「黒影《ダークシャドウ》!!」
『アイヨ!!』
「いきなりか⁉︎」
常闇は"個性"を発動させ天倉に攻撃を仕掛ける。黒影の伸びた手は天倉へと向かっていくが初手は回避される。
「まだだ!攻撃の手を休めるな!」
だが、常闇の攻撃は終わらない。黒影の手は伸縮自在であり、天倉をしつこく何度も追いかける。
天倉は黒影の連続攻撃を避け続ける。
「そこだ!黒影《ダークシャドウ》!!」
『アイヨ!!』
黒影の天倉の足を払うように攻撃する。すると天倉の体勢が崩れてしまう。
常闇はまるで待っていたと言わんばかりに黒影に指示を出す。
「決めろ!ヤツを場外へ押し出せ!!」
『ッシャア!』
バランスを崩した天倉へと手が伸びる。このまま黒影の攻撃を食らってしまえば場外へ押し出されてしまうだろう。
あと数十㎝で天倉に手が届く━━━
「うおっっと!」
かと思いきや天倉は身体を捻りながら後方へと宙返りをし見事に黒影の攻撃を躱す。
あの状態から攻撃を避けたからなのか観客達がおおっと騒つく。
常闇は顔をしかめながら距離を取る。
「やはりそう簡単にはいかないか・・・」
『おいおい、すげぇ勢いで攻撃すんな⁉︎それを全部避ける天倉もすげぇけどな!!』
『天倉の個性無しでの身体能力はクラスの中でも1、2を争うほどの実力者だ。あれくらい造作もないことだ』
「黒影《ダークシャドウ》深追いはするな。ヤツは近距離では強敵だが俺たちが得意とする距離ならばヤツを倒すことが可能だ。」
『マッタクシャーネーナ』
常闇は黒影に指示を出し天倉への攻撃を一旦中止させる。常闇は天倉の個性を警戒している。麗日との試合で見せたアレは己の個性と同じく闇《暴走》の危険性があるのだ。
自身と同じピーキーな個性を持つ者だからこそ分かる。天倉が個性を使った時初めて激戦が始まるのだと。
その試合を見守るA組は勝つのは常闇と天倉のどちらになるのか話題になっていた。
「なぁ、どっち勝つと思う?」
「天倉じゃね?麗日のときヤバかったからなぁ」
「いやいや常闇だろ、中距離じゃあ無敵だぜ近づくことすらできねーよ。」
クラスメイト同士どちらが勝つか気になりA組の観客席は少々騒つき始める。B組もつられるかのように生徒同士で話し合う者達もチラホラ出てくる。
「全く、A組はこれくらい黙って見ること出来ないのかな?」
「でもあいつらの内片方は拳藤と当たるんだろ。気になるだろ」
「ふーん、そう言われてるけど本人はどうなの?」
物間は拳藤へと問いかける。拳藤はうーんとしばらく考える素振りを見せた後
「それはやっぱり━━━━
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「黒影《ダークシャドウ》!!近づけさせるな!」
『コレデナンドメダヨ!』
天倉と常闇の戦いは常闇が優勢となっている。天倉は先程から黒影の攻撃を避け続け、ステージの端に追い詰められ、距離を取られの繰り返しだった。
かれこれ約5分はやり続けている。
「ねぇ、デクくん。これって天倉くん不利だよね」
麗日が緑谷に問いかける。天倉と戦った麗日だからこそ分かる。天倉は近接戦に特化しており勝てる者はそうはいない。だが、あくまで近接戦においてだ。常闇の"個性"は中距離において無敵の性能を発揮する。
「うん、麗日さんの言う通りだ。天倉くんはカウンターを中心としてそこから派生技に繋げるコンボを得意としている。けど常闇くんの黒影にはカウンター技は勿論、ほとんどの物理攻撃も効かないと思う」
黒影の弱点である光を生み出せるのは爆豪、上鳴、轟辺りだろうだが天倉には光を生み出す術は無い。
天倉が勝てる確率はおそらく半分にも満たないだろう。
(・・・・駄目だ。黒影には関節技とか絶対効かないだろうし、だからと言って個性を使っても耐久戦持ち込まれるだろうな)
天倉自身もこのままでは常闇に勝つ事が出来ないと感じ始めている。
━━私/俺は上に上がる‼︎
だが突如として天倉の脳裏にとある台詞が横切る。体育祭がまだ始まっていなかった時の台詞、とある人との約束。何故このタイミングで思い出したのかは分からなかった。天倉はこの体育祭でヒーローに何故なりたいと思ったのか分からなかった。
だが、もしかするとこの体育祭でヒーローになりたかった理由を見つける事ができるのではないのか?と戦っていく内にそう思ってきたのだ。
ならば、やる事は決まっている。
(戦って、勝って、見つけてやる。俺の原点《オリジン》を!)
天倉はそう心の中で言い聞かせると常闇へと向き直り、構える。
「あれは⁉︎」
「構えが変わった⁉︎」
だが天倉が見せたのは麗日との試合で見せた構えと違った、また別の構えだった。
左手の拳を目より少し高い位置にし、肩でアゴを隠すようにしており右腕は肘を右脇腹にくっつけ、拳でつねに顔面をガードするように軽く前かがみになり両膝は軽く曲がって、リズムを刻むようにステップを踏むようにしている。
「ボクシングのフォームか⁉︎」
天倉が見せているのはボクシングのフォームであり、シュッシュと口から擬音のような声を出しながら手足を動かしシャドーボクシングを行なっている。
(なんだアレは・・・・だが警戒するに越した事は無い)
常闇は麗日との試合で見せなかった構えだったのか黒影を出し警戒しているが、無意識なのかジリジリとその場から引きずるように下がってしまう。
その時、待っていましたと言わんばかりに天倉は構えたまま常闇に向かって走り出す。
「向かってくるか・・・・黒影《ダークシャドウ》ッ!!」
『アイヨッ!!』
それに対し常闇はやや焦りながらも黒影に指示を出しながら攻撃を命じる。
黒影の伸縮自在の手が天倉へと伸びていく。
━━フッ
「なっ⁉︎」
がその攻撃は天倉には当たらなかった。いや、避けていたのだ。天倉は黒影の伸びた手のすぐ横へと移動していたのだ。
天倉は攻撃に当たりそうになった瞬間自身の重心をずらしつつ短い距離だが、すぐ横へと素早く移動したのだ。
【スウェイ(スウェー)】
ボクシングで相手の攻撃を避ける防御方法の一つ。顔面を狙ってきた攻撃を上体を逸らすことによってかわすものである。
本来スウェイは上体を後ろへ逸らし回避するものであり左右などの側方への回避には使わないが、そこは天倉が独自にアレンジ、もしくはそう教わったものなのだろうか本人自身気づいていないようだが。
「くっ!間合いを詰めさせるな!」
『アイヨッ!!!』
黒影は天倉へ向かって突進を仕掛ける。が、天倉は上半身を後ろへと傾けながら身体を地面に擦り付けながら滑り込みながら黒影の攻撃避ける。要はスライディングによって攻撃を回避したのだ。
『アアッ⁉︎』
「不覚ッ‼︎」
そして天倉は黒影の攻撃を掻い潜り、常闇に接近する。天倉の前には障害物は何も無い。
『おおっと‼︎天倉、常闇の猛攻を掻い潜り懐に入ったーーーー‼︎』
「くっ・・・!(天倉の構えから察するにボクシング系の攻撃をしてくる、黒影《ダークシャドウ》を今から戻すのは間に合わない。ならば前方からの攻撃を防ぐ為に防御を!)」
常闇は黒影を戻すのは無駄だと分かったのか目の前で両腕を交差させ防御の体勢をとる。
それに対し天倉は体勢を低くし、地面を蹴るようにし駆け腕を後ろへと持っていく。
そして━━━
バアンッ!!!
常闇の顎に掌底が決まった。
「・・・・うん?」
A組の誰かの声が口から漏れた。天倉はそんな事を気にせず攻め続ける。
掌底によって怯んだ常闇の頰に張り手、もう片方の頰にも張り手。そしてトドメの張り手━━常闇は顔からきた多数の衝撃によってよろめいてしまう。
【張り手尽くしの極み】
距離を取った相手に対し高速で接近した後、掌底で相手を浮かばせ追撃で連続の張り手を行う技だ。
しかし天倉の場合、距離が近すぎたのか完全には決まる事はなかった。
そんな攻撃を受け、よろめく常闇は思った。
(・・・・思ってたのと違う)
そう、先程から天倉が見せていたのはボクシングのフォームだった。しかし出てきた技はまさかの張り手である。勿論、張り手を使うボクシングなんて聞いたこともない。
『お、おーーーーっと!!!常闇よろめいたぁーーーー!っていうかなんでボクシングのフォームから張り手っておかしいだろ!!!』
『あいつ・・・・まさか・・・』
「(やられた・・・・だが、既に呼び戻しておいた!)黒影《ダークシャドウ》!!!」
『オウヨッ!』
常闇は先程、攻撃を食らっていた最中に黒影を体の中へと戻しておき、いつでも仕切り直しをできるように準備をしていたのだ。
常闇と黒影は改めて天倉へと向き直る。
「何ッ!!!」
『イッ、イネェ!!!ヤツガイネェ‼︎』
が、常闇達の目の前には天倉は既に消えていた。天倉の姿は影も形も無い。が常闇は感じる、天倉から放たれる威圧感を、プレッシャーを感じるのだ。
そのプレッシャーを放つ元の位置は
「ッッッ!!!まさか⁉︎」
自分の背後、間合いは20㎝も満たないほどの距離だった。天倉は自分に気付かれない内に背後に移動していた。
だが、そんな天倉は謎の構えをしていた。グググと上半身を捻るように斜め後ろへ向け、右腕を大きく上へと突き出している。
常闇は天倉の謎の行動により驚異の念を抱かせてしまう。常闇はしばらく動かなかった、いや正しくは"動けなかった"。
(な、なんだ天倉は何をしようとしている⁉︎動けない、俺は天倉の威圧感に支配されているのか⁉︎)
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
常闇はまるで何かに縛られたかのように動くことすら叶わなかった。そして天倉の変化が訪れる。
「・・・右前腕部限定"個性"発動」
天倉の右腕に緑色の装甲が纏わる。更に天倉の右手からギリギリという音が聞こえる。
常闇の身体中にどっと汗が噴き出る。天倉の動きは不気味なほどに動かない。今の自身は隙だらけの筈なのに何故攻撃を仕掛けてこない?いや、自分も何故攻撃をしない?そんな疑問符が頭の中で飛び交う。
「俺の・・・必殺技・・・・part・・・・4・・・!」
お互い動かず何十秒たっただろうか、天倉は構えを解かずまだ溜める。
常闇は動かない。彼は完全に天倉のペースに飲まれている。もはや洗脳された緑谷のように外部からなんらかの力が加わらなければ動けないだろう。
『ナニヤッテンダ!!シッカリシロ!!』
「!!!」
だが、彼には頼もしい相棒《黒影》がいた。常闇はやっと正気に戻った。黒影に呼びかけられ先程までとは違い、一気に冷静な思考に戻る。
ところで話は変わるが拳の破壊力はどう変化するのだろうか?ただ単純に筋力が高ければ破壊力もアップするだろう。特に握力とそれ以外にも脱力によって筋肉をリラックスさせスピードを出させる方法もある。後は拳に全体重を乗せる力任せな方法もある。
ならば全部を組み合わせたならどうなるだろうか。
━━━握力× 体重×スピード=
刹那、常闇の顔前には拳が迫ってきていた。いつの間に天倉が殴ってきたのかはわからない。ただ、分かるのは不思議と周りがゆっくり見え、思考が速く動く。
「強・・・!速・・避・・・無理!受け止める・・・無事で!?できる!?否・・・・・・!!!」
━━━破壊力
常闇は1秒も満たない時間でただ、一つの行動に移る。
「黒影ォォォォォォオオオオオオオオオ!!!」
ズドンッッッ!!!!!!
轟音が鳴る。
その音の発生源はステージ上の2人の高校生からだ。1人は殴り終えた姿勢を維持している生徒、そしてもう1人は
「がっ・・・ぐっ・・・・・おおおぉぉぉ・・・」
天倉の直線上、彼からやや離れた位置にいた。だが、膝をつきながら悶絶して腹部を抑えているのが分かる。
(ぐっ・・・・・黒影《ダークシャドウ》が盾になったおかげでダメージは無いが、衝撃がそのまま貫通してきたみたいだ・・・・!)
あの一瞬で常闇は黒影を盾にすることによってダメージを大きく軽減することが出来た。しかし、天倉の一撃は黒影ごと常闇を吹っ飛ばしたのだ。
『ま、マジかあああああ!!!?ほぼ無敵だった常闇、まさかのダウーーーン!!天倉すげぇな!ほぼ個性使わないでアレって、天才かあいつ⁉︎』
プレゼント・マイクは天倉を絶賛する。天倉は右腕に個性を使っただけでそれ以外は素の力であるためだろう。先程と比べてハイテンションになっている、いやハイテンションなのはいつもの事だろう。
「す、すごい。まさか弱点の光を突かず、常闇くんを追い詰めるなんて!天倉くんの強さの秘訣は個性じゃなくて身体能力つまり基礎となる部分に直結しているのか、だとすれば練習メニューを見直した方が良いのか天倉くんに直接聞いた方が良いのか、そもそも練習メニューは個人差もあるから」ブツブツブツブツブツブツ
「か、カッケェ!!!天倉すげぇ!漢らしいじゃねぇか!くぅ〜痺れるぜ!」
「天倉って、個性を使う以前に化物じゃんか・・・・」
観客の一部がざわつき始める。がそれを鎮めるかのように声が響く。
『天才じゃあないな。むしろその逆だ。』
『え?何どういう事?』
その声の正体は相澤であった。相澤は天才というのを否定した後淡々と話を続ける。
『さっきまでの天倉の戦い方を見たか?ボクシングのフォームをしていたのにも関わらず出してきた技はどれも統一性の無いもの、バラバラだった。おそらく天倉は格闘術に関してど素人だ。』
『えっ⁉︎そうなの⁉︎』
『そうだよ。天倉のさっきの攻撃は溜めも長すぎるし、威力があり過ぎて負担がかかる。おおよそ自身の個性で腕をグローブのようにガードしたんだろうが力加減がダメだな。麗日との試合で出さなかったのは個性での相性もあっただろうが一番の理由はそこからだろうな。』
相澤は説明を終えると眠るかのように静かになる。それを天倉は聞き取ると溜息をつく。
「・・・相澤先生なんで分かっちゃうかな・・・あぁ腕が痺れる・・・」
天倉は反動で麻痺している右腕を抑える。だが天倉の表情からまだ余裕だと言うことがわかる。
(・・・・どうやら甘く見ていたようだな。俺は最低限の力で勝とうとしていたが、そう言う訳にはいかないようだ。)
常闇はなんとか立ち上がりながら1人静かにそう思う。
(ヤツからこの戦いは絶対に負けられないという覚悟を感じる!ヤツにはやると言ったらやる・・・・【凄味】があるッ!!!)
『おおっと⁉︎常闇立ち上がった!!!まだまだ勝負は続くぜ!!!』
常闇は黒影を出現させ再び天倉と対峙する。常闇の目には先程までとは違う、闘志が感じられる。
「黒影《ダークシャドウ》、俺たちは飢えなければならない。もっと貪欲に、自分自身を高める為に"飢えなければ"勝てない。ただし、天倉よりもだ。ヤツよりもずっと"飢え"なくてはならないッ!!」
すると黒影が常闇の全身に纏わりつく。黒影の顔は兜のように常闇の頭に被さり、黒影の腕は鉤爪のように常闇の腕にぴったりと付く。その姿はまるで翼を失った鴉の化物だ。
「ヒーローショーでお前にやられた時、弱点である近接戦を克服する為、お前と渡り合う為に開発した技だ。俺自身に黒影《ダークシャドウ》を纏わせることによって近接戦をカバーすることが可能になった。まだ、未完成だがな。名を付けるとするなら
━━━━"深き闇ヨリ出デシ鎧殻 "」
「長っ⁉︎ネーミングセンスおかしくない⁉︎」
「フッ、お前だけには言われたく無いな・・・・・個性を使って来い。それも全身にだ」
常闇は天倉を睨みつけ挑発するように個性を使うように促す。天倉は常闇の挑発について考える。常闇の自信からくるものなのだろうか、または罠なのだろうか、あるいは━━━
「使わなければ━━━待つのは敗北のみだ!!」
「!」
常闇は黒影を纏った状態でこちらに接近してくる。天倉はやや遅れて反応し距離を取る。
が常闇の方が一枚上手だった。常闇が纏う黒影の手が天倉へ伸びる。天倉はそれをガードしようとするが右腕の痺れがまだ取れていない為、片手だけでガードするしかなかった。天倉は徐々にステージの端へ追い詰められていく。
『おぉーーーーーーっと!!常闇の新技で天倉ピンチか⁉︎』
「ぐっ・・・まだだ!!!」
天倉は先程見せたボクシングのフォームを構える。そして常闇の猛攻をバク転、スウェイ、スライディング等のあらゆる方法で回避する。
「接近戦でくるか!だが片腕は使用不可だ。まともに戦う事は困難の筈だ。」
「元より片腕だけで戦おうとは思っていない!」
そう言うと天倉は低姿勢で常闇に接近した後、相手に向かって膝を突き出すように蹴りを浴びせる。が常闇はそれをあっさりと防御する。
「まだだ」
そう言いながらもう一方の脚で常闇を蹴る、防がれる。片方の脚で再び蹴る、防がれる、蹴る、防がれる。それを何度も何度も繰り返す。天倉の攻撃は徐々に激しさを増していく。
「首肉《コリエ》!」
首に狙いを定め蹴りを放つ
「肩肉《エポール》!」「背肉《コートレット》!」「鞍下肉《セル》!」「胸肉《ポワトリーヌ》!」「もも肉《ジゴー》!」
肩に、背中に、心臓部に、腿部に次々と蹴りが絶え間無く連続で放たれる。
そして天倉は右脚に力を溜めるように構えた後、一気に
「━━━羊肉《ムートン》ショット!!!」
ズドドドドド!!
常闇の身体に強力な後ろ蹴り《ソバット》を連続で叩き込む。常闇の体は連続蹴りの衝撃によって後退する。
「・・・・やるな」
が常闇は全ての蹴りを防御していた為ノーダメージであった。だが天倉はそんな様子の常闇を気にせず再び接近する。
「性懲りもなく仕掛けてくるか!」
常闇は再び腕を伸ばし攻撃を仕掛け、天倉は左腕を身体の前に出すようにガードの構えをする。しかし常闇の攻撃は予想以上だったのか天倉の左腕の防御を破り、体制が崩れてしまう。
「・・・・足元がガラ空きだ」
瞬間、天倉は右手を軸にし円を描くように常闇に足払いをかける。
「な・・・⁉︎」
「首肉《コリエ》フリット!」
天倉は低姿勢のまま脚を真上、常闇の首元を狙うように蹴る。偶然か必然か天倉が蹴りを入れた場所は丁度、黒影を纏っていない部分でもあった。
すると常闇の身体に纏わりついていた黒影は常闇の身体の中に戻っていくように消えてしまった。
「ぐっ・・・やはり改善すべき部分があるか!」
「っしゃあ!」
天倉は打ち上げた常闇に追い打ちをかけるようにその場で身体を捻りながら跳躍、そして身体を縦回転させ常闇の背中に浴びせ蹴りを叩き込む。そして常闇は地面へと叩きつけられる。
【アルファドライブ】
空中に打ち上げた後、敵に対して強烈な一撃を浴びせて地面に叩きつける技
「ぐおっ!!」
「まだまだぁ!!」
だが天倉は更に追い打ちをかけるように右脚で常闇の蹴り上げ、更にもう一方の脚で上へと蹴り上げる。
【ベータドライブ】
アルファドライブから繫がるさらなる一撃、叩き落とした敵を再び蹴り上げ空中へ打ち上げる技
「がっ・・ぐあっ⁉︎」
「これでっ!!!」
天倉の攻撃は止まらない。空中に打ち上げられ身動きのできない常闇に対し更に追い打ちを仕掛ける。
天倉はその場で反時計周りに回転しながら跳躍、そして常闇と同じ高さになった瞬間両脚を突き出すように蹴りが放たれ━━━━
「ッ黒影《ダークシャドウ》!!」
『アブネェナ!!』
たと思われたが黒影が天倉の両脚を掴み、追い打ちを防いだ。そしてそのまま地面へと落とすかのように黒影は天倉を床へ叩きつける。
『オラァ!』
「がっ・・・・!」
天倉は叩きつけられた衝撃が背中に伝わり肺の中にある空気が一気に外へ出る。痛みと息苦しさからくる苦しみに悶絶しながら天倉は立ち上がる。
遅れるように常闇は体制を整えながら着地をし、天倉の行動を見据えながら呼びかける。
「なぜ、個性を使ってこない。お前も俺を相手に余裕では無いだろう・・・・・天倉、何を恐れている?」
「!それは・・・・・・」
天倉は常闇の言葉にハッとする。彼の言葉は天倉の核心を突いていた。
天倉は麗日との試合からトラブルが発生し一度、挫折しかけてしまった。だが、この体育祭で自分自身のヒーローとしての原点を探すことが目標になった為立ち直ることができた。
しかしそれはあくまで一時凌ぎだろう。天倉は試合中、興奮状態である為現状は平気なのだろうが、本来ならストレスやプレッシャーで倒れてもおかしくない。
天倉の頭の中では麗日の時みたく個性が暴走し、あれ以上の惨事を起こすのではという恐怖が天倉を縛り付ける。
『おおっーーーーーと!!天倉どうした⁉︎いきなり硬直ーーーー!!俺たちにもっと素晴らしい活躍見せてくれよ!!』
この観客達の声援がこれから罵倒に変わるのではないかという恐怖、やめてくれ自分は期待に応えられない。自分はそんな器では無い。そんな思い天倉を縛り付ける。
「緘黙を貫くか・・・・さっきも言った筈だ。待つのは敗北のみだとな。押し出せ!黒影《ダークシャドウ》」
『オラァ!トドメイクゾォ!!』
黒影の口が徐々に悪くなるのは気にしないでおくとして、黒影が天倉へ突進を仕掛けていくく。
そして、命中。動かない天倉は直線上にステージから押し出されようとしている。
「ちょっと!どうして避けないの⁉︎」
「天倉くん⁉︎」
「命中した⁉︎」
「え⁉︎動かない⁉︎何で!」
「アァ⁉︎何やってんだコラ!!!」
『あああぁぁぁぁぁぁぁ!!天倉モロに食らったーーーーー⁉︎このまま場外負けかーーーーー⁉︎』
不思議と今の天倉は冷静だった。
(これで何度目の挫折だろうか。これまで何回、何十回諦めかけたのだろうか?どうしてこの程度で俺は折れてしまうのだろうか。俺にとってのヒーローになる目的も見つからない。・・・ダメだな俺。拳藤さんとの約束守れないな。
・・・・・最低だな俺)
瞬間、天倉の動きが止まる。
正確にはステージ端、場外へ押し出されようとした直前で彼は踏みとどまったのだ。
すると天倉の全身から蒸気が発生し、指先から徐々に変化していく。足が、腿が、腕が、肩が、背中が、胴体が、そして天倉は黒影の顔面に牙を立てる。
『グオオオオオオオ⁉︎クッテモウマカァネェゾ!!』
次第に天倉の眼が牙が口が皮膚が変化していく。追い打ちをするかのように膝蹴りを浴びせた後、噛み付くのを止めアッパーで黒影を仰け反らせた。
『ギャンッ!!!!』
「黒影《ダークシャドウ》‼︎・・・遂に解き放ったか・・・」
天倉の赤い瞳がギラギラと常闇を睨みつける。まるで演出のように天倉の身体中から蒸気が出続けている。
だが不思議と天倉の意識はハッキリとしていた。
(何だ今の・・・・俺の意思じゃない。個性が勝手に発動した⁉︎)
天倉は頭を悩ませるがすぐに考えるのはやめた。最早考えても意味が無い。
考えるのは動いてからにしてからだ。天倉は相手いつが攻撃してきても良いように戦闘態勢をとる。
「フッ、恐怖を乗り越えたか?まぁ良い、いくぞ天倉。」
常闇は天倉にメッセージを送る。その言葉はまるでこれからの天倉との戦いを楽しむかのようにも聞こえる。
━━━覚悟はいいか?俺はできてる
〜〜〜〜〜天倉の新技まとめてみた。
天倉が得意とするのは関節技。挌闘系の技は苦手らしい。
【張り手尽くしの極み】
元ヤクザのタクシードライバーの人が使っていた技。
【スウェイ】もこの人が使っていた。よく町中で喧嘩を売られたりするが日常茶飯事。石像をワンパンで破壊し、虎を二頭を素手で倒し、ロケットランチャーを回避したり、ヤクザ100人を相手に勝利したりと人間をやめている。たまに青いオーラとか赤いオーラが体から出てくる。(ちなみに無個性)
天倉はこの技を見様見真似でやった為なのか、完全に決まる事はなかった。
何故かこの技を使うと△や□のコマンドが現れる。
【アルファドライブ】→【ベータドライブ】
人外共が蔓延る魔境"神室町"にて無利息無担保で融資する金融会社を経営する元ホームレスの社長が使用している技。
上記の元ヤクザのタクシードライバーとは知り合い。この人も【スウェイ】を使用する。無個性だが人間をサッカーボールのように扱ったり、空中を浮かんだりする為、人外じみている。
この技は本来、アルファ→ベータ→最後にトドメとしてガンマドライブという技構成になっているが、途中邪魔が入った為に決まる事はなかった。この技も見様見真似。これも○や△などのコマンドが何故か現れる。
【羊肉《ムートン》ショット】
とある海上レストランの副料理長の技。
グルグル眉毛が特徴でいつも煙草をくわえている。大変な女好きで美女を見かければすかさずナンパをし、女性には絶対に手を上げないことをモットーにしている。ただし頭の中はピンク一色。天倉はその海上レストランの常連でもある。
肩肉《エポール》、背肉《コートレット》、鞍下肉《セル》、胸肉《ポワトリーヌ》、もも肉《ジゴー》の順の部位に蹴りを入れトドメに後ろ蹴り《ソバット》を叩き込む技。
これも見様見真似なのか、最後の後ろ蹴りで一瞬の内にあらやる部位に蹴りを入れることができない。
【俺の必殺技part4】
握力× 体重×スピード=破壊力
すごいパンチ。反動がヤバい。
以上
常闇くんとジョジョの台詞の相性が良すぎて逆にびっくりしました。これからもどんどんジョジョの名言を言わせたい。
アドバイス、感想等がありましたら下さると助かります。
評価の方もよろしくお願いします。