宿毛泊地の日常   作:謎のks

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宿毛泊地の日常
ここは宿毛泊地


 ― 宿毛湾泊地

 

 四国の海を深海群の脅威より守る為、運営鎮守府の下設立された、対深海群拠点の一つ。

 その正体は、かつて大日本帝国海軍による秘匿兵器「大和」などの主要軍艦の試験運転に使われた。現在はその名を借りて新港に建てられた新設泊地、艦娘たちの拠点の一つ、誰が呼んだか「魔境」または「楽園」。

 

 迫りくる深海群を打倒するべく、提督と艦娘たちは今日も海の平和を守る…!

 

 

 ……・・・はい。

 

 

 皆様、ご機嫌麗しゅうございます。こんなクソ以下な小説をご閲覧頂き有難う御座います、私はこの世界「宿毛泊地」の登場人物たちを面白おかしく紹介していく案内役「ナレーター」というモノです、ま要するに「小説の蛇足部分」というヤツですハイ。

 気ままにつらつらと描いてきた「宿毛泊地シリーズ」…御覧頂きました方も、これから見る御方も、宜しければご視聴下さればこれ幸いです。

 さてさて、ここから見て頂くのは「そもそも宿毛泊地って何じゃい??」という当たり前の疑問を紐解いていこうと…え? 今更? ままま。

 

 …では、宿毛泊地の日常、朝から始まり、ぐるりと夜まで見ていきましょう! …嫌な予感しかしない? 私もです。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 ― マルロクマルマル(午前六時)

 

 

 

 

「…艦隊、総員起こし! 皆さん、起きて下さい!! 朝ですよ?」

 

 艦娘たちの就寝場所、各自の部屋、もしくはシェアルームに設置されたスピーカーからはつらつとした声が響く、この声は宿毛泊地の秘書艦「吹雪」ちゃんですね?

 対深海群人型秘匿兵器、通称「艦娘」、彼女はそんな艦娘たちの中でも「特別」。

 鎮守府、泊地等を設立する際提督に与えられる艦娘…いわゆる「初期艦」ですね? 彼女はそんな初期艦の一人で宿毛泊地設立の時に見事提督に選ばれた、永遠のセンターです。

 

???「永遠のセンターは、なっかちゃんだYO-!」

 

 貴女はネタ過ぎるから作者も扱い困ってんだよ、言わせんな恥ずかしい。

 

???「ガーンッ!?」

 

 …さて、吹雪ちゃんの総員起こし。ほとんどが起きますけど、それでも起きない娘もいます。そんな時は…?

 

「ガチャ)吹雪さん、照月が起きません…(むにゃ)」

「またですか…では強制起床させに行きます、ありがとう秋月ちゃん?」

「ふぁい…」

「ひょいっ)吹雪さん、磯風も起床予定時間を過ぎても起きる気配がありません」

「分かりました! ご協力感謝です浜風ちゃん!」

「はい、ガツンとお願いします(ぐっb)」

 

 吹雪ちゃんの下に秋月ちゃんと浜風ちゃんが訪れます、ん? ガツン??

 

「はぁ、もう全くあの二人は…(ゴトッ)」

 

 吹雪ちゃん、部屋の隅に置かれた何か大きい…あ、それは。

 

「何で毎回言っても起きないのかなぁ…もう(ズルズル)」

 

 大きい「アレ」を引きずって行きました…はい3、2、1。

 

 

「いい加減起きろやごるぅらああああああ!!!!!」

 

 

 ― パルイィィイイン!!!(窓の割れる音)

 

 

「ぬわーーーーーーーっ!!?」

「我が生涯に悔いなし!」ドヤァ

 

 

 …ええ、大きいおおきい「鉄槌」でフルスウィングしてお寝坊さん二人をダイレクト目覚まししました。やり過ぎ? いいえこれが普通です。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「いい? 起床時間に起きるのは、軍属として艦娘として、人として当たり前なんだよ? 分かった?」

「ハイ! (^q^)」

「ワカリマシター! (^q^)」

「(ぜってー分かってねーこいつら…)」

 

 彼女たちは「照月」ちゃんと「磯風」ちゃんですね?

 金髪の方が照月ちゃん、元気が有り余ってるおませさんですね? 長い黒髪でドヤ顔してるのが磯風ちゃん、頼りにはなりますが常にドヤ顔を絶やさないよく分からない娘。

 

「全く、ホントに気が合うというか…二人ともいつも同じタイミングでやらかすよね?」

「いやー☆」

「それほどでも」ドヤァ

 

 あるよ。(H○RO感)

 

「あるんだ…って違うからね?! 褒めてる訳じゃないから!!」

「吹雪ちゃん、ノリツッコミ上手〜」

「流石宿毛泊地の秘書艦殿だな?」ドヤァ

「え、そう? …いやいや丸め込もうとしても駄目だから!」

 

 反省しなさい、という吹雪ちゃんを余所に二人はどこ吹く風といった様子。

 

「はあ…あ! 神通さん!」

 

 吹雪ちゃんはある人を呼び止めた、それはこの泊地に長く居る「古参勢」の一人。

 

「…? どうなされました? 吹雪さん?」

「いえ、お寝坊さん二人を叱りつけて欲しくて。私では力不足のようです」

 

いそてる「ファ!!?」

 

「左様ですか…では、不詳この神通が二人に「地獄演習」を指導させて頂きます。それで気も変わるでしょう」

 

 それを聞いた途端に二人の顔色がみるみる内に青ざめていく…ま、自業自得ですよ?

 神通ちゃんは史実に恥じない生き方を常に心掛けています。何せ「華の二水戦」の旗艦代表ですからね? 月月火水木金金なんて当たり前だと考えているお人、それはもう鬼のようなry

 

「ナレーターさん…何か? (ニコッ)」

 

 ヒイッ!? サーセン!!

 

「全く…では明日から演習場へ、宜しいですね?」

「吹雪ちゃん! 私たちが悪かったから!!」

「早く謝っテ! (懇願)」

「二人をよろしくお願いします、神通さん? (暗黒微笑)」

「承りました。ではまた明日…」

 

 ぺこりと一礼すると、神通ちゃんはその場を離れていきました。

 

「おにー! あくまー!!」

「見損なったぞ!」

「何とでも言いなさい? 言うこと聞かない二人が悪いんだから! おーっほっほ!」

 

 吹雪ちゃん、熊野さんじゃないんだから…

 

くまのん「呼ばれたと思って参じましたわ! とおおぉぉぉおう↑!」

 

「呼んではいないし、今機嫌が悪いから取り合えず帰れ(激おこ)」

「とおおぉぉぉおう!? 扱いが雑じゃありませんコト!!?」

「お蝶婦人みたいな口調しやがって!」

「照月さん!? 突っ込みしづらい事言わないで下さる?!」

 

 …と、なんやかんやで朝の風景は過ぎていくのだった…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 ― ヒトマルマルマル(午前十時)

 

 

 宿毛泊地では朝6時に起床、身だしなみを整え、30分して「間宮」にて朝食、終わったらまた30分の休憩、そして1時間~1時間半の「演習」を行う。

 それが終われば、就寝時間まで「自由時間」です。勿論引き続き演習する娘や、哨戒任務で辺りの海を警備(パトロール)する娘もいます。まあ、地方支社にありがちなゆる~い感じですねここは。

 

 …さて、ここはとある「作物」スペース。泊地内で広大な畑が広がり、そんな畑の一画で「草取り」をしている娘がいます。

 

「…ふぅ、これで良し♪」

 

 彼女は秋月ちゃんと照月ちゃんの妹「涼月」ちゃんです。一つ上の姉と違って物静かで穏やかな性格。しかし…作物が関わると途端にアクティブになる天然ちゃん。この作物スペースも、彼女の提案により造られました…いやアクティブってレベル??

 

「やれやれ、ひと段落ね?」

「やっと終わったの…? はぁ、疲れたぁ」

 

 手拭いで汗を拭きとるのは「満潮」ちゃんと「野分」ちゃん。

 彼女たちはよく飲み交わす仲で、涼月ちゃんの趣味を時々手伝ってあげているんですねぇ? このようによく見ない組み合わせが泊地内で見られる事があります。

 

「涼月さんの畑仕事…こんなに大変だったなんて…;」

「もうばてたの? だらしないわよ野分」

「満潮は疲れないの? もう二時間くらい経つけど…」

「みっちーさんはよく畑仕事を手伝って下さるので、もう慣れたものですよね♪」

「アンタが無理矢理手伝わせるからでしょ? もう…まぁ、悪い気分では、ないけど?」

 

 みっちーちゃんたちが話し込んでいると、奥からお盆にお茶を携え近づく人が。

 

「…お疲れさん、麦茶を入れたき飲みや?」

「あ、加賀さん! ありがと、気が利くわね?」

「みっちーさん…」

「えいわえ、細かいことは。ほれ、アンタも飲み?」

 

 現れたのは白の道着、青の袴の麗人「加賀」さん。クールビューティーで通る彼女、宿毛泊地では何故か土佐弁で何かと世話焼きな方。

 満潮ちゃんたちは、加賀さんが入れてくれた麦茶を手に取り、味わいながら飲む。

 

「…っぷはぁ! 生き返ったわ!」

「助かりました…もう喉がカラカラで」

「うふふ♪ ありがとうございます、加賀さん」

「アンタらも中々頑張りゆうき、ウチなりの労いよ?」

 

 加賀さんは口角をほんの少し上げて、穏やかな笑みを浮かべる。彼女はあまり感情を出すことはありませんが、土佐弁の「いい意味で大らかな」雰囲気作りが彼女のイメージを和らげることに繋がっているのですねえ?

 

「…ねえ、折角だからさ? 一つ聞いておきたいんだけど?」

「? 何よ?」

「加賀さん…司令官と話してるとこ見たことないけど…仲、悪いの?」

「? ……っふ、はっはっは……。」

「何よ…人が心配してるのに」

 

 満潮ちゃんが眉をひそめますが、加賀さんは笑い飛ばします。

 

「ちゃうわえ。ウチとアイツが話しよったら…「何言ゆうか分からんなる」やろ?」

「…え?」

 

 素っ頓狂な声を上げる満潮ちゃんたち。あぁまぁ確かに方言の会話って時々外国の言葉かと?

 

「アイツとは人が居らん時に酒盛りしゆうき、そこまでやないで?」

「そうだったの!? 気づかなかった…」

「まさか、満潮に気遣われるとは思わんかったわ。ははは。」

「酷いわよ加賀さん…まあ私もらしくないと思うけど?」

「いやいや、満潮は気が利く優しい娘だよ? ね、涼月さん?」

「はい、みっちーさんらしいです♪」

「もう、アンタたち余計なこと言わない ///」

「そうかえ? …まぁウチが元に戻ったらえいがやろけんど、今更やしね?」

「…ねえ、何で加賀さんはその土佐弁を」

 

 満潮ちゃんが言いかけるが、加賀さんは「赤城さんが呼んでる」と振り返りました…赤城さんは嬉しそうに手を振ってます。

 

「加賀さーん! 一緒にお昼ご飯食べましょう!」

「はいはい。…じゃ、またね?」

「ありがとうございました、加賀さん!」

「あ、ありがと…」

 

 加賀さんはお盆に空のグラスを乗せると、そのまま背を向けて赤城さんとどこかに行きました。

 

「何かもやっとするわね?」

「みっちーさん、人には言いたくない事は沢山ありますよ?」

「分かってるけど…はぁ、まあいいか。じゃ、草むしりの続きやりましょ?」

「え、またやるの…;」

「頑張りなさい野分、後四分の三よ?」

「ひえぇ…」

「あっ、比叡さんも呼びます?」

「涼月、それは流石にキラーパス過ぎるわよ」

 

「ヒエエェェ(´д`)ェェエエ工工 」

 

「ああ、どこかで比叡さんの声が…;」

 

 さてさて、そんなこんなでお昼ですよ?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 - ヒトフタマルマル(正午)

 

 艦娘たちの多くは、泊地内の外食施設「間宮」でご飯を食べています。その他としては自分で作る、コンビニで買ってくるなどなど様々ですが…おや?

 

「にゃはは〜酒持ってこぉ〜い!」

「もてもて〜にゃ〜ははあぁ〜!」

 

 ありゃ、イヨ(伊14)ちゃんとポーラさんがお酒飲んでますね? これは面白くなりそうです。

 

「イ、イヨちゃん…うるさい……皆…困って」

 

 こちらイヨちゃんのお姉さんのヒトミ(伊13)ちゃん。活発なイヨちゃんと違い大人しい性格。容姿もそっくりなのでまるで双子のようだと言われています。

 

「んぁ? 何だよヒトミぃ? イヨの酒が飲めねーってかぁ?」

 

 酔っ払いの常套文句ですね? パーフェクトだウォ○ター。

 

「…あぅ」

 

 ヒトミちゃん困ってますね? 誰か助け舟を…おや?

 

「ちょっと待ったー!」

 

 彼女は…まさかの「瑞鶴」ちゃんですね? 艦隊のエース空母です。え? 七君の方じゃないよ?

 

???「だから何で他作品のキャラをネタにするの?!」

???「んだなあ」

 

「ちょっとナレーターさん、うるさい」

 

 アッハイ。

 

「何だよ瑞鶴、邪魔するの? 空母だからってエラそーにすんな!」

「しょうだしょうだ〜もっとやーれぇー! にゃははは〜!!」

「…アンタたち」

 

 - ぜってー許さねー!!

 

 …あ(察し)。

 

「変・身!」ジンバー瑞鶴! ハハーッ! (カカッ)

 

 なんか変身した。あ、それこの前の決戦衣装ですね? 確かに一部で某ライダー絡みでネタにされたからって直ぐやらかして。

 

「だってここの作者だし?」

 

*テヘッ☆

 

「なんだー!? ちょっと強くなったからって、イヨちゃんは止まらないのだー!」

「…っふ!」

 

 瑞鶴ちゃん、弓を構えます。え? 発艦する? 母港執務室に急降下爆撃??

 

「食らえ!」

 

 弓矢が放たれ、艦載機に変わり上昇。これ、本当にやらかすんじゃ…ん? 艦載機から白い物体が?

 

「なんだあ?? …あがっ!?」

「ふぃ〜? おごっ!?」

 

 二人の酔っ払いにジャストミート。そのまま口の中へ…あ、これ錠剤? ハイ○オールC?

 

「…! (ごくんっ!) !? ぐあああぁぁ!! 頭が…あたまがぁ!?」

「イヨちゃん!? 大丈夫!!?」

 

「全然平気。頭がスッキリしてる(キラキラ)」

 

「良かった〜(ほっ)」

 

 え? 何これ??

 

「正義は勝つ! (びしっ)」

「ありがとう! ジンバー瑞鶴!」

「ありがとう…!」

 

 いやいや何この茶番。てか変身する必要ないよね?!

 

「そこはほら、ノリと勢いで?」

 

 えぇ…?

 

「ではさらばだー! (ぶぁさ!)」

「「さよーならー!!」」

 

 ジンバー瑞鶴、華麗に退散。いやぁやはりここの瑞鶴さん何するか分からんわ…ん?

 

「………」

 

 ポーラさん、どうしました? 顔伏せて?

 

「…私、生きてて良いのかなって(ズーン)」

 

 あ、素面はネガティブなのね? 笑い上戸なのね?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 - ヒトナナマルマル(午後五時)

 

 夕焼けが水平線に沈み、辺りが暗くなり始めています。あ、夕日と水平線がくっつく瞬間を「だるま夕日(水面に映る夕陽がだるまみたいだから)」と言うんですよ? 知ってました? 宿毛市で綺麗に見えるから一度は見に来てはいかがですか?

 

 …さて、新港から見えるだるま夕日を、蒼龍さんとアークさんが見つめています。

 

「…Wow, it's beautiful」

「でしょ? 私が着任してからここで見る景色が一番のお気に入りなんだ!」

「そうか…しかし侮っていたな? これは中々見れるものではない」

「アーちゃんに喜んでもらえて、嬉しいよ♪」

「あぁ、これは良い…実に……良いものだ」

 

 アークさんが景色に見惚れていると、横から二人組が通りかかります。

 

「…む? おい貴様ら、何を突っ立っている?」

「ハラショー?」

 

 赤いだるま夕日、赤と言えばこの方々、ロシア艦のガングートさんとヴェールヌイちゃんです。

 

「あ、ガンちゃん。今ねだるま夕日見てるの」

「ガンちゃんではない! 私は……! おぉ…これは」

「素晴らしい」

「そこはハラショーじゃない、ヴェルちゃん…;」

「気にするな、キャラ付けだ」

「余計気になっちゃうよ!?」

「…この夕日を見ていると、故郷を思い出すな…我が祖国のあの国旗を!」

「…え、それってソb」

「Soryu、口は災いの元だぞ?」

「あはは…ごめん;」

「全く…だがGangut、お前の気持ちも分からんでもない、私もあの鮮やかな赤を見ると紅茶が飲みたくなる」

「おぉ、イギリスのにしてはまともな言動ではないか!」

 

 えぇ~と、イギリスとロシアって相当って程でもないみたいですけど、対立するぐらいには仲がよろしくないご様子…日本でいう所の某朝鮮ですかねぇ?

 

「…聞かなかったことにする」

「ま、まぁまぁ…あ、じゃあさ一緒に紅茶パーティーでも」

「…む?」

「Hmm…」

「自ら地雷を踏んだね、蒼龍?」

「うぅ…でもさ、私たち艦娘じゃん? 仲良くした方が…ね?」

「…はぁ、そうだな? Gangut、どうだろうか?」

「構わん。少し言い過ぎたなら謝る…生来からこのような性質でな」

「全くだ。私と初めて出会った時のセリフが「これはまたちっこいのが来たな?」と鼻で笑うくらいだからな?」

「…ん? そうだったか?」

「うわぁ…しかも覚えていないて…」

「Gangut、そういう所は直した方がいいぞ? Vernyiも困っているだろう」

「いや、私はもう慣れたよ? 彼女はそういう人種だ、寧ろ敬わねばな?」

「はっはっは! そうかそうか、もっと褒めてもいいんだぞ!」

「ビス子ちゃんみたいなこと言って…」

「(上手く手綱を握っているか…)流石だなVernyi」

「スパスィーバ(ニコッ)」

 

 あら何か通じ合っちゃってますね?

 

「よし! では早速…? 紅茶パーティーとは、何をするのだ?」

「うぇ、それは本場の人に聞いてよ?」

「ほぅ、いいだろう。まず広く眺めの良い場所、そこにテーブル、ティーカップ、ソーサー、ティーポット、カトラリー、ケーキスタンドに沢山のケーキ。もちろん紅茶は外せない、後ミルクと…」

「すとーっぷ! …えぇそんなに用意するの?」

「Of course。当たり前だ」

「流石紅茶の国だね?」

「我々には正直度し難いが…まぁ、たまにはいいだろう?」

「お! ガンちゃんもノッてきたね!」

「はは、こんな場所に何年も居ればそうなる。祖国では味わえない文化も学んでおこうと思ってな」

「…侵略の為?」

「人聞きの悪い、異文化交流ということだ」

 

 からからと笑うガングートさん、末恐ろしさは抜けないけどそれも彼女らしさですねぇ?

 

「ふふ…♪ じゃあ金剛さんに頼んでみよう、あの人この前姉妹たちとで紅茶パーティー開いてたからね?」

「そうだな? Kongoも呼んでこよう」

「ダスビダーニャ(肯定)」

「よし! 行動開始だ! …ふふ、楽しみだ!」

 

 夕暮れのだるまをバックに、蒼龍さんたちは紅茶パーティーを開こうとしますが…

 

「ノー! もう夜も遅いデース! ティーパーティは明日の朝にしまショー!!」

 

 と金剛さんに当たり前の指摘をされてしまった一行でした…でも夕日の中のティーパーティって…良くない?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 - フタヒトマルマル(午後九時)

 

 満月が照らす夜闇、満天の星空は煌びやかに瞬きます。新港にてそんな芸術的な光を浴びて、一人海を眺める若者。

 

「…綺麗やなぁ」

 

 宿毛泊地の提督、そうです我らが提督。彼はよく新港で釣りをしたり、こうしてただ月を眺めていたりします。

 

「…ふぅ」

「ふはは、こんなとこで会うとはなぁ、提ェ督いよぉ?」

 

 そこへやって来たのはノリちゃん、照月ちゃんの長10cm砲ですね? 葉巻(弾丸)と某大御所声優のような声が特徴です。

 

「ノリちゃん? どうした?」

「なぁに、ちょっと散歩だ。…お前さんはぁ何を見てたぁ?」

「…いや、月が綺麗や思うてな?」

「そうかい…」

 

 二人(?)はその言葉から無言で月を見上げている、静かな波の音が辺りに優しく奏でられた。

 

「…提督、一つ質問していいかいぃ?」

「何よ?」

「お前さんは、一体何処へ向かうつもりだぁ?」

「…?」

 

 提督は質問の意図が分からず首を傾げる。

 

「深海群との戦いはぁ、まぁだまだ終わらねぇだろうさ。だからお前さんの言う「皆が笑い合える場所」てのはぁ、果たして叶えられるかどうか…」

「心配してくれよったがや?」

「まぁな? 志は立派だ。だがそれを認めねぇ野郎もいるだろう…あっちも戦い、こっちも戦い、いつになったら終わるかも分からねぇ…そんな戦いだらけの現状で、本当にそんな綺麗な場所は作れるかと…な?」

「…うーん、難しく考えすぎやない?」

 

 提督はノリちゃんの言う現状を朗らかに笑い飛ばした。

 

「オレは世界平和とか戦争を無くすとか、そういうことを言いよるがやないがよ。ただ…オレの目の前で笑いよるアイツらを、アイツらにずっと笑っていてほしい思うてな?」

「…ソイツは悪かった、余計な節介だったな?」

「いんや、確かに綺麗ごとやな? ずっとアイツらの戦い見よって、時々オレも戦って…因果って言うが? 何かやりきれんち思う時もある…でも」

 

 夜空の月を見上げ、提督は笑う…月の光は、彼の優しさを一層輝かせる。

 

「それでも忘れいで欲しい…皆で笑い、泣いて、怒って、楽しんだ…この泊地での”日常”を…」

 

 ノリちゃんは、彼の魂の言葉を胸に刻みながら、静かに笑うのであった…。

 

「…あ、ノリちゃん! こんなとこにいた!」

「照月…吹雪たちも一緒かいぃ?」

「うん、ノリちゃんを探してって頼まれて」

「だが、見つかって何よりだ」ドヤァ

 

 照月ちゃんはノリちゃんを抱きかかえると、吹雪ちゃん、磯風ちゃんと一緒に夜空に浮かぶ月を見上げた。

 

「うわぁ…!」

「綺麗…!」

「ほぉ…」

 

 まるで大きな満月は、一行に優しい光を浴びせ、心を温かな気持ちにさせてくれる…。

 

「提督もいてくれたんだ、ありがと! ノリちゃんを見つけてくれて!」

「いや、ノリちゃんと話しよっただけやからよ? …ふむ、それにしたち」

「?? なぁに?」

「…何で秋月型に「満月」が居らんがやろって?」

「そこですか!? (吹雪)」

「あれ、そういえば…なんでだろね?」

「(コイツぁいつものぉオチなし議題だなぁ?)」

「さあな? それよりももう就寝時間だ、照月、明日は早いぞ…!」

「…あ、神通さん…?」

 

 青ざめた様子の磯風ちゃんと照月ちゃんは、急いで自室へと戻って行きました。

 

「何を急ぎゆうが? アイツら…」

「さ、さぁ? それより司令官も早くお休みください?」

「おぅ、もう寝るわ…あ、そや吹雪」

「はい?」

「…ありがとう、これからもよろしくな?」

「……はい、もちろんです司令官」

 

 微笑みを交わす二人、その笑顔は月の柔らかな光により美しく映えた。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 戦い疲れたモノ、彼女たちが思い起こすのは、いつでもこの場所。

 

 毎日のように個性がぶつかり合う「魔境」。

 

 自分らしく穏やかに過ごせる「楽園」。

 

 善も、悪も、中立も、等しく平等な、山と海に囲まれた少女たちにとって小さなちいさな居場所。

 

 

 - ここは、宿毛泊地。

 

 




いい感じに終わったけど、基本ギャグです。

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