5人のアークス ~1人から繋がる4人のお話~   作:ゼルメノ

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ゼストは長きに渡って「第四特務隊全滅記録」の真相について調査を行っている。彼はこの真相を解明する理由として、この特務隊の弔いになるべきことをしたいからと言っている。

ゼストは何故こんなにも「第四特務隊全滅記録」の真相解明に拘るのか。


日常
第1話


彼の名前はゼスト。

 

~第四特務隊はその当時の隊長の独断により、未開の地域の調査を行った結果、全滅した~

 

このような報告で締め括られた「第四特務隊全滅記録」について調査を行っている男だ。

 

彼の素性はアークスの情報部でも知り得ないような秘匿権限を持ち、その素性を知る者はアークス全体でも5人に満たない謎の男として知られている。

 

彼の一日の半分以上はその「第四特務隊全滅記録」の解明に当てられている。とは言っても彼もアークス。その半日全てをその解明に当てられる訳でもないので、アークスの任務の合間合間に解明を行う程度に留まっている。

 

素性は不明だが、実力は折り紙付きであり白と黒の双剣を持つ魔法剣士である。常に黒いコートを羽織ることから「漆黒の魔剣士」の異名を持つ。彼に舞い降りる任務は毎回過激であり、本格的な調査を行えないのが現状だ。

 

「こんなことをしている暇はないと言うのに・・・何故こんなにも時間のかかるものばかりなのだろうか。俺の力を宛にして時間のかかる任務を独断で回してくる上にも困ったものだ・・・。」

 

今回彼が向かった先は惑星ナベリウス。森林の奥から繋がる「壊世区域」である。

 

「壊世区域・・・、なんというかここはいつも嫌な空気が肌を刺す・・・。だがこんな異常値が観測されている以上、看過はできないか。」

 

独り言を言っていると背後から岩が飛んでくる。ゼストはまるで見えているかのように剣を振るい、岩を往なす。

そして消えたかと思えばその猿のような見た目をしたエネミーに正対して十字切りを喰らわせていた。

 

「やはり、この区域に適応する為に異常進化しているな。敏捷性、パワー、狡猾さ、どれを取っても原種の比ではない。」

 

そのように言うが、当の本人もこの区域の環境に適応する為に異常に強くなってるのではないかと言いたくなるほどの感知力である。

ゼストはさらに奥地へ。すると巨鳥の様なエネミーを目撃する。龍と鳥を合わせたような巨躯で角が大きく発達、極彩色の羽根と尻尾を持っていた。

 

「あれは、ディアボイグリシスだろう。原種は定かではないが大きな脅威であることは間違いは無い。排除しにかかるとしようか。」

 

ディアボイグリシスもこちらの敵意に気付いたのか、口から火混じりの吐息を吐く。

 

ゼストの踏み込みから緊張の糸が切れ、戦闘が始まる。

 

「ヤツを倒す時のセオリーはまず羽根、そして角や胴体を狙えばいい。簡単に言うがやつも機敏なんだぞ・・・。」

 

跳躍し、頭上からディアボイグリシスの羽根を狙う。しかし見た目こそ掛け離れているがヤツも鳥。ヤツも跳躍し簡単に羽根は取らせてくれない。

 

ゼストを空中から叩き落とそうと角を振り回す。ゼストもそれに対応し受け流していく。

 

しかし、長期戦になれば生身と巨躯を持つ者、スタミナが切れるのは勿論生身。受け流し続けていたゼストにも少しずつダメージは蓄積されていく。

 

「やはり、やわではないな。しかしそれでこそだ!その強さ、捩じ伏せなければ前に進むことは出来ないだろう!何よりここで死んでは彼らを弔えないだろう?」

 

彼の周りに大量の刃が展開される。そして間髪なくヤツを襲う。その刃も完全に統制されており、ぶれること無くヤツの羽根を射抜く。

 

ゼストの刃、フォトンブレードと呼ばれるモノがディアボイグリシスの両羽根を射抜いたことでディアボイグリシスは転落。だがヤツも負けじと火球を放つ。

 

「フフフ・・・、ブレードを間髪なく飛ばせば回避に隙が生じる・・・。間違いなく・・・ビンゴだ・・・。」

 

火球が直撃し、ゼストも天から落ちる。お互いに空中から引きずり下ろされる。

 

引きずり下ろされたにも関わらず、彼は不敵に笑っていた。ディアボイグリシスもそれに威圧感を感じたのかさらに攻撃を激化させていた。

 

「・・・俺が何故「漆黒の魔剣士」と呼ばれるか教えてやる。ここからが本領としようか!」

 

彼の周りから黒いオーラが漂う。そのオーラを纏ったまま攻撃をヒットさせていくと彼の傷が治癒されていく。

 

いくらダメージを被うがそのオーラを纏い続ける限り彼は死ぬ事は無い。持久戦だろうが彼に問題は全くなかったのだ。さらに次は青と赤のオーラを纏った。すると彼の攻撃は威力を増し、そして途切れぬ連撃を放つ様になった。

 

「貴様もその程度か?この程度の技、往なせないなら貴様も地に帰るがいい。」

 

最早虫の息のディアボイグリシスに止めを刺そうとしたその時だった。ディアボイグリシスの頭上になにか白い目玉の様な物体が出現した。そしてあろう事か、ディアボイグリシスが持ち直したのだ。

 

「あれは・・・、なんだ?いや、俺はあれを見たことがある。つまりこの近くにヤツがいる。ここで二体を相手取るのは得策じゃない。時には逃げることも大切か。だが、タダでは終わらせない。」

 

そう言うとゼストはその目玉を破壊し、その破片をサンプルとして採取した。

 

「また一つ手がかりとなるようなものを見つけた。上もたまにはいいことしてくれるじゃないの。」

 

彼は壊世区域の調査を終え、帰還した。

 

ゼストが持ち帰ったサンプルが新型の侵蝕核であることが判明し、後の壊世区域調査に大きく貢献したという。

 

彼は壊世区域調査に貢献したことを特に何も感じておらず、その破片を手に入れたことに対して大きな進歩を感じていた。

 

「これがあの地域でも発見されたとなるとヤツが俺を殺ったことになる。つまり・・・。」

 

彼は言葉を濁していた。しかし彼の目には希望の色が見えていた。彼はあの全滅記録の解明に一歩進むことが出来たことに大きな希望を抱いていた。

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