「雨は…。いつか止むさ。」
梅雨時の鎮守府で窓の外を見ながら呟く。外は梅雨特有のしとしと雨だ。
「提督。こんばんは。」
「おや?時雨しゃないか。珍しいな一人で来るなんて…。」夜9時過ぎ、時雨が珍しく一人でやって来た。
「夕立達は早朝から射撃演習だからね。」
「そうか。今日は静かになっちゃうなぁ()」
提督の言う通り、今宵の提督食堂はなんだか静まり返っている。普段は川内達や金剛達が来て賑やかなのだが…。たまたま今夜は、遠征や休暇が重なり外泊している艦娘が多かった。
「静かだね。提督と二人きりだなんて久しぶり。」
「そうだなぁ…。時雨とは長い縁だけど、このところなかなか時間が合わなかったからなぁ~f(^^;」
時雨はこの鎮守府に勤めている艦娘の中でも吹雪の次に古参であり、既に改二になっている。普段は白露型駆逐艦の一員として白露や夕立達と共に過ごしたり、同じ西村艦隊の山城や扶桑の将棋相手をしている。(負けが多い山城達に時雨がアドバイスすると、勝てるという謎の法則があるらしいが…。)
「ところで時雨?何を食べるかい?」提督が尋ねると、時雨はメニューを一通りみて指差した。
「提督。これを。」
「あいよ。」
トントントントントン…。ジュワァー…。
醤油が焦げる香ばしい香りが店のなかに漂う。そして…。
「はい。鳥のからあげ定食。お待ちどおさま。」
目の前に出されたのは、こんがりきつね色に揚がった鳥のからあげだ。時雨は「いただきます。」と呟き、まずはそのままからあげにかぶりつく。
サクサクの衣の中から、鳥肉のジューシーな肉汁が飛び出してくる。ほんのり生姜醤油が効いたからあげはご飯のとてもよく合う。二個目は添えられたレモンをさっとかけて。レモンの香りをアクセントに加えてさっぱりと。
「時雨は鳥のからあげ好きだよなぁ~。」と提督。
「はじめて食べたとき、こんなに美味しいものがあったなんてとても驚いたし。何しろ、この鎮守府がまだ小さいときによく提督が作ってくれたから…。思い出の食べ物だよ。」と、少し照れながら時雨は答えた。そして、三個目は添えられたマヨネーズを少し付けて食べる。マヨネーズの濃厚な味わいにからあげの生姜の香りが加わりご飯がすすむすすむ。気づけばあっという間に食べ終えてしまった。
「ふぅ、提督。ごちそうさまでした。」最後にお茶を飲みながらごちそうさまをする時雨。
「時雨は本当に何でも美味しそうに食べるよな。食べ物達も喜んでいるよ。」と、提督。
「ハハハ。美味しく食べなきゃ、命をくれた食べ物達に悪いからね。」
「そうだよなぁ~。時雨はいいこと言うよ。」
と、提督と時雨の話は盛り上がり夜遅くまで続いた。
お久しぶりです。急行 奥秩父です。ちょっとこのところ忙しくて執筆している暇がありませんでしたf(^^;楽しみにしていた方、すみません。今回は白露型駆逐艦の時雨の話を書いてみました。鳥のからあげにしたのは、なんというか…。時雨に美味しいものを食べさせてあげたいなと思い、最近鳥のからあげ食べてないなと思ってこのメニューにしてみました。鳥のからあげって、たまに食べるとすっごい美味しいですよねぇ~♪揚げたての唐揚げにレモンをさっとかけて食べるのが私の好きな食べ方です。サクサクの衣に生姜醤油とレモンの香り…。あぁ、想像しただけでよだれが…。