「なんだよー。あたしも忙しいんだけど。」
ここは艦娘達が共同で使う浴場。毎日交代で掃除が行われているのだが…。
「敷波~手伝ってぇ(泣)」
「白露、自分でやらなきゃダメっぽい~」
と、白露が悲鳴をあげていた。ちょっとした大きな旅館の大浴場と同じくらいの広さがある浴場は、掃除するだけでも一苦労だ。4人一組で清掃しているのだが、手際のいい艦娘と手際の悪い艦娘で大幅に清掃時間が変わってくる。今日の清掃担当は白露型の4人組 白露 時雨 村雨 夕立だ。その中でも白露は掃除が大の苦手。時雨と一緒の自室でも散らかり放題の有り様で、時雨がいつも片付けや部屋の整理整頓をしている。そんな白露が今日の掃除場所を決めるじゃんけんをした際に、一番めんどくさい風呂桶とイスを洗い磨きの担当になってしまったのだ。沢山ある風呂桶を洗うのがめんどくさくなり、たまたま通りがかった敷波に助けを求めたのである。
「全く、これじゃお湯を入れられないじゃん。」
と、あきれ顔の敷波。
「ふぇーん(泣)」
と、半分泣き顔の白露を見て、敷波はしょうがないと思い風呂桶を洗い始める。
「敷波ちゃん、洗うの早いねぇー。」
と、村雨。言葉の通り、白露が残していた風呂桶やイスを一人であっという間に洗い終えてしまったのである。その手際のよさから、なぜか掃除の時は鎮守府の色々な所から呼び出しが掛かる敷波。当の本人は「結局、あたしの出番かー。」と、愚痴を言いつつも本人も掃除は好きなようで自分から率先してやっている。そんな敷波が提督食堂でよく食べるものがある。
「おっ。提督?いつものコロッケある?」毎週土曜日、敷波は毎回やって来てポテトコロッケを注文する。
ジュワァー
「はい。おまたせ。」
こんがりきつね色に揚がったポテトコロッケは提督食堂でも人気のメニューだ。特に駆逐艦達から絶大な好評を得ており、おやつ代わりや惣菜。なかにはコロッケパンにして食べるなど色々な食べ方がある。沢山の食べ方がある中、敷波はシンプルにそのまま揚げたてを食べるのが好きである。
「ん~。おいひぃ♪」
サクサクの衣の中から熱々ホクホクのじゃがいもが出てくる。ほんのり塩味の効いた中にじゃがいもの甘さが絶妙のバランスを取り美味しい。
「敷波、コロッケ好きだねぇ~♪」
と、感心する提督。敷波は、
「だって、お腹すいたときにはちょうどいいし。これが一週間の楽しみなんだからさぁー。」
と、話しつつコロッケを食べ進める。
「ふぅ、食べた食べたぁ。」いつもは一つだけ食べるのだが、今日はお腹が空いていたのか三つも食べた敷波。「やっぱ、提督の作ったコロッケが一番好きだなぁ~♪」と、ボソッと呟く敷波に提督は…。
「ん?なんか言ったか。」と声をかける。すると…。
「な、なんでもないよ!」と、照れ顔になる敷波。「ごちそうさまでした!」と、駆け足で店を出ていく。「…あいつ、本当にうちのコロッケ好きだよなぁー。」と、呟きつつテーブルを拭く。一方の敷波は顔を真っ赤にしながら月明かりに照らされた埠頭を走っていくのだった。
今回は敷波の話を書いてみました。敷波って、さっぱりしたところがある一方で…。なんかちょっかい出したくなるような艦娘ですよね(笑)地味な護衛任務が多かった彼女は掃除とか細かいことが好きなんじゃないかな?と思い今回の話を書いてみました。劇中に出てきたポテトコロッケ…。特に精肉店で作ったポテトコロッケって、ラードの薫りがついてサクサクホクホクで美味しいですよね。そんな、昭和レトロなコロッケってけっこう好きだったりします。最近、コロッケ食べてないなぁー。