個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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前回までの3つの出来事!


1つ! 天倉孫治郎 体育祭で3位に入賞を果たす!

2つ!天倉の夢の中に謎のバナナ⁉︎

3つ!轟と友情を深め、改めて決意する!


・・・・オーズ風にあらすじをやって見た━━━



第33話 ヒーロー名も決めるのには苦労する

ザァーと雨が降り出す梅雨の季節。

道路には大きな水溜りがあちこちにでき、長靴を履いた子供達は傘をさしピチャピチャと遊ぶ。

雨粒は路面に激しく弾かれ、人の心を誘うように寂しく降っている。

そんな雨のシャワーの中、天倉は傘をさし1人寂しく通学路を余裕もって歩いている。

 

「フーフーフーフーフ〜でーあーえーたフーフ〜フフ〜フフー♪我ら思ーう故にーーフフーフフーフ」

(うろ覚え)

 

彼は雨が刻むリズムにのりながら歌う。

例え天気が雨だとしても彼の心の中は快晴なのだろう。天倉はそんな明るさを見せていた。

 

「フフフフーフーだーれーもーみーなー・・・っと着いた着いた」

 

雄英高校門前。

彼はいつもより早く家を出発した為いつもより到着する時間が早かった。

自前の傘を傘立てに置き、自身の教室へと向かう。

 

何故彼がいつもより早く雄英に登校したのか、それは今朝・・いや夢の中へと遡る。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

The 夢の中

 

 

「ギャアアアアァァァァァァ!!?バナナっぽい槍を振り回してこないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

━━逃げるな!!それで強くなれると思うのか!!

 

彼はとにかく逃げる。バナナの人・・・とりあえずバナナの精霊とでも言っておこう。

彼はバナナの精霊が繰り出す槍の攻撃から逃げ続ける。

 

「ヤメロォ!!俺の体はボドボドだぁ!!!かれこれ一時間は戦いっぱなし、つーか逃げっぱなしなんですけどぉ!!!」

 

━━つべこべ言うな!!!貴様のその精神鍛え直してやるッ!!

 

<バナナスパーキング!!!

 

「え"ちょっ⁉︎足元にバナナ畑ってコレは流石にヤバ━━」

 

 

━━アッーーーーーー!!

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ケツはアカンて、ケツは・・・・」

 

と言いながら天倉は何故かヒリヒリする自身の尻をさする。

そんな夢の所為か早起きしてしまった彼はいつもより早く登校する事にしたのだ。

彼は「おのれバナナの精霊め」と呟きながら教室の扉を開く。

すると見慣れた教室には既に何人かの生徒が居た。

 

「おっ、三位の到着!」

 

「三位おめでとう!いやー色んな人に声かけられて本当大変だったよ」

 

と声をかけてくる。来て早々一番に褒められ彼は顔を赤くする。天倉は褒められるのに慣れていない。

特に女性から褒められるのは苦手なのだ。

 

「いやー、滅茶苦茶声かけられてマジで有名人になった感じだよなー。天倉もどんな感じだった?」

 

「なんか慣れない感じだったなぁ。

・・・・・あれ、でもそんなに声をかけられたっけな?」

 

上鳴に声をかけられ、しっかり答えるが不思議と彼は違和感を覚える。そんな事を知らず上鳴は天倉の首に腕を回す。

 

「何だよ謙虚な奴だなー!なぁなぁ、お前イチオシのアイドルグループとかいんの?」

 

「え、あ、いや?アイドルはあんまり詳しくないっていうか・・・」

 

「知ってるか?こういう奴が一番オタクなんだぜ?」

 

「峰田くんどっから現れた⁉︎」

 

急に現れた峰田に驚く天倉だがスケベ二人組に囲まれ質問攻めにされる。周りのクラスメイトはそれを微笑ましく見る者、呆れる者、興味の無い者に分けられる。

 

「あれか?やっぱ765プロか?それともμ’sとかか?」

 

「美希にあずささんに四条ヤベェだろぉぉ!!でもこっちも負けてないのんたんにエリーチカァァァァアアアアア!!」

 

「え?え?え?え?」

 

「あ、まてよ!ワルキューレもあるな!346プロか⁉︎いやザ・スターリー・ヘヴンズだろ!」

 

二人のテンションの高さについて行けず天倉は改めてボッチ特有の話題のついていけなさを思い知らされる。

天倉は次第に頭の中がぐちゃぐちゃになっていき、どう答えれば良いかわからなくなってくる。

結果・・・・・

 

「T・S・Hサイコオオオオォォォォォォォ!!!??」

 

「「天倉がぶっ壊れた⁉︎」」

 

奴は・・・・弾けた。

天倉は彼らの好意に応えたいがアイドルの事も全く分からずどうすれば良いかも分からない為彼はその内考えるのをやめた。

が、そこに先程から傍観していた常闇がフォローを入れてくる。

 

「落ち着け。混沌に身を任せれば待つのは破滅のみだぞ」

 

「ハァー、ハァー・・・・ご、ごめん。なんて言うか体育祭でもかなり迷惑かけちゃったし・・・・」

 

常闇は天倉のセリフに対し目を見開くが「フ・・」と微笑むように呟いた後、口を開く。

 

「迷惑と思っているならばそれは見当違いだ。俺自身、弱点である接近戦を経験した上に新しい技の改善の余地も見つける事ができた。

逆にこちらが感謝したい、礼を言うぞ天倉」

 

『マァ、ソウイウコッタ!コレカラモ仲良クシヨウヤ』

 

と常闇の体から黒影が出現しこちらにサムズアップを送る。彼なりの感謝表現なのだろう。

天倉はハハハと笑った後、黒影と常闇に手を差し出す。

 

「これからもよろしく。常闇くんに黒影くん」

 

「・・・・これは驚いたな。

黒影《ダークシャドウ》にも握手を求める者などそうはいないぞ。・・・フ、お前と言い、緑谷と言い雄英には変わった奴らばかりだな」

 

(・・・それはひょっとしてギャグで言っているのか⁉︎)

 

天倉は思わず心の中で常闇に対しツッコミを入れてしまう。だが口に出さなかっただけでもマシなのだろう。天倉と常闇は改めて握手を交わす。

そして黒影にも握手しようとすると、黒影は一気に天倉から距離を取る。

 

「・・・・えーと?黒影・・・くん?」

 

『ベ、ベツニ、オ前ヲ怖ガッテイルワケジャナインダカラネッ!』

 

と黒影はツンデレ口調で常闇の背後に隠れながら天倉に向かって叫ぶ。天倉は「・・・え?」と固まったままだ。常闇はやれやれと溜息をつきながら事情を話す。

 

「どうやら天倉との戦いがトラウマになったらしい。俺としては扱いやすくなったんだがな・・・・全く。本当に此処は変わった奴らばかりいるな」

 

(何度も言うがそれはひょっとしてギャグで言っているのか!!?)

 

天倉は再び心の中でツッコミを入れる。相変わらずこのクラスにはツッコミ所があり過ぎる生徒ばかりだなぁと天倉は溜息をつきながら思う。

 

「でも天倉の戦いってスゲェよな!動画でも再生数10万超えてんだぜ!」

 

「あー!確かに凄かったよねー!私も昨日見たよ!」

 

と上鳴と葉隠はワイワイと談笑する。が天倉は再び「・・・え?」と固まってしまう。

天倉はすぐに我に返ると二人にその話を詳しく聞く。

 

「え?それどう言う事?」

 

「知らねぇの?MeTubeで結構有名になってんぞ?つーかスマホで見れんだろ?」

 

「え?有名なの?てかスマホで見れんの⁉︎」

 

「そもそもそっから!!?」

 

天倉は自身が動画サイトで有名になっている事に驚愕するが葉隠はそもそも天倉自身そう言った電子機器に疎い事に驚愕してしまう。

葉隠は天倉に動画サイトの見方を教えるとすぐにその動画を見せてくる。

 

「・・・・うわぁ」

 

天倉自身、自分の行なった事にドン引きしている様子だった。彼は自分の行為に少なからずショックを受けてしまう。

クラスメイト達は「教えなかった方が良かったかな?」と少しばかり後悔している

しかし天倉は初めて使う動画サイトに少しワクワクしていた。

 

 

「お、おぉ〜〜こう使うのかへぇー。

・・・・・ん?何だコレ?ヒーロー都市伝説?」

 

天倉はピッピと指を動かし、気になったであろうその動画を再生してみる。

 

 

 

そこには仮面をつけた謎のヒーローが謎の化け物と戦っている様子を映した映像が流れ始める。

動画には色々と書き込まれており

『チョー強い仮面のヒーロー登場?』『謎のヒーロー見参?』『いるんだ・・・』『ただのコスプレだろww』『すっごーい』『悪の組織?』『化け物リアルwww』等がコメントされていた。

 

天倉はこの映像のヒーロー達をじっと眺めていると奇妙な感覚を覚える。あくまでも都市伝説。信じる人は然程いないだろうが天倉は不思議とこのヒーローは存在すると確信する。

なんの根拠も無いが彼は仮面のヒーロー【仮面ライダー】がいると信じてしまう。

 

 

(・・・何でだろう?仮面ライダー・・・何で俺はこのヒーローが存在すると・・・・)

 

 

 

「おーい天倉。そろそろ機嫌直せよー」

 

と上鳴に声をかけられ天倉はハッとする。気付けば殆どの生徒達が教室に来ていた。

すると教室に二人の生徒、緑谷と飯田が入ってくる。天倉は二人に挨拶しようと駆け寄る。

 

「緑谷くんおはよう」

 

「うん。天倉くんもおはよう」

 

天倉も飯田に駆け寄る。と言っても天倉の席は飯田の前なので自分の席に座り、挨拶する。

 

「飯田くん。おはよう」

 

「・・・・あぁ、天倉くんおはよう。いつもと比べて早いな」

 

「・・・・?うん。まぁね」

 

天倉は飯田から何か変な違和感を感じた。いつもと比べて彼の言葉には覇気が感じられないのだ。

いや、そもそも彼の目が不思議と曇っているように見えたのだ。

天倉が考えていると扉がガララと開く。入って来たのは相澤先生だ。先程まで騒いでいたクラスの皆も急に黙った。流石相澤先生のクラスの皆は適応が早い。

すると前の席に座っている蛙吹梅雨が相澤先生の変化に気付く。

 

「相澤先生包帯取れたのね。良かったわ」

 

相澤先生がUSJの時に受けていた傷がやっと治り包帯が取れ久しぶりの素顔を生徒達に見せていたのだ。

相澤先生はバアさんの処置が大ゲサなんだよとあまり気にしていない様子だ。天倉も先生の怪我が治ってホッと一安心している。

 

「んなもんより今日の"ヒーロー情報学"ちょっと特別だぞ」

 

そう言った瞬間クラスの一部が固まる。恐らく何人かは小テストなどと思っているのだろう。

天倉もヒーロー情報学はあまり得意という訳でもなければ不得意でも無い。普通といった感じだ。

そして相澤先生はそんな生徒達を見据えながら口を開く。

 

 

「『コードネーム』ヒーロー名の考案だ」

 

 

瞬間、クラス内にほぼ全員の声が響き渡る。

 

「「「「「「胸膨らむヤツきたああああぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

「あ?」

↑生徒全員を睨む

 

「「「「「「・・・・」」」」」」

↑生徒全員黙る

 

「と言うのも先日話した「プロからのドラフト指名」に関係してくる」

 

流れるような一連の動作に天倉は驚愕する。相澤先生は何事も無かったように話を進める。

天倉は改めて一睨みで皆を黙らす凄さに感心する。

 

「指名が本格化してくるのは経験を積み即戦力として判断される2、3年から・・・つまり今回来た"指名"は将来性に対する"興味"に近い。

卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんて事はよくある」

 

天倉は改めてヒーロー界の、大人の残酷性を知る。峰田が皆の代弁するかのように「大人は勝手だ!」と言っているが天倉は体育祭に来ていたプロヒーロー達からどれ程の指名をもらえるかドキドキしていた。

最大で50、最低でも10辺りがいいなぁと天倉は考える。

 

「で、その指名集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが今回は二人に偏った」

 

 

 

轟 4121票

 

爆豪 4072票

 

常闇 658票

 

麗日 521票

 

飯田 294票

 

上鳴 271票

 

八百万 112票

 

切島 42票

 

瀬呂 18票

 

 

 

「うおおおおおおお!!?轟と爆豪、超接戦じゃん!」

 

「つーか、滅茶苦茶白黒ついたー」

 

「見る目無いよねプロ」

 

「1位と2位逆転してんじゃん」

 

「表彰台で拘束されてるヤツとかビビるもんな」

 

「ビビってんじゃねぇーよ!プロが!!」

 

クラスの全員はそれぞれ異なった反応を見せる。自身の指名に喜ぶ者、指名されず落ち込む者、あまり興味の無い者。

そして

 

「・・・あれ?」

 

違和感を感じる者。

緑谷は指名票に違和感を感じる。上位になった者は沢山の指名がくる、それは当たり前なのだろう。

しかしおかしい箇所があったのだ。それを気付く者が着々と現れる。

 

「あれ?なんかおかしくね?」

 

「うん。コレってどう言う事?」

 

「相澤先生、何で天倉の名前が無いんですか?」

 

集計結果に天倉の名前は載っていなかった。最初は何かミスをして書き忘れたのでは無いか?と思っていたクラスだったが相澤先生は口を開き

 

「いや、コレが集計結果だ。天倉の指名は0だ」

 

言ってしまった。

天倉は何度も。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も確認する。

 

 

が天倉の名前は書いていなかった。

 

「え、あ?え?え?え?え?え?ウェッ!?」

 

天倉はこんらんしている!

 

「やべぇ、天倉がとんでもない事になったんぞ」

 

「って言うかアレだよな。麗日と常闇、爆豪に票を吸われたんじゃねぇか?」

 

天倉は今もなお混乱しており、しばらくするとこの世に対して絶望したような顔で相澤先生に視線を向ける。

ちなみにその票を吸ったであろう三人は気まずそうに天倉から視線を逸らしている。

 

「まぁ、体育祭であんな誰もがみても怖がるような戦い見せたんだ。一応、こちらも天倉についての評判は聞いてみたんだが『プロにも届くその実力!来年に期待』『かなり危険だが心強い味方になる。来年に期待』『すみません、扱いこなす自信がありません。来年に期待』『ごめんなさい。まだ死にたくないです来年に期待』と言ったような感じだ」

 

クラス全員は哀しそうな目で天倉を見る。相澤先生はこの気まずい雰囲気の中口を開く。

 

「あーいや、まー・・・・2年では頑張れよ」

 

天倉はあまりの残酷な現実に直面する。

 

 

━━━━ゴフッ!!!

 

 

<あ、天倉ーーーーーーッ⁉︎

 

<ギャアアアアまた吐血⁉︎

 

<あ、でも何だろこの安心感

 

<相変わらず硝子のハートかよ!

 

 

そして彼は思った。

 

 

その優しさが逆に辛い━━━━━

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ま、と言う訳で天倉も立ち直った事なので話を戻すぞ」

 

と相澤先生は口を開く。相澤先生は天倉が立ち直ったと言ったがそうとは思えない。

心配した蛙吹梅雨は天倉に声をかける。

 

「天倉ちゃん大丈夫?」

 

「気にしないで。ただの致命傷だから」

 

どうやらまだ立ち直れていないらしい。そんな天倉を放っておいて相澤先生は話を続ける。

要約すると

『先程のを踏まえてこれから職場体験に行く事になり、指名の有無関係無しにヒーローの仕事を体験する為、ヒーロー名を決める事になった』

と言う事だ。そう言った理由でクラスの皆のテンションは上がりヒーロー名を考える者、既に決まっている者などがいる。

天倉も勿論ヒーロー名を考えるのは楽しみだ。

 

「まぁ、仮ではあるが適当なもんは・・「付けたら地獄を見ちゃうよ!!!」

 

すると扉が開き別の教師、否ヒーローであるミッドナイトが入ってくる。何人かの生徒はその姿を凝視、また顔を赤くし視線を逸らし、また興味がなさそうにしている。

今回のヒーロー情報学で副担当として来たのだろう。

 

「学生時代に付けたヒーロー名が世に認知されそのままプロ名になっている人多いからね!」

 

「まぁ、そう言う事だ。その辺ミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそう言うのはできん」

 

相澤先生はそう言いながら何かを取り出す。天倉はそれを寝袋だと分かったが何故寝袋を取り出したんだ?と疑問に思ったが話はそのまま話は続く。

 

「将来自分がどうなるのか、名を付けることでイメージが固まりそこに近づけていく。それが『名が体を表す』ってことだ。

例えばオールマイトとかな」

 

相澤先生は生徒全員にヒーロー名がどれほど大切なものなのかを教えてくれた。

名前には様々なモノが詰まっている。その人に生きて欲しいと言う願い。人生において名前は最も大切なモノなのだ。

 

(相澤先生・・・・・)

 

「・・・・・・・zzZZZ」

 

(そんな状態じゃなければ物凄くいいこと言ったのにーーーーーーッ!!!)

 

天倉は物凄くツッコミを入れたいと言う激しい気持ちを抑えながらヒーロー名を考える。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

15分後

 

 

ヒーロー名はなんと発表形式となり一部の人にはある意味では公開処刑とも言える状態になってしまった。

一番手は青山優雅。

 

「行くよ、輝きヒーロー

 

【 I cannot stop twinkling. (訳 キラキラが止められないよ☆) 】」

 

 

「ちょっと待てええええええええええ!!!??」

 

と天倉が叫ぶ。叫ぶのも仕方ないのだろう。何せいきなりのヒーロー名がとんでもない事になっているからだ。

 

「なんだい僕に何か用?☆」

 

「いやいや、そもそもヒーロー名なのになんで短文⁉︎なんで英語⁉︎どう考えても呼びにくいしおかしいだろぉぉ!!!」

 

「確かに天倉くんの言う通りね。青山くん、そこはIを取ってcan'tに省略した方が呼びやすい」

 

「それねマドモアゼル☆」

 

「違ううううううう!!そうじゃないよ!あと使うなら英語とフランス語のどっちかにしろよ!!?」

 

((((天倉(くん/さん)のツッコミが冴え渡っている・・・))))

 

 

クラス全員は天倉の鋭いツッコミに逆に感心を覚えてしまう。そして何故だろうか皆の心の声を代弁してくれたのか全員の心は不思議とスッキリしていた。

そして二番手は芦戸三奈が行くことになった。

 

「じゃあ次アタシね!【エイリアンクイーン】!」

 

「こっちも待てえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!なんでその名前をチョイスしたーーーー!!??」

 

「2《ツー》!?血が強酸性のアレを目指してんの⁉︎やめときな!」

 

「えーーー、いい感じだと思ったにー。天倉的にこの名前セーフでしょ!」

 

「いや、アウトだよッッ!!!!どう考えても悪役のソレだよ!!?」

 

 

(((((ツッコミがキレッキレだ・・・・)))))

 

 

すると何故だろうか、大半のクラスメイトの魂に火がついた。芦戸の発表が終わった途端殆どの生徒達の手が上がる。

おそらくどんなヒーロー名でも天倉がツッコミを入れてくれるお陰で心置き無く言えると思ったのだろう。すると蛙吹梅雨が口を開く。

 

「それじゃあ次、私いいかしら」

 

三番手は蛙吹梅雨に決まった。

 

「小学生の時から決めてたの【FROPPY《フロッピー》】」

 

「カワイイ!親しみやすくて良いわ!」

 

蛙吹がマトモで可愛いヒーロー名を出してくれたお陰でクラスの空気は変わり絶賛するようにクラス内ではフロッピーコールが響き渡る。

天倉はそんな様子を見ながらほっこりする。

 

(てか腹減ったな。学食は何にしようかなぁ・・・・ってヒーロー名考えておかないと・・・・)

 

天倉が腹を空かせながらヒーロー名を考えていると続々と他のヒーロー名が発表されていく。

かっこいい名前もあれば可愛い名前、面白い名前。それぞれ全員の特徴を表した名前ばかりだ。

 

「【爆殺王】!!」

 

「いや、なんか違う」

 

天倉はそんな中爆豪のヒーロー名にツッコミを入れてしまう。爆殺王と言うのはなんだ。

確かに爆豪の特徴を表しているがなんかおかしいだろう。

 

「んだとコラッッ!!!何処がおかしいんだ!!」

 

「なんて言うか・・・・発想が子供っぽいし、そもそも名前に殺とかつけちゃダメでしょ。もっと万人受けがいい感じにしないと」

 

「うん・・・天倉くんの言う通りね。そういうのやめといた方か良いわね」

 

「テメェら・・・・ッッ!!」

 

天倉からの怒涛の発言+ミッドナイトの追撃により爆豪はぐうの音も出ない様子だった。

入れ替わるように麗日も【ウラビティ】と言ったこれも彼女の特徴を表したヒーロー名となった。

 

「思ったよりずっとスムーズ!残ってるのは再考の爆豪くんと・・・・・飯田くん、天倉くんそして緑谷くんね」

 

残ってるのは4人。

すると飯田が全員の前へと出る。飯田は自身のヒーロー名が書かれているであろうボードを全員に見せる。

 

【飯田天哉】

 

そこに書いてあったのは轟と同じく自身の名前だった。しかし天倉は飯田の表情を見て分かることがあった。

 

(・・・元気が無い?それどころか心の奥底から引っかかっているところがあるような・・・・)

 

天倉は飯田から読み取れるだろう心情について心配になるが、緑谷が前に出てきた為、慌てて前へと向き直る。

そして緑谷は自身のヒーロー名が書いてあるボードを全員に見えるように向ける。

するとクラス全体が騒つき始める。その原因は彼のヒーロー名にあったのだ。

 

緑谷出久 ヒーロー名【デク】

 

彼は誇らしげにそのヒーロー名にしたのだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「それじゃあ天倉くん。お願いね」

 

「あ、はい。わかりました」

 

天倉はミッドナイトに言われ全員の前へと出る。そして教卓の上に自身のヒーロー名が書いてあるボードを出す。

 

「大体最後なんだからバッチし決めろよー!」

 

「大丈夫!こう見えて自信があるんだ」

 

と切島に激励の言葉で後押しされるが天倉はフフンと自信満々の様子だ。どうやらそれほど自分のネーミングセンスに自信を持っているらしい。

 

「それじゃあ聞かせてもらおうかしら天倉くんのヒーロー名!」

 

「はい!それじゃあ言います!

 

爬虫類ヒーロー【緑ドラゴン丸】!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

「・・・・・・・ん?」

 

 

((((((((ん?じゃねーーーよ!!!))))))))

 

 

 

クラスのほとんど全員は思わず心の中でツッコミを入れてしまった。それと同時にクラスの空気がまるで氷河期が訪れたように冷えてしまった。

そしてその原因である天倉は

 

「〜〜〜♪(キラキラした目)」

 

ワクワクとした様子で全員を見ていた。

こんな様子の天倉を見ていると何故だろうか、酷いネーミングセンスについて指摘する事ができない。

が、そこに偉大なる挑戦者が現れた。

 

「・・・なぁ、天倉。ちょっといいか?」

 

「え、何?轟くん」

 

その者の名前は轟焦凍。彼はたとえクラス内の雰囲気がアレでも言う時は言う人物だ。

全員はその時の轟の姿がまるで救世主のように見えただろう。

 

「お前のヒーロー名だけど・・・さすがに・・ッッ!!?」

 

しかし轟の発言が途絶える。全員はどうしたのだろう?と思ったが、すぐに原因が分かった。

原因は天倉にあった。正確には天倉の表情だ。

 

 

(´・ω・`)

 

 

なんかものすごく悲しそうな表情をしている。どう表現すれば良いか分からないがものすごく言いにくいオーラを放っているのだ。

 

「いや、あのな・・・その・・・俺からするとおかしいような・・・」

 

 

(´・ω・`)

 

 

「あ、いや・・・・その・・・」

 

 

(´・ω・`)

 

(´;ω;`)ブワッ

 

 

「・・・いい名前だと思うぞ」

 

 

(((((((( 轟(くん/さん)が折れたぁ!!?))))))))

 

轟の優しさか、はたまた数少ない理解者である天倉に対する慈悲なのか何も言い出せなくなってしまい、轟は「止められなかった」と自己嫌悪に陥てしまう。

 

(何この空気!めっちゃ気まずいんだけど!)

 

(なんだよ!アレか⁉︎俺たちへの仕返しのつもりか⁉︎)

 

「天倉くん。もっと・・・別の名前は無いの?」

 

ミッドナイトはあえてヒーロー名には触れず哀れんだ目を天倉に向けながら質問をする。

しかし生徒全員にはどう聞いても遠回しに「別のにしなさい」としか聞こえない。

 

 

「えっと・・【リザードン】とか」

 

((((((((いや、それ炎・ひこうタイプのやつじゃねーーーか!!))))))))

 

「あとは・・・・・【グリーン紅蓮氷輪丸】【サラマンダー天治】とかですかね」

 

「・・・・・うん、分かったわ。とりあえず・・・色々と」

 

天倉のネーミングセンスがわざとではなく、素だった為かミッドナイトは頭を痛める。

おそらく彼に名前を考えさせると酷い事になるのだろうと理解した。

今思えば必殺技も「俺の必殺技〜」とか何とか言っていたので今更ながらどうにもならなかった。

 

「天倉ちゃん、ちょっと良いかしら?」

 

すると蛙吹梅雨が天倉に話しかけてきたのだ。蛙吹はそのまま話を続ける。

 

「ヒーロー名は皆からも親しみを持ってもらえるのが良いと思うわ。

だからそう言うのじゃなくてもっと中学の時に呼ばれていた・・・愛称のような感じで良いと思うわ」

 

((((((((フ、フロッピー!!!))))))))

 

すると先程まで冷え切っていた空気が嘘のようにクラス内で再びフロッピーコールが起きる。天倉もフムフムと納得したように頷くと自身の席へと戻り、ボードに新たなヒーロー名を書き込む。

 

「ありがとう、蛙吹さん。おかげで目が覚めたよ!」

 

「梅雨ちゃんで良いわ。ケロケロ♪」

 

彼女は天倉が熱心に書き込む姿を見てニコリと笑う。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「ヒーロー名【ツカイッパ】!!!」

 

((((((((フ、フロッピーーーー!!??))))))))

 

 

 

フロッピーこと蛙吹梅雨のアドバイスが無駄に終わってしまった。こんなヒーロー名になってしまった理由は中学の時はよく『つかいっぱ』と呼ばれていた為だからだ。

 

「他にも【クソムシ】や【全身凶器の獣】などと呼ばれていました」

 

 

((((((((もういい…!もう…休めっ…!休めっ…!))))))))

 

 

大半の生徒は天倉の触れてはいけない中学の思い出に対し、涙を流していた。

もうこれ以上天倉に負担をかけてはいけないと思った。

 

 

「ンなもんヒーロー名になるわきゃねぇだろうが!!!」

 

すると先程まで黙っていた爆豪が叫び始めた。まるで噴火した火山の如く天倉に言い放つ。

 

「ヒーロー名ならもっと工夫してつけやがれ!あだ名そんままつけても意味ねぇだろが!!」

 

((((((((ば、爆豪ォォォォォォォ!!!))))))))

 

この時、天倉を除く全員にはまるで彼が究極の救世主のように思えた。

この雰囲気をぶち壊してくれた彼こそ本当の救世主だったのだ。

 

「なるほど・・・・じゃあ【ツカイッパRX】とかで」

 

((((((((いや、そうじゃないだろ!!))))))))

 

天倉がどうやってもネーミングセンスは変わらず生徒達は半端諦め掛けていた。勿論、爆豪も救いようのない天倉のネーミングセンスに対し呆れていた。

 

「じゃ、じゃあさ!苗字と名前を合わせたような感じでいいんじゃないかな?」

 

今度は緑谷出久だ。

彼はいつも通りの的確なフォローによって助け舟を出す。と言うかいっその事、天倉にヒーロー名を考えさせるのではなく、自分たちでヒーロー名を考えてあげた方が良いのではと思いかけている部分もある。

 

「成る程、成る程・・・・・あ、なんかよく分からないけどイケそう!なんかイケそう!!」

 

天倉はそう言うと再び席へと戻り、すごい勢いでボードにまた新しいヒーロー名を書いていく。

皆は心の奥底からマジでさっきよりもマシなヤツにしてくれた願う。ちなみに願ったからと言ってリトルスターは譲渡されない。

 

「【爆殺卿】!!!」

 

「違う。そうじゃない」

 

しかし何故だろうか。天倉の酷いネーミングセンスに比べて爆豪のヒーロー名がかなりマトモに見えてしまう。

もういっその事それで良いんじゃね?と思ってしまう。

 

「で、できました!!」

 

━━あぁ、ついに来てしまった。

 

皆はそう心の中で思った。

頼むからこの空気をブラスティングフリーザで更に凍らせる事はやめてくれと願う。

そんな皆の様子を無視するかのように天倉は再び教卓にボードを置く。

 

 

「いきます!

 

wildヒーロー【アマソン】!!」

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

 

 

((((((((ま、まとも?だけど何か力が抜ける・・・))))))))

 

 

天倉が出した新たなヒーロー名は今までのモノと比べてかなりマシな部類だろう(思考能力低下)だが、惜しい。あと、もう一押しだった。

あともう一押しで何かイケる感じだった。

 

 

「あー・・・そうね。あとは濁点をつけてみた方がいいわね」

 

「濁点・・・濁点ですかぁ・・・・」

 

 

天倉はミッドナイトに言われた通りその場で濁点を付け足してみる。するとアレンジされたヒーロー名を見てミッドナイトは絶賛する。

 

「いいじゃない!名前から荒々しい感じが出て、まさにワイルドって感じよ!」

 

「うーん・・・・何か納得いかない気がするようn「いいからそれにしなさい」アッ、ハイ」

 

天倉とミッドナイトのやり取りに皆は何やっているんだ?と訳が分からない状態だったが、天倉のアレンジされた名前で合点がいく。

彼のヒーロー名は幾多の困難を乗り越え作られたもの。選び抜かれ、最後の最後に鍛え上げられ出来上がった。

 

 

そのヒーロー名は

 

 

「えっと・・・・・ヒーロー名は

wildヒーロー 【アマゾン】 です」

 

 

 

瞬間、今までにない歓声がクラス内に響いた。

清々しい顔をした者、笑う者、そして遂には泣く者まで現れた。ミッドナイトはそんな様子を見ながら涙をツーと流していた。

 

少年少女達はやっと解放されたのだ。そして打ち勝ったのだ。この空気に、この果てしない運命と戦い、勝利を手にしたのだった。

 

 

 

「・・・・・何これェ」

 

 

そして、そんな様子を冷ややかな目で見ながら天倉はそう呟いたのだった。

自身がこの有様を作り出した原因だとも知らず。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「【爆殺皇】!!!」

 

「いや、だから違う!」

 

そう言えばコイツ《爆豪》を忘れてた・・・・・・・。

と再び生徒の大半が心をシンクロさせた。

どうやらまだまだヒーロー名を決めるのは長くなりそうだと全員は思った。

 

 

この事からA組は学んだ。

 

ヒーロー名も決めるのには苦労する

 




天倉はネーミングセンスがとにかく酷いです。もしも彼がライダーキックに技名をつけるとしたら『天空スーパージャンプ飛び蹴り』なんて技名になるかもしれない。


とりあえずヒロアカ次回予告をやってみる(唐突)

緑谷「次回予告!いよいよ職場体験に向けて皆は準備を始める!天倉くん!何処にするか決めた?」

天倉「ズッズズーーズズズーー・・ん、何?なんか言った?」

緑谷「いや、何でラーメン食べてるの⁉︎次回予告中なんだよ⁉︎」

天倉「お腹が空いて仕方ないんだよ!!・・・あ、おかわりお願いします」

緑谷「ちょ、天倉くん⁉︎」

天倉「あ、そう言えば今更1件だけ指名が来たんだっけ?」

緑谷「う、うん!とにかく指名が来たからには頑張るよ!」

天倉「・・・・いいよなぁ、お前は。どうせ俺なんか・・・」

緑谷「あ、天倉くん?どうしたの?元気出して!」

天倉「今、俺を笑ったなぁ・・・・」

緑谷「あ、天倉くん!!?じ、次回!・・・ってまだサブタイトル決まってないの⁉︎」

天倉「次回はひねくれた俺に弟妹達ができるぞ・・・」

緑谷「えっ?ええぇぇぇぇぇぇ⁉︎さ、更に向こうへ!」

緑&天「「Puls Ultra!!!」」


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