入ってきた。風呂上がりなのか首にタオルを下げて私服姿である。その後ろから「提督?空いているのですか?」と電 暁 響が入ってきた。
「提督!いつものちょうだい~!今日は演習でS勝利だったんだから 」と、雷が声をあげる。飲み物は各自でケースから取り出して料理ができるまでしばし待つ。四人が盛り上がっている頃、提督は台所で料理を作る。
トントントン…。
ジュワァ~
雷達、第六駆逐隊の4人が頼むものはいつも決まって赤いウインナーを塩で炒めた物だ。それもタコさんウインナーだ。 それを4人で分けあって食べている。
「はい。お待ちどうさま。」提督が赤ウインナーを出すと早速雷は食べ始める。
「やっぱコレよねぇ~一週間の締めは 」
「やっぱり提督さんのシンプルだけど赤ウインナーはとても美味しいのです。」
「暁はソーセージがタコの形で、よ、喜んだりしないんだから~ 」
「хорошоこいつはいい塩梅だ。」
と、それぞれ感想を口にする。提督がこの場所に小さな食堂を開いたのは2年前だ。当時、深海棲艦との戦闘が勢い増しており戦闘で負傷する艦娘も多く出ていた。その為、提督は艦娘達の現状に触れるべくお店を出すことで現実を知ろうとした。勿論、艦娘達の愚痴も聞くことになったのだが…。これにより鎮守府の士気は向上した。雷がやって来たのは一年半前の冬。提督がお店を開いていると聞き付けてやって来た。外見が思いっきり居酒屋なので駆逐艦達には敬遠されていたのだが思いきって入ってみたのだった。そこでは提督が豚汁定食を作り振る舞ってくれた。雪が舞い散る寒い冬の夜の事だった。熱々の豚汁定食と一緒に振る舞ってくれたのが赤いタコさんウインナーだった。提督は前もって鳳翔さんや間宮さんから艦娘達の好きなものについて聞いていたのである。
「て、提督?これって…。」
「タコさんウインナーだよ。駆逐艦の子達には人気なんだろう?」
「う、うん。」と照れながら口にする雷。鳳翔が作るタコさんウインナーと違い男気溢れる大雑把な形と塩気の強い味は、演習の後の塩分を補給しご飯にあう味付けだった。
「提督って、料理できたんだ。」と感心する雷に提督は「まぁね。昔、給養科だったからねぇー。料理はそこそこできるよ。」
「へぇ、そうだったの。知らなかった~」
時間も早く一対一で雷と話ができたのは久しぶりの事だった。戦闘の話や同じ部隊のメンバーの話など様々な話をしてくれた。そして、雷は時々顔を出すようになった。そして、雷から話を聞いた他の駆逐艦達も顔を出すようになり提督との深い絆を結ぶことができるようになった。
「ふぁわ~。今日の演習の相手は強かったなぁ~。つぎの演習は私が旗艦を務めるからね。」と、雷。
「え?あ、もぅ、私にも努めさせてよぉ」と暁が嘆く。「だって暁、今日は旗艦務めてたけど最後は混乱して魚雷を全門斉射しちゃったじゃない。」
「あ、うぅ…。」と、凹む暁。
「暁、魚雷全門斉射しちゃったのかい!?」と、驚く提督。
「あれは危なかった。下手したら双方全滅してたよ。」と、トーンを変えずに淡々と話す響。
「確かに、いきなり全門斉射は危なすぎるのです…。」と電。
「というわけで、次回の演習は私が旗艦を務めるからね~ 」と、雷はソーセージをくわえながら話す。みんなで食べるソーセージは格別に美味しい。第六駆逐隊のメンバーが笑いながら話していると先に入っていた他の艦娘からも注文が入る。そして、ソーセージが焼き上がるいい薫りを漂わせながら提督食堂の夜は更けていく。
こんばんは。急行奥秩父です。早速ですが、赤ウインナーって昭和レトロでいいですよねぇ~♪あれがお弁当に入っているとなんだか嬉しくなりますし。タコさんウインナーって、思ったより作るの難しくないんですよね。ソーセージの下半分を十字に切れ目を入れるだけで簡単ですね。第六駆逐隊のメンバーが喜んでましたが、赤いタコさんウインナーを見て喜ぶ人は、多いんじゃないでしょうか?私も正直入ってるとちょっと嬉しいです( ´∀`)