(1)人を襲う
(2)人以外は襲わない
(3)通常の兵器は、ほぼ効果なし
(4)神の力を宿す勇者なら対抗できる
(5)敵の目標は神樹。破壊を狙っている
皆さん、ごきげんよう、三好春信です
いきなりバーテックスの行動形式が出てきて驚かれたでしょうか?
今回は趣きを変え、僕の思い出話をしようと思います
思い出話といっても、我が最愛の妹、夏凜ちゃんが出てくるわけではありませんし
それどころか皆さんの知っている『勇者』は一人も出てきません
ですが、僕にとっては彼らも、勇気を振り絞った者
『勇者』であったと
そう思えるのです
第1話
<大赦内訓練場>
大赦という組織は勇者となる素養を持つ清らかな乙女を選び出し、それに相応しい知識と技量を育成する、そうして来たるべき日に備え、世界を取り戻す事を命題としている。
今でこそ讃州中学勇者部のように四国中にその網の目を広げてはいるが、元々は大社と呼ばれていた頃からの神々を祀り上げる家系、そして初代および初期の勇者たちが生まれた家系のみが名家と呼ばれ、その中から勇者となる素養を持つ者が選ばれ、またそうでなくてはならないという強迫観念めいたものまで持つに至った。
そのため、先代勇者の鷲尾須美も大赦に勤める東郷家に生まれながら、その家の格が低いという理由で鷲尾家へ養子に出され、名前まで変えて勇者としての務めに勤しんだのだ。
大赦内にはそんな勇者をサポートする様々な施設がある。この訓練場もその中の一つだ。
訓練場、といっても床が板の間で壁の片側が大きな池に面した大部屋という雰囲気で、正面には掛け軸まで飾られ、どちらかというと武道の道場といった雰囲気だ。
そこに一人鎮座する影
仮面をつけた宮司姿のその男
ふと音もなく立ち上がり
また何分か微動だにせず佇み
武術か何かの構えをとるとまた動きを止めた
そうしてやっと動き出した男は優雅な動きを見せる
まるで舞を舞うかのごとく
かと思うといきなり大きな袖で風を切り
ババッと音を立てて鋭く手刀や突きを繰り出した
ダンッとひときわ大きな音で床を蹴り
宙を舞うその間に幾度かの突きや蹴りを繰り出すと
トンっと軽い音で着地したかと思うと
また静かに鎮座し呼吸を整えた
その一連の動作を入り口の影から息を潜め見つめる者があった
細身で猫背の体に白衣を纏い、無造作に伸ばした髪と無精髭は
その眠そうな
名を
彼もまた勇者を助けるための人員として大赦に身を置き、日々研究に勤しんでいるのだ
飛鳥は呼吸を整えた仮面の神官に向けて口を開いた
「『ぶっ、武と云うよりは舞、舞踊だな。
しかし何故、仮面や神官服を……?』」
「『なんだァ?てめェ。。。』」
「《春信、キレた!!》」
「。。。」
「…」
暫くの沈黙の後、春信と呼ばれた仮面の神官は仮面を外し、呆れたように言葉を漏らす
「何しに来たんだ、お前は。。。」
「いや、最近トレーニング以外にやけに気合入れて体動かしてるって聞いたもんでな、
様子を見に来たんだ」
「それでなぜ今のネタ振りを。。。」
「見てたら言わなきゃいけない気がした」
いまの一連のやり取りは何かのネタだったようだ
春信はハァ…と大きな溜息を返す
「しかし本当に気合が入ってたな、仮面と神官服なんていつ振りだ?」
「わりとつい最近まで身に着けてたんだがな
園子嬢の警護から外れて、こっちの仕事に就いて。。。
まあ、お前に言われなきゃ、普段の鍛錬以外にこんなおさらいみたいな演武、
やったりしなかったろうけど」
「俺?何か言ったっけ…」
「おい!」
飛鳥のまるで覚えていないような口ぶりに春信は思わず突っ込んだ
「今度の量産型は勇者になったときに仮面が付くってお前が言ったんだろ!」
「ああ、アレの事か…過去に行くのに素顔のまま勇者はやれんだろう」
「
「つーか、ソレのどこから見えてるのかさっぱりなんだが…」
「それに量産型で過去に行くと勇者服の性能も下がるって言ってたろ!」
「まあ、
過去に行けば更に力は減少するはずだ」
「はずってお前。。。」
「理論上はな、神樹の力が今ほど安定していない時期へ行くんだから当然だ
実際のところはお前が過去に行って立証試験をしない事にはわからん」
「人を
「そのデータが正規の量産型にフィードバックされれば
それを使う娘達の助けにもなるし、性能も上がる、お前も納得済みだろ?」
「『知ってるがお前の態度が気に入らない』」
「喋るな。スケブ持て」
「無茶言うな」
「ま、ネタに走る余裕があるなら大丈夫だな。さっさと準備しろ、最後の調整するぞ」
どうやらまた何かのネタだった様だ
春信は外した面を指先で器用に回しながら飛鳥の後へついて行った。
長くなったので分割して掲載です