Overlord of Overdose ~黒の聖者・白の奴隷~   作:Me No

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神の手を持つ救世主

 

 村を助けるべく行動を開始したみかかが最初にターゲットにしたのは村の外周部を監視する騎士達だ。

 監視者は四人。

 救援を呼ばれるのを嫌ったか、それとも完璧主義者の集まりかは知らないが、村人を一人も逃がすつもりはないらしく馬上で弓を持って待機していた。

 

 自分は村を助けると約束した。

 ならば、可能な限り迅速に行動すべきだろう。

 全速力で村の周囲を駆け、気付かれる前に近づいて殺すこと四度。

 村の外周部にいた騎士達は全滅することとなった。

 

「……なるほどね」

 殺した相手の血で真っ赤に染まった自らの手を水で洗いながら、すでに事切れた騎士の死体を見つめる。

 

(遠距離からの殺人では罪悪感が薄いのかと思って自分の手で直接殺してみたけれど……何とも思わないか)

 

 一人目は《ライトニング/電撃》のスクロールで感電死させた。

 二人目は一人目から奪った剣で首を刎ねた。

 三人目は拳で相手の顔面を殴って撲殺。

 四人目は素手で鎧をぶち抜き、心臓を引き抜いて握りつぶした。

 

 どの段階で嫌悪感を抱くかと実験してみたが、これがまったく何とも思わない。

 むしろゲームで雑魚敵相手に無双したような爽快感を抱く始末。

 

「馬鹿だわ、私は。もう三日も前に人間を辞めてたんだ」

 外見が五年前のものだったから実感が薄くなってしまったのが原因だろう。

 自分は吸血鬼なのだということは分かっているつもりだが、どこか他人事のように考えていた。

 今、ここに立っているのは人間、七草水華(サエグサ ミカ)ではない。

 ユグドラシルで人を殺すことに特化させた吸血鬼の始祖、みかか・りにとか・はらすもちかなのだ。

 

(ユグドラシルの設定に肉体だけじゃなく精神も引っ張られてる。甘かった……自我さえ保てていれば肉体が化け物になっても大したことないなんて楽観視してた)

 

 朝起きると自分が芋虫になっていることを発見した、などと言う生易しい問題ではなかったのだ。

 朝起きると自分は芋虫になっており、その自我すら芋虫のものにすり変えられてしまったわけだ。

 これはその人間の人格を、魂を、勝手に書き換えたといってもいい。

 

「ああ……ここまで、ここまで頭にきたのは生まれて初めてだわ」

 何より腹が立つのが、この精神の変化に実感が沸いてこないことだ。

 むしろ、今の吸血鬼の身体こそ自分の本来の姿なのだという奇妙な充足感すらある。

 だが、記憶が残っている以上――自我や価値観が過去の自分とまったく別のものに書き換わっても、違和感は拭えない。

 どれだけ今の自分がこの姿こそ本来の自分だと思おうが、過去の記憶がその感情はまがい物だと訴えてくる。

 

「ハッ……悪趣味な真似を」

 

 なるほど、確かに自分は人間では在り得ない身体能力を得たし、現実世界なら奇跡にも等しい特殊技術を行使できるようになった。

 その代償として己の人格を弄られたくらい受け入れろと言う者もいるかもしれないし、それで納得するものもいるだろう。

 

 まったく、冗談ではない。 

 それがたとえ神の所業であろうが、選択の余地もなく己の魂の形を歪めたことを受け入れてやるつもりはない。

 

 この奇跡が底抜けの善意であろうか汚れきった悪意であろうが関係ない。

 必ず元凶を探し出して、この手でくびり殺してやる!

 

 だが、この怒りすら――本当のものか分からない。

 

 自分はこんな拳を握って激昂する人間では決してなかった。

 どちらかといえば怒ったときほど、静かに黙り込む人間だったはずだ。

 

 それが限界を超えた怒りで堪忍袋の尾が切れただけなのか、魂が変質してしまったせいなのかが判断出来ない。

 最早、判断する自我が狂わされている。

 一度狂ってしまったコンパスは何処を指してももう不信感しか感じない。

 

 その時、村の方角から角笛の音が聞こえて、みかかは頭を上げた。

 

「救援の要請か? ああ、約束したってのに……こんな所で時間を無駄にした」

 みかかは《フライ/飛行》の魔法が込められたピアスの力を発動させる。

「覚えておきなさいよ、カチコミものだわ」

 重力のくびきから解放され、みかかは村へと戻る。

 そろそろ、仕上げの時間だろう。

 

 

「くそっ! 一体、どうして――」

 どうして、こんな窮地に陥るのか。

 自分に襲った理不尽な不幸を嘆き、己の信仰する神への何度目になるか分からない罵声を浴びせる。

 神は確かに存在する――神官たちが己の信仰する神に祈り、起こす奇跡がその証拠だ。

 だからこそ、今敬虔なる信徒である自分、ロンデスを助けに来るべきだ。

 

 それとも、このような死が同じ種である人間を殺そうとした自分達に対する報いだというのか。

 

 村の中央にある広場には六十人弱の村人が集まっている。

 ロンデス達が村を四方から襲って、中央に集まるように狩り立てたのだ。

 無論、逃げられないように周囲には弓を装備した騎士が四人控えている。

 これを繰り返し、手馴れた自分達の行動に穴はない。

 当初は順調な運びに思えたのだ――隊長であるベリュースが村娘に襲い掛かろうとし、娘の父親と取っ組み合いになった所を助けたこと以外はトラブルもなかった。

 そんなベリュースもすでに物言わぬ屍だ。

 あまりに不可解な事態を前に真っ先に逃げ出そうとし、細切れにされて転がっている。

 周囲にはさらに十数人のバラバラ死体が転がっていた。

 生き残ったのはロンデスを含めて四人。

 それぞれが四方の動きに対応できるように恐怖に震え上がる互いの背中を預けあっていた。

 

(一体、何なんだ?! この化け物は!!)

 

 今まで一度も聞いたことのない暴力的な唸り声に腰が抜けそうになる。

 瞬く間に自分の仲間達を惨殺したのは、白銀の身体に血色のオーラを纏わせた薄っぺらい化け物。

 常に目にも留まらぬほどの高速で動いているらしく、どのような生物なのか肉眼では捕らえることが出来ない。

 その白銀の化け物の前には鋭利な剣も強固な全身鎧も何の意味もなさない。

 何の手応えもなく両断されてしまう。

 たとえ馬に乗っていても容易に追いつかれるだろう速度を誇る化け物は自分達の周囲を犬のように回り続け、少しでも身動きしようものなら息のかかるほどの距離まで近づいて威嚇の声をあげる。

 化け物は狡猾で信じられないほどの技量を有しているのが分かる。

 近づく際は紙一重の見切りで鎧だけを傷つけ、肉体には傷をつけない。

 この緊張感に耐え切れず死の誘惑に屈して、望んで化け物に殺された仲間も多い。

 自分以外の三人が、この恐怖にいつまで耐えられるか定かではない。

 

 ロンデスの脳裏にあるのは仲間の一人が命と引き換えに吹いた角笛によって援軍が来てくれること。

 自分達の国が誇る最先鋭のあの部隊なら、幾多の亜人たちを葬ってきた彼らならどうにか出来るという希望に縋っている。

 

 だが、往々にして窮地になったときに行う神頼みはあてにならない。

 

「……ふうん。四人も残ったのね」

 頭上からかけられた声に戦慄する。

 人の声――しかし、ロンデスの待ち望む者とは異なる結果に歯軋りしてしまう。

 予想はしていた。

 この化け物が自分達だけを敵視しているのは馬鹿でも分かる。

 そして、すぐに皆殺しに出来たはずなのに殺さないのは誰かの命を受けているからだと思った。

 ロンデスはこの化け物が噂に聞く『森の賢王』。もしくはその眷属だと思っていたのだが……まさか、人間が従えていたとは予想外だった。

 驚愕が隠し切れない――空から降り立った人物は、ロンデスが今まで見たことないほど美しく、何よりまだ年若い少女だったのだ。

 

「おいで、ティンダロス」

 その言葉と共に空から地面に降り立ったみかかの元に白銀の化け物は飛んだ。

 そして、先程と同じように懐いた犬のように周りを回っている。

 実験の結果は良好だ――そのことにみかかは満足した。

 

(自動攻撃の設定はユグドラシルに準拠してる。標的をロックしている限りは相当距離を離れても動くけど、距離に応じてMPの消費が早くなる)

 

 残った騎士と村人の視線が自分に注目するのを感じながら、みかかは騎士達を見据える。

 

「さて、騎士の皆様。村の周りにいた四人の騎士もすでに殺してるから援軍は来ないものと思って下さいな。まず、お願いがあるのだけど武装を解除して下さる?」

 四本の剣がほぼ同時に落ちた。

 鎧についた多数の傷を見るに相当、精神も削られたらしい。

 みかかの顔に嘲笑が浮かぶ――やはり、この武器はここでも強い。

 DMMORPGにおいてチェーンソーやドリルなどの武器は相手にするのに慣れが必要になる。

 真剣同士の戦いなら何の恐怖も感じない者もチェーンソーやドリルを前にすると腰が引けてしまうのはよくあることだ。

 生物とは大きな音には恐怖を感じてしまうものだ。

 それは生理的なもので克服するにはある種の慣れが必要になる。

 そういう意味で、ティンダロスは性能以上の強さを持っていると言っても良い。

 と言っても雷の音に心躍る人物も少なくなく、チェーンソーの音を聞くと逆に燃えるというプレイヤーもいるので一長一短なところはあるのだけど。

 

「次に質問――貴方達が何者で、何故村を襲ったのかを小さな子供でも分かるように説明をして頂戴。嘘だと感じたら遠慮会釈なくバラバラにするわよ。じゃあ……そこの貴方、説明しなさい」

 みかかが四人の中で最もしっかりしてそうな男を指差す。

 指名された男はみかかに怯えつつも口を開く。

「……わ、私達は、スレイン法国の人間だ」

 その言葉に村人がざわつき、その反応を見て、みかかの視線の温度が下がる。

「待て! 待ってくれ! ほ、本当なんだ!? 帝国騎士の鎧を着てるが、これは偽装だ!」

「……続けなさい」

「王国と帝国が戦争をしているのは知ってるだろ? 俺達は、その……帝国を勝利させるために村を、襲って回っている」

「………………………」

 成程、ということは……すでに幾つかの村は犠牲になった後か。

「正直な方ね。嘘は言ってないけど大事なことを隠してるのが透けて見えてるわよ? 村を襲って人を殺して回るだけで戦争の勝敗が決するなんて在り得ないわよね? だとしたら、本当の目的は何なの?」

「………………」

 それなりに重要な情報なのだろう。

 発覚すればそれなりの罰則があるほどの。

「喋る口はまだ三つあるのだけど?」

「……分かっている。目的は、周辺国家最強の戦士と名高い王国戦士長ガゼフ・ストロノーフを誘い出して暗殺することだ」

 村人達の動揺がかなり大きくなった。

 口々に何かを喋ってる。

 

(やっと有益な情報が手に入ったわ)

 

 よりにもよって周辺国家最強の戦士ときた。

 その男の力の程度が知れれば、大まかな行動方針が決められる。

 どうやらこの村は王国に属するのだろう。

 そして近隣にあるナザリック地下大墳墓も王国の領土内と見た。

 もし、そのガゼフとかいう男が自分達では手がつけられないほどの強者なら、村を救ったことを足がかりに友好的な関係を築きたいところだ。

 

(ただ、問題があるとすれば……)

 

「貴方は何を隠してるの?」

「えっ?」

「作戦がお粗末過ぎる――仮にも貴方達は国の命令で動いてるんでしょ? 貴方達はその周辺国家最強の戦士を殺せるくらいに強い騎士だというの? まさか村人を盾にすれば、その戦士長とやらを殺せるとでも?」

「いや、違う! 実行部隊は他にいる! 貴方ほど腕が立つ人物なら聞いたことくらいあるだろ? スレイン法国の六色聖典だ!」

「………………」

 

(当然、知らないけどね。そう上手く物事が流れてくれるわけがないか)

 

 六色聖典というからには六つ部隊があるんだろう。

 そして、それは強い人なら普通は知ってるほどに有名な部隊と思われる。

 国としての総合力は王国、帝国、法国のどれが高いのだろうか。

 出来れば強い国と組みたいところだ。

 だが、平気で村人を殺して回るようなこの騎士達の国は寝首をかかれる恐れがあるので避けたいとも思う。

 

(とりあえずは、その戦士長とやらの強さを知ることが最優先か)

 

 考え込んだみかかを見て、騎士は自分たちのバックにいる存在を使えば助かると思ったのだろう――少しばかり強気な様子で聞いてきた。

「どうだ? 俺達を助けてくれれば、あんたが殺されないように進言するし、あんたの存在を忘れてもいい。今から逃げればまだ間に合うぞ?」

「ん? ああ、それは無理。貴方達はきっちり全員殺すから」

 みかかは満面の笑顔を浮かべて、壮絶な台詞をぶちまけた。

「………………えっ?」

 その言葉に騎士たちは凍りつき、殺戮の予感にティンダロスが歓喜の声をあげる。

「な、何故?」

「何故って、何が? それで交渉のつもり? 貴方達が進言したところで、私の命が助かるわけないじゃない。あと、私のことを忘れるだっけ? 嘘も大概にしなさいな、何の罪もない人を殺すような連中の言葉を信じられるものですか」

「い、いや、それは……」

「言い訳は結構よ。今まで散々殺して回ったのでしょう? それが今更、殺されるのが嫌だなんて我侭が通ると思ったの? せめて選びなさいな。最後まで外道を貫いて人の形も残さず無様に殺されるか、そこで自害し、せめて人として死ぬか。……三秒あげるわ」

 命乞いする男達の必至の懇願には耳を貸さず、即座にカウントダウンを始める。

 

「さーん」

 男達は悲壮な顔で地面に投げ捨てた剣を取った。

「にー」

 これが最後の獲物であることを理解した殺人機械が身も竦むほどの咆哮を上げる。

「いーち」

 それが無謀な突貫になることは理解した上で男達は生にしがみつき――。

「ぜろ」

 そして三人がバラバラにされ、一人は己の喉を貫いて地面に倒れた。

 

(ふうん……全員向かってくると思ったけど)

 

 みかかが喉を貫いた男に向かって歩く。

 余程強い力で貫いたのだろう――わずかな距離を歩いたときには事切れていた。

 全身鎧の兜を外して、男の瞳を閉じてやる。

 

「さようなら、名前も知らない騎士様。貴方のことは忘れないでいてあげるわ」

 

 四人の誰がどの死に方を選んだのか。

 誰一人として名前も知らない以上、それを語っても意味はないだろう。

 

 

(さて……どうしたものかしらね)

 

「ティンダロス。ハウス」

 ティンダロスをアイテムボックスに仕舞いながら次の手を考える。

「まずは状況の把握だ」

 みかかの脳内でモモンガの渋い声が再生され、もっともだと胸中で頷く。

 とりあえずは、情報の確保が必要だろう。

「……さてと、これでひとまず安心よ?」

 先程の少女達の件もあったので、ある程度距離をあけた状態で話しかけることにする。

「あ、貴方様は一体?」

 今度はいきなりリバースされることもなく、村の代表と思われる男が前に出て対応してくれた。

「旅の者よ。村が襲われてるのが見えたから助けに来たの」

 その言葉に皆が「おおっ」と喜びの声をあげた。

 村人達に安堵の空気が広がっていく――だが、不安の色は消えてなくならない。

 騎士たちの言っていたように六色聖典と呼ばれる暗殺部隊が来るかもしれないからだ。

「貴方が村の代表者――村長さん?」

「はい。私が村の長です」

「そう。不躾で悪いのだけど、村の皆さんの力が借りたいのだけど宜しいかしら?」

「ど、どのような事でしょう?」

「私には傷を癒す力がある。村を散策して負傷者がいないか探して回って――ここにいるのは歩ける人だけでしょう? もしかしたら助かる人がいるかもしれないわ。急ぎなさい」

「は、はい!」

 その言葉に対する反応は早かった。

 村長が何かを言う前に動ける人間はそれぞれ散っていく。

 

(優先順位を間違えたな。兵士達の尋問は後にしたほうが良かったか。まぁ、仕方ない――私は神様じゃないんだから)

 

 今は出来ることをするだけだ。

 みかかは広場でうめき声をあげる一団の元へと向かう。

(そこにいるのが負傷者達ね)

 負傷者は女子供に青年、老人と様々で怪我の程度も異なる。

 みかかは即座に医療技術を用いた。

「《トリアージ・/識別救急》」

 一定範囲に存在する者達の治療の優先度を決定、選別してくれるスキルである。

 ユグドラシルでは敵のデータを収集することで精度が上がり、次の相手の攻撃に耐えられるかを教えてくれる便利なスキルだ。

 スキルを使用したことでみかかの視界に変化が生じる。

 負傷者達が黒、赤、黄、緑のいずれかの色をした湯気のようなものを身体から発し始めたのだ。

 ちなみに黒が自分のスキルでは治療が不可能なもので一番重い症状、緑が現状では治療の必要がないもので最も症状が軽いものになる。

 順番としては赤、黄、緑の順に治療を行っていけば良く、同じ色でも濃い色の方が優先度は高いといった感じだ。

 

「……この人が一番の重傷者みたいね」

 サッと負傷者達を一瞥し、大量の血に濡れ、意識を失っている重傷者の下に向かう。

 

(スキルで判別したから間違いないはずだけど、これ本当に治せるの?)

 

 あの少女の傷はまだ浅かったから治せたが、ここまでの重症者を治せるだろうか?

 みかかの医療技術は回復魔法とは異なる。

 ユグドラシルは膨大なデータが存在するゲームだったので単に回復職と言っても様々な回復職が存在し、それぞれにメリット・デメリットがある。

 みかかが有する医療技術の最大のデメリットは死者蘇生は使えないという点だろう。

 その代わり一定の死亡条件をクリアした状態なら短い間だがデメリットなく、その場で即座に復活させることが出来る心肺蘇生という能力を扱うことが出来る。

 条件が厳しいので心肺蘇生が使える場合など非常に稀なのだが。

 ぶっちゃけると医療は回復職の中でも戦闘にも使える能力が多いため、回復役専門としては心もとない上、色々面倒くさい縛りがある。

 他者を回復している間は基本的に怪我人と回復役が動けず、回復役がスキル発動中に一定以上のダメージを受けるとキャンセル扱いになるのが有名だろう。

 そういうわけでこの職業はあまり人気がなく、選ぶ人間は少ない。

 

(ここが患部ね) 

 

 ユグドラシルではカーソルで対象者を選べば、勝手に発動して回復させてくれる。

 しかし、ここは現実だ。

 なるべく傷に近い位置に手を触れてから、上位の損傷及びバッドステータス回復の特殊技術を用いる。

 

「うおっ!?」

 

 村長と周りの人間が驚愕の声をあげた。

 みかかも声に出さずに表情だけで驚愕した。

 みかかの両手が光り輝き、凄まじい速さで勝手に動き出したのだ。

 それは一言で言えば、超高速で行われる手術だ。

 わずか数秒――数秒の間に腹部を指された男性の腹は元の状態に戻っていた。

 青白かった顔も血色の良い健康体に見える。

 どうやら上手くいったようだ。

 

「す、素晴らしい」

 村長が信じられないものでも見るかのような顔で自分を見つめている。

「凄い」

「……神の手だ」

 怪我を負った村人の誰かが呟いた言葉に「うまいことを言う」と賛同する。

 ユグドラシルでは包帯を巻く、点滴をするなどの簡易なアクションを行うものだったが、ここではリアルな処置に変わったようだ。

 

「よし、次。安心なさい、生きてるなら治してあげる」

 

 ナザリックで人体実験をするわけにはいかないので医療技術の確認が出来なかった。

 だが、ここは良い実験場だ。

 治療代替わりに、せいぜい特殊技術を試させて貰う事にしよう。

 

 

「これで最後ね」

 治療を開始してから一時間ほど経っただろうか。

 最後に腕に軽症を負った少女の傷を治して、みかかは一仕事終えたと大きく息をつく。

 それと同時に見守っていた村人の歓声が響いた。

 存分に医療技術を試すことも出来た。

 村を捜索した結果、運良く心肺蘇生のスキルを適用可能な人物も見つかり、見事に蘇生させることも出来た。

 ユグドラシルではあまり使用できなかった心肺蘇生のスキルを確認出来たのは大きい。

 死者蘇生を試していない現状では、最も優れた蘇生スキルだからだ。

 

 多くの重症の人間を救ったみかかの好感度は一瞬で最高まで高まった。

 普通なら助からないだろう怪我をした自分の家族を救ってくれた村人などは、自分を神と崇めるほどの熱狂振りである。

 村外れに置いてきた姉妹――エモット姉妹の迎えは当然のことながら、惨殺した騎士の持ち物を集めてくれないかという普通なら断るだろう頼みさえ聞いてくれたほどだ。

 

「本当に――村を救って頂き、ありがとうございます!」

 一仕事終えた達成感から、大きく背伸びをするみかかの前に村長が立ち、大きく頭を下げた。

「ああ、まぁ……お気になさらず」

 こちらとしてはスキルの実験も兼ねていたので礼を言われるようなものでもない。

 そんなみかかの態度を高潔な無欲さと捕らえたのだろう――やり取りを見ていた一部の老人が涙を流しながら拝みだす始末だ。

「いいえ、いいえ! 貴方様が来て下さらなければ村の皆は殺されておりました、そして貴方様でなければ救えない多くの者が救われました! 本当に感謝しかございません!」

 他の村人――小さな子供達まで感謝の言葉を述べる光景に、みかかは気恥ずかしさを覚える。

 ここまで多くの感謝を受けたことなど自分にはなく、何と答えるのが適切なのか分からないのだ。

「その恩人である貴方様に今更で申し訳ないのですが……お名前は何とおっしゃられるのでしょう?」

「えっ? 私の名前、ですか?」

「はい! どうか村の救世主である貴方様のお名前をお聞かせください」

「………………」

 さて、どうするか。

 あの姉妹はエンリ・エモットとネム・エモットというらしい。

 だとすれば名前、苗字の順だろうか。

「……ミカ。ミカ・サエグサです」

 プレイヤー名ではなく本名を名乗る。

 偽名を名乗るかなどと色々考えたのだが……本名なら問題ないだろうと判断した。

 

「おおっ、サエグサ様は一体、何処から? 何故、このような場所に?」

「村長。今はそんな話しをしている場合ではありません。早急にお話ししたいことがあるのですがお時間を頂けませんか?」

「は、はい。それではこちらに――私の家にご案内させて頂きます」

「そうですね。では、お願いします」

 それなら衆人環視の中で無知を曝け出すという羽目は避けられそうだ。

 村人の尊敬の眼差しの中、みかかは村長に連れられて彼の家に向かうのだった。

 

 村長の家は広場のすぐ傍にあった。

 村の長らしく他の家よりは大きい。

 しかし、中はひじょうにみすぼらしい造りだった。

 見た目はまさしく中世の外国にある農村に相応しい家、といった感じだ。

 たてつけの悪いテーブルを挟んで二人は向かい合う。

 

「それでは早速ですが、お話を致しましょう」

「はい」

「何よりも優先されるのは貴方達の安全です。あの騎士達の話しでは村はあくまで囮、やって来た王国戦士長を殺害するために聖典と呼ばれる部隊が来るはずです」

「そうですな。しかし、どうしたらいいのでしょうか?」

 村長の顔にも焦りが色濃い。

「私が皆の傷を癒したのは有事の際に逃げられるよう、という判断だったのですが――村長としては如何でしょう?」

「サエグサ様――それは私達に村を捨てよ、と?」

「そうですね。しかし、それはあくまで一時的なものですよ? この場で迎え撃つなんて不可能でしょう?」

「は、はいっ。それはそうなのですが……城砦都市エ・ランテルまで皆で逃げるということでしょうか?」

「………………」

 じょうさいとし?

 うん、全然分からない。

「ごめんなさい。私はこの辺りの地理に詳しくないんです。地図とかありませんか?」

「ございます。少々お待ちを……」

 村長は立ち上がるとすぐ近くにある棚から羊皮紙を取り出してテーブルに広げた。

 周辺地図だろう。

 一部の地域が描かれており、紙の端まで大地が続いていた。

 世界地図はどのようになっているのだろうと考える中、村長が地図の一点を指差した。

 

「ここら辺がカルネ村でございます。そして、こちらが城砦都市エ・ランテル――大体、徒歩で二日ほどの距離になります。さらに馬で五日ほどいきますと、こちらの王都リ・エスティーゼにつきます。王国戦士長は王都からこちらまでいらっしゃる筈です。帝国はこちらにあり、法国はこちらですな」

「……ん?」

 みかかは首を傾げた。

 ここから王都までかなりの距離がある。

 

(訳が分からない――王国戦士長を暗殺するってのはブラフか?)

 

 あまりにも理屈が通らない。

 一体どういう事だろうか?

 魅了の魔眼を使うべきだっただろうか?

 吸血鬼だと発覚するのを警戒して使わなかったのだが、ミスだったかもしれない。

 

「サエグサ様、如何されましたか? 何か疑問でも?」

「随分と距離があるような気がしまして――いや、そうか。魔法があるのを忘れていました。村長、王都には街から街へ一瞬で移動する転移装置があったりします?」

 ユグドラシルではある程度の大都市間を行き来する転移装置が存在した。

 それを使えば、王都から城塞都市まで転移し、後は馬を走らせれば二日でここまで来ることも出来るはずだ。

 しかし、そんなみかかの考えは即座に否定された。

「は、はい? いえいえ、街から街へ一瞬で移動するなど……そのようなものは御伽噺の世界でございますよ」

 村長は「いきなり何を言い出すんだ」と言わんばかりの呆れた表情をしている。

「………御伽噺?」

 みかかもそんな村長の反応に眉を寄せた。

 まったく会話がかみ合わない二人を気まずい空気が包み込む。

 

「ごめんなさい――私がどうして、そんな事を思ったのかを説明させて下さい」

「はい、お願いします」

「法国の騎士達の目的は王国戦士長を暗殺するために周辺の村を襲い、戦士長を誘い込むことです」

「はい。そうでしたな」

「いや、この時点でおかしいですよね?」

「えっ? も、申し訳ありません……何がおかしいのか、さっぱり」

「村が襲われたと聞いたなら、真っ先に救援に来るのはエ・ランテルの騎士団では? 私の考えはおかしいですか?」

「あ、ああ!? 確かに!!」

 国の領土内で事件が起きれば、もっとも近くにある公的組織が出向くのが普通だろう。

 何故、わざわざ遠い王都からこんな村までやってくるのだろうか。

 

「村長。何か思い当たりませんか? 王都から戦士長が村を救いにやってくる理由について」

 みかかの疑問に村長は腕を組み、う~んと唸る。

「……分かりません。戦士長が来られるということは当然、村が襲われているという話を聞いたからなのでしょうが、近隣の村が襲われたなどという話は知りません。一体、どのようにして村が襲われていると知られたのでしょう?」

「《メッセージ/伝言》や《クリスタル・モニター/水晶の画面》、《クレアボヤンス/千里眼》などの魔法では?」

「申し訳ありません。そのような魔法が存在するのですね……なんせ、魔法など見かける機会が少ないものでして」

「……村長?」

 そしてみかかは先程の会話を思い出した。

 そうだ。

 村長はさっき、何て言った?

「は、はい。如何されました?」

「街と街をつなぐ転移装置なんてないというのは本当?」

「はい。御伽噺では数多の軍勢を一瞬で遠くの地まで運んだというのがございますが……」

 それは多分《転移門/ゲート》の魔法、もしくはそれに類する物だろう。

「ええっと……村長の見た魔法とはどのようなものなのですか?」

「はい。家畜の乳が良く出る魔法、美味しい闇鍋が作れる魔法、塩など香辛料を生み出す魔法なら見たことがございます」

「………………」

 なんだ、それは?

 そんな魔法、ユグドラシルにはない。

 いや、今聞きたいのはそういう生活観のある魔法のことではない。

「死者や悪魔、天使の軍勢を呼び出したりする魔法は?」

「御伽噺の八欲王や六大神のことですかな?」

 みかかは、わずかな興奮を抑えながら……さらに話しを突き詰める。

「死者を生き返らせる魔法とか、知ってます?」

「死者は生き返りません。あれほど見事な癒しの法をお使いになるサエグサ様の方が、その事をよくご存知なのでは?」

「………………」

 みかかは額に手をあてて瞳を閉じる。

 

(落ち着け――死者蘇生はまだ試してない。もしかしたら使用できなくなってるだけかもしれない)

 

 そんな幸運があるはずないと思ったのだけど。

 もしかしたら、自分達は絶対的強者で――何もかもが、全て上手くいくのではないか?

 そんな予感にわずかに手が震えた。

 

「サエグサ様? お水でもお持ちしましょうか?」

「いえ、大丈夫です。ごめんなさい。考え込んでしまいました」

 結論は分かったが……過程が全然分からない。

 どうして、王国戦士長がここに来るんだ?

 王国か法国か、どちらに味方するのか判断するにあたっての重要な要因だと言うのに。

「いえいえ。サエグサ様は旅のお方で関係などないというのに申し訳ありません。その、私としては王国戦士長様が何とかしてくださるのではないかと考えているのですが……」

「………………」

 その判断が正しいのか愚劣極まりない発言なのかが判断できない。

 村長にそんな思いを抱かせるほど王国戦士長は強いのかもしれない。

 なんせ周辺国家最強の戦士と呼ばれる男だ。

 ギルドメンバー最強の男、たっち・みーも反則めいた強さを持っていた。

 だが……。

「私個人としてはお勧め出来ませんね。法国は確たる勝算があるからこそ部隊を動かしたはずです。己の命運を他人の手に委ねているとどうなるか分かりませんよ?」

「………………」

 その言葉に村長は沈痛な表情を浮かべて沈黙した。

「こういうのはどうですか? 最低限の持ち物だけ持って、すぐ近くの森に入ってやり過ごすと言うのは?」

「トブの大森林にですか?! いえ、あそこは森の賢王と呼ばれる魔獣の住処――そんなところに行っては、私達は殺されてしまいます」

 とんでもないという顔をした村長にみかかは問いかけた。

「えっ? だったら、何故、そんな魔獣の住処の近くで暮らしてるのですか?」

「そ、それは……縄張りに入らない限りは安全なのです。そして森の賢王の縄張りだからこそモンスターも出現することがありませんでした。私達は、村を守るということを甘く考えすぎていたのです」

「………………」

 駄目だ。

 情報が足りなすぎて、まともな提案が出来そうにない。

「仕方ない――戦士長とやらが今、どの辺りにいるか調べるか」

 遠隔視の鏡は簡単にカウンターを受けるから使いたくないのだが……。

 

 その時、みかかの耳がこちらに向かってくる足音を捉えた。

 別段、足音を殺してるわけでも走ってるわけでもない――この家に用事でもあるのだろうか。

 程なくして、村長の家の扉がノックされ一人の男が入ってきた。

「村長――葬儀の準備が整いました」

「おお、そうか。その……サエグサ様」

「ああ、どうぞ。行って来てください――私も少し休憩したいと思ったところです。少し、その辺りを見て回りますから」

「ありがとうございます」

 村長と一緒に家を出て、彼を見送る。

 彼の背中が見えなくなったところで、みかかは特殊技術を用いて辺りの気配を探る。

 辺りに人の気配はない。

 

(この緊急事態に葬儀ね……愚かしいこと)

 こちらにも都合もいいので、かまわないが。

 

「なんにせよ……今しかない」

 スクロールを取り出して《伝言/メッセージ》の魔法を発動させる。

 勿論、繋ぐ先はモモンガだ。

 

「モモンガさん、聞こえますか?」

『みかかさん! 待ってましたよ!!』

 繋がった瞬間、モモンガの大声に耳がキーンと鳴った。

 大きい。

 声が大きい。

 だが、それだけ心配してくれていたという事なのだろう。

「ご、ごめんなさい。一応、村は救いました――ですが、帰還は出来ません」

 みかかは見えてないのに頭を下げながら言った。

『えっ? それは何故ですか?』

「どうやらここの村とナザリック地下大墳墓は王国と呼ばれる領地に属しているようです。そして現在、周辺国家である法国と帝国を交えた三カ国の権力闘争に首を突っ込む形になってます。この村は襲ったのは帝国騎士に偽装した法国の騎士でした。目的は周辺国家最強と呼ばれる王国戦士長の暗殺だとか」

『………………』

「この村を襲った騎士達は雑魚でした――第三位階魔法のスクロールでも一撃で倒せます。だけど、王国戦士長の実力はまだ不明です。これの実力が分かるまでは帰還できません」

『増援は必要ないんですか?』

「不要です。これは個人的見解ですが、王国の方が劣勢な気がします――最悪のパターンを仮定しますが、周辺国家最強の戦士が私達では太刀打ちできない存在でその人物が殺された場合、私は法国の邪魔をしたことによる報復を被る可能性が高くなります。ですから、その時は私を切り捨ててください」

『なっ?!』

 だから、増援は呼ばない。

 死ぬなら数は少ないほうがいいという単純計算だ。

 

『まさか……最初から、そのつもりだったんですか?』

「ええ、まあ。私かあなた――どちらかを切り捨てなければならないのであれば、それは私でしょう?」

『みかかさん!』

「………………」

 ここで止めないと、この人はきっとやって来る。

 そういう人だ。

 そういう人だからこそ、皆が彼をギルド長として選んだのだ。

 次に通信を行うのは全てが上手くいったときと決めている。

 

 つまり、最悪――これが最後の通信になる。

 だから、心残りがないように、思ったことは口にしておこう。

 

「モモンガさん、貴方の選んだ選択は一人の人間として決して間違ってなんかいません。それは誇っていいことです」

『………………』

 困っている人がいたら助けるのは当たり前。

 それは人として正しい。

 それを間違いだと言うほうが間違っている。

「だけど、ギルド長。あなたは間違ってる。貴方は一人の人間じゃない、ナザリック地下大墳墓の主人です。上に立つ者には相応の義務が生じます。私が言いたいことは分かってくれますよね?」

『………………』

 モモンガは救出に向かう時、みかかが浮かべた静かな微笑を思い出した。

 あれは大丈夫だと安心させるものではなく――これが今生の別れになるかもしれないと覚悟した微笑だったのか?

「あまり思いつめないで下さいな。私なりの借りの返し方ですから、これ。これが上手くいったら、急にいなくなったのも帳消しにしてくれないかな、帳消しだと思っていいかな、と勝手に自分で決めただけですから」

『そんなことは気にして――』

「――本当に?」

 みかかの声は――まるで冷たい金属のように、冷え切り、澄んだ音をしていた。

「捨てられたと、置いていかれたと、裏切られたと、あの円卓の間で思ってなかったんですか? もう一度聞きますよ? そんなこと気にしてないって、かつての仲間に誓えるんですね?」

『………………』

 モモンガは声が出せない。

 みかかは知っている。

 モモンガの慟哭を――あの時のどうしようもない心の叫びを。

 

「――ふざけるな!」

 

「ここは皆で作り上げたナザリック地下大墳墓だろ! なんで皆そんなに簡単に棄てることが出来る!」

 

 分かってる。

 捨てたのではないと、ただ皆、現実を選んだのだ。

 それでも――思わなかったのかと聞かれれば嘘になる。

 自分は、一人になった。

 もう、誰も訪れないと確信した。

 

『……みかかさん』

 

 だけど、来てくれたじゃないか。

 

「私の帰る場所を、帰りたかった場所を今まで守ってくれて、本当にありがとうございました」

 

 そう言ってくれたから、そう言ってくれただけで、自分は――っ!?

 

「だから、モモンガさん――私に最後までやらせてください。貴方の友達だと、私が何の憂いもなく胸を張って言えるように。そして、ギルド長――どうか、何があっても私を助けになど来ないで下さい。貴方の肩には、皆が残していったものがかかってるんです」

『……なら、あの言葉は――嘘、だったんですか?』

「………………」

 みかかはモモンガの消え入りそうな呟きの続きを待つ。

『私には、わずかな勝算と確かに逃げ切れる根拠がありますと――友人に、ギルド長に語った言葉は』

「いいえ」

『理解した……我が友、みかか・りにとか・はらすもちか。一人の友として君の言葉を信頼する』

「ありがとうございます」

『そして、ギルド長として命じる。どんな手を使ってでも生き残り、必ずここに帰ってこい。死ぬことは許可しない――何故なら、アインズ・ウール・ゴウンは結成以来敗北のないギルド。その名を汚すような真似は許されないと知れ』

「極めて了解。どうぞ、みかかにお任せあれ――では、これにて通信を終わります。傍受の恐れがあるため、監視もされないよう」

『ああ。必ず、必ず、また会おう!』

 そして、魔法の効果は消えて繋がった二人の糸も切れた。

 

「相変わらずギルド長はいい声してますねえ」

 俄然、やる気が出てきた。

 友人にしてギルド長が、自分を信頼してくれたのだ。

 一分の隙もなく完璧に務めは果たしてみせる。

 

 他の何を犠牲にしても、どんな手段を用いてでも――。

 




みかか「謀ったな!? 存在X!!」
モモンガ「それ違う物語ですから。これには出てこないですよ?」


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