陽炎と朝雲と風雲って幼馴染属性に近い物を持っている逸材なのに話題になって無さ過ぎて私は悲しい(ポロロン)
書き置きはこれで全部ですかね。以降は忙しいので気が向いたらまったりと投稿していきます。
一日の業務も殆ど終わりへと向かう事が出来、夕食時に近づきつつある時刻に、執務室内でとある問題が発生した。それは――
「だーかーらー!夕ご飯はあたしがやったげるって言ってるでしょ!!」
「今日の夕ご飯は私がやる!!朝雲は秘書艦じゃないんだから、余計な事はしないでいいって言ってるの!!」
二人の艦娘が口論をしているのだ。それも一時間も。
口論をしているのは本日の秘書艦である陽炎と朝雲。本日の夕ご飯は陽炎が作ろうと考えていたようだが、突如朝雲が執務室にやって来て「今日はあたしがやったげる!」と言って来たのだ。
最初こそは、私が、あたしが、と口論とは言わないレベルの譲らなさだったのだが、段々と激しくなり、口喧嘩に発展してしまったのである。
提督も最初は二人に割って入って何とか仲裁しようとしたのだが、二人から「ちょっと黙ってて!!」と強く言われてしまった為、どうする事も出来ない立場になってしまった。
この二人は特別仲が悪いとかそう言う訳では決してない。朝雲は陽炎型全員にちょっとだけ対抗意識があるくらいで、それが人間関係に亀裂を生む位確執がある訳では無い。
では、何が原因かと言うと考えられる原因はそれなりにある。
一つは、二人とも世話焼きな所。かの雷と言う艦娘程では無いが、陽炎は一番艦という事があってか、朝雲はしっかりしたイメージが強い一番艦のいる朝潮型の一人という事であるのか、二人はよく提督の世話を焼きたがる。
そして、二人が口論する原因の大きな一つと言えるのは―――提督が二人とケッコンカッコカリの契りを交わしている事にあるだろう。
詳しい事情は今は省くが、提督は陽炎と朝雲とケッコンをしている。
だからこそ、自分の何かをアピールできる場面ではアピールしたがる。
朝雲は陽炎に対抗意識がある為、尚更だ。
「なーに?料理をする順番はちゃんと決めたじゃない?この前の料理失敗したの?」
「そ、そんな訳ないじゃない?!何となくよ何となく!!とにかく今日はあたしに任せてってば!」
料理を作る順番はケッコンする前から決めてあるので、余程の事情が無い限り代わる事が無いし、代わりたがらないのが二人である。
因みに調理の腕前は陽炎の方が上だ。姉妹達に振る舞っているだけはある。
この場面だけをみると、二人の仲が余りよくないように見えるが、普段は仲が良いのだ。任務中もかなり相性がばっちりだ。遠征でどっちが多く資材を確保できたとかは競い合ったりしているが。
余談だが、二人はちょっとだけ性格と言うか、キャラが被っているのを気にしているらしい。風雲からの情報だ。
どうやって収拾をつけようかと、提督は額に手を置いて頭を悩ませる。
二人の性格はよくわかっているとの自負はある。何せ、陽炎は初期艦で、朝雲は提督としての日が浅い時に着任してきたので付き合いは長い。付き合いが長いからそう言う関係になれたのだとも思っている。
だから、よくわかっているのだ。朝雲が突然言い出すときにはホントは何か理由がある事に。
朝雲は煙に巻くというわけじゃないが、ぼんやりとした理由で世話を焼こうとするように思われるが、彼女なりに世話を焼くときは理由があるのだ。
「二人とも取りあえず落ち着いてくれ」
「司令っ――」
「今は――」
「もう黙らんよ。陽炎と朝雲の事は良くわかってるつもりだ。陽炎、取りあえず朝雲の言い分をちゃんと聞いてみよう。それに朝雲いい加減本当の理由を話たらどうだ?」
提督の仲裁の言葉が聞いたのか、二人の興奮状態が収まった様で、二人は少し距離を取った。
あの状態を放置していたら危なかったと提督は悟る。酷い時は口論から喧嘩になり、執務室が爆発して提督の髪がまりもの様になった事がある。
ある程度落ち着いて来た朝雲はスカートを握りしめて俯き加減にぽつぽつと語る。
「だって…今日の陽炎、調子が悪そうだったし…」
「えっ…うそ…?」
朝雲からの答えが意外だったようで、陽炎は面食らった表情を浮かべる。
提督も陽炎の調子が悪いのはわかっていたので何回か陽炎に休んでも良いと言ったのだが、はぐらかされた為諦めていたのだ。
提督が陽炎と付き合いが長い様に朝雲もまた付き合いが長い。本当は朝雲は陽炎の事を心配していたのだ。
「今日の演習も普段は被弾しない場面で被弾してたし、朝からちょっと無理してる感じがあったし…」
「え、えぇっ!?そんな風にしてた?」
「してたわよ!誤魔化したつもりなのかも知れないけど」
陽炎的には提督以外には誤魔化せたように思っていたようだが、朝雲にはとっくにばれていたらしい。
これ以上は誤魔化すことが出来ないと判断した陽炎はバツの悪そうな表情を浮かべる。
「ねぇ…どうしたの?らしく無いじゃない…?」
「えっと…その…」
「もういいだろ陽炎。無理に誤魔化すのは無理だし言ってくれ」
二人の会話を聞くだけに留まろうとしていた提督だが、これ以上黙秘するのは良くないと判断し、大人しく陽炎に理由を言うように勧める。
陽炎の不調の理由は提督にもある。どちらかと言うと提督は被害者なのだが、一因がある以上自分もすっきりとする意味で、陽炎にはっきりと言って欲しかったのだ。
陽炎は決まりが悪そうに目を泳がせて言葉を選んでいる。
「えっ…と…お…」
「何?何が原因なの?相談ならののったげるわよ?」
「その…ナニが原因と言うっていうか…」
「何なの?はっきり言って!!」
朝雲の鬼気迫る表情に耐え切れなくなった陽炎は、諦めたように笑いながら不調の原因を暴露した。
「司令に昨晩夜這いをかけまして…夜戦をしてしまいました…ごめんね朝雲!!」
どうにでもなれとばかりに無駄に良い笑顔を浮かべる陽炎。その笑顔は朝日のように眩しい。
対する朝雲は一瞬理解が出来ないかったようで呆けた表情を浮かべたが、夕暮れ時の様に安心したような明るさと勝手な事をされたと言う暗さが入り交じった表情で陽炎の胸倉に掴みかかった。
「ちょっ?!どういうことよ!!何かってに夜戦してんのよ!!アンタこの前夜戦してたでしょ!!」
「し、仕方ないじゃない!!ちょっと前まで長期間の遠征でシレイニウムが足りなかったのよ!!」
「司令との夜戦は司令と寝てる時って決めてたでしょ!!それに陽炎は今日夜戦で来たではずじゃない!!」
「そっちは私が居ない間にも出来たんだからいいじゃないの!!」
「それはそうだけど…でもそれとこれとは話が別!!予め言ってくれれば―――」
ケッコンカッコカリした仲ではあるが、提督と一緒に寝れる日は週に限られている。と言うのも、彼女達の姉妹艦が淋しがるからである。なので、姉妹達の時間を大切にして貰うためにもそういう決まり事を提督から使ったのだ。
それで、提督と寝ている時に夜戦をするのだが、昨日は陽炎の姉妹との時間を過ごす為の日だったのに、長期遠征の寂しさが爆発してこっそりと提督の部屋に行き夜戦をしてしまったというわけだ。
陽炎の不調も夜戦による疲れというわけだ。
「結局こうなるのか…」
何となく予想していたが、口論はますます激化してしまった。
昨夜提督が強い意志で陽炎を諭せばよかったのだが、捨てられた子犬の様な表情をされては根負けするに決まっている。陽炎は一番付き合いが長いのでそれがわかっている分、尚たちが悪い。
どうしたものかと再び頭を抱えていると、扉のノックの音が目に入った。
「入ってどうぞー」
入って来たのは三人目のケッコンした仲である風雲である。彼女もまた古参の艦娘である。
「失礼しまーす。提督、陽炎がご飯作る様子が無いから食堂で間宮さんに作って貰おうと思うんだけど――――なにかしらこれ?」
二人の取っ組み合いの口論を眼にし頭に疑問符を浮かべている。
提督は面倒くさそうに事情を説明すると、風雲は小さく頬を膨らませる。
「ふぅーん」
「な、なんだその表情?」
「べっつにぃー。何でも無いわーと」
「はぁ…これ、俺が悪いのか?」
風雲からの抗議の態度に耐え切れなくなった提督は小さくこぼしながらもため息をついた。
「仕方ない、今日こそ決着をつけたげる!!!」
「ふん!!後で泣いて謝っても知らないんだから!!」
風雲に事情を説明している間に二人はどんどんヒートアップしていったらしい。もはや、誰にも止められる勢いでは無い。
二人は舌戦を繰り広げながら、執務室から出て行く。
残されたのは、風雲と提督のみ。
静まり返った執務室で、提督から空腹を思い出したかのように音が出る。
「腹…減ったな…」
「あっ、御飯どうする?」
「うん。食堂で作って貰うか…」
どうせ二人の決闘が終わる頃合いにご飯が出来るだろう。取りあえず、注文して二人の事を待つことにしよう。そのころには二人も流石に落ち着くだろう。
そう思い立った提督は、陽炎の夜這いからの夜戦問題の解決策を思い浮かべる事を放棄して、風雲と食堂に向かった。
その後、決闘は相打ちで終わり、その日の夜に提督は三連戦をする事になるのだが、思考を投げ出した今の提督には予想できない事だろう。
いや、ホントにこの三人の作品増えないですかねぇ…