どれくらいかと言うと、携帯落としたレベル。
お前らこんな小説でいいのか?
カルデアには、多くの施設がある。
俺が普段寝ているマイルーム。
レイシフトを行う中央管制室。
エミヤ含め、数人のサーヴァントと従業員の働く食堂。
いつもテンションの高いダ・ヴィンチちゃんがいる工房。
クー・フーリンがよく倒れている廊下……は施設とは言えないが、とても多くの施設がある。
その中の一つに、英霊を召喚するための部屋が存在する。
カルデアには、いくつかの発明がある。
その中の一つに、守護英霊システム・フェイトというものがある。
サーヴァントを召喚することの出来るものなのだが、正直詳しくは知らない。
唯一解っていることは、マシュの持つ盾と聖晶石という石を触媒にして召喚を行うことくらいだ。
そして現在、俺はその部屋にいる。
「先輩、聖晶石の貯蔵は十分ですか?」
うーん……石は少ないけど、呼符なら余ってたんだよね。
二枚しかないから大丈夫とは言えないけど、新しく円を結んだサーヴァントがいるから試してみたいんだ。
「わかりました。では準備しますね」
土方は来てくれるかな………。
正直な話、俺の運はそこまでよくない。
しかし、高望みであっても期待してしまうものなのだ。
「準備出来ました。いつでもいけます!」
じゃあ早速召喚しようか。
マシュの盾に光が灯る。
その光は一筋の輪となり、回転する。
やがて、光は三つの輪となる。
サーヴァントが出る時の光を前に、期待で胸が膨らむ。
光が一瞬強く輝き、一枚のカードが現れる。
ランサーのクラスを表すカードに愕然とする。
「よう!サーヴァントランサー、召喚に応じ参上した。ま、気楽にやろうや マスター」
「どうします?先輩」
…もうクー・フーリンは宝具LVもMAXになってるし、強化に使う必要もないし……とりあえず後ろで待機してもらおうかな。
「わかりました。さあ、クー・フーリンさんは此方へどうぞ」
「あ? お嬢ちゃん、コイツ今喋ってなかったよな? 何であたかも会話してるみたいに………」
「………」
さて、もう一つの呼符も使ってしまおう。
今みたいになるかもしれないが、その時はどうしようもないことだ。素直にふて寝することにしよう。
マシュ、もう一回……マシュ、クー・フーリンは?
「クー・フーリンさんなら、少し外が気になると言って出て行かれました」
外?誰かいたのかな?
まあ、気にしないでおこうかな。
「では、いきましょう」
マシュの盾に光が灯る。
その光は一筋の輪となり、回転する。
やがて、光は三つの輪と………
「「あっ…」」
熱を帯びた鉄板、大量に並べられた刃物、夥しい数の生肉達に、倒れ伏す人々の群れ。
動きを止めれば、死が待つと思える程の緊張感の中、一人の男の声が耳に届く。
「マスター、肉は焼けたか?」
そう、俺は今厨房で働いている。
こんなことになった理由は、先程の召喚でのことだ。
来てしまったのだ、黒い暴食王が。
来てしまったのだ、対食料兵器が。
来てしまったのだ、食料特攻を持つ王が。
「モッキュモッキュ。モッキュモッキュ」
そう、かのアーサー王―――アルトリア・ペンドラゴン(オルタ)―――である。
「すまなかったなマスター。手が空いていたとはいえ、手伝わせてしまって」
「大丈夫、俺の責任もあるし」
既にアーサー王がいるのに、彼女がもう一人増えれば厨房の大変さは計り知れない。
「あとは私だけでも十分だ。マスターはゆっくり休んでいたまえ」
そう言って、エミヤは野菜を切り始める。
正直ありがたい、慣れない仕事で緊張したので、ゆっくり座りたかったのだ。
「マスター…彼女は誰ですか?」
その声に、座ろうとした体が停止する。
それは、耳に入れたくもない程のドス黒い何かだった。
暗く、深く、とても静かな声。
声のした方を見れば、そこには一人の
「あの黒い人…セイバーに見えるのですが、いったい何処の誰ですか? セイバーですか? セイバーですよね? ならぶっ飛ばしてしまっても構いませんよね? あっ、でも間違えて殺してしまっても問題ありませんよね? 私以外のセイバーなんて必要ありませんから。では、マスターはここで待っていてください。直ぐに終わらせてきます」
「うん、君が待とうか」
二本の聖剣を取り出し、アルトリア(オルタ)へと向かおうをする彼女を止める。
当然言葉で止まるはずないので、後ろから抱き締めるように止める。
「な、なな!」
多少暴れたが、直ぐに抵抗をやめたので拘束を解く。
先程まで大暴走彼女の名は謎のヒロインX。
宇宙からやってきた
「マスター!何故離れるのですか!延長を所望します!」
そう言って顔を赤らめる姿からは想像出来ないが、全てのセイバーを倒すという使命があるらしい。
そのため、セイバーを見るととりあえず攻撃をする癖がある。
「で、あのセイバーは誰なんですか?」
「さっき召喚したんだよ。まさか来てくれるとは思わなかったけどね」
あの時は俺もマシュもかなり驚いた。
召喚されて直ぐに、お腹がすいたと言って飛び出して行ったから驚きは焦りに変わったけどね。
そういえば、あの時マシュが何か言っていた気がするけど、気のせいだったのかな?
「マスターには……」
「ん?」
「マスターには…もう、私という剣は……必要ないですか?」
そう呟く彼女の表情は、俯いていて見えない。
少しだけ震える肩から、彼女が泣いてるように感じる。
彼女の使命は知っていた。しかし、ここまで思い詰めているとは思っていなかった。
それに気付かなかった……いや、気付こうとしなかった自分に腹が立つ。
「俺には君が必要だ」
「嘘です! 私よりも強いセイバーはいるんです! 私よりも可愛いセイバーはいるんです!私よりも!…マスターは優しいから……優しい…から…」
「……ヒロインX。ごめん!」
そう断りを入れ、右手を翳す。
右手にある刺青のような形が一部だけ消える。
マスターが持つサーヴァントへの絶対命令権。名を令呪と言う。
「令呪を持って命ずる。ヒロインXよ、落ち着いて話を聞け!」
「マ、マスター…」
ヒロインXから動揺の色が薄くなる。
これで落ち着いて話をすることが出来る。
「ヒロインX…」
「な、何ですか?」
「俺は君を捨てたりしない」
「そんなの…嘘です」
「信じられるわけないかもしれない。でも、君は俺にとって大切な仲間だ」
「………」
「だから、自分なんか必要ないなんて言わないでくれ」
「マス…ター」
ヒロインXに近づき、抱き締める。
肩が濡れる感覚があるが、気にしてはいけないだろう。
「すう……すう…」
「寝ちゃったか…」
泣き疲れて眠るヒロインXを席へと座らせる。
このままにするわけにもいかないので、後でブーディカにでも頼んで部屋に運んでもらおう………って!
「お酒くさっ!!」
ヒロインXから強い酒の匂いが漂う。
さっきまでのは、酔っていたから情緒不安定になっていたようだ。
「結構恥ずかしい事を言った気がするけど、気にしたら負けかな。エミヤー!ちょっといい?」
色々あったけど、今日もカルデアは平和だね。
「マスター……もう離しませんよー…」
「まったく…今日もヒデェ一日だったぜ」
そう呟く言葉に覇気はない。
全身青タイツの男は、自身の持つ槍を支えに廊下を歩く。
「食堂二回、風呂場で一回、クエスト一回……いい加減限界だ…」
そう、何を隠そうこの男。今日だけで四回も死んでいるのだ。
時には不幸で、時には戦いの最中に、時には味方からの攻撃で、時には八つ当たりで。
「俺は…あと何回殺されるんだ?」
そう呟く男の背後から、巨大な何かが飛来する。
それは男の身の丈程の盾だった。
「ぐふぉ!」
短い叫びを上げ、男は壁に激突する。
男は壁にめり込み、重症を負う。
クリミアの天使がみれば、黙って首を横に振るだろう。
「クソ……五回…目か」
男は今日も今日とて死に続ける。
例えそれが、理不尽な死であろうとも……
(チクショウ。今日もカルデアは