新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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今回で一区切りです


第3話

それから何日か経ったある日、朝のまどろみの中で目が覚める

と言っても、日も差し込まない洞窟では時間の感覚も今一つと言ったところだ

そんな中、耳に入ってくる中尾さんたちの声

 

「…かすかに届いた通信だから確かとは言い切れんが」

 

「目指すは四国本島って訳ですね」

 

「まあ、他に行けるところもありませんしね」

 

「でだ、巡回を通して分かったのはこの島にいるあのバケモノは5体だけのようだということ」

 

「ええ、アイツ等人間がいないときはフワフワと同じ所を漂ってるんで、間違いないでしょう」

 

「ここで仮説だが…彼は浜辺で気絶したまま襲われていなかった」

 

これは僕の事か。。。

 

「これはまだ彼が奴らに見つかっていなかったからではないだろうか?」

 

「ええ、自分もそう思います」

 

「もし見つかってたら浜辺で倒れてる時なんて格好の的ですからねぇ」

 

「そして我々5人を残して他の生存者が見つからなかった事を踏まえると」

 

「奴らはそこにいる人間と同数で対応していると?」

 

「流石に大勢いたときには分からんがな」

 

「じゃあ、もしかして…」

 

「我々がいなくなればアイツ等もいなくなる可能性が?」

 

「ちょっと待ってください!」

 

我慢できずに上げた僕の声に皆が振り向いた。

 

「起きていたのか…」

 

「一体何の話をしているんですか!」

 

「何って、これからの方針ってやつだよ」

 

悪びれもせず浜本さんが答えた。

 

「どうせこのまま隠れてても食料が尽きればおしまいだからな」

 

「かといって我々の装備では君を守って逃げることはおろか自分達の身を護る事すらあやしい」

 

中尾さんが言葉を継いで説明する。

 

()()に覚悟の特攻なんてバカげてると今まで思っていた

だが、我々の命で君だけでも助かるというならそれは無駄死にではないだろう」

 

「僕の為に皆さんが死ぬなんてこと。。。!」

 

「別に本当に死ぬと決まったわけじゃない、どうやら四国本島はなんとか無事らしい

そこまでたどり着けたら俺たちの助かる可能性も高くなるって寸法だ」

 

「幸い、敵は5体だけのようだしな」

 

「1体でも倒せりゃ御の字、囲みをくぐる可能性も高まる」

 

「そ、それに倒せなくても何とか振り切れれば僕たちも助かるんです」

 

「なんだよ、伊達は消極的だな」

 

「いや、敵は強大だ。慎重かつ臆病なくらいで丁度いいだろう」

 

「そういう事だ。君を救うためだけではない、これは我々にも必要なミッションなんだ」

 

「でも。。。」

 

「正直、食料が切迫する前に行動したいというのもある」

 

「ここに残る君の分、作戦に成功した後の自分たちの分」

 

「そろそろ行動を開始しないとギリギリだからな」

 

「レーションだらけの食事も飽き飽きなんでな」

 

「ふふっ、僕たちも腹ペコでは戦いたくないですから」

 

「あれ、伊達笑った?俺今おかしな言い方したか?」

 

「浜本はそのままでいいんだよ、気にすんな」

 

「え、どういう事っスか?!」

 

これから死地へ向かう話をしているのに。。。

いつもと変わらない様子で話す彼らに何を言えばいいのか。。。

黙り込んでしまった僕に中尾さんは申し訳なさそうに説明してくれた

 

「すまないな、もう少し話が固まってから君には説明するつもりだったんだが

こうなったからには君にもここまでの流れを聞いてもらおう」

洞窟の入り口で装備の確認をしている5人

 

「いいか、再度確認するぞ、作戦はこうだ」

 

中尾は地面に地図を広げ5つの点を指し示す

 

「奴ら5体の中で比較的離れた位置で漂っている個体、これをα(アルファ)と呼称することにしよう」

 

4人がその指を凝視している

 

「他の個体は時計回りにβγδε、攻撃目標はαに固定、全員で集中攻撃を仕掛ける」

 

頷く4人に更に

 

「当然、銃声を聞けば他の4体も集まってくるだろうが、基本はαに集中、

他の個体に構っている余裕はない。後はその場の判断で臨機応変に、だな」

 

「大雑把な作戦っすねえ」

 

「実に俺たち向きだな」

 

「だな、自分もそう思う」

 

「こ、これが一番生存率が高そうですもんね、やるしかないです!」

 

小野沢の言葉に浜本、柿崎も不敵な笑みを浮かべ、伊達も意を決したように頷く

 

「後、これは一番大事なことだが…

俺が死んでも気にせず進め。俺もお前たちが死んでも気にせず進む

死人に振り返る暇があったら引き金を引け。死者を(いた)むのは生き残った者でやればいい」

 

その言葉を受け、誰もが真剣な面持ちで小さく頷くだけだった

 

装備の確認が終わり、洞窟から正にいつ飛び出すかと構えている5人

そんな中、伊達2士が小声で提案した

 

「…歌っても…いいですか?」

 

「なんだ?いきなりどうした、伊達?」

 

「実は…怖くてどうしようもないんです、何かしていないと」

 

「それで歌か、随分ロマンチストだな」

 

「ふと昔見たアニメの歌を思い出したんです」

 

「アニメ~?」

 

「なんだか凄く今の僕達の状況に歌詞が似てて…」

 

「ほう…」

 

「歌えば、勇気がもらえるかも、頑張れるかもって…」

 

「よろしいのではないですか?班長」

 

「そうっスね、俺達って真面目に隊歌歌うタイプでもないですし」

 

「知ってる歌なら俺たちも歌ってやるよ」

 

「班長…」

 

「…皆がいいって言ってるのに俺だけが反対できる訳ないだろ?」

 

「あ…ありがとうございます!」

 

伊達は半べそをかいたような表情で礼を言うと

スウ~ッ

ゆっくりと息を吸い込み、震える声で歌いだした

 

「いのちを~もやせ~いかりを~もやせ~」

 

「「「「!」」」」

 

震える声のまま歌い続ける伊達

そこに声が重なる

 

「「風が唸る大地から」」

 

「柿崎士長!」

 

ニカッと笑う柿崎

伊達の声も少し震えがおさまっている

 

「成程な、インベーダー…こっちだったか」

 

「「「この青い地球に明日はあるか」」」

 

「浜本1士も!」

 

浜本はどこか得意げだ

3人の声が重なると歌にも勢いが出てくる

 

「チェンゲとは、若いのに渋い趣味してんなぁ」

 

そう言うと小野沢も歌いだす

 

「「「「立ち上がるんだ!」」」」

 

「小野沢1士~」

 

「まったく、俺の部隊はバカばっかりだな…

さて、それじゃあ、行くぞ!」

 

「「「「おう!」」」」

 

中尾の号令で飛び出すとその中尾の声も重なり、全員で歌いながら星屑へ突撃する5人の男たち

 

「「「「「暗い闇の宇宙から迫りくる恐怖の声が」」」」」

 

「中尾班長も知ってたんですね!」

 

「言ったろ、皆バカばっかりだって。

大体俺を何歳(いくつ)だと思ってやがる!元祖ゲッター直撃世代だぞ!」

 

歌いながら駆け出す5人の顔には緊張感とともに口元に笑みが浮かんできている

 

「「「「「心に燃える炎消しちゃいけない」」」」」

 

2丁の小銃を小脇に構えて後方から撃ち続ける柿崎

その援護の中、個体α、星屑に突撃しつつ撃ちまくる4人

足の速い浜本はその中でも突出して星屑に近づいていた

背中からの攻撃だったが、弾丸など星屑はまるで効いていないかのように反転し、

口を開いて先頭の浜本に迫る

 

(そんな単調な攻撃!)

 

「「「「「きっと君が行かなけりゃ」」」」」

 

歌いながらもギリギリのところで(かわ)すと後ろから至近距離のフルオートで撃ちまくる

 

(くそっ、全然効いてる気がしねえな!)

 

そう思う浜本を援護していた柿崎の撃つ2つの射線が大きく逸れて大空へ流れていく

星屑越しに後方を見ていた浜本の目に背後から星屑に喰いつかれ、

上半身が折れるように後ろへ倒れ込む柿崎の姿が見えた

 

(もう別の個体が来やがったか)

 

「「「もしも俺がやらなけりゃ」」」

「柿崎さあぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」

 

射線の異常に振り向いた伊達がその様子を目の当たりにして叫んでいた

 

「立ち止まるな!歌い続けろ!伊達ぇっ!!」

 

振り向かず撃ち続ける小野沢の声にハッと気づき、前を向く伊達

そう、隊長の中尾に言われたのだ。誰が死んでも前に進めと

後ろにいる個体に構っている余裕などない、前に進みαと名付けた星屑に集中するしかない

 

「「「「美しいこの星が絶えてしまう」」」」

 

個体αのすぐ後ろで小銃の弾が切れ、それを捨てる浜本

個体αはぐるりと軌道を描いて浜本の方へ向き直る

その隙に雑袋から両手に円筒型の手榴弾を持った浜本は

 

(柿崎1士、1人じゃ逝かせませんぜ)

 

自分の方へ向いた星屑の口へ体ごと突っ込む

その口の中で爆発が起きた

 

(浜本さんっっ!)

 

「「「命を燃やせ!怒りを燃やせ!」」」

 

その攻撃で停止する個体α。いや、口の中の人間を咀嚼(そしゃく)するために停止しているだけなのか

とにかく動きを止めたそれに右から中尾、左から小野沢、真っ直ぐに伊達が

小銃を撃ちながら駆け寄っていった

 

「「「敵を倒すまで」」」

 

中尾と小野沢はほぼ同時に弾を撃ち尽くし、ナイフを構えて中尾は敵の横っ腹に

小野沢は飛び掛かって敵の頭頂部に突き立てた

それを見た伊達もナイフを出そうと装備に目をやった瞬間

 

(伊達っ?!)

 

小野沢の右目に後方から来る猛スピードの星屑が映る

その体当たりで個体αとの間に挟まれるように潰される伊達

 

「「全てを捨てて俺は戦う」」

 

中尾もその姿は見ていた。だがそれでも目の前の敵に集中し、

突き立てたナイフをそのまま突き上げるように

踏ん張っていた足に力を籠め、星屑の表面を切り裂いた

 

(やった?!)

 

そう思った瞬間、どこから来たのか、3体目の星屑が上空から現れ

一気に中尾の両腕と頭を突き上げたナイフごと齧り取った

 

(班長!!)

 

皆の死に何かを思う間もなく、個体αは小野沢ごと浮き上がり、

振り落とそうとしたのか、体を傾ける

 

(逃がすかよっ)

 

小野沢は傾きと逆側、丁度中尾が切り裂いた傷口に右手をかけ、星屑をよじ登る

 

「今がそのときだぁっ!」

(この傷を開けば!)

 

そう思った小野沢の手におかしな感触が伝わる

見ると切り裂かれた大きな傷は見る見るうちに小さくなり、塞がろうとしていたのだ

それに驚く暇もなく、小野沢の左腕と右足が強い熱を帯びる

2体の星屑が今度は小野沢の手足を噛み千切っていたのだ

だが小野沢の心はその痛みや死の恐怖より怒りに満ちていた

 

「ふざけるなぁっ!」

 

4人の犠牲の中でやっとつけたと思ったその大きな傷が、

いま目の前でなかったかのように消されようとしているのだ

こんな理不尽が許せるものか、この傷だけは

その思いが、塞がりかけた傷にかけた右腕に力を籠め、

そこに頭を深く潜り込ませて(かじ)りついた

そう、これが人間の牙だ、思い知れ!とばかりに

 

(テメエら!空から見下してんじゃねえっ!

人類なめんなぁぁぁぁぁぁぁっ!!)

 

心の叫びとともに齧りついた部位を首の力で引きちぎる

 

その瞬間、個体αは傷口から光を放ち、全身が光の粒のようになって上空へ散っていった

支えを失った小野沢だが、その光の粒に押されるようにゆっくりと降下していく

 

「やっ…たぞ…みん…な」

 

そう呟くと光の粒子はいつしか消え去り、背中から大地に叩き落とされる

動かなくなった小野沢に向かい、2体の星屑たちが迫っていた

 

「俺たちは確かに倒したんだ、あの化け物を…

たった一匹だったが…俺たち5人だけで…

確かに…ぶっ殺して…やったんだ…」

 

群がる星屑の影に小野沢の姿は見えなくなる

その様子を春信はずっと見ていた

「小野沢さぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 

僕は思わず飛び出していた

あんな化け物相手に自分が何か出来るはずもないのに。。。

 

僕の声を聞きつけて化け物たちが寄ってくる

無我夢中でジャケットのナイフを1本取り出し

両手で掴んで振り回すが

化け物はそんな物には意も解さず僕の腕を。。。

僕の記憶はここで途切れていました

気がつくと祠前で飛鳥に叩き起こされ、その時には記憶も戻っていました

飛鳥が言うには、時空の復元で記憶も復元されたんだろうとのことですが

詳しくは検証も出来ないのでわからないそうです

 

 

 

 

 

このことがきっかけで僕は積極的に西暦の時代へ赴き、戦い続けることになります

 

この『三好春信』のシリーズをお読みの方はお気づきになられたかもしれませんが

僕は皆さんの知る「三好春信」ではありません

 

ご存知の通り僕、三好春信がタイムスリップできる過去はこことは違う、パラレル世界

僕は以前、話に出た「別の春信」です

 

彼らの戦いを経て、僕は積極的に西暦の戦闘へ参加する事になります

結果は若葉たちの語っていた通り、散々なものでしたが。。。

それでも1体でも多くのバーテックスが倒せるなら

彼らに恥じる事の無い戦いをと心がけて戦い続けました

 

ただ。。。彼らの戦いの記録は大赦には存在しませんでした

それは小野沢1士があのままこと切れてしまったからなのか

勇者以外の戦果を大社が隠蔽したのか、それはわかりません

英霊たちの碑の中にも彼らの名前はありませんでした

そもそも、彼らの戦いが僕の時空にも存在したのかすら確かめる術がないのです

 

でも、対バーテックスマニュアルのバーテックス行動形式(3)にある

その言葉を見るたびに思うのです

きっと『彼ら』はそこに存在し

それを伝えた者がいたのだと

 

【対バーテックスマニュアル

 バーテックス行動形式

 (3)通常の兵器は、『ほぼ』効果なし】

 

彼らの死から300年以上経った今でも

この言葉は消されてはいません




mototwo(以下略):『戦翼のシグルドリーヴァ 狂撃の英雄』『ゆゆゆちゅるっと』終了アンド『新米勇者のおしながき~乃木若葉は勇者である すぴんあうと4コマ~』公開開始おめでとー!

春信(以下略):またいきなりだな。。。

いやー、まさかまたTVであたらしい『ゆゆゆ』が観れるとは思いもしませんでしたぜ、ダンナ!

誰がダンナだ。大体『シグルリ』とやらは関係ないだろ。。。

ふっふっふ、ところがどっこい
この話を今まで上げなかったのは『狂撃の英雄』の影響だったのだよ

は?

この外伝、プロットが決まって書いてる途中でニコニコ漫画で
『戦翼のシグルドリーヴァ 狂撃の英雄』の掲載が始まってさ

ほう?

なんとなく読んでたら色々とこの話とかぶるとこがあってな

というと?

TVの前日譚、現代兵器の利かない敵に現行戦力で臨む男達、気合と根性でなんとか倒す、という

今回の外伝そのまんまじゃん!

うん、それで流石に「これ出したらパクリとしか思われんわ」ってなって筆止めた

よくそれで書き上げる気になったな。。。

まあ、逆に最終回まで読んだら書き上げたくなっちゃったから

一体どういう思考の方向性なんだよ。。。
大体、あの話の締めでよく今みたいな後書き書けたな!

そらお前、あのラストは筆止める前に書いてたとこだから
後書き書いてる時点と数年の差があるんだもん
あれ描いた時点じゃ後書きまともに書けなかったし

相変わらずのメンタルよのう。。。

ま、これでなんとか需要のない「ゆゆゆ」なのにオッサンだらけ・三好春信出るけどお前の出番なしって話も公開できたわけだ

あ!あんときに言ってたのこのことだったのか!

そう、お前じゃない三好春信の話。あーなんか肩の荷が下りたわ

はあ。。。で、この三好君の出番はここまでって事か?

あ、いやこのままだと逆に若葉たちから聞いてた春信とキャラが繋がらんから、そこに行き着くまでは書いておしまいにしようかと

ああ、ラストのあれは割と愉快な三好君のイメージとは違いすぎるな



ん、どした?

これ書いてるうちに溜まってるアニメ見てたら『大満開の章』が10月から始まるってCM流れた

なにぃっ!『ゆゆゆ』の新作TVアニメだとぅっ?!

驚き方がわざとらしいな…

これは来るか?俺の本編登場が!

出ない方に3ガバス賭けるぜ!

せめて花〇院の魂くらい賭けろや!

勝ちの見えてる賭けにそれを賭けるのもなんかなあ…

わかんねーだろ!どういう話になるか、その流れによっては!

あーはいはい、わかんないねー

流すな!

それじゃまた次の更新までー

勝手に終わんな!

<続く>
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