新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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原作改変、オリジナル主人公など閲覧注意の内容が含まれます


家に帰るまでが遠足です!

「またね」

 

「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいん!!!!」

 

大橋から落され、自分を呼ぶ友の声

3体の異形は既に再生を終え、すぐ目の前まで迫っていた

 

「さーて、と……」

 

覚悟を決める

ここがアタシ、三ノ輪銀の最後の見せ場だ

 

「ここは任せろって言った以上…

責任持たないと、かっこ悪いからね……

いっとくかァ!!!!!!」

 

「ダメだ」

 

「えっ?!」

 

急に体がふわりと浮き上がる

いや、誰かが自分を抱え上げたのだ

その手が尻を撫で上げる

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「尻も硬いし胸もペタンコ。。。」

 

「なっ、なっ、なっ!?」

 

「あんなに会いたいと恋焦がれた少女が、こんなガリガリの男女だったとは。。。」

 

「なっ、なんなんだっ!アンタはっっっ?!」

 

「まったく、泣けてくるぜ。。。」

 

なんて失礼な奴だ!

確かに須美や園子に比べたら女らしいとこなんて無いって自覚はしてるが…

アタシだって一応お年頃の女の子なんだぞ!

 

身を翻して地に立ち、そいつの顔をひっぱたく!

が、アタシの右手はアッサリとかわされ、奴の右手に掴まれる

って、ホントに泣いてやがる?!

どこまで失礼なんだ!

こっちまで泣きたくなってくるぞ!

 

掴んだその手を軽く捻ったかと思ったら視界がグルリと回転する

いや、手首の捻りだけで投げ飛ばされたんだ

 

「このっ!」

 

空中で体勢を整えて着地すると

さっきまで自分たちがいたところに巨大な針が突き刺さる

 

蠍座のバーテックスだ

あまりの出来事にうっかり忘れるところだった

今は戦闘中、それも大ピンチだ

 

「遊んでる場合じゃないぞ、気合入れろ!」

 

そう言った奴の姿を改めて見る

 

赤い勇者服…

でもアタシのとは大分違う…

 

「おっと!」

 

じっくり考えてる暇もない、敵は容赦なく襲ってくる

どうやらこの赤い勇者も共に戦う仲間らしい

2体のバーテックスを相手に武器も持たずに立ち回っている

 

「どうした!一人で3体追い返すつもりだったんだろ!

1体くらい片付けないと落っことした二人に格好がつかんぞ!」

 

後から来といて言いたい事を!

 

「言われなくたって!」

 

2体を引き受けてくれるなら、今は目の前の蠍座に集中だ!

コイツの攻撃は針とその長い尾っぽ

園子が相手をしてくれてたおかげでそのパターンは容易に読める

 

「でやぁあああああ!!!」

 

振り回す尾の攻撃を避けつつ両手の斧で斬りかかる!

 

「どうだい!この銀さまのお手並み!!」

 

今度は針を振りかざして突きにかかる

避けると樹海が…!

斧を構えて受け止めようとしたそこに…

 

「うわっ!」

 

いきなり背中から衝撃を受けて蠍座の懐に飛び込む形になる

振り向くとアイツがアタシを蹴り飛ばしたらしい

その場所には蠍座の針と射手座の大きな矢が突き刺さっていた

 

「ヤバヤバじゃん…」

 

しかし折角(せっかく)懐に入り込めたんだ!

奴の攻撃が再開する前に斬りつけまくる!!

 

「その調子だ!

今回ばかりは樹海を気にする余裕は無いぞ!

いくらこっちで相手をしてても2対3の状況だってことは忘れるな!」

 

なんなんだ?アイツは?

なんでもかんでも知ってるみたいに…

 

しかしこの機を逃す手は無い

考えるよりも、一気に蠍座を追い詰めてやる!

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉっ!!」

 

息をするのも忘れて斬りつけ続けた

蠍座も回復しつつ何度も攻撃しようとしてきたが

攻撃の(かなめ)の尻尾を根元から切り落としてやると

やっと壁の向こうへ下がって行った

 

そのとき後ろから聞こえる叫び声

 

「ディバイディング!」

 

振り返るとアイツが刀を手に地面に切りかかるように振りかざしていた

 

「ドライバアァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

しんっ………

 

静かな一瞬を挟んで射手座の攻撃がアイツ目掛けて飛んで来る!

 

「くっ!」

 

すんでの所でかわすと蟹座の陰に隠れて斬りつけている

 

何がしたかったんだ…?

 

「えやあぁっ!」

 

追いすがって射手座に斬りかかる!

 

「おう、戻ったか、蠍座は?」

 

「首尾は上々よ!」

 

斧を持ったまま親指を立てて応える

 

「これで2対2!もう負けは無いぜ!」

 

「いい気になってる所悪いが。。。」

 

「ん?」

 

「こっちは勇者の力を半分も出せない状態だ」

 

「はあ?!」

 

「さっきも封印の儀に失敗した」

 

フウインノギニ失敗?なんの話だ?

 

「という訳で引き続き、蟹座の相手を頼むぞ!」

 

ついさっきまで蠍座の相手してて疲れてるのに!

なんて弱音を吐くわけにもいかない

なにせコイツはその間、2体を引き付けてくれてたんだ

 

しかし、半分も力を出せないってどういうことだ?

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁっっ!」

 

蟹座はさっきまで相手をしていたから、なんとなく戦いやすい

豪快に振り回してくる鋏を避けて斬りかかる

タイプは似ているが、蠍座ほどのトリッキーさもない

樹海を気にして攻撃を受け止める必要がないなら

強敵というほどの相手じゃない!

壁まで押し返すのにさほどの時間もかからなかった

 

とはいえ、この連戦は疲れる…

息を切らして射手座のところまで戻るとアイツはまだ1体相手にもたもたしている

 

「はぁ、はぁ…偉そうに…出てきた割には…大した事ないジャン?」

 

「息切れしながら言う台詞か、よっ!」

 

射手座が矢を出そうとすると的確に攻撃を仕掛けて邪魔をしている

こっちが蟹座の相手に集中できたのはこのおかげか

強いのか弱いのか、よくわかんねぇな…

 

「銀!!!!」

 

「ミノさ~ん」

 

須美と園子だ、二人がなんとか回復して戻ってきてくれた

 

「おおう!マイラブリーフレンズよ!よくぞ戻って…」

 

パアァァァァァン!

 

いきなりだった

須美の平手打ちがアタシの頬に飛んできたのだ

 

「痛った~、なにすん…」

 

頬を押さえて須美を見ると

須美は…目に一杯涙を溜めて睨んでいた…

 

「ミノさんのバカ、バカ、バカァ~」

 

園子がアタシの胸を叩きながら泣いてる

 

「心…配…したんだから…」

 

言葉と共に目に溜めた涙を零している須美

 

よく見ると二人ともまだ傷だらけのボロボロだ

回復し切れてない体に鞭打って来てくれたのか…

 

流石のアタシも二人に泣かれると弱い

 

「ゴメン…」

 

園子の頭を撫でながら謝るしかなかった…

 

すると

 

「あの~。。。」

 

後ろで声がする

 

「感動的なとこ、空気、読まなくて、すまないんだがっ」

 

アイツだ

 

「結構、こっちがキツイんでっ、手伝ってくんないっ。。。?」

 

アイツが射手座を斬り付けながら助けを求めてた

 

「…あの人は?」

 

「…だれ~?」

 

もっともな疑問を口にする二人に

 

「説明は後!とにかくあの敵をやっちゃうよ!」

 

アタシは涙を拭い、バーテックスに斬りかかった

須美と園子もそれぞれの距離で攻撃する

射手座が矢を放つ瞬間は相変わらずアイツが潰してくれてる

例え傷だらけでも3人が勢いに乗って攻撃に集中すれば

たった1体のバーテックスなんて目じゃなかった

 

大した時間もかからず壁の向こうへ追いやる事ができた

しかし…

 

「「「疲れた~!!!」」」

 

今回ばかりはダメかと思った…

正直、二人を逃がした時点で自分の命は…

 

「よく。。。やったな、3人とも。。。」

 

アイツ…また泣いてる…

 

「それで…貴方は一体…」

 

須美が声をかける

 

「そうだよ!いきなり現れてこの銀さまの尻を撫でて!!」

 

「「ええっ!!」」

 

「胸までペタンコとか言ってくれちゃって!!!」

 

「「ええええっっ!!!」」

 

あれ?二人の反応がちょっと大袈裟な様な…

 

「ちょ、ちょっと銀!」

 

須美が手招きする

 

「あ、あなた、あの人に痴漢されたの?!」

 

園子もめずらしく驚いている

 

「ち、痴漢さん~?」

 

ああ、そうとらえたのか…

確かにあの部分だけ聞くとただの痴漢だな、このオッサン…

 

「どうすんだ?痴漢呼ばわりされてるぞ、オッサン?」

 

苦笑いしながら頬をポリポリ掻くその男に話しかける

 

「実際、何者なのさ?アタシと同じ赤の勇者、それも男がいたなんて初耳だよ?」

 

「何者でもないさ、あえて言うなら。。。」

 

「「「?」」」

 

「通りすがりの勇者(ヒーロー)だ」

 

思わず溜息が出る

 

「何かっこいい事いってんだよ、オッサンが」

 

「オッサン言うな、

『僕はまだまだ若いんだ』」

 

「『僕』ってガラかよ…って…」

 

オッサンはかけてもいないメガネをクイっとやる仕草でニヤリと笑う

 

「え…いや、確かに声は似てる…でもあのあんちゃんは…」

 

「中年太りと見紛うほどのおデブさんってか?」

 

「え?じゃあ?ビームとロボの?」

 

「ビーム?って…」

 

「ロボ~?この間の話の~?」

 

「ああ、開発は出来なかったからな、お詫びに助けに来た」

 

「え?え?え?」

 

ザアァァァァァァァ

 

「樹海化が解けるな。。。」

 

困惑するアタシらをよそに

 

「いいか、俺が助けられるのはこの一回きりだ

もう命を粗末にするんじゃねえぞ、銀」

 

オッサ…あんちゃんはアタシの頭をくしゃくしゃに撫でながら寂しそうに笑った

 

「じゃあな。。。」

 

そう言い残して

 

「あわわわわわわ…」

 

「おお~っ☆」

 

須美と園子がそれぞれに反応する

アタシは…

顔を真っ赤にして固まる事しかできなかった

 

別れ際に抱きしめて残していったアタシの額へのキス…

 

一体どういうつもりであんな…

ダメだ!

思い出すと恥ずかしくて死ぬ!

忘れよう!

それしかない!

 

そう思うが、二人…特に園子がやたらとこの事でつついてくる

 

「ぎ、銀!あ…ああいうのはまだ私たち小学生には早いと思うわっ!」

 

「きっとあの人は時を越えたミノさんの恋人なんだよ~」

「このネタだけでご飯3杯はいけるよ~」

「ミノさんはどうっ?!オデコでもファーストキッスだよね~?!」

 

園子…鼻息が凄く荒いぞ…

そのおかげで二人を海へ落した事はうやむやになってくれたんだけど…

ああっ!モヤモヤする~っ!!

ちなみに…

戦闘後に大赦で治療してもらってたら

あのあんちゃんがおにぎりを差し入れしてくれた

別に痩せてもいなかったし、食堂で働いてるって言ってた

一体何がどうなっているのやら…

 

「だから、時空を越えた恋人なんだってば~!」

 

「はいはい、園子の妄想は小説の中だけにしといてくんな」

 

「でも、本当に誰だったのかしら…」

 

3人でにぎり飯を食べながら帰路に着く

須美は

 

「歩きながらご飯をいただくなんて…」

 

と最初は躊躇(とまど)っていたが

アタシと園子の食べっぷりに観念したのか

 

「お塩だけでも結構おいしいわね、流石は香川のお米ね!」

 

などと言いながらかぶりついていた

 

何がなんだかサッパリ訳が分からないが

戦いに勝って美味い飯も食えた

明日もきっと大丈夫!

アタシら3人がそろっていれば!!

 




ご覧の通り、これは銀生存シナリオですが、裏があります
「どうしてこうならなかった?!」が欲しかった方は
続きの裏の話は見ないことをお勧めします

なお、助っ人の赤い勇者は私の書いた
『三好春信は『元』勇者である』
の主人公であります

目次の作品紹介にurlがあるので
興味をもたれた方はそちらもご覧下さい
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