5人のアークス ~1人から繋がる4人のお話~   作:ゼルメノ

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開拓
第7話


ゼスト、メノウ、セクメト、セツナはとある情報について一定の知識を有する人達だ。その4人の耳にある秘匿任務の一報が入る。

 

「俺が上層部の一部と繋がってなければ見落とすレベルの秘匿レベルだな。依頼主不明の未開の地の調査依頼・・・。」

 

「ゼスト・・・、これって。」

 

「ああ、間違いない。あの地域の調査は現在の特務隊では調査が出来ない領域に達していると言われ、開拓は打ち切られた・・・筈だった。」

 

ゼストが珍しく憤りに顔を歪める。

 

「だが、打ち切られてはいなかった。特務隊がダメなら所属がなくとも実力がある者を行かせればいいという考えだろう。特務隊12名で不可能だった調査をさらに少数精鋭で行かせている。」

 

「少数精鋭で部隊に所属していないとなると報告の改竄がやりやすいだろうからな。」

 

メノウは続ける。

 

「私は報告書でしかその場所を知らない。謎のエネミーに隊が崩壊させられたことのみ。運良く届いた唯一の報告書、つまり「第四特務隊」による報告書だけだ。」

 

「恐らく上層部も運がいいとしか思ってないだろうが、少なくとも私とセツナ、この2人は運がいいとは思ってないだろう?そうだな?」

 

セツナは奥に篭ったものを吐き出すかのように話す。

 

「・・・ええ。その報告書は第四特務隊によって書かれたあの地域の唯一の手掛かり。けどあの地域はフォトンが歪められているのか電子通信で報告書を送ることが出来なかったのよ。入口付近でそれなら内部は勿論何も出来ないと思う。」

 

「あたしは第四特務隊の救出作戦に参加したメンバーの1人なの。かなりの大隊でね、それでもメンバーの半数が再起不能クラスの怪我を負って帰ったのよ。私も普通に見えるけど左眼の視力が落ちたまま戻ってないのよ。見えるから大丈夫だけどね。」

 

そして核心を話す。

 

「その報告書は運良く届いたんじゃない。第四特務隊の生き残りによって、救助隊に託されたんだ。」

 

「そいつの名は「ゼルク」今も名を変えて、その報告書の解析を行っている。その素性は誰にも明かせず、明かさず、1人で全てをやろうとしている。」

 

「私もその救出作戦のメンバーだ。そして私は大怪我と引換にそのゼルクという人物と出会った。まあ、そのお陰でこの見た目だがな。」

 

メノウが角を撫でながら苦笑いしたが、再び顔を顰め真剣な口調で話を続けた。

 

「そのゼルクによって守り通され、託されたのが後に「第四特務隊全滅記録」と呼ばれる報告書だ。」

 

過去の特務隊は全て報告書を送ることなく全滅したとされている。報告書自体は書き留められていた可能性はあるが、それを託した伝書の生物が軒並み戻ってきていないという現状がある。歪んだフォトンに体が耐えられなかったのか、エネミーに頭脳があったかは定かではないが殺されたと見るのが妥当だろう。

 

「ゼルクが送った報告書には幾つかの配慮がある。あの危険な地域に二度と送り込むなと言わんばかりの不明な点の多さ、過去の特務隊の遺伝子データが残留していたこと、読むだけで危険度が増していくかのようだ。」

 

「それがいいように解釈、改竄されて今の様に調査が続けられている。これは流石に看過できるものではないだろう。ゼスト・・・いや、第四特務隊16期に所属していたゼルク?」

 

ゼストと呼ばれる人物はやれやれと言った風に溜息を吐く。その後、全てを語った。

 

自身が元がヒューマンであり、セツナに連れて帰られた後、デューマンに遺伝子改良したことを利用し、密かに生き延び第四特務隊を派遣した上層部の思惑を暴くために暗躍していたこと。

 

第四特務隊がただ一体のエネミーに全滅させられかけたこと。

 

「上層部の思惑が見えるのなら誰がどうなろうと構わない。寧ろ好都合。だが、今回はセラムが巻き込まれてる。兄貴はそこに行ったことがないと仄めかされてるんだろうな。」

 

今回の秘匿任務の人員の中にはゼスト、否、ゼルクの妹のセラムが編成されていた。殺しに来ているとは言っても一応兄弟だ。上層部の思惑に食い潰されるより以前に助けるべきだと考えた。

 

しかし、既に任務開始時刻は過ぎている。遠征に向かっているだろう。

 

「今のやつの実力じゃ、間違いなく返り討ちだ。鬱陶しいが仮にも兄妹だ。」

 

「助けに行くんだろう?なら私も同行しよう。私はお前のパートナーだ。パートナーの妹を見殺しにはさせないさ。」

 

「勿論あたしも行くよ。いっそあの区域の入口を閉じてしまうくらいで行くよ!」

 

「俺は・・・行きたい。が、何故だろうか。この身体が言うことを聞かない。」

 

セクメトが水を指す様に自分の考えを話した。

 

「だろうな、セクメト。貴様のその体、生身の生態パーツとも言える人間の首筋の神経からそのフォトンで構成されたキャストパーツを結合させた言わば上層部の遊び心で作られた特殊なキャストなのだから。」

 

「!?それはどういう」

 

セクメト自身も度肝を抜かれていた。自身の能力を勘違い、いや、ここでは刷り込まれたというのが正しいだろう。

 

「生態パーツは恐らく息絶え絶えのアークスってところか。その首筋に特殊な手術を施し、フォトンで構成されたパーツと直結させることでそのキャストパーツ自体に仕組まれた命令を続行させる人形。それがお前の正体だ。」

 

「しかし、全てが上手くいったわけではない。だからあの地域の入口付近で破損していた。」

 

「セクメト、お前の生態パーツの意識がセラムを救いたいと思っていてもそのパーツがお前の邪魔をする。ならそのパーツを屈服させるか共鳴させろ。」

 

「・・・ああ。必ずだ。」

 

セクメトの身体のラインが青から仄かな赤に変化する。

 

「さて、この4人で行ったとしても死ぬかもしれない。その覚悟はあるか?」

 

「勿論」 「当たり前だ。」「ああ。」

 

「決まりだな。セラムを助け、あの区域にケリを付けてやるぞ。」

 

4人の決意は決まった。

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