取り敢えずセラムはゼストに勝ちたいらしい。
ガキィン!と剣と剣がぶつかり合う音が鳴り響く。
白と黒の双剣と純白の双剣が辛うじて目視できるほどの高速の剣戟。その剣戟の主たちはと言うと。
「またお前か・・・、いい加減奇襲してくるの辞めろ。任務、調査を妨害する気か・・・。」
「知 る か ! あたしはアンタに勝てればそれでいい!!さっさと勝たせろ!!」
ゼストとセラムである。任務中に毎回の様に奇襲をかけて来るセラムを毎回いなすのは日常茶飯事だ。
奇襲をするセラムの理由も大概である。がこのように奇襲が続いているということは、まだセラムはゼストに勝てたことがない。
逆に負けたこともない。セラムはそれを自信にしているのだろうが、ゼストは正直それを面倒に思っているから負けてやろうかともした。
「わざと負けようとしないでね?」
バレてた。流石兄妹と言ったところか、割と考えてることがバレるのでゼストもそれなりの戦いをしなければならないハメに陥っている。
「仕方ない。今日こそその精神へし折ってやろう。」
「やる気になった!じゃあさっさと勝たせてもらうよ!」
ゼストもまさかの任務放棄である。しかも初めから黒いオーラを纏っている。有言実行する気だろうか、殺す気だろうかは定かではないが、本気だ。
セラムも負けじと自身を極限状態まで追い込む。セラムは自身を極限状態に至るまで体力を低下させることで攻撃力を底上げするタイプである。ハイリスクハイリターンの戦いだ。勿論セラムも本気だ。
兄妹と言えども戦い方は全く違う。しかもお互いにお互いの戦い方を嫌悪しているという。
「本当に自身を死にかけにしてまで戦うとは気が知れないな!」
「兄貴こそ!ずっと安全圏で戦うのも面白くないよね!!」
両者ともに二刀流、デュアルブレードのゼストとツインダガーのセラム。速さではセラムが上、柔軟性ではゼストの方が上だ。
速さで押し切ろうとするセラムの攻撃をフォトンブレードを飛ばすことで防御に回させ、体制を整えるゼスト。
様々な方位から襲い来るブレードとゼスト本人の剣戟を軽さと速さを駆使して弾くセラム。
両者一歩も引かない高速の剣戟を続けていく。黒きオーラがあるとはいえそのオーラを纏うことにもある程度のスタミナを消費するゼストは息切れが少し早い。セラムは元々莫大なスタミナを持つので消耗戦では分がある。
ゼストもそれは理解しているため、ブレードを常に放ち続ける。
「お互いに、そろそろ限界だろう。」
「そうだね、でも勝つのはあたしだ!!」
セラムがゼストの双剣を弾き渾身の突進を繰り出そうとする。
両の剣を弾かれ、無防備になったにも関わらず、ゼストは表情を変えることは無かった。何故ならば・・・。
「焦ったな、セラムよ?とどめを刺す最後の最後まで全方位に気を配るべきだったな。」
「何を言って・・・!?もうあたしの勝・・・ぐっ・・・!」
セラムの背中に衝撃が走る。大量のブレードが背後から襲いかかった。
「ブレードが直進する、だけのはずがない。使い方を変えれば時間差のホーミング弾としても使えるのだよ。」
「く、クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
自分に納得がいかなかったのか半狂乱でセラムは叫び声をあげた。
「これに懲りてもう奇襲はやめろ、自身を鍛え直せ。そうすれば何時でも戦ってやろう。」
軽蔑を込めた笑いを浮かべながらゼストは言い放つ。
「チッ!今日だけはもう止めといてやる!今度こそその済ました顔に傷を増やしてやるからな!!」
セラムは今回は懲りた?のかも知れない。いや、ゼスト、精神を折るどころかやる気にさせてるんじゃないか。
セラムは負けず嫌いだ。多分懲りずに奇襲もかけるだろう。
「まあ、俺に勝ってもらうくらいにならないとこの先やっていけないだろう。」
ゼストも心の底では妹の成長を喜んでる・・・のではないだろうか。
「・・・調査、進んでないな。」
ゼストは調査先で野宿である。