夢はパパ   作:肉壁

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特に文章は長くないです。


02.戦争前の昼休み

吉井が宣戦布告したあとの昼休み、坂本らバカ4人組と姫路、島田の女子2人は作戦会議をするらしく屋上へ上がっていった。

ほかの連中もこのさびれた教室で弁当を広げるのは気持ちのいいものではないと思うぐらいの感性はあるのか、Fクラス内は閑散としている。

かく言う俺もいまは新校舎、それも三年Aクラスの前まで来ていた。3年生の教室も2年生と同様にバカでかい教室であるが臆せずに、勢いよくその扉をあけてすっと息を吸ってー

 

「先輩!お昼ですよお昼!時間がもったいないですよ!ほらほらほら!!早く早く!」

 

一年生の時からの日課である。

 

「え?準備がまだできてないって?移動しながら準備すればいいでしょ!動きながらそんなことはできない?できるって、よし手を握ったな!え、掴まれたの間違いだって?気にしない気にしない!行きますよー!」

 

だいぶ騒々しいが大人しめな彼女に対してはこれぐらいがちょうどいい。手を掴んで教室を出るときも、勢いに乗せて引っ張られて後ろの方であたふたしてる。ああ、かわいい。控えめに言っても超鼻血。

 

「ーーちょっと待っていただけませんか」

 

そんな彼女の手を掴み引き止める声があった。グンっと繋いだ腕が伸びる。振り返ってそこにいるのは3学年主席高城。見た目人畜無害な好青年に見えなくもないが中身は一転としてゴミ屑。

 

またか、っと口を開く。

 

「なんか用ですかね高城センパイ?俺たち今から外でイチャイチャしながら愛妻弁当あーんしてもらいにいくつもりなんですけど、え?2人の時間邪魔しないでもらえます?」

 

これもまあいつものこと。3年になってもまだ諦めないのかコイツ。いったい何度言えば理解するだろう。コレにはもう彼女を引き止める資格もないのだから。

 

「"元カレ"風情が邪魔してんじゃねーですよ。さっさと教室戻って自習でもしてたらどうですか?」

 

「あなたに用はありませんよ?私は彼女に対して話があるんです。関係のない方は引っ込んでいてくれませんか?」

 

「そう言って今まで何回引き止めようとしてんですかね。何度も断られてるんだしいい加減諦めたらどうなの?普段は周りにころっと騙されるぐらい聞き分けがいいのに。しつこい男は嫌われますよ?あ?耳ついてます?この童貞。

のーのー、ほら顔真っ赤にしないでスマイルスマイル!まあ笑ったら笑ったで気持ち悪いですがね。

お?プルプル震えてきたなあバイブの物真似か?卑猥だなあ。公猥で訴えますよ?」

 

というか周りもいい加減止めろよ。このやり取り何回やってると思ってるんだ。いい迷惑だ。相手をするのも片手間に周りを見渡すしてこの場を収集するのに最適な人を見つけたのでアイコンタクト。ヘルプミーですわ。早く飯食べたい。

 

相手が気づいてくれたためこちらに寄ってくる。

「ああ、高城くん。先生がお呼びですよ。」

 

先生に呼ばれたとなると流石に無視できないのか表情を隠そうともせず露骨に嫌な顔をしてこちらを睨みつけてくる。

 

「今回はここで引きますが私は交際を認めたわけではありませんからね」

 

そんなことを言い残して去っていくが、認めるも何もないだろうに。勉強しかできない、人について全く理解がついてない奴。うん、好きになれない。

 

「ああ、小暮先輩助かりました」

 

「いえいえいつものことですし」

 

「毎度ありがとうございます、首輪でもつけておいてくれるとありがたいんですがね。同じ教室にいるってだけで気が気でなくて」

 

「いやですよ、人をペットとしてかう趣味があるって噂されたくはありませんし」

 

「それもそうですね、ましてや犬役がアレだなんてね」

 

やっぱり小暮先輩はいい人、優しい。その流し目やめて、色っぽいよ?みんなの視線集まってるよ?

 

でもこの人はそういう視線が向けられることを良しとするし、それで上手く人の心象を把握してる。その過程を楽しんでる傾向がある。本人には決して言えないが俺の中では彼女は親切な痴女である。

 

絶対に言えない。

 

「ん」

 

そんなこんなで話していると不意に袖を引っ張られる。お弁当を揺らしながら先輩が上目遣いで見上げてた。若干ジト目な気もする。嫉妬か、嫉妬なのか?

いちいち仕草可愛いなこのやろう。男心くすぐりやがって、ますますドツボにはまるじゃないか。

 

「ふふっ、私はお邪魔なようですし失礼しますね」

 

「あ、はい。ありがとうございました」

 

今度は俺が袖を引っ張られる形になって三年生の教室を去っていくことになった。顔を見せないってことは不機嫌ですアピールなのだろう。

 

「楓は…楓は小暮さんといつも楽しそうに喋るよね」

 

「苦手なやつの話って盛り上がるでしょう?ほかに話す内容といってもやれ彼女が可愛いだの、やれうちの代表が、だのそういう話しかしてないよ」

 

「ん、そう」

 

「うん、心配させるようなことしてごめん。気をつけるようにするよ」

 

 

-------

 

 

学園の中庭、そこから少し外れたところで俺たちは弁当を広げていた。日差しも弱く中庭でも若干風があるせいで外は少し寒い。

お互いに寄り添う形でご飯を食べていた。

 

そういえば、と口を開く。

 

「どうやらうちのクラスは初日からDクラス相手に試召戦争を始めるらしいよ。最終目標は妥当Aクラスなんだって」

 

「へえ、三学年でもそんな頻繁に試召戦争って起きないのに今年の二年生は元気だね」

 

「Fクラスだもんよ、無鉄砲なバカも多いだろうさ。まあ代表はどうやらそれとはまた違ったようなんだけど」

 

「そうなの?でもそっかFクラスなんだよね……」

 

そう呟いて彼女は顔を伏せてしまった。

 

「いや気にすることないって」

 

「でもっ……!」

 

でも、ともう一度呟いて見上げてくるが俺は首を振った。

 

「まさか、あんなことが原因で……」

 

「ほらもう過ぎたことだから」

 

「だって、だって……!」

 

気にし過ぎ、だと思う。もともとの原因は俺にあるんだから。

 

 

「……盛った次の日の腰痛が原因でベットから起き上がれないだなんて!!」

 

うん、男子高校生なんてそんなもんだ笑。いや笑えねーな。Fクラスだし。

 

それでもこの沈んだ雰囲気はあんまり良くない。

だから俺は

 

「いんやーなんかいつもよりもムラっときてさーー」

 

とびっきりお茶目に

 

「ーー張り切っちゃった!(テヘペロ)」

 

顔真っ赤にしてつねられた。

ほっぺがよく伸びた。結構痛い。

 

 

-----

 

「じゃ、試召戦争頑張ってね」

 

「うん、頑張る。でも俺が出張る必要はないかな」

 

それを聞いてなんで、と小首を傾げてる。

ああ、仕草かわいいほんとかわいい。

 

「姫路瑞希がいる。実力なら学年次席ぐらいの怪物」

 

なるほど、と相槌を打って口を開いた。

 

「じゃあ、試召戦争ではどう動くの?」

 

「Fクラスらしい点数でそれなりに生き残ってるさ。今回は坂本の采配が見たいからさ」

 

坂本と聞いて合点がいったらしい。三年でもお騒がせ4人衆の名前はそれなりに広まってる。今回もまた新学期初日から試召戦争を始めたと話が伝わって行くだろう。

 

「なら結果は期待してていいのかな?」

 

「うん、勝ったらなんかご褒美ちょうだいね」

 

「エッチなのはダメだよ」

 

先に釘刺された。あ、うんと俺は下唇を強く噛んだ。

でも戦争前に約束は取り付けた。死亡フラグは立った。あとは負けない。力ずくでフラグ全部へし折る。

 

後数分で昼休みが終わる。

 




時間できたら次話書きます。たまに覗いてみてください。
感想とか書いてくれると嬉しいです。
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