ご注意ください。
あと、前話の直後です。
「あれ、どうしたんだろ、タマっち先輩?」
顔を赤らめ、春信に「恋人がいたか」を聞いた杏
それに驚いた球子は部室を半べそで飛び出して行ったのだ。
「どうしたも。。。というか、なぜいきなり
春信に問われモジモジと指を絡ませながら呟く杏
「え、えと…私たちの時代の『三好さん』って…亡くなった恋人の為に頑張ってる様な人…
だったんです…」
「ほ、ほほう。。。そんな込み入った話までされる程、仲良しだったんですね、皆さん」
「いいえ?全然!」
「は。。。?」
「でもそういうのって何も言わなくても、なんとなく伝わるものなんですよぉ…」
ホゥ…と遠い目で顔を赤らめて言う杏に
(ああ、絶対違うな。。。あっちの『
「だから!三好さんもひょっとしてそういう事がって!」
今度は鼻息を荒くしてキラキラとした目で春信を見つめている
「ざ、残念ながら恋人と呼べるような方とお付き合いした事はありませんね。。。」
グイグイと押してくる杏に引き気味で答える春信は思わず目を逸らしていた
その様子に杏は残念そうに…
するどころか、まるで何かを察したように更に嬉しそうに両の手を組み、
瞳を輝かせて春信を見つめていた
「そうですか!そうですよね!そういうのって軽々しく口にしないものですよね!」
「え。。。?」
「わかります、わかります、心に秘めた想いってそういうものですよね!」
「
「わかってます!わかってますよ!私、そういうお話たくさん読んできましたから!」
「いえ。。。思い違いしてますよね?私、恋人とかいませんでしたからね!」
「ああっ!誰にも言えない、秘めたる気持ち…!」
「聞いてます?ちゃんと聞いてもらってます?」
ガシッ!
杏は春信の手を強く握り締め
「応援してますから!私!!」
目を爛々と輝かせ鼻息を荒くしていた
「全然、聞く耳持ってませんね。。。」
ハア、と深い溜息をつくと
「しかし、それほどご執心とは、そちらの『三好春信』さんは余程魅力的な方だった様ですね」
「え?」
「そうなんでしょう?随分な人気者ではないのですか?」
「えーっと、それはどうでしたか…」
「え?」
「え?」
互いに意外なものでも見たかのように目を合わせる
「あ、ああ、皆さんに人気というわけではなく、
伊予島杏様が個人的にお好きだっただけなんですね」
「え?そう言われても…」
「え?」
「あ、いえ、悪い人ではないと思うんですが…特に男性として魅力的というわけでも…」
「え?」
「私自身の好みで言うならああいう、いつもヘラヘラしている人より
タマっち先輩みたいな王子様の方が…」
「え?」
「あーっ!なんでもないですよ!なんでも!」
「は、はあ。。。それでは好みのタイプかどうかで言うなら。。。」
「どちらかと言えば嫌いな…あ、いえ、苦手なタイプかもしれませんね、あはは」
にこやかに答える杏の様子に
(別に子供にモテたいとか思ってる訳でもないけど。。。なんか酷い評価だな。。。)
苦笑いで返すしかない春信だった。
「ああっ!三好さんは魅力的な男性だと思いますよ!一般的に見て!」
「散々、その春信さんにそっくりだといわれてきたところなんですが。。。」
「ほ、ホラ!確かぁ…そう!雪花さんがイケメンだって言ってましたよ!初めて会ったとき!」
「若葉様にも何か言われたときですね。。。」
「わ、若葉さんは歯に衣を着せない…じゃなくて、物言いがストレート…でもなくて…」
「クスッ」
「え?」
「フフフ、冗談ですよ。気にしていません」
「はあ…」
「元々、私も女性にもてるタイプでもないですから」
「そうなんですか?」
「ええ、周りにはなぜか綺麗な女性が集まっていた気がしますが。。。」
「ほうほう」
「私に好意を寄せるような方はいなかったようですね」
「ふむふむ」
「それでも学生時代は義理チョコくらいはたくさん頂けたんですが。。。」
「モテモテじゃないですか」
「いえいえ、ただの義理ですし。今年のバレンタインなど妹からしか。。。」
「夏凜さんが?」
「ああ。。。違いました。。。」
「どうしたんですか?」
「いえ、その日にもらったチョコはイタズラだったんですよ、園子嬢の」
「ええっ!園子先生からっ?!」
「ええ、わざわざ妹の名でメッセージカードまで付けて」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「はい?」
いきなりぶつぶつと何かを分析するように独り言を呟き始める杏
「園子先生が三好さんにチョコを?そういえば園子先生は1つを園子ちゃんに渡しただけで本命は誰にしたのかわからず仕舞いだった様な…でもそれをわざわざ夏凜さんの名で三好さんに?そんな意味のない事を園子先生が…いいえ、園子先生はバレンタインでネタ集めに奔走してらしたわ…無駄や無意味な事なんてする筈がない…それに学生時代は義理チョコをたくさん…それって本当に義理なの?こう言ってはなんだけど、三好さんは見た目だけなら本当に綺麗な人だし、三好さんと違って中身もまともっぽい…結構本命チョコも混ざってたんじゃ…だとすると園子先生のも…いえ、だったら夏凜さんの名を使うような回りくどい事をする?園子先生は自分の恋愛よりネタを優先する、そんな人だわ…だったらコレは新作の布石?ということは、新作は百合以外の恋愛小説…それも兄妹の禁断の愛?!」
「あ、あの、伊予島杏様。。。?」
「こうしちゃいられません!」
「はい?!」
「私、園子先生のところに用事を思いつきました!」
「お、思いつき。。。?」
「それではっ!」
シュタッ!っと左手を上げて走り去る杏
その顔はまるでご馳走に食いつくワンコのように嬉々とした表情で
すれ違う者全てがビビッて廊下を端に避ける程であったそうです
ハア。。。と溜息をついた春信も
「妄想文学少女の考える事はわからん。。。」
ろくに突っ込めませんでした
<次回予告>
あの問題作が…
装いも新たに帰ってくる!
西暦の勇者たちのその後を描いた問題作!
君はコレを許容する事が出来るか?
「エリンジウム(改訂版)」
全ては園子の妄想から生まれる…