Overlord of Overdose ~黒の聖者・白の奴隷~   作:Me No

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それぞれの思惑

 

「……雨か」

 外の雨音を聞きながらモモンガはぽつりと呟いた。

 ここは城砦都市エ・ランテルにある冒険者御用達の宿屋だ。

 雨雲のせいで太陽は隠れており、薄暗い部屋は暗闇に包まれている。

 普通なら灯りを用意しなければならないが、ここにいるモモンガ、パンドラズ・アクター、ルプスレギナにとってはこの程度の闇で視界を遮られることはない。

 現在この宿はモモンガ達を恐れて泊り客はいなくなり貸切状態となっている。

 宿の主人には申し訳ないがモモンガは密かにこの宿のことが気に入っていた。

 

「いよいよ、私達の勇名を轟かす時が来た。今日という日は我らにとって記念すべき日となる」

 パンドラズ・アクターとルプスレギナは静かに頷いた。

 

 今日の冒険者の仕事はいつもと違う。

 冒険者組合からの指名の依頼で、エ・ランテルでは名の知れた商人の荷物運び兼護衛の仕事だ。

 この依頼にはこの街で最高峰のミスリル級冒険者チーム『虹』も同行することになっている。

 護衛はミスリル級冒険者主導で動き、モモンガ達はあくまで荷物運び係だが、単純に荷物運びをして終わりにするつもりはない。

 道中でアウラによって捕らえられたモンスターがモモンガ達一行に襲い掛かってくる手筈になっている。

 モンスターの名前はギカントバジリクス――ミスリル級冒険者では到底太刀打ち出来ない強さを持つ相手だ。

 街でも最高峰の冒険者チームでも対応できない相手を颯爽と倒し、悪評を覆すほどの名声を得るという算段だ。

 

「この依頼は私とパンドラズ・アクターで向かう。ルプスレギナはここに残り、ンフィーレア・バレアレの動向を探れ」

「ハッ」

 ルプスレギナは人狼という種族的特性に加えて《完全不可視化/パーフェクト・インヴィジビリティ》の魔法を扱える為、追跡行為もお手の物だ。

「奴がみかかさんに何らかの危害を加えようとしたことが発覚した時点で私とみかかさんに連絡しろ。その後は分かってるな?」

 ルプスレギナは神妙に頷いた。

 その時は遠慮会釈無く殺す。

 殺した後はナザリックに遺体を持ち帰って利用する手筈だ。

 

「モモンガ様。少し宜しいでしょうか?」

「何だ?」

「その、そのようなことがあるとは思えませんが……みかか様がンフィーレアの殺害を妨害された場合はどうすれば?」

 おずおずと尋ねてくる。

「そんなに怯えるな。お前の心配は分かるぞ、ルプスレギナ」

 今回、意見は統合せずにモモンガとみかかで争う形になっている。

 みかかが彼と友好的な関係を築くか、彼がみかかに対して明確な敵対行為を起こした時点でその命運は決まる。

 

 期限は定めていないが、目安となるが明日の夕方。

 その頃には王都からアダマンタイト級冒険者チーム『蒼の薔薇』が到着するらしい。

 蒼の薔薇に調査を依頼すればナザリックに対する明確な敵対行為と見做してンフィーレアを処分する。

 みかかはこの調査を行うのを止めさせる必要があるわけだ。

 

「勝負の結果は受け入れる。彼女はそれを反故にするような真似は決してしない」

「も、申し訳ありません!!」

「気にする必要はない。お前とシコクは今回の作戦に関しては中立の立場だ。ただ勝敗の行方を観察していればそれでいい」

「ハッ。お任せ下さい!!」

 ルプスレギナが深々と頭を下げる。

 

「モモンガ様。お聞きしたいことがございます」

「……何だ?」

 その言葉にモモンガは無いはずの心臓を掴まれたような嫌な気分になった。

 ルプスレギナもまた他のシモベと同様にモモンガが天才的な策略家であると信じて疑わない。

 その為に事あるごとに質問をぶつけてくる。

 右も左も分からない新入社員が先輩に質問してくるようなもので仕事熱心だと感心する反面、勘弁してくれよというのがモモンガの素直な気持ちだった。

 

「カルネ村の襲撃事件で一番最初に助けた村娘がンフィーレア・バレアレと繋がりがあったのはモモンガ様の策略なのですか?」

「当然だ。彼が《タレント/生まれながらの異能》の持ち主であることも知っていたとも」

 モモンガは自信に満ちた声で断言して胸を張った。

 それを見てルプスレギナは「おおっ」と声を漏らし、尊敬に満ちた目でモモンガを見つめる。

 モモンガは冷静さを装いつつ、シモベ達が望むアインズ・ウール・ゴウン――至高の四十一人のまとめ役を演じる。

 それが結果的に事なきを得たとはいえ、友人を危険な場所に向かわせた事への贖罪であり、自分を諭してくれた友への返礼だからだ。

 

「ですが、みかか様はンフィーレアが我々が危険視するほどの特殊な技能を保持していることを知らなかったようですが?」

「それは……余計な先入観を与えず彼女の好きなようにさせたいと思ったからだ。私達は人間に友好的に接するつもりだが、別に媚びたりする必要はない」

「なるほど、みかか様を想っての行動だったのですね」

 ルプスレギナは納得したように頷いてみせた。

「確かに偶然と呼ぶにはあまりにも出来すぎた展開です。であれば――交渉が決裂することも予測されていたのでしょうか?」

「無論だ。みかかさんには悪いが、私は交渉が決裂するだろうと踏んでいた」

 

(どうして、決裂したかまったく分からないけどな!!)

 

 毒を喰らわば皿まで、なんて言葉がある。

 モモンガは半ば自棄になりながら、選択肢を選んでいく。

 

「そう、ですか」

 ルプスレギナは悪意に満ち溢れた笑みを浮かべた。

「ですが、友好的な関係を築くほうが利用しやすいのでは?」

「こちらに敵対的である方が遠慮の必要がなくなるだろう?」

 モモンガもニヤリと――骨の顔なので笑えないが、そういう雰囲気を出して見せた。

 気分的にはインサイダー取引を持ちかける業者のようだ。

 

「私は、彼女ほど人が好きではないからな」

 モモンガはぽつりと呟いた。

 

 ユグドラシルであれば、探索役の彼女を斥候に出すことに躊躇いはなかった。

 しかし、斥候というのはアイテムロストという廃人プレイヤーにとっては悪夢でしかないリスクの高い役割を担っている。

 だからといって「リスクがある」という理由で探索役の彼女を前に出さないなど彼女に対する無礼でしかない。

 

 だが、今は違う。

 

 これは現実だ。

 プレイヤーやNPCに対する蘇生手段を試していない現状では、死は終焉である可能性を否定できない。

 確かに自分達は弱者ではないようだが、探索役として彼女を前線に出すのはモモンガもどうかと思っている。

 人に優しい彼女を前に出すのは、いざという時にまずい結果を招く可能性がある。

 

「だから、人間が少しでもみかかさんの不利益となるようであれば排除する事に躊躇いなどない」

 自分の友人を守る為なら、自分はどこまでも残酷になろう。

 万が一の可能性すら見過ごしはしない。

 自分がシモベ達が思い描くような支配者でない以上、いつかどこかで必ず失敗する時が来る。

 その失敗で自分や仲間、そして仲間達が創ったシモベ達を失うような真似になることだけは避けねばならない。

 

「それは――エンリ・エモットであっても同じですか?」

「エンリ・エモット? ああ、今回の協力者である人間の娘か」

 何故そこであの村娘が出てくるのか分からなかったが、モモンガは断言する。

「関係ないな。協力者であろうと人間であるならその価値に大差はない。みかかさんに危険が及ぶなら切り捨てるまでだ」

「まったくの正論かと」

 ルプスレギナは瞳に安堵の色を滲ませ、隣にいたパンドラズ・アクターも小さく頷いた。

 思わぬところで二人が神妙な反応をしたことにモモンガは焦りを覚える。

 

(協力者も簡単に切り捨てるという発言は非情過ぎるか? いざとなれば部下を簡単に見捨てる最低な上司だとか思われたとか?)

 

「私の心配はどうやら杞憂だったようです」

「そ、そうか。思う所があるのなら進言していいのだぞ? それを責めるほど狭量ではないつもりだ」

「ハッ。その、進言ではなく……愚かな私ではモモンガ様の策略が理解出来ない所が多々ありまして、どういう事なのかお聞きしても宜しいでしょうか?」

「……ほほう」

 それはモモンガが飛び上がって喜ぶほどの素晴らしい質問だった。

「そうか。ならば――パンドラズ・アクターよ。元の姿に戻れ、その上で発言を許可する」

「《Wenn es meines Gottes Wille/我が神のお望みとあらば》」

「………………」

 

 ソレ、前ニヤメロト言ッタヨナ?

 

 開始一秒で存在しない胃が重くなったような重圧を感じた。

 そして、さりげなくルプスレギナがパンドラズ・アクターから距離を取ったのが地味にショックだった。

 

「お前はどうだ? 私の策略を読みきれたか?」

「お任せ下さい」

 無駄に動きのあるポーズを決めながら、パンドラズ・アクターは答えた。

 もし、パンドラズ・アクターに歯があったならキラリと光ってそうだが、今の状態では微妙に口を開けた間抜けなポーズにしか見えない。

「ならば、答えてみよ。お前の言葉が真実かどうか試してやろう」

「ハッ!」

 軍靴の踵を鳴らしてパンドラズ・アクターは敬礼して見せた。

 ルプスレギナが「モモンガ様の深遠なる計略が汚された気がするっす」と呟くのが聞こえてくる。

 

「ルプスレギナよ。パンドラズ・アクターに疑問に思うところを質問してみるといい」

「ハッ。で、では失礼して……ええっと、ンフィーレアが敵対的な行動を取ってくれれば遠慮がいらなくなるってのは分かるんですけど、だったら別にエンちゃんを助ける必要なんてなかったんじゃ?」

 モモンガはルプスレギナの軽い口調に驚く。

 動物は上下関係を見定める生き物と聞くが、ルプスレギナにとってパンドラズ・アクターはタメ口オッケーな関係ということだろうか?

「違います。敵対的な関係となる為にエンリ・エモットは必要だったのです」

「うえっ? い、一体どういう事っすか?!」

 混乱するルプスレギナを見て、パンドラズ・アクターは笑った。

「みかか様の優しさはナザリック外の人間にすら及びます。そうなると我々が利用するにはみかか様が許容出来ないレベルの敵対関係となる必要があるからです」

「確かにそうっすね。でも、なんであの村娘が――あっ! もしかして……エンちゃんって」

「その通りです」

「なるほどーそういう事だったんっすね」

「……?」

 納得したのか頷くルプスレギナを見て、モモンガは訳が分からないと心の中で頭を捻る。

 

「後は彼にはなるべく騒ぎを大きくして欲しかったというのもあります」

「えっ? それは何で?」

 モモンガもルプスレギナと同意見だ。

 自分達は異形種で人間の支配地域に潜入しに来たのだ。

 それなのに騒ぎを大きくするなど在り得ないことだ。

「お忘れですかメイドのお嬢様。私達がここに来た目的を!」

「お、おじょう……」

 お嬢様呼ばわれされたことに、ルプスレギナは唇を震わせる。

 しかし、すぐに冷静さを取り戻して淑女然とした笑顔を浮かべて答えた。

「まず著名な冒険者としての地位を築き上げること。そしてプレイヤーと呼ばれるモモンガ様と同格の存在を探すこと。最後にこの世界の金銭を得る為ですわ」

 先程までの気楽な口調が鳴りを潜めているということはお嬢様呼ばわりされたことに思うところがあるのだろう。

 

「では、それを踏まえた上でお聞きしましょう。ンフィーレア・バレアレの能力は危険かつ利用価値があるにも関わらず、放置されてる現状をおかしいとは思いませんか?」

 その言葉にモモンガの意識に電流が走った。

 わざと餌をちらつかせて寄って来た相手を殺す。

 アインズ・ウール・ゴウンでも散々利用した手口だ。

 確かに、それなら彼が初対面同然のみかかに敵意を向けるのも理解出来る。

 

「あの男は街でも有名だそうですね。そうなると彼に対して何らかの行動を行えば、必ずその注目を浴びる事になる。それならカナリアとして扱うのも一興ではありませんか?」

「確かにそうですが、その様子ではモモンガ様はンフィーレアが罠であることが分かっていた筈です。ならば、何故みかか様が接触するのを放置なされたのですか?」

「分かりませんか?」

「はい。先のカルネ村の事件――それがモモンガ様の計略の内だったとは言え、モモンガ様はみかか様のことを案じておられました。そのモモンガ様が此度に限って何の心配もしないどありえません」

「そこまで分かっているのなら答えは目前ですよ? ンフィーレアの背後にプレイヤーが存在するかもしれません。しかし、存在したとしても我らと同格の力や知識を持つギルドではないと断言出来ます。だからこそ、御二方は彼を殺す殺さないの話をしているのです」

 唐突に確信を告げるパンドラズ・アクターにモモンガとルプスレギナは絶句するしかない。

 

「な、何故? どうして、そんなことが分かるのですか?」

 話の展開が理解出来ずにルプスレギナは戸惑う。

 

「あらゆる種類のマジックアイテムが使用可能――恐ろしい能力です。例えば、我らがギルドの象徴であるスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを彼が手にすればプレアデスである貴方達姉妹では束になっても勝てないでしょう」

「ぐっ、た、確かに仰るとおりです」

 その言葉にルプスレギナは唇を噛んだ。

 ギルド武器であるあの杖の能力の一つに《サモン・プライマル・ファイヤー・エレメンタル/根源の炎精霊召喚》というものがある。

 召喚される根源の炎精霊の強さは八十七レベル――どう逆立ちしてもプレアデスでは敵わない。

 

「仮にモモンガ様やシコク様が持つ指輪《シューティングスター/流れ星の指輪》で彼の能力を奪えるとすれば、彼の価値はさらに激変することになる」

 もし、この能力をセバスやコキュートスなどの生粋の戦士職のものが得たらどうなるか?

 スクロールとはいえあらゆる魔法を使用することが出来るようになり、戦術の幅が格段に広がることになる。

 魔法職のモモンガもスクロールで本来なら使用出来ない信仰系魔法を用いることが可能となり、即座に回復できるという大きなメリットがある。

 

「これらの点を考えれば、彼をカナリアとして使い潰すのは惜し過ぎる。それにも関わらず彼がこの年まで無事に生きていけた事こそ周辺国家に我らに匹敵するギルドが存在せず、また彼の能力をこの世界の人間では生かしきれないという証拠となるわけです」

「な、なるほど。たった一つの情報からそんなところまで読まれていたのですね」

 ルプスレギナは感動の余り身震いしている。

「しかし、だからと言って油断をしてはいけません。何故なら、我らとまったく同時期に幾つものギルドがこの世界にやってきた可能性があります。故にここで静観するのは愚策と判断し、此度の経緯に至るというわけです」

「………………」

 確かにモモンガもプレイヤーは近くに存在しないのではないかと思っていた。

 なんと言うか、余りにも静かすぎたのだ。

 

(よく考えろ。パンドラズ・アクターの説明に不十分な点はないか?)

 

 大きな矛盾はないと思うし、確かに納得のいく説明だと思う。

 これは――大いなる前進ではないだろうか?

 それなら大手を振って行動することが可能になる。

 

「これで理解は出来ましたか?」

「モチのロンっす! それならこの街は私達の玩具箱同然――こう、心の内に滾ってくるものがあるっす!」

 ルプスレギナがはしゃぐ中、モモンガも自らの幸運に心がざわめくのを感じる。

「近いうちにカナリアの鳴き声に反応して哀れな羊が現れると思います。それを捕らえれば新たな情報も得られましょう。仮に何の反応もなければ、行動範囲を人類圏ではなく亜人や異形種達の方に目を向ける必要があるでしょう」

「なるほど」

「如何でしょうか? モモンガ様」

「少し待て。みかかさんから《伝言/メッセージ》が入った」

 パンドラズ・アクターとルプスレギナは静かに二人の会話が終わるのを待つ。

 

「見事だ、パンドラズ・アクター。丁度、みかかさんから羊が現れたと連絡があった」

 

「な、なんと……」

「ち、智謀の王っす」

 その余りにも出来すぎなタイミングを前にパンドラズ・アクターとルプスレギナは尊敬の眼差しでモモンガを見た。

 二人にはモモンガがこれを計算して話していたように見えたのだろう。

 こうして、モモンガは着実に至高の四十一人のまとめ役に相応しい才覚を持つ男として称えられることになる。

 

 

 朝から降っていた雨は午後には止み、美しい夕焼けが城砦都市を染め上げる。

 カジットの隠れ家である地下神殿に日の光が届くはずもなく、魔法の灯りが辺りを照らしていた。

 

「クレマンティーヌ。貴様、一体どういうつもりだ?」

「んー? 何をそんなに怒ってるのかなぁ?」

 激怒するカジットの事に背中を向けたまま、心底面倒くさそうにクレマンティーヌは尋ねた。

「お前が殺したのはこの街でも有数の権力者だ。何故、殺す必要があった?」

「ごめーん。反省してまーす」

 こちらの顔すら見ようとしない彼女に謝罪の色など一切ないのは明らかだ。

 

「でもさー。ちゃんと色々調べてきたんだよー。『漆黒の悪夢』の二人が『虹』と一緒に依頼に出かけた。彼らは明日の今頃まで、ここには戻ってこない。私が調査を依頼した男は八本指でも有数の腕を持つ六腕の一人だった。凄いと思わなーい?」

「……確かにそれは認めよう。だが、それと貴族の屋敷に押し入って家人だけでなく使用人まで惨殺することは話が別だ!!」

「ごめんねごめんねー」

 カジットは湧き上がる殺意を押さえ込むのに精一杯だ。

 この女の腕は認める。

 死を隣人とする邪教集団『ズーラーノーン』十二高弟の一人であり、元漆黒聖典第九席次。

 間違いなく英雄の域に到達した強者であり、邪教集団の幹部に恥じない性格破綻者だ。

 

「でもさー。これもちゃんと考えての事なんだって」

「……ほう」

 カジットは欠片の信用もない声で相槌を打った。

「本当だって。大量の血痕はあれど死体はなし。殺しの現場を見れば常人でないのは明らか――とても役人でどうにか出来るレベルじゃないから冒険者にでも頼むしかない。そしたらミスリル級の『天狼』にでも頼むっしょ? もしかしたら、街に残ってる最後の『漆黒の悪夢』も絡んでくるかもね」

「………………」

 驚いた。

 どうせいつもの病気だとカジットは高をくくっていたのだが、どうやらちゃんと考えての行動だったらしい。

「明日、ンフィーレアを誘拐して儀式を決行する。どーよ?」

「確かに……何の問題もない」

 だからこそ、妙だ。

 

 この女――こんなに聞き分けのいい人物だったか?

 もしかして、貴族を殺したのは自分に罪を擦り付ける魂胆ではないか?

 そんな不安を抱くほどにやけに協力的だ。

 

「金目の物をあらかた盗んだのもそれが目的か? ならば納得もいく」

「ふふーん。よし、オッケー。こんな物かな」

「………………」

 クレマンティーヌは立ち上がり、カジットの前でクルリとターンを決めてみせた。

 それは戦士としての鋭さではなく、貴族としての魅せる動きだ。

「どうよ? カジッちゃん?」

 屋敷から奪ってきたドレスに身を包み、優雅な礼を見せたクレマンティーヌにカジットは舌打ちする。

「……ふん。腐ってもスレイン法国の名家、クインティアの片割れと言ったところか?」

「クインティアの片割れはやめてよ。カジット・デイル・バダンテール。ここは褒める所でしょーが」

 その言葉にカジットは肩眉を上げる。

 そして吐き捨てるように言った。

「……褒めるだと? 今更、自分が女であることを思い出したか?」

「あ゛っ?」

 クレマンティーヌの瞳に殺気が宿り、その姿が霞と消えた。

 カジットは即座にローブに手を入れ、黒い石を握る。

 十分にあったはずの距離をクレマンティーヌはドレスのまま一瞬で駆け抜けて、スティレットと呼ばれる刺突専門の剣を突き出す。

 常人であれば反応すら出来ずに深々と喉を抉られたことだろう。

 しかし、カジットは常人でない。

 クレマンティーヌには及ばないが自分もまた邪教集団『ズーラーノーン』十二高弟の一人である。

 スティレットはカジットに当たる直前で地中から生えた骨の鉤爪によって受け止められた。

「図星を突かれたか?」

 クレマンティーヌの本気の怒りを感じたカジットは痛快だとばかりに笑った。

 こちらは数年前からコツコツと準備を整えてきたのだ。

 それをいきなりやって来て、荒らしまわるなど許せることではない。

「……そんな訳ないじゃん。こんなの遊びよ、遊び。馬鹿な男を釣るためのねぇ」

「………………」

 クレマンティーヌの目に宿った危険な光がカジットの意識に冷水を被せた。

 これ以上、この話題に触れるのはまずい。

 この女は狂犬だ――このままでは自分が持ちかけた計画すら台無しにして、カジットに牙を向けるだろう。

 

(ちっ……この性格破綻者が)

 

 同士でありながら、まったく理解出来ない。

 カジットも人の事を言えた義理ではない――だが、それでも彼女ほど壊れていない。

 いや、ここまで壊れているからこそ、この女は強いのか。

 

「下らぬ真似をするな。御主とて儀式が失敗するのは避けたいだろう?」

「……そうだね。ちょっと冗談が過ぎちゃったかな? でも、ギリギリで止める気だったよ?」

 確実に嘘だ。

 くだらない世迷言に付き合っている暇はない。

「なら、聞くが……その格好は何だ?」

「………………」

 カジットの質問に答えるのに間があった。

 

「これから黄金の輝き亭に行くんだけど、さすがにいつもの格好ってわけにはいかないでしょ? その為の変装よ」

 カジットに背を向けて、貴族の屋敷から強奪してきたアクセサリーを身につけ始める。

 その様子を何か理解出来ない異様な物でも見るかのような目でカジットは見つめている。

「黄金の輝き亭だと? 確か八本指の男が泊まっている宿だったか? そこに何をしに行く?」

「どうやら八本指もンフィーレアを狙ってたみたいなんだよねぇ。交渉で手を退いて貰ったけど慰謝料くらい渡しておかないと密告されたら困るっしょ?」

「なっ?! ならば、先に言え。そんな金なら用意してやったわ!」

 ズーラーノーンは邪教集団ではあるが、貴族達からも信仰されるほどの大規模な宗教集団だ。

 その理由は簡単で死を隣人とするだけに死から逃れる術も人並み以上に知っているからである。

 特にカジットが現在行おうとしている大規模儀式『死の螺旋』を用いれば、不老の存在であるアンデッドになることも可能だ。

 そういう側面もある為に資金には困っていない。

 そうでなければエ・ランテルの共同墓地に地下神殿など築けるわけがない。

 共同墓地という公的施設にこんな施設が建設されてることが、エ・ランテルの上層部にも信者がいる証である。

 

「終わったことをグチグチ言わないでよ。うっとおしいな」

 クレマンティーヌは髪飾りをつけ、ネックレスを通し、指輪を嵌める。

「変装完了」

「………………」

 発覚されては困るのでカジットもクレマンティーヌの格好に妙な所はないかをチェックする。

 

(流石は元漆黒聖典――各国への潜入任務なども行っていたというだけあって見事なものだな)

 

 本来の姿を知るカジットからすれば信じられないが、一見すれば貴族の令嬢であり、とても狂人には見えない。

 この女――普段はただの性格破綻者にしか見えないが、その反面でこういう計算高さを持ち合わせていた。

「あー、あー、どうカジッちゃん? 声変わってる?」

「……気持ち悪いくらいだ」

 自前で声すら変えられるのか。

 貴族の令嬢に相応しい儚げな声――何と言うか出来の悪い悪夢でも見ているような気分だった。

「褒め言葉として受け取っておきましょうかね」

 クレマンティーヌは鞄にたっぷりと詰まった金貨を軽く持ち上げると縁の広い帽子を被って顔を隠す。

 仕上げとばかりに香水まで使い始めたクレマンティーヌにカジットは何と言っていいのか分からずに立ち尽くすばかりだ。

「……クレマンティーヌ」

 この女の性格を考えれば、こういう面倒くさい仕事は適当に終わらせそうな気がするのだが、妙に気合が入ってないか?

「何?」

 いや、法国でそう訓練されたからに違いない。

 手鏡で自分の姿をチェックするのは失敗しない為だ。

「御主」

 

(まさかとは思うが、その男に……)

 

 カジットの言葉は途中で終わり、嘲笑が浮かんだ。

 何を馬鹿な。

 そんなことがあるわけがない。

 

 超遠方から飛来した龍が突如この街を襲撃するくらいに在り得ない確立だ。

 

「どうしたの? 急に気持ち悪い顔しちゃってさー」

「いや、その男にあったらこう伝えておいてくれ。コッコドールには世話になってる、とな。そう言えば密告などする事はないだろうよ」

「誰よ、そいつ?」

「八本指奴隷部門の長だ。付き合いがあってな」

「はいはーい。分かりましたー。じゃあ、行って来るね」

 意気揚々と地下神殿を出て行く彼女を見送ることはせず、カジットは背を向けて地下神殿の奥へと進む。

 奇妙な光景を見たせいか、心の片隅に拭えない違和感を感じながら。

 

 

 一体どれほどの年月を捧げてきただろうか?

 ただひたすらに、信じるものに祈りを捧げる日々。

 それは敬虔なる信者の姿であり、狂おしいまでの執念が為せる業だった。

 

 カジットの邪悪なる祈りは大量のアンデッドを生み、大儀式の果てに生み出した切り札たる二体にあっては命を削るような思いで作り出された産物だ。

 

 全てはこの街を死の街と変えるために。

 大量の屍を作り上げ、その死の力で自らをアンデッドと変えて、さらに長く生き延びる為に。

 そして――あの日から始まった自分を責め苛む後悔。そして、必ず覆してみせるという誓いを叶える為に。

 

 カジットは願う。

 それは死に対する深い願いであり、生を歪められた存在に対する祈願だ。

 周囲の闇がより濃くなる。

 そして周辺の死が強まっていく感覚。

 生暖かい空気の中に、ピリピリとした肌をそばだてるものが徐々に含まれていく。

 この場所に満ちるもの――それはカジットにとって非常に慣れたものだ。

 

(明日、また一歩。悲願へと近づく)

 

 それを思うと黒い石を握る手にも力が篭る。

 途端、石が振動するように震えだした。

 

「何だ?」

 

 今迄、こんな反応は見たことがない。

 

 カラン――コロン。

 突如、そんな軽い音がカジット達に届いた

 詠唱を中断し、ぎょっとした顔で高弟の幾人かが音のしたほうを向いた。

 ここは地下神殿だ。

 ここに通じる秘密の通路が開くと、音が鳴る仕組みになっている。

 それが鳴っていないということは秘密の通路が使われていない事になり、そうなれば正体は限られる。

 新たに自然発生したアンデッドだ。

 

「――カジット様」

「うろたえるな」

 高弟の何かを求めるような声に対し、低く重々しい声でカジットは答える。

 規則的に響いた音が徐々にこちらに向かっている。

 そして気付いた――この奇妙な音は足音だ。

 

「恐れるな。心を強く持て」

 

 死の螺旋には一つ欠陥がある。

 アンデッドが集まると、より強いアンデッドが生まれる。

 この事から、下手をすれば自分達では対処出来ないレベルのアンデッドが発生してしまう可能性があるということだ。

 

 こんな奇怪な足音を鳴らすアンデッドに心当たりはない。

 つまり、新種のアンデッドである可能性が高い。

 カジットは闇を睨む。

 それから程なくして、人影が姿を現した。

 

「はっ?」

 どう見ても幼い子供の姿にカジットは間抜けな反応を返した。

 

 先程から響くカランコロンという軽い音は木で作られた奇怪な靴――カジットは知る由もないが、南方では下駄と呼ばれる物の音だったようだ。

 見たことの無い異国風の装束に身を包んだ美少女がこちらに向かって気楽に歩いてきている。

 周りに赤、青、緑、銀、黒の鬼火を漂わせた少女の姿は半透明に透けていた。

 

(姿が透けているということはゴースト? な、なんだあの見事な服装は? 元は何処かの高級娼婦か?)

 

 カジットの見立ては的を得ていた。

 それはかつてある国で遊女と呼ばれる娼婦が着ていた衣装。

 サイズが合っていないのか、それともそういう性分なのか――絢爛豪華な着物をだらしなく着崩して、カジット達の前にシコクが姿を現した。

 

「雨も上がって外は血のように赤い夕焼けで染まっとるよ。こんな所でぶつくさ独り言を呟くには惜しくないかえ?」

 

「ゴ、ゴーストが喋った!?」

 高弟の一人が飛び上がらんほどに驚いた。

 

 ゴーストとは死して尚、この世を彷徨う者の魂である。

 正気を失い、見る者全てに襲い掛かる厄介なアンデッドだ。

 本来であれば人と会話する知性など持ち合わせていない。

 それに基本的にアンデットは朽ち果てた醜い風貌をしている者だ――ここまで見事な美貌を誇るアンデッドなど見たことがない。

 ズーラーノーン十二高弟の一人であるカジットすら、そんなアンデッドは知らない。

 唐突に現れた理解不能の存在に気圧されて、皆はジリジリと後ろに下がる。

 そんな事を気にも留めてないのか、亡霊は形の良い眉を吊り上げて怒りを露にした。

 

「失礼な。うちはゴーストなどという低級なものではない。これでも幽霊種の上位種族スペクターじゃよ」

 スペクターなど聞いたこともないが敵対するなどもっての外だ。

 カジットは即座に膝をつき、頭を下げてから言った。

「ここまでまともに喋れるゴ……失礼。アンデッドなど見たことも聞いたこともない。無知な我々をどうかお許し下さい」

 カジットは言葉を選んで会話を試みる。

 アンデッドでも上位種族になると普通に会話が出来るようになる。

 そんな輩と刃を交えるのは得策ではない。

 アンデッドの本能で死の儀式を嗅ぎつけてやって来た可能性もある。

 ここまでの知性があるなら、生者を憎むアンデッドであっても交渉することも可能な筈だ。

 

「ほう。てっきり取り乱して攻撃してくるかと思ったが、意外にまともな対応じゃのう」

 

 にんまりと、まさしく満面の笑みを浮かべる。

 それは悪逆の限りを尽くす邪教集団の幹部であっても頬を緩ませるほどの愛らしい童女の顔だ。

 それが人間であったなら――という条件付だが。

 これがアンデッドが浮かべる表情だと知っているなら、途端に意味合いは変わってくる。

 

(顔も声も幻覚の類か? いや、そうには見えない。だとすれば幽霊種の王族か?)

 

「我々は人の身なれど死を隣人とする邪教集団『ズーラーノーン』と呼ばれる者達。スペクター殿のような高位のアンデッドには敬意を持って接します」

「左様か」

「どうか我らに教えて頂きたい。スペクター殿はこのような人間の都市に何をしに参られたのでしょう?」

「人間狩り」

 冷気すら含んだその声にカジットの高弟達がビクリと震える。

「安心せよ。御主らのような男に用はない。肉も固そうで美味いとは思えんからのう」

 条件が適合していたならどのような末路を辿ることになったかと思うと素直に喜べないものを感じる。

 

「それはそれとして――御主達はこんな所で何をしておるかの?」

 半透明の瞳がジッとカジットを見つめている。

 正体不明の存在相手に計画を話すのは躊躇われるが、相手はアンデッドだ。

 まさかこの街を死の街に変えると言って邪魔をすることはないだろう。

 

 眼前に立つ者は死の姫君。

 最大限の敬意を払い、必要とあれば己が身すら犠牲に守らねばならない。

 心の奥底から聞こえてくる声に抗えない自分がいる。

 

「死の螺旋をご存知でしょうか?」

「知らぬ」

「死の螺旋とは我らが盟主が行った都市壊滅規模の魔法儀式です。明日の決行に向けて準備をしておりました」

「都市壊滅規模の魔法儀式など奥に集めておるものでは無理じゃろう。何を隠しておる?」

 あっさりと隠してあるアンデッドがいることを突き止めた。

 やはり只者ではない。

「御慧眼でございます。ある人物とアイテムを用いることで《アンデス・アーミー/死者の軍勢》の魔法が使用出来るのです」

「……第七位階魔法をか? それは興味深いの」

 素晴らしい――魔法の知識も持ち合わせているのか。

 それならカジットの悲願にまた一歩近づけるかもしれない。

 

「如何でしょう、スペクター殿。この儀式に協力してもらえないでしょうか?」

「うん?」

「ただ、ここにいてくれるだけでもかまいません。それだけでより強いアンデッドが生まれます。人間狩りならば我らも手伝いましょう」

「それは手間が省けて助かる。要求するのは女じゃ。強さと美しさを兼ね備えた者が良い。邪悪であれば尚良し」

「ほほう」

 余りにも意外というか、俗物的な要求に呆れるものを感じる。

 

「万が一にも失礼があってはいけませんのでお聞きしても宜しいでしょうか?」

「なにかの?」

「美しさ、というのは――スペクター殿のような容姿をしていると判断しても?」

 カジットの言葉に亡霊の姫は目を丸くする。

「く……あはっ、あはは、あははははは!」

 そして、さもおかしそうに笑い出す。

 いきなり亡霊が笑い出したことにカジットも周りの高弟も身を固くする。

「そうじゃろ? 普通、そう思うよな!! これはいい。初めてまともな質問を聞いたわ!」

 テンションが上がったのか、狂ったようにケタケタと笑い出すアンデッドを見て、カジットの背筋に悪寒が走る。

 人の良い童女の顔など創り物であったことを証明するように、笑う亡霊の顔はクレマンティーヌにも勝るとも劣らぬほど醜く歪んでいる。

 

「な、なにか失礼でも?」

 噴出する冷気の濃さに己では絶対抗えない力を感じて、カジットの声は震えていた。

 在り得ない――信じられないほどの邪悪な気配。

 邪教集団の幹部として数え切れない人を殺してきたカジットですら吐き気を催すような何かを感じさせる。

 

「逆じゃよ。種族の差とは致命的に価値観が異なるということ――御主は圧倒的に正しい。生娘をトチ狂わせて遊んだ時より楽しかった!」

 一瞬で自分の目の前にやって来て、カジットの肩をバンバンと叩く。

 本来なら痛いくらいの力だろうが、その手はカジットの体をすり抜け何の痛痒も感じさせない。

「あー笑った笑った。安心せよ、美しさや強さに関しては人間基準で問題ない」

「そ、そうですか。それは良かった」

 カジットの顔に媚びた笑みが浮かぶ。

 そういう要望であれば、丁度良い者がいる。

 いい加減あの女との付き合いにも辟易していたのだ。

 ここで死んでくれるなら丁度いいし、あれなら満足頂けるだろう。

 

「ところでスペクター殿。人間の女などどうするのですか?」

「……うちは今、大変気分が宜しい。だから、答えてやろう」

 一体、どのような残酷な結末が彼女を待つのか。

 カジットと高弟達は固唾を呑んで言葉を待つ。

 

「なあに、最近――肉のある身体も悪くないと思ってな。ちょいと人の身体を借りて遊びたいんじゃよ」

「な、なんと……」

 どうやってエ・ランテルまでやってきたのかと思ったが、そういう仕掛けだったのか。

 モンスターの中には相手の身体に寄生する者も存在する。

 彼女ほどのアンデッドともなれば完全に支配することも可能なのではないだろうか?

 

「折角、目をかけて育てた器が駄目になるかもしれんのでな。代わりの器を探しておる」

「それならば、我らの幹部を差し出しましょうぞ。計画の核となる人物をここに連れてくる予定です。その後はお好きなようにお使い下さい」

 この亡霊の力があれば、クレマンティーヌなど恐れるに足りない。

 いや――この圧倒的な強者の気配は自分たちの盟主すら容易に凌駕するだろう。

 このような強者が人の世に隠れ潜んでいたとは思いもしなかった。

 

「ほう。それはいい――良かろう。力を貸してやろう」

「おおっ、それはありがたい」

 カジットは歓喜に震えた。

 何たる幸運だろう。

 全てが自分の思い通りに運んでいる。

 クレマンティーヌには感謝してもしきれない。

 

 しかし、降って沸いた幸運はさらに続く。

 

「ところで御主――ちょいと一大決心して、うちの所に来んかね?」

 

 笑みを堪えきれないカジットに更なる福音がもたらされた。

 




カジット「いや、その男にあったらこう伝えておいてくれ。コッコドールには世話になってる、とな」
クレマンティーヌ「誰よ、そいつ?」
カジット「八本指奴隷部門の長だ。付き合いがあってな」
クレマンティーヌ「付き合ってたんだー? カジッちゃんにも春はあったんだねー」
カジット「違うわ!!」

 遺体の有効活用が出来る持ちつ持たれつな関係というだけです。他意はない(なら、何故書いたし

 今回の見所はクレマンティーヌさんのお色直し。
 それと原作よりギスギスしたカジットとクレマンティーヌさんの関係。
 欲しいのは叡者の額冠だからね。しょうがないね。

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