一人称視点で書いているので戦闘シーンとか浅いです。
弁当を食ったところでお互いの教室に戻る。そこには作戦会議を終えて雑談している坂本たちがいた。
「なあ代表。試召戦争なんだが、俺は最初補充試験を受ける必要があるんだが問題ないか」
「ん、おお三科か。ああ序盤のうちは問題ないぞ。うちは今回姫路が補充試験を終えるまで時間稼ぎに徹するつもりだからな。こまめな交代と補充で乗り切るつもりだ。後発組として参加してくれればそれでいい」
「了解、助かるよ」
ま、当然姫路中心の作戦を組むわなあ。one for all.all for one.的な陣形になるんだろうね。下働きバンザイ!単純作業をこなしてれば上司が決着をつけてくれるよ!
その上司にあたる姫路はと言うと何かもの言いたげな顔をしてこちらをみていた。
あの、と遠慮がちに口を開く。
「三科くんはどうしてFクラスにいるんですか?」
「ん、それはどう言う意味だ姫路?」
あら、この女余計な事を口にしましたな。坂本が反応したじゃんか。まともに反応すると流れ的に面倒臭くなるよなこれ。今はまだ悪目立ちはしたくない。まあ自己紹介の時点でだいぶしてたけど。
姫路に少し睨みをきかせてそれは、と答えた。
「"はじめまして"姫路さん。たしかに質問の意図が読みかねるけど、そうだね、おかしな所は何一つない、入るべくして入ったんだよ」
言外に踏み込むな、伝えておく。そう教えることは何もないのだ。むしろ理由については踏み込まれても困る。まさかのヤッた後の腰痛が原因だなんてアホな理由話せるわけないだろう。
それに今はまだ俺の本来いるべきポジションを明かすのは嫌だ。何か事情があるのかといったらそういうわけでもなく単純に面倒くさいから。作戦に組み込まれたら嫌じゃん。
以前からお互い相手のことは認知しているが、ここでは完全にシラを切っておく。もともとあまり深く関わるつもりはないのだから、与える情報は最低限すらも渡さなくていい。
「そうでしたか。いえ、こちらもおかしな事を聞きました。どうか忘れてください。1年間よろしくお願いしますね」
まあまあ彼女は聡い子だ。風見鶏な性格のお陰でこちらのスタンスもちゃんと読み取ってくれたようだし実にやりやすい。ぜひ今後も空気読んでいただきたいね。これで用は済んだ。
それじゃ、と伝えて自分の席へと戻る。
そこから数分がたった。チャイムが鳴り、坂本の号令のもとFクラスから木下弟を中心とした先発組が廊下をかける。あとを追って吉井、島田の中堅部隊が出て教室内に残るのは坂本率いる本隊と後発部隊だけとなった。
俺も今から補充試験に向かう。作戦の要である姫路も目的地は同じだが、一緒に向かうことはなくお互いの距離は離れたままだった。
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担当教師からの説明を受けて補充試験を受ける。今回は出張るつもりはないからあくまでも取る点数はFクラス上位程度の点数。頭から問題を解き下数点分を空欄のまま提出する。テスト1枚100点満点。早く戦場に行けるように選ぶ教科も三教科ほど。文月学園のテストは後半になるにつれて難易度が上がっていくためFクラスのラインでは難易度は高くない。そのため合わせても二、三十分で終わってしまった。姫路はおそらく時間ギリギリまで粘るのだろう。集中してるのか採点が終わって席を立ってもこっちを見向きもしない。
普通は気付いて顔あげるぐらいすると思うが、周りが見えていないらしい。流石だと思う反面、早く走る子は転ぶものだ、愚直なのもある種の困り者だなと考え、やめた。余計なお世話でしかない。
真面目すぎる彼女は自分にとって毒だ。手を抜いている自分が悪い事をしているような気分になる。努力することを辞めたわけではないが神経を尖らせて生活するのが嫌いな自分からしたら理解できない存在。それが姫路瑞希って人。
さて、もう行こう。
彼女を尻目に俺は坂本のもとへと向かった。
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「代表、今戻った。戦況はどうなってる」
「三科か、早かったな。盤面はよく耐えている方だが、こっちの方が戦死者が多く出てる。何人か相手を巻き込んではいるが徐々に劣勢になるだろうな。操作に慣れない初陣ならなおさら地力の勝負になるからな」
「わかった、後発部隊はどのタイミングで出ればいい」
「先発部隊が中堅部隊の連中と交代して、全員引き上げてきたらサポートに入ってもらう。タイミングがあれば相手の手薄そうなところを崩して戦線を上げてくれると助かる。
全員に通達してはいるが、深追い禁物、野郎の集団らしく体力勝負だ。小まめなローテーションは全力で突撃して、全速力で後退することで成立させる」
「そういう脳筋スタイル嫌いじゃないよ。用は点数消費と時間のロスは体力でカバーしろって話だろ。短距離走の往復、いいじゃないか」
そうだ、Fクラスに複雑な作戦を理解するだけの脳はない。全力で走って、全力で戦う。シンプルな方が余計な事を考えずに集中できる。その方がバカ達は長く耐つだろう。Dクラスには女子も多くいるため機動力の面では不利だから、持久戦で最終兵器の準備まで耐えるには充分だろう。
ああ後、と坂本が口を開く。
「三科、ついでに中堅部隊への伝令を頼まれてくれ」
お安い御用だ。
「あいよ、内容は?」
ニヒルな笑みを浮かべて彼は応えた。
「--逃げたら殺す、ってな」
あらやだ、ちょーワイルド。
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前線へ来てみると確かに前線は今のところ保たれているみたいだった。先程木下弟とすれ違ったけれども、つい先程前線部隊の半数が中堅部隊と交代したらしい。
少しして前線の後列につけばそこには逃げ腰のポニテとバカがいた。先程よりもラインも少し後退してるような気がする。
「おーい吉井隊長」
「あ、なんだい三科くん!助けに来てくれたの?」
「いんや、代表からの伝令だよ」
いい笑顔で、一言一句違わず伝えた。
「逃げたら殺す、だってさ」
瞬間、吉井の顔色が変わった。
「総員突撃ィイイイ!!!」
鬼気迫った表情でそこにいる全員がDクラスに食って掛かる。お、一人倒した。
さて、前線は大混戦になる予想。もうじき俺ら後発部隊の出番が来るだろう。少し気合いを入れなおさなきゃいけない。
今日の高城の分の鬱憤もここで晴らしておくのもありだと思うと俄然やる気も湧いて来る。
「よし」
仕事は終えたということで踵を返して再び坂本の元へと戻った。
「坂本、先発部隊の半数以上が交代した、あと少しで後発部隊も出ることになる」
「わかった。しかし一人ひとり戦線から離脱するのも効率が悪いな。どれ、前線の教科変えるとするか」
島田を中心とした中堅部隊は主に理数科目がとれる人たちで固まっている。だが先ほどの盤面をちらっと見たが、あそこには古典担当の教員がいた。少し厳しい戦いを強いられる人たちもいるだろうから、科目を変えるのは有効な手だろう。
「んで、科目は」
「ああ科目は日本史だ」
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日本史の担当が来たぞー!っと戦場に声が広がる。総合科目の戦場は武が悪かったからこれはチャンスだと思い、相手の剣をパリィして体当たりで突き飛ばす。
「先生!吉井明久、日本史でDクラス杉谷に勝負を申し込みます!試験召喚!」
僕の召喚獣を見て横溝くんが声をかけて来た。
「お、吉井。日本史の点数結構いいじゃねえか」
「ああ、うん。今回のテスト、信長の野望と同じ時代だったからね」
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ちょいちょいと偵察を出しながらも、後発部隊は教室で待機したままだった。科目変更が効いたのかなかなか中堅部隊が粘ってる。
時計を見ながらひまな時間を過ごしてると何やら外野から騒がしい声が近づいてきた。
「ちょっと!須川放しなさいよ!吉井は敵!ウチが倒さないといけない敵なのぉ!!」
「まあ落ち着け島田」
結構物騒なことを叫びながら、島田が須川に引きずられながら教室へ戻って来た。意外と腕の太い須川も若干持て余してる。思った以上に野蛮だなこの女。
「どうしたんだ島田」
「坂本!吉井がウチのこと見捨てようとしたのよ!もう少しでひどい目にあうところだったんだから!ウチにアイツのことしばかせて!!」
「落ち着け島田、今は試召戦争中だ」
ちゃんと止めている。なんだかんだ言って坂本は友達思いのいいやつなのだろう。口じゃ悪いことは言いつつも照れ隠しなのだろうか。
悪鬼羅刹って噂も案外的外れなのかもしれな--
「殺るのは戦争が終わった後にしろ」
--くもないな。身内にとことんセメントだなコイツ。友達ってなんだったっけ。友情なにそれ食えんの?的なことを平気で言いそうだ。吉井のことを庇ったと一瞬勘ちがいしそうになった。
うーむ霧島から雄二は昔からずっと優しいって言ってたけどコイツ実際にあいつが言っていたような人なのかな?あってその日だが、コイツなかなかの畜生だぞ。あれか女子だけに優しいフェミニストってやつだろうか。人は見かけによらないもんだね。
「わかったわ」
一方で渋々といった感じで島田は坂本の提案に了承していた。いやコイツもコイツでわかっちゃうのかよ。躊躇いなく答えたなこの女郎。同じ女でも先輩と大違いだわ。女性的な美しさって奥ゆかしさとかそういうものだと思うんだけどなあ。
関係ないか、と思いつつも実際はこっそりヤバイやつリストに入れておく。ちなみにこれには痴女の小暮先輩もリスト入りしている。
「よし、三科。後発部隊出発だ、先程言った通りタイミングがあれば相手の手薄なところを崩してけ」
「、了解、すぐに出る」
この流れで声をかけられるて一瞬反応に詰まってしまったが気づかれていないだろう。
しかし坂本は切り替えの早い人だ。いや切り捨てたの間違いか。吉井を。
それにしてもようやく出番が来たようだ。やっと戦える。武者震いはしてないが、やる気は充分だ。
今回の戦闘はただ生き残ることだけを考える戦い。目的とは違うから無理に倒そうとしなくていい。それは幾分か気が楽になることだった。
「いいか今回の戦闘は戦死はできるだけ避けるんだ。そのためには見極めが大切になってくる。マージンは十分にとれ。そうだな、万が一のことも考えて二撃入ったら戦死するタイミングで離脱しろ」
よしテメエら行ってこい!と坂本の激励を受けて集団は教室を飛び出た。
広い廊下を全力で駆け抜ける。今回Fクラスの作戦はスピードで成立する。だから休めない。
走る疾る馳しる。接敵まであと60m。
「おう、お前ら」
今のうちに声をかけておく。何人か緊張しているんだろう。顔は少し強張っていた。
いいか、と続ける。
「死亡フラグは立てておけ。それも含めて全部へし折るぞ」
バラバラにだがみんな頷く。本当の戦争ではないが未練があれば生き残ろうと必死になるだろう。我慢比べだ、気張れよ。死なずに何度も戦場を走るのが今回の俺らの役割だ。その任務を全うせずに死ぬ奴は後で反省会なと内心で呟く。
前線に到着した。ここから始まるFクラスの防衛線。なかなかに気持ちが高ぶる。
スピードは緩めずに最前線へ単凸をかます。
「毎度毎度面倒くせえんだよ高城ォォォォオア!!試験召喚!!」
ストレス発散できるからか、いやはや素晴らしい。
うん、しばらくは好きに戦っていよう。坂本が言っていたタイミングがあればとかの云々カンヌンは一旦忘れて今は気ままに八つ当たりをしたいんだ。
武器の大きな楯でそのまま突っ込む。結果相手を跳ね飛ばした。
突然の乱入者に一部では混乱が起こる。混戦は望むところだから、結構。
「おい、なんだアイツ。主武器が楯一枚でそれ以外なにも持ってねえぞ!」
「知ったことか、殴れるんだったらなんでもいい」
味方の誰かが、うわあ大概だなあと呟くのが聞こえた。煩え、お前を先にのすぞ。俺は今誰でもいい気分なんだ。
次の作戦までの残り時間は45分。放課後まで耐え忍べば俺らの勝ちは近づく。楯というのもこの場面ではちょうどいい。
誰かを守るための武器なんて崇高なものを用意されてることなんて今は関係ない。防具の役割無視して殴り続けよう。こうぐっちゃぐちゃになるように。
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交代を入れながらの45分。6時間目の終礼のチャイムが鳴った。それは作戦開始まで後5分を切ったことになる。下校する生徒に合わせて坂本率いる本隊は出発、前線部隊は回収され、相手がそれに応じて出てきたところで戦力を分散させる。
そうして下校中の生徒に紛れ込みDクラス代表平賀に姫路をぶつけることができる状況を作る。坂本たちがくるまで耐え忍ばなければならない。
だが悔しいことに現在前線に残っている味方は俺含めて5人、相手は7人で数の上で不利である。相手もだいぶ点数を削られているがアドバンテージにはならない。
楯で相手の槍をパリィして突き飛ばし敵同士をぶつける。敵は攻撃を中断せざるをえなくなり動きが止まった。元の点数を低くとってる分基礎攻撃力はどうしても低いため、相手にはいるダメージは微量である。吉井と俺で二人をそれぞれ相手取っているがどうしても攻めあぐねていた。
「明久もう少し粘れ!」
タイミングよく後ろから坂本の声が聞こえてきた。
「やばいFクラスの本隊が動き始めたぞ!」
「合流させるな!打ち取れ!」
本隊が行動を開始したことによりDクラスの連中は躍起になりはじめて、強引に攻め込むようになった。辛うじて凌いでいるが先程よりも受ける圧力は強い。
押し負けて残ってる味方もどんどん後退しているく。盤面は目まぐるしく変化する。
味方が4人に減った。吉井が一人倒して他方へ加勢した。さらに一人倒す。一人やられた。5対3。坂本たちの足音が聞こえる。
「よく耐えたお前ら!このまま移動するぞ!」
先程と同様に楯で相手の攻撃を受け止めてもう一人の敵に押し付ける。素早く戦線を離脱し本隊との合流を果たした。
だが相手も偵察をのこしていたのだろう。遠くからはDクラス代表の平賀率いる本隊が近づいてきた。走りながらも前線部隊にも指示を飛ばしてる。
だがしかしこちらの目的はもともと平賀を戦場に引きずり出すこと。ここまでは予定通りだ。
平賀の姿を認めた坂本も続けざまに指示を送ってくる。
「よしお前ら散れ!」
きっちり五分。試召戦争、最後の大仕上げが始まった。
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そこからの展開というものも実に簡単に決着がついた。下校する生徒に紛れて平賀に近づき勝負を申し込む。当然近衛兵が俺たちの相手を請け負うからそこで平賀一人の状況が出来上がった。
遅れて追いついてきた姫路瑞希が最後は400点を超える圧倒的な火力で押し切って終戦。初期装備でラスボスに挑戦させるぐらいの無理ゲーを強いられた平賀は実に哀れであった。いや俺だったら理不尽で発狂してるかもしれない。真っ白になってもぬけの殻となってる彼のことを誰が責められようか。
「あー平賀設備交換についてなんだが」
「坂本か、悪いんだが設備の交換は明日でいいか。日も暮れてるし、みんな疲れてるから今日は休ませてやりたい」
「そのことなんだが、FクラスはDクラスとの設備の交換をするつもりはない」
へ?ナニイッテンダ??
「それはありがたいんだが、本当にいいのか?」
「ああ、お前らも落ち着け。俺たちの目標はあくまでAクラスだからな」
なるほどあくまでもDクラスとの試召戦争は前哨戦ってことを取り違えないってスタンスか。目先の利益に飛びつかないってのは大人だねえ。
「だがもちろん条件付きだ。今度こちらが指示を出した時にここから見える教室外のアレを壊してもらいたい」
坂本が指差すその先は、
「Bクラスの屋外機か」
おそらく次の戦争はBクラス戦、その時何かに使うのだろうか。
「多少教師に睨まれるかもしれないが、この条件を飲んでくれれば平和交渉という形で終わらせてもいい。どうだ、引き受けてくれるか?」
「それで今の設備が守れるんだったら安いもんだ、引き受けよう」
「そうか、じゃあ交渉成立だ。」
交渉成立。渋々といった様子のFクラスの生徒も何人か見受けられるがそれでも今回の勝利で実に充実したような顔をしている。モチベーションは維持されるどころか上がってるようにすら見える。まあモチベーションが上がったところでコイツらはそれを勉強に向けるようなことをしないんだけどね。
なんかこう切っ掛けさえあれば伸びそうな奴もいるのに非常に惜しい感じがする。バカ4人はそれなりにポテンシャルの高さを感じるんだけどな。
何はともあれこれで初陣は終わった。走り回ったり慣れない召喚獣の操作は集中力が必要でどっと疲れてる。これで明日は明日で補充試験を受けないといけないんだから辛いな。ああ早く先輩のところに行きたい。癒しが欲しい。
「お前ら今日はよくやった。明日は朝から補充試験を受けてもらう。今日はゆっくり休んでくれ、それでは解散!」
ガヤガヤとみんな喋りながら歩いて戻り始めた中、俺は1人ダッシュを決め込んだ。癒しを求めて、全力で。
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「先輩先輩!勝ちましたよ!ご褒美くださいご褒美!」
「そっか頑張ったね。久しぶりに家にきなよ、ご飯、作ってあげる」
「オムライス!オムライス食べたい!」
「はいはい」
夕食をいただいた。先輩の部屋に行ってそのまま襲うつもりだったけど睡魔には勝てなかった。けどまあ先輩の膝枕気持ちよかったしいいか。
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