提督食堂~艦娘達の憩いの場~   作:秩父快急

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暁~プリン~

「暁は、ちゃんとしたレディなんだから!!!」

 

 ある日の昼下がり鎮守府に暁の声が響き渡った。事の発端はお昼に出たラーメンのネギだった。

 

 (…ネ、ネギが入ってる(・・;))

 子供なら大抵は嫌がるであろう、ラーメンのネギ。もちろん、暁の苦手な食材だった。普段、お昼のラーメンを作ってくれているのは鳳翔で、暁に頼まれてこっそりネギを抜いて居たのだが…。今日は誤って乗せてしまったらしい。暁がネギ嫌いなのは第六駆逐隊の秘密なのだが、その秘密が叢雲にバレてしまったのだ。

「あんた、もしかしてネギ食べれないの?」

「うっ…。」

「叢雲ちゃん、ちょっと言い過ぎだって…。」と、磯波が制止に入るが

「レディなら食べられるわよね?好き嫌いはダメよ。」

 という一言が暁に命中した。この事がきっかけで叢雲と口喧嘩になり、やけくそになった暁はネギを一気に食べて気分を悪くしてしまったのである。

 

 ガラガラガラ…。

 

 夜が更けた深夜0時過ぎ…。夜勤の駆逐艦娘以外はほとんど寝てしまっているこの時間。暁が提督食堂にやって来た。普段なら第六駆逐隊はみんな揃って寝ている時間なのに一人で、ましてやこんな時間に来るなんて異例である。

「暁どうしたんだ?寝れないのか。」

「…うん。」

 暁は半分泣きながら昼間の事を話始めた。

 

「そりゃ、叢雲も言い過ぎだが…。暁も意地を張らないで素直に言えばいいじゃないか。」

「…つい、カッとなっちゃって。」

 と、提督の言葉に同感する暁。

「んで、そのネギはどうしたんだ?」「…食べれた。」

「えっ?」

 暁の意外な発言に驚く提督。叢雲にからかわれた事がきっかけでネギを食べれたらしい。どうやら叢雲は叢雲なりの食育を行ったのだろうか?半信半疑の提督だったが、ネギを食べれたと言う暁を褒めた。そして…。

「ネギを食べれたんじゃ、ご褒美にプリン食うか?」

 その言葉に泣き顔だった暁の顔は一転、キラキラになった。

 

「はい、お待ちどおさま。」

 提督特製プリンは不定期の裏メニューだ。意外と知っている艦娘は少なく、金剛や飛龍などのいわゆる提督ラブ勢位である。今宵の提督食堂は珍しく誰もいないため暁が一個だけあったプリンを食べることが出来たのだ。

 「ネギを食べれたご褒美だよ。暁、叢雲にも言っておくから明日謝りなさい。」

 「ど、どうして私がっ!」

 「叢雲と口喧嘩したままじゃ、艦隊編成にも支障が出るだろ?一緒に釜の飯食う仲間なんだからさ。それにあいつも、言い過ぎたと反省してるだろう…。あいつは見た目と違ってメンタル弱いから…。」

という提督の言葉を聞いて納得する暁。

「分かったわ…。謝るわ。」と、暁はボソッと呟いた。その言葉を聞いて安心した提督は「ほら、プリン食べな。」と、スプーンを手渡す。

「い、いただきます。」

提督特製プリンは卵の濃厚な味にちょっぴりほろ苦いカラメルの味が絶妙に絡まり美味しかった。そこにさっきまで流していた涙の塩味も加わりあまじょっぱいプリンだった。

 「提督…。今日はありがとう。」と、暁。すると、

「暁、こんなところにいたのか。」お店の引き戸を開けて響が入ってきた。「ひ、響!?どうしてここが?」と、焦る暁に響は…。

「珍しく、トイレに起こされなかったから…。ふと、みたら暁が居なかったから探してたんだよ。」

と、同じ部隊の雷電達の事も思い出す暁。

「あ、あのね。提督が一人で寂しそうにしてたからき、来てあげてたのよ。ね、提督?」

と、提督に目線で合図を送る暁だったが…。どうやら響にはお見通しのようだ。

「そいや、響。雷と電は?」

「二人なら寝てるよ。元はと言うと雷に蹴られて起こされたんだけどねf(^^;」と苦笑いの響。

「提督ごめん。暁が迷惑かけただろう…。」

「め、迷惑って響のバカバカァ~ヾ(゚д゚;)」と、ジタバタする暁を腕一本で制止させる響。

「ま、いいさ。」

「よくない!!」

 響の発言に暁が突っ込みを入れるが響は当然、無視(笑)

「というか二人とも、そろそろ寝ないとまずいんじゃないか?」時計を見るともう午前2時だ。

「うっ…。」と、焦る暁。

「部屋に戻るよ。」

と、響が暁を引っ張り連れ出していく。

「あっ、響ちょっと待って。」と、暁が戻ってくる。そして、「プリンごちそうさまでした。」と、提督の耳元で呟いた。

 

 翌朝、叢雲が昨日は言い過ぎたと謝りに暁の所に来た。暁も当然言い過ぎたと謝る。仲直りした二人を提督は影から見守っていた。

 

 

 




 今回は暁とプリンの話を書いてみました。ラーメンのネギって苦手な子多いですよねf(^^;今回のストーリーは私の妹がまだ小学生の時だった頃を思い出しながら書きました。まぁ、私自身も小学生の低学年まではどうしてもネギが食べれなくて苦戦したものです。(未だに苦手な食材あるんですけどね…。納豆とか…。)まぁ、苦手な食材を食べるのって神経使いますが…。案外食わず嫌いだった事もありました。今回の話は暁らしさが結構出せたかなと思っています。背伸びしたがる小さなレディ…。でも、私の鎮守府では見かけによらず対潜の鬼です。(暁って怒った所も可愛いですよね(笑))
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