ボーン…。
店の柱に掛けてある時計が深夜0時を伝える。鎮守府の皆が寝静まった頃、店に秋月が入ってきた。
「提督。こんばんは。…ご飯ある?」
と、飯が残っているか尋ねてきた。
「残っているけどどうした…?」
提督が尋ねると秋月は「今夜は夜勤なのよ。それで、おなか空いちゃってf(^^;」と答えた。「今日は、牛缶あるけど…食べるかい?」提督は台所の棚の中から牛缶を取り出した。秋月はそれを見る「…うん。」と静かに頷いた。
トントントン…。
「お待ちどおさま。」提督は牛缶を温めてお皿に盛り付け、塩結びと豚汁を共に出した。
「いただきます。」手を合わせてひと言呟いたあと、静かに秋月は食べ始めた。「…夜勤の仕事はどうだい?」と提督は訊ねた。「今夜は鎮守府内部の見回りだからそんなに苦じゃない。このあと、大淀さんと一緒に見回りなの。」
「そうか、気を付けてな。」提督はタバコに火を付けながら話す。普段はあまり吸わない提督だが、店を開けた日の夜は決まって1本吸っている。
「それにしても、この塩結び。美味しいね。なにか秘訣があるの?」
「ああ、かまどで炊いたご飯だからね。大淀の分も握ったからあとで持っていくといい。あいつには鎮守府の経理をいつもやってもらってるから…。」
「…今日はありがとね。」秋月は一旦箸を止めてお礼を言った。
秋月は一ヶ月ほど前に鎮守府に着任したばかりだった。防空駆逐艦という駆逐艦の中でも防空に特化しているため異色の存在だ。そんな秋月が好きなものは牛缶と塩結び。何時もやって来るとコレを必ず食べている。戦時中の艦の時、食料不足から缶詰飯が多くなっていた。そんな中でもとくに人気のあったのは牛肉の缶詰だった。赤身の部位を使っているため栄養価が高く、濃い味つけは麦飯によく合ったという。さすがに缶詰のままじゃ可哀想だから、店では温めてから白髪ネギを乗せて輪切りにした韓国産の辛味の少ない赤唐辛子をほんの少し乗せている。それに塩結びと日替わりの漬け物を出している。秋月型を始めとする終戦間近に誕生した艦娘には人気のメニューであり主食としての他、特に初月なんかは牛缶を肴にハイボールを呑むことが流行りのようだ。
「ごちそうさまでした。」手を合わせてひと言呟く秋月。
「じゃ、提督。お勘定。」
「あいよ。」
勘定を終えた秋月は見回りの集合場所へと向かっていった。今夜は綺麗な満月だ。秋月という名前の通り、美しい月の光が辺りを照らしていた。
突然ですが、缶詰ってたまに食べると美味しいですよねぇ~♪私もこの前コンビーフを久しぶりに食べておいしかったです。牛缶詰は戦時中の貴重なタンパク源でした。秋月型が登場したときは食料不足が慢性化してきており、十分な食事が取れなかったと聞きました。その頃の高級品である牛缶とコラボさせる艦娘は誰がいいかな?と思い出てきたのが秋月です。劇中では白髪ネギと赤唐辛子を添えていますがこれはこれで美味しそうです。今度、戦時中の牛缶定食ってやってみようかな?と思う今日この頃です。