個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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ン我が魔王が遂に最強形態を至った。

しかし、目の前にあったのは戦闘でもなければ因縁のある敵との決着でもない。ただただ一方的な蹂躙、ブラックが増えた案件以上にヤバい能力を手にしてしまった事に震えが止まらない。
ねぇ我が魔王強すぎない?公式で時間操作て……ライダー召喚し放題て……。

ゼロノスもとい桜井侑t……って誰?
ともかくゼロノスとゲイツ君が魔王の誕生を阻止しようとする理由が言葉では無く心で理解できた。


作者としての感想は昭和ライダーの力を継承していなくてよかった……。ただそれだけである。

「次は…コレだ!」

『ライダーパァッンチ!』
『RXキィィックッ!』
『ボルティックシューター!』
『スパークカッタァァア!』

「時間よ戻れ!」

『ライダーパァッンチ!』
『RXキィィックッ!』
『ボルティックシューター!』
『スパークカッタァァア!』

「時間よ戻れ!」

『ライダーパァッンチ!』
『RXキィィックッ!』
『ボルティックシューター!』
『スパークカッタァァア!』

「時間よ戻(ry


継承していなくて本当に良かった(安堵)





第57話 爆走独走激走暴走バイク(なお仮免許)

 

 

 

 エキスポのメイン通りから外れた埠頭近くの倉庫。そこに帽子にサングラスをかけた男が入って行くと顔に傷のある男が待っていましたと言わんばかりに言葉を投げかけて来た。

 

 

「そちらはどうだった?」

 

「手筈通り。見て回って来た」

 

「おい、帽子や眼鏡を着けていたとしてもバレちゃ意味がねぇんだぞ」

 

「堂々とすればバレる事は無いだろう。逆にコソコソしていれば怪しまれる……それに、オールマイトの教え子らしき奴らも見て来た」

 

「……ほう?」

 

 

 傷の男が"オールマイト"と言う言葉に反応する。それに対して帽子とサングラスの男は興味がなさそうに「フン」と鼻を鳴らすような音を出す。

 

 

「そちらはブツを受け取ったんだろう。作戦中盤では確実にアレを手に入れる」

 

「……勿論だ」

 

 

 帽子を深く被り直し、記憶に刻まれたあの赤の存在を思い浮かべる。……思い返す度に手が震え汗が噴き出てしまう。

その存在が今日この日、最後となる。

 

 

「俺は……恐怖を乗り越える」

 

 

男の瞳の奥にはその覚悟が確かにあった。

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

 

 

拝啓、お父さん、お母さん。

現在俺は会長のススメでバイク(サポートマシン)の免許を取得すべくI・アイランドに来ています。

 

しかし、何故でしょうか。俺はバイクの免許の勉強、実技を習いに来たはずなのに変な実験に付き合わされています。

 

つい先日では謎のガス実験やボトル実験。挙げ句の果てには喋るところてんと悪魔合体させられ「ゴルゴムめ許さんッ」と呟いていたらしいです。

 

我ながら良く五体満足で済んだなと思いました。

そんな俺ですが、

 

 

 

「次はブースターを搭載した状態で走らせるぞ!」

 

「やめてやめてやめtアッ──────」

 

 

 

速さの向こう側へ逝きかけてます。

────っと、失礼。本日何回目か数え切れないが一瞬、気絶していたらしい。現在、俺は空港近くに設置された演習場にやって来ている。

 

理由はもちろんお分かりですね?葛城さんが俺を連れて、ジャングレイダーに無理矢理搭乗させたからです!(ワザップジョルノ感)

 

 そんな俺も最初こそ乗り気でジャングレイダーに跨り、グリップを握りギアを入れアクセルを開けたのだが、思えばそれが地獄へ向かう為のアクセルだったのだろう。

 

 気がつくと俺はバイクと共に地に伏しており今日の夕飯の前に土を口にする事となったのだ。口の中が土まみれになりながらも葛城さんに転倒した理由を聞くとどうやら、ジャングレイダーの馬力が強すぎて俺自身が使いこなせてないと言うのが理由だと言うのだ。

 

成る程。

 

何故に高校生をそんなマシンに乗せるの(真顔)

 

しかも、原付免許取って間もないんですが(真顔)

 

 

 そんな俺の疑問に対して葛城さんは「そもそも"個性"使用後を前提として制作したマシンだぞ?生身ですぐに乗ったお前が悪いだろ」と反論の余地も無い言葉に俺はぐぬぬと唸るしかできなかった。

 

 と、まぁ前書きは置くとして俺はこのサポートマシン(じゃじゃ馬)を乗りこなす為に演習場にてバイクを走らせているのだ。

 

 ちなみにだが、このバイクはギア1の状態で10秒満たずで時速80kmに到達するらしく正確にコントロールする為には俺の脳波とジャングレイダーに搭載されてあるブレインボックスを同調させる必要があると言うのだ。

 

とにかく運転→投げ出される→ブレインボックスの調整→運転→投げ出されるのループを繰り返し、たまに気分を変えてブースターユニットを積んだまま走らせると言う頭のおかしい所業で俺のカラダハボドボドダァ!

 

 

(あぁ、この実技が終わったら俺、高級ビュッフェを楽しむんだ……)

 

 

そんな俺の願いも虚しくジャングレイダーから投げ出された俺はキラキラと星が瞬く夜空を視界に入れながら何度目か分からない土の感触を味わうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、同時刻のセントラルタワー内にて緑谷と麗日の2人はパーティー会場の下見に来ていた。

 

 

「まだパーティー開始前なのにこんなにヒーローが!」

 

「カニがあんなに……あれが成功者の特権……」

 

 片やヒーローへサインをねだる為に、片や己が食欲を満たす為に天倉から託された得物(タッパー)を手に会場へ足を運ぼうとする。

 

 

「すみません、タッパーの持ち込みは……」

 

「違います胃袋ですよ外付けの」

 

「"個性"ですか?」

 

(麗日さん……)

 

 

 麗日の必死の形相に緑谷は同情してしまう。貧相な暮らしを余儀なくされ、飯を抜く事すら当たり前と化して来ている麗日にとって目の前にあるのは金銀財宝の山と同義なのだろう。

 

しかし、それを決して許す事のない門番であるレセプションパーティーのスタッフは麗日の侵入を懸命に防いでいる。

そんな光景に緑谷の目から熱いものが溢れて来たのは言うまでもないだろう。

 

 

「何をしているんだ2人共!会場内への私物の持ち込みは慎みたまえ!」

 

「違うよ飯田君!これは胃袋の一つだよ!」

 

「どう見てもタッパーじゃないか!それと緑谷君!君もサイン用の色紙の持ち込みはやめるんだ!」

 

「そんなっ!?」

 

 

 ショックを受ける2人の元に続々と見知った面々が揃っていく。後来ていないのは爆豪、切島、天倉、メリッサの四人……正確には天倉は来ない為、三人である。

 

 そんな正装に身を包んだ皆の元に大胆なドレス姿をしたメリッサが自動ドアの向こうからやって来る。ちなみに彼女から頂いた招待状で参加した峰田と上鳴の2人は「ひょー!」と歓喜の声を上げた。

 

 

「デク君達、まだ此処にいたの?パーティー始まってるわよ」

 

「タッパーが……ごめん天倉君約束をマモレナカッタ……」

 

「え、タッパー?」

 

 

 ドレス姿のメリッサに目を奪われながらも、彼女から受け取った右腕に装着された"コレ"に片方の手で触れる。自分と同じく目標()に向かって己を信じる姿に共感した緑谷は彼女に負けないよう、一刻も早くオールマイトと同じ最高のヒーローになれるように願う。

 

……ただ、今回ばかりは少し羽目を外しても良いんではなかろうか?と思いながらサイン用の色紙を懐にこっそりと隠した。

 

残るは緑谷の幼馴染である爆豪と切島の二人だが、全く来る様子も無く飯田がスマホを取り出し連絡しようとしたその時。

 

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました。今から10分以降の外出者は警告無く身柄を拘束されます。くれぐれも外出は控えてください。また、主な重要施設は警備システムによって()()()()()()()()()

 

 

セントラルタワーは脱出不可の牢獄と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁー、思った以上にごった返しになってるよ」

 

「と言うか爆弾ってマジ?」

 

 

 ホテルにて蛙吹と葉隠、芦戸の三人が島内放送に困惑の意を見せていた。すると、一般公開される明日に備えて宿泊施設に居た三人の元に常闇、障子の二人がやって来た。

 

 

「お前達も此処に来ていたのか」

 

「あ、障子君に常闇君!二人もこのホテルだったんだ!」

 

「然り、こちらへ来る途中にて他の者達と連絡を取ったが、商業施設、観光施設といった殆どのエリアから客が避難しているそうだ」

 

「おかしな話ね。此処はタルタロスに匹敵する警備システムの筈なのに、なんで爆弾が……」

 

「ともかく、部屋に戻るとしよう」

 

 

 蛙吹の疑問も最もだが、今は警備を務めているガーディアン部隊の警告に従い己の部屋へ移動を行う五人。

そんな彼等の前にジャージを着た自分達と同じくらいの歳をした団体が通る。

 

 

「アレは……どこの学校だろ」

 

「あー!私知ってる!天校でしょ!」

 

 

 芦戸の疑問に答えるように葉隠がジェスチャーを取りながら答える。「あー、それね」と思い出したように呟く芦戸。

 

 

「個性を伸ばし尊重する校風で有名な!」

 

「宇宙開発における……人材育成の為に設立されたと言う学校だった筈……」

 

「何かおもしろそー!」

 

「修学旅行ってとこか……こんな時期に?」

 

「宇宙開発の最先端技術の見学と言う訳か……」

 

 

 こんな時期、よりにもよって修学旅行の楽しんでいる最中に避難誘導と言う生徒達の不満が募る中、それを掻き分けるようにサスペンダーが特徴的で……言ってしまえば悪いが風貌がやや見窄らしい男性が「どこだー!」と叫びながらやって来る。

すると、こちらに気付き声を掛けてくる。

 

 

「な、なぁ。ちょっと聞きたいんだが〜……ここら辺で……こう、特徴的な頭をした奴を見かけなかったか?」

 

 

全員は互いの顔を見合わせると即座に常闇を指した。

 

 

「……不服ッ!!」

 

「あーいや違う違う!髪型の意味で!特徴的な奴だ!このご時世でリーゼントをした奴を探してるんだよ!」

 

「リーゼントって……そんな昭和じゃあるまいし……」

 

「実はウチの高校の引率の教師なんだが……俺に生徒達を任せっきりにして何処に行ったんだアイツ〜〜〜!」

 

 

 その男性の声と共にサスペンダーのパァン!と言う甲高い音はホテル内に響き渡るワケもなく客達の騒がしさにかき消されていったのだった……。

 

 

 

 

 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

 

 

 

 

 

 事は20分前に遡ると同時に、場面は演習場へ戻る。被験者1号(仮名称)はコンビニ袋を下げ、雇い主である葛城巧の元へ行っていた。

彼は近くにあるコンビニエンスストアへと「何か夕飯買って来てくれよ」とパシリ……いや、買い出しに出されており不満もあったが腹も減っていた為仕方なく了承する事にしたのだ。

 

そんな彼が戻っていた頃には、身体のありとあらゆるパーツがあらぬ方向に曲がっていた天倉の姿があった。

 

 

「俺が居ない内に何があったんだよッ!?」

 

「こんな夜中に大声出すんじゃないよ。人様の迷惑も考えろっての」

 

「誰がうるさいって!?」

 

「お前だよ。そんな事より夕飯はちゃんと買って来たのか?」

 

「たりめーだ。つーかアレ(天倉)は大丈夫なのかよ」

 

「あぁ、それなら……おーい!ご飯の時間よー」

 

 

 葛城の言葉が彼の耳に届いた瞬間。天倉の身体はボキィ!バキィ!と人体から発してはいけないような音を出しながら即座に復活する。

 

 

「ご飯!?ビュッフェ!高級ビュッフェはどこだッ!」

 

「うっわ、なんだアイツ!?人間技じゃねぇぞ!」

 

「飯前なのにスッゲェ気持ち悪い再生の仕方をしたなぁ……残念だけどビュッフェはお預けだ……だからそんなに落ち込むなって。ほら、さっさと食べたら続きをするぞ。で、今夜の夕食は〜〜〜……」

 

 

 葛城がコンビニ袋を漁り片っ端から中身を取り出していくが、しばらくして葛城の手は止まる。疑問を感じた被験者1号(仮)は「おい」と呼びかける。

 

 

「どうしたんだよ。カップ麺好きなモノを選べよ」

 

「なぁ、お前。お湯はどうするつもりだ?」

 

「………あ」

 

「"あ"じゃないよ、この馬鹿。いやホント馬鹿ッ!馬鹿の中のキングオブ馬鹿!」

 

「誰が馬鹿だよ!!あと、馬鹿は馬鹿でも筋肉付k(ry」

 

 

「いや、もう、どうでも良いです……」

 

 

 

 天倉の掃き溜めの如く声に2人は視線を彼に向ける。地面の上で屍にも等しい状態の彼の目からは光が感じられず「あぁ、世の中クソだな」と言う底の見えない闇オーラを放っていたのだ。

 

 

「すみませんベストジーニスト……鋼の意思なんて無理です……調子に乗って良い気になってた俺がこんな凄まじいマシンを使いこなすなんて無理です……」

 

「あーあ、お前の所為だからな」

 

「俺じゃねぇだろ!どう見てもお前が実験で酷使し過ぎたからだろ」

 

 

「まぁ、こんな俺もホントは乗り気でいながら全くマシンを操れてない俺が最も滑稽だよ……」

 

「あ?」

 

「皆、俺の為に力を貸してくれたと言うのに俺はなんの成果も出せてない……滑稽を通り越してただの愚か者ですよ……笑えよ……誰か俺を笑ってくれよ……」

 

 

「あのな、別に何回も失敗したからって、自分を責める事じゃないぞ。それに、これはお前とマシンを調整するためであって……って、聞こえてないか」

 

「おい、どうする?コイツどう見ても続きをできる感じじゃねぇぞ」

 

「……仕方ない、こうなったら明日に持ち越すしか──

 

 

「そんな事はねぇ!!」

 

 

──ッ!この声は!?」

 

 

 天倉の前には、ひと昔に流行ったらしいヘアースタイルであるリーゼントを決め、それに似合わないスーツで身を包んだ男性がそこに立っていた。

 

 

「さっきまでのお前の姿!確かと胸に響いたぜ!」

 

「……え、誰?」

 

「なぁに、ただの通りすがりの先生だ!」

 

「……は?」

 

「アンタは……!」

 

「俺にも手伝わせてくれ。こんな青春謳歌中の生徒を立ち直らせるのも先生の役目だ!」

 

「……え?(困惑)」

 

 

 そう一言呟いた先生を自称する男は地で寝そべる俺を尻目にバイクに跨り、ハンドルを握る。エンジンがかかった直後、天倉は我に返るとすぐに男の元へ駆け寄り必死に止めようと車体を掴む。

 

 

「ばっ、ちょっ、馬鹿!貴方なにやってるんですか!」

 

「何って、これからお前に手本を見せてやるだけだ!心配すんな」

 

「さっきまでの俺の運転見てたでしょ!こんなじゃじゃ馬を制御できないですよ!」

 

「そんなのやってみなきゃ分かんねぇだろ!」

 

「はーーーーーー!!?」

 

 

 天倉を振り解いた男はバイクを走らせる一歩手前であり、止めても無駄だと察し頭の中が混乱と焦りで真っ白になってしまう。

そんな硬直する天倉の耳に葛城の言葉が届く。

 

 

「天倉!ブレインボックスだ!お前の脳波でジャングレイダーの出力を低下させるんだ!」

 

「そんなの……!」

 

 

 「無理だ」と言いかけた天倉だがそれ以外に選択肢が無い事を彼自身は分かっていた。だからこそ本当にやれるのか心配だった。何十もの失敗を積み重ねた天倉に凄まじいプレッシャーがのしかかり「また失敗してしまうのではないか?」と言う疑問が頭の中でこびりついてしまい全身から多量の汗が噴き出て来る。

 

 

(でも、……もし俺がやらないとあの人は……!)

 

 

 容易に想像できる未来のヴィジョンに天倉の覚悟は固まった

()()()()()()()()()()()()()()()()。そんな意思が鋼のようにガッチリと固定されたような感覚が天倉の中で起こった───

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「ハァッ……ハァッ……!」

 

 

 結果としてあの人は大事には至る事はなかった。あのマシンはスピードこそは速かったが俺が強く願った通り、あの人は一切傷付く事無く無事に運転する事となった。

 

……しかし、あまりの出来事に俺は無駄に疲れてしまったのか肩で息をする羽目になった。

 

 

「あぁ、……もう」

 

「なんだよ、思ったよりできるじゃねぇか」

 

「何ができるじゃねぇかですか!?今までの運転を見ていたなら分かると思いますけど、もし何かあったら!」

 

「その"何か"は起こらなかっただろ?」

 

 

 悪びれも無くニッと笑う男性に俺は呆れる事しか出来なかった。

いや、自分の命すら惜しくないその様子は呆れを通り越して感心してしまう程だろう。

 

 

「お前なら絶対にできる!そう信じていたから心配する事なんて無いだろ」

 

「俺なら絶対に……できる……」

 

 

 どんな後向きな事を言っても何度も目を背けても無理矢理、俺の真正面に立とうとする太陽のような輝きを持ったこの人。

……この人には絶対に敵わない。そんな確信めいたものがそこにあったのだ。

 

 

「……ありがとうございます。今の俺なら…いける気がします」

 

「おう!そうでなくちゃな!」

 

 

 そう呟くと男性は俺の前に拳を突き出して来る。

……これは何なのだろうか。俺の困惑の意を察したのか男性は無理矢理俺の手を掴むとトントンッとリズム良く拳同士をぶつけ合い、最後に友好の印である握手で終わる。

 

 

「……これは?」

 

「俺とお前。ダチの印だ!」

 

「先生と生徒なのに?」

 

(ダチ)にそんなのは関係ねぇ。俺とお前は心が通じ合った仲だ!」

 

 

 心が通じ合ったと言うのは無理があるのでは無いのだろうか?そんな俺の疑問も「気にするな!」で無意味となんだろうなぁ思った。

 

……けど、とても良い気分だ。

 

終わり良ければ全て良し。そう思わせる力がこの人にはあるんだ。

 

 

「それじゃ!俺はこれから生徒達のトコ行かなきゃならないからな。次会う時はちゃんと乗れるのを楽しみにしてるぜ!」

 

「あ、あの!?」

 

「それじゃあな!」

 

 

 そう一言だけ残し、その人は自分の名前を名乗らずに去ってしまう。ただ分かるのはあの人が本気で俺がやれると信じていた。

そんな嵐のように過ぎ去った人に対し唖然となっていた自分に葛城さんは声を掛けて来る。

 

 

「あの人は見ず知らずのお前を信じてくれた。その期待に応えられるようにしないとな」

 

「……葛城さん。1つ良いでしょうか?」

 

 

 俺はどうしてもこの人に確かめたい事があった。その事をどうしてもこの人の口から聴きたい。

 

 

「どうした?」

 

 

「葛城さん………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………さっきまでの完全に仕込みですよね

 

「……えっ」

 

 

 うん、ちょっと勢いに流されていたけどさ、おかしいよね?急に現れて俺に助言するって時刻とか場所とか色々とおかしいよね?

 

 

「登場したタイミングにやや強引な展開。そしてチラチラとですが葛城さん目配せしてたのをちゃんと見てましたからね……」

 

「……マジで?」

 

「あぁ、してたな」

 

 

 葛城さんは側に居た被験者1号(仮)さんに話しかける。いや、別に仕込み自体に文句は無い。そのおかげで大分やる気も出たし、そもそも先生を自称していたあの人自身、カンペを読んでいたような感じではなく、心の底から俺と(ダチ)になりたいって気持ちが本気で伝わって来た。

 

……ただ俺は、ドッキリ感覚で無理矢理実験される事に不満を抱いているだけだ。なんか、こう相澤先生に似通ったモノを感じざるを得ない。

 

 

「……怒ってる?」

 

「まさかハハハそんなまさかハハハ。ただ、不慮の事故でバイクが突っ込んで来てもそれは仕方ない事ですよね

 

「完璧に怒ってらっしゃる⁉︎」

 

 

 ハハハさてと、それじゃあ運転の続きと行きましょうか。運転の仕方もコツを覚えて来たので次で最後にしてみせよう(事故を装って轢いてもよいだろう)

 

 

「分かった、とりあえず落ち着け」

 

「落ち着いてますよ。……少なくとも今なら正確に葛城さんに対してライダーブレイクをお見舞いできると断言できます」

 

「よし分かった、とりあえず本気で落ち着け、な?」

 

「……すげぇ、まるでチベットスナギツネのような冷めた表情を浮かべてやがる」

 

 

そんな事を言い合っている俺達だが、後方からガシャンガシャンと聞き覚えのある駆動音と足音が耳に入る。後方へ振り返ると複数のガーディアンが立っており、音を響かせながら銃を構えていた。

 

 

 

 

「……まーたなんかの演出ですか、良いですか葛城さん。天丼ネタは飽きられるんですよ。それに加えてナルシストで自意識過剰な葛城さんに至ってはただ痛いだけですからね?自覚してください!」

 

「いや、おい!天倉!?」

 

「で?銃弾の嵐を避けた次は実践練習でもやる気ですか?あらかじめ言っておきますけど、やるなら事前に言ってくださいよ!?」

 

「お、おい!天倉!」

 

「なんですか?一応、言っておきますけど、俺は知らないと言っても通用しm『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました。今から10分以降の外出者は警告無く身柄を拘束されます。くれぐれも外出は控えてください。また、主な重要施設は警備システムによって強制的に封鎖します。繰り返しお伝えします……』

 

 

俺の言葉を遮る形で島内アナウンスが流れ、アラーム音が島中に響き渡る。ギギギと俺は2人の顔を交互に見合わせると佇んでいたガーディアン部隊の一体から音声が流れた。

 

 

『銃火器及び、危険物の所持を確認』

 

「……えっ、危険物って?え?」

 

「いや、それお前(天倉)の事だろ全身凶器に加えて装甲もつけられてんだから」

 

『危険人物と判断。登録ID【天倉孫治郎】及び残りの2名の拘束に移行します』

 

「「「えっ?」」」

 

 

腑抜けた俺達の声を搔き消すようにガーディアン達が構えた銃から無数の弾丸が放たれた────

 

 

 

 






〜〜用語解説〜〜



『謎の熱血教師』

 リーゼントヘアーの先生を自称する男。天倉の第一印象としては切島君と仲良くなれそうだなと言った感じ。あと、眩し過ぎて浄化されそうなくらい良い人?

多分、葛城さんと知り合い。



『ライダーブレイク』

かいじんがあらわれると とまれない ふりをして ひきころすわざのことだ。またやった! でもかいじんだし まあいいか。


バイク(愛車)による突進により怪人を撃破する大技(と言う名の玉突き事故)。
初登場は仮面ライダー1号の11話で登場した必殺技『サイクロンクラッシャー』であるが、正式にライダー技として出たのがスカイライダーから『ライダーブレイク』。

読者にとってはクウガの『トライゴウラムアタック』、龍騎にて登場した『ドラゴンファイヤーストーム』『疾風断』あたりが印象に残っていると思いますが、それ以上にエグゼイドからレーザーの必殺技『自転車を着たバイクがバイクで突進』する絵面は凄まじい迫力がある。

ちなみに作者が印象に残っているのはアマゾンオメガによるスタイリッシュ(ミンチより酷ぇ)玉突き事故となっております。初めて見た時の(ショッキングな意味での)衝撃的な光景は今も忘れる事はない。






〜〜おまけ〜〜


『とある実験風景』


天倉は悪魔の天才科学者と呼ばれ(悪い意味でも)有名な葛城の実験に身を投じていた。そんな彼の目の前に檻に入れられた謎のプルプルした水色の物体があった。



「ここに、とある実験ナマモノTがある」

「出してぇぇぇぇぇええええッッ!」

「………」


 天倉は必死に目を合わせないようにしていた。確実にどこかで見た事のある……具体的に番外編あたりで登場していた売れ残りの賞味期限が過ぎた食品とは決して知人と言う事を悟らせないようにそっぽを向いていた。


「いやぁ、最近のところてんって凄いな。喋ったりするんだからな。……ところで、コイツとは知り合い?」

「────いや、初めて見ました」

「見捨てやがったなテメーーーっ!」


 檻をガシャンガシャンと激しく鳴らす謎生物に天倉は赤の他人を見るような冷めた表情を浮かべる。
コイツと関わったらシャレにならない(ヒロアカがギャグ時空に引き込まれる)と察し、この場から去ろうと出口に歩んでいく。


「どこに行くのかな?」

「!!?」


すると天倉の床から無駄にハイテク機能を搭載した鉄格子が現れ瞬く間に檻に閉じ込められてしまった。


「な、なにをするだァーーーッ!」

「有機物と無機物の融合……。俺はその行く末を見届けたい……!」

「何を考えてるんだあなたは!?」


 瞬間、バチバチと【ところてんらしき物体】と【即落ち血反吐2コマ主人公】が閉じ込めている檻同士に火花が生じATL○S辺りのゲームで登場する悪魔合体らしき光景が広がる。


「一緒に地獄に堕ちようぜ兄弟ィィィ!!」

「あああああああッ!こんなジョグレス進化は勘弁してぇぇぇッ!」


──その時、不思議なことが起こった。
室内は光に満たされ2人の力は融合を果たし新たな戦士が誕生したのだ。


「俺はアマゾンッ!バイオッ!ライダーッッ!今後ともよろしく!」


「合体成功ッ!気分はどうだ?」

「ゴルゴムめ ゆ゛る゛さ゛ん゛っ!」

「おい、これ絶対に失敗してんだろ!」


その後、無事に融合は解除されたが何故か天倉の新形態として変身可能となった。



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