とある変態事情   作:ゲロ兄

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こちらの不手際で一度間違えて作品を消去。
読んで下さっている方々へご迷惑をおかけした事深くお詫び申し上げます。
ようやく二話です。これからもお願いします


二話:「これはゴミですか?」「いいえ、変態です」

絢香が脱衣所で美琴と黒子に見つかる10分前。上条当麻は、上機嫌で自転車を漕いでいた。

今日は珍しく一度も不幸な目に遭遇していない。それどころか、偶々立ち寄ったスーパーで卵の特売が行われておりその最後の一個をGET。また、自販機でジュースを買ったら何と当たりを出してしまったりとツイていた。

「今日は何て日だろう。こんなに清々しい気分は初めてだ」

人がいなければそれこそ感涙していたに違いない。

だが、当麻は知らない。仮に悪魔がいたとして彼らは、幸せの絶頂まで押し上げて落とす事に…。仮に神様がいたとして彼らは、幸せの絶頂であればより厳しい苦難を与える事に…。

「おっと…」

自転車で曲り角を曲がる際、小石を弾いてしまった。すると、それは壁にぶつかり高く舞い上がって道路へと飛び出る。そして、走る車に巻き込まれ勢い良く上空へと飛んで行く。飛んで行った先には一羽の烏が飛んでいて小石に直撃。驚いた烏はそのまま落下。

落下した先に猫が寝ていてピンポイントで衝突。猫は悲鳴を上げて走り出し路地裏から飛び出すと丁度ゴミの収集をしていた清掃員にぶつかり、その反動で清掃員は手にしていた空き缶が大量に入った袋をぶちまけてしまう。ぶちまけられた大量の空き缶は、坂道という事が災いしコロコロと転がって行った。

勘の良い方ならもうお気付きになられているだろう。それがどの様な結果をもたらすのかを…。

では、答え合わせ行ってみよー。

 

鼻歌交じりに自転車を漕ぐ上条さん。

坂道を半分位登った所で何かの異音に気付く。

音のする方、目を凝らして良く見てみると、それは大量の空き缶が転がって来る音だと分かる。

「何だ空き缶か…。……っ空き缶!?」

思わず二度見する。空き缶は、まるで意思が宿っているかのように当麻目掛け転がって来た。だが、避けようにも道一面に拡がった空き缶を交わす事叶わず、思い掛けず乗り上げてしまいバランスを崩して倒れてしまう。

 

ガシャーンッ!

 

「アタタタタ…。クソ、やっぱり不幸だ…」

カラカラと乾いた音で回る自転車のタイヤを尻目に自らに降りかかった不幸を嘆く当麻。だが、不幸は終わっていない。

転倒した場所は道路である。そこへ一台の大型トラックが…。

ちなみに言うと、運転席からは死角になって当麻の姿は見えていない。

「え?嘘だろ?いやいやいや、マジでコレはヤバイって!ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!」

絶叫。そして、これ迄生きてきた中で最高記録の上体反らし敢行。

鼻先をトラックが掠めていく。ギリギリでトラックに轢かれるのを回避するとどっと疲れがのしかかり深い溜息をついた。

通り過ぎるトラックを見送ると半ば放心状態だったが、ある物に視線が止まり強制的に我に返る。但し、悪い意味合いで、だ。

「ああっ!?お、俺の…自転、車…が」

先程のトラックに轢かれたらしく、原型を留めていないひしゃげた形へとその姿を変貌させていた。

余談だが、当麻は奮発して少々高めの自転車を購入。今日は購入して三日後の出来事である。

「ふ、不幸だ…」

がっくしと膝を付き項垂れる当麻。

すると、そこへ…。

「君、すまなかったね」と項垂れる当麻に手を差し伸べる人物。

反射的に差し伸べられた先へ視線を向けるとギョッとした。

何故なら手を差し伸べた男は、顔のない仮面を付けていたからだ。『無貌』と称すれば良いのだろうか。のっぺりとして顔の凹凸だけが分かる白い仮面は明らかに異様だと感じる。

「あぁ、これかい?」

当麻の怪訝な顔で気付いたのか男は、自分の仮面を指差す。

「以前酷い怪我を負ってね。それで普段はこうなんだ」

「は、はぁ…」

「それより怪我はないかい?あの車はウチの関係でね」

「あ、大丈夫ッす。こう言うのは慣れてますから」

「念の為、病院に行った方が良い。…そうだ」と男は懐から一枚の紙切れを出す。名刺の様だ。その裏にペンを走らせ当麻に差し出す。

「この住所の病院に行くと良い。この名刺を見せればタダで診察してくれる。あぁ、それと自転車も弁償させて貰えないか?」

「そんな!?だ、大丈夫ですよ!」

男の申し出に当麻は驚き、つい断ってしまう。

「いやいや、これも何かの縁だ。気にしないで欲しい」

すると、男の後ろに一台の車が停まる。「おっと、時間か。今日は私も多忙でね。これで失礼させて貰うが、何かあればその名刺の連絡先に電話してくれ。自転車は後日送らせて貰うよ。それでは」

男は、それだけ言うと鉄屑と化した自転車を軽々と持ち上げて待たせている車に乗り込みその場から去って行った。

後に残された当麻は唖然としつつ、無貌の仮面を付けた男を見送る。

視線を手元に向けて渡された名刺に目をやると総合警備会社代表取締役 浪松要(なみまつかなめ)と書かれていた。

 

 

時間は戻り現在。

常盤台女子寮に忍び込んだ凄腕(笑)の下着ドロ高峰 絢香は、脱衣所にて拘束具を施され且つ逆さ吊にされていた。

「勘弁して下さい!出来心なんすよぉ!」

心にもないことを平然と言ってみせる。だからと言ってそこにシビレもしないし憧れもしない。

「あ、これ、私の!」

「これは私の!」

「私のもある!」

女生徒達が口々にしながら自分の下着を回収していく。皆殺意を抱いた視線を絢香に送る。殺意で人が殺せるなら100回は確実に死んでいる事だろう。

完全な現行犯&物的証拠に証言。ブタ箱行き直行コースは免れない。

「出来心の割には大量にやったんですのね?」

ゴミを見る様な冷やかな目付きで絢香に尋ねたのはツインテールの少女。黒子だ。

「いや、まぁ、その…」

冷や汗垂らし口ごもる絢香。黒子は続けて絢香から押収した一枚の用紙を突き付ける。

「出来心の割には随分と時間を掛けて念入りに下調べしたみたいですわね?」

それは、絢香が丹念に調べ上げた常盤台女子寮のデータだった。人の少ない時間や逃走経路などが事細かに記載されている。

「どうやら、同情の余地はなさそうですわね?アンチスキルに引き渡しましょう」

「そんな!?ワン・モア・チャンス!ギブミーチャンス!」

「だまらっしゃい、この変質者!本来ならお姉様の下着に手を出した時点で命はない物ですのよ!それを温情掛けてアンチスキルに引き渡すだけに留めてあげたんですから感謝される謂れはあれど、あぁだこうだと言われる筋合いは有りません事よ!」

仰る通り、とグゥの音も出ない程に言い負かされる。

「だが、一つだけ訂正させて欲しい!」と絢香は力強く懇願する。

「何ですの?」

「俺はアンタのお姉様とやらからは取った覚えはない!」

キッパリと言い放つ。

「嘘おっしゃい!見苦しいですわよ!カエルのプリントがされてあったのがあったでしょう?それが何よりの証!」

「確かに手には取ったが、誰があんな色気のない子ども物を取るか!」

「まぁ!?色気のない子ども物でも変質者の貴方は欲情するんじゃなくて!?」

「俺は確かに変態だが、分を弁えた変態だ!あんな色気のない子ども物にハァハァするか!」

瞬間、空気がザワッとしたのを絢香と黒子は肌で感じる。

パキッ…パキパキッ…

空気中から乾いた音が連続した。

「アンタ達ねぇ〜…」

二人の後方、制服に着替えた美琴(御大将)が怒りを内包した声を静かに上げる。

パチッ…。

美琴の周りで火花が走る。それとも爆ぜると表したら良いだろうか。彼女の感情が昂ぶる程にその頻度は多くなってきた。

「あの?…お姉様?」

「ん?ど、どうした?」

明らかに怒りの表情の美琴。十中八九現在起きている異変の元凶である彼女を仰ぎ見て狼狽する二人。

「さっきから色気が無いだの、子どもだの………大きなお世話じゃあ!ゴラァ!」

「ちょ、おま…!?…ぎゃ〜す!?」

「あぁ〜ん、お姉様ァ〜!?」

轟音轟き眩い閃光が辺りを包む。それは高出力の電撃。否、天を焦がす雷と呼べるべきものだった。

学園都市に七人しかいないレベル5。その内の一人、『超電磁砲』(レールガン)の異名を持つのが彼女。御坂 美琴である。

彼女が放った電撃は絢香と黒子を焼き尽くし黒焦げの屍を築き上げた。

 

ちなみに感電して床に伏せる黒子は何故か下卑た笑みを浮かべて嬉しそうにしている。それを宙吊りの状態で見ていた絢香はハッ、と気が付く。

コイツ同類(変態)だ、と…。

恐らく黒子が美琴に向けている親愛の情は、『LIKE』ではなく『LOVE』。つまり『百合』的な…。

絢香は思った。こんな出会いさえなければ友になれただろうに…。

結論。(変態)(変態)を呼ぶ。

 

「ったく、今日は寮監もいないんだから…。黒子?いつ迄も寝てないでさっさととソイツ引き渡しちゃいましょ」と憂さも晴らせてスッキリした美琴は自分が原因であるのにも関わらずしれっと黒子に催促する。地面に倒れていた筈の黒子は一瞬姿を消すとこの部屋の入り口に移動していた。「お任せあれお姉様」

そして美琴の言付けを守るべく部屋を後にする。黒子が通報してスキルアウトが到着するまで十分はかからないだろう。

「驚いた。今の空間移動(テレポート)だろ?アンタもそうだが高度な能力を平然と使いこなせるとはかなりの能力者のようだ」

…コイツ。

 

美琴は絢香を睨めつける。

先程二人に放った電撃は、実は二種類。

黒子に放ったものは軽い電圧。ちょっと痺れてしまう程度の物だった。

しかし、絢香に放ったものは大の男が三日は動けなくなる代物。筋肉は弛緩して下手をすれば失禁までしてしまう威力と後遺症を秘めていたのだが、当の本人はケロっとしてハハハと笑っている。

何者なの?唯の下着ドロが私の電撃を浴びて平気な筈が…。能力者?それにしては行使する素振りはない。それに通報されたと言うのにこの落ち着き様。唯のバカなのか、大物なのか…。

 

「ところでさ…」

ふと突然、思案する美琴に絢香は神妙な面持ちで話し掛ける。周りには聞こえない様小声で。

「何よ変態?」

「この女子寮って誰かに恨まれてたりするの?」

「はぁ?何を言って…」

口を開いたかと思えば脈絡もなく何を言い出すのやら。美琴は唖然として開いた口が塞がらなかった。

「今から約三分前かな。あのツインテールのお嬢ちゃんがここを出た辺りからこの寮を中心におよそ1㎞程隔離されているんよ。人払いもされてるみたいだ、うん。端的に言うと囲まれてる」

「そんなバカな。何でそんな事が分かるのよ?それにそんな事できるわけないでしょ?……はっは〜ん、そうやって嘘ついて逃げようって魂胆でしょ?残念ながらそうはいかないわよ」

「なら試しにどっかに電話掛けてみ。繋がらない筈だからさ」

「………」

物は試しと携帯を取り出して掛けてみる。絢香の言う通り何故か電話は繋がらない。

「な?」

「……」

確かにこうなると信憑性を帯びてくる。だが、しかしどうして?

風紀委員という役職をやっていると恨み辛みを買う事は多々ある。だが、だからと言って御礼参り的な物にしてもここまで大規模に行う物なのか?

「とりあえず、事情は後回しにして他の女の子達を避難させた方が良い」

絢香が提案すると同時に美琴の背後に黒子が空間移動(テレポート)で現れる。

「お姉様…お耳を…」

黒子もまた神妙な面持ちで美琴に耳打ちをする。

内容は、絢香の言った事と同じ。

「それは本当なの黒子?」

「間違いなく。それと…」

黒子は、そう一拍おいて話を続けた。

電話は通じず、おかしいと思った黒子は周辺を偵察した所、謎のトラックの一団が寮に向かっている事を知る。しかも、寮から1㎞以上先へは空間移動(テレポート)が出来ない事を告げた。おそらく、能力を意図的に封じているに違いない。

「分かったわ。皆、聞いて…。コイツは私達で引渡すから皆は自室に戻って」

美琴はあくまでも平静に振る舞い、事実は伏せ、他の生徒達に自室へ戻る様促す。生徒達は快諾し美琴の指示に従い各々の部屋へと向かう。

脱衣所に残されたのは絢香、美琴、黒子の三人。

「……良いのか?避難させないで」

「まだ相手が敵なのか分からない以上むやみに不安を煽るのはかえって美琴を危険に晒す事になる…」

「成る程ね。だが、言わせてもらうと相手が何者かは分からんが、確実に『敵意』を持ってる。人払いもして能力にジャミング掛けて話をしに来た、と言う訳にはならんでしょ?」

「そうね。でも、こちらで迎え撃てば問題はないでしょう?」

美琴はニッと笑みを浮かべて言う。

「………とてもお嬢様学校の生徒とは思えない台詞だ」と絢香は嘆息する。

「ところで、どうして敵が来てるって分かったの?アンタも能力者?千里眼とかの?」

「ん?違う。まぁ、でも半分正解かな。俺はアンタらの言う所の無能力者って奴だよ。秘密は……俺の右眼さ。右眼は義眼でね。ただ、コイツにはスパコン並のスペックが搭載されていて大抵の場所ならハッキングを掛けられる」

「成る程ね」と美琴はようやく腑に落ちたと納得する。

「正直言えば、これで逃げ道を探していたんだが、思いがけない物を見つけてしまったって訳ですよ」

「事情は理解したわ。でも、アンタの秘密もペラペラ喋ってもいい訳?タネが分かればそれを封じる手筈もあるのよ?」

その問いかけに絢香は何の躊躇いもなく答える。

「隠し事は嫌いな性格だ!」

「そ、そう…」

言い切った。バカなのか、と理解する。だが、ただのバカとも違う。真っ直ぐなのだ。直情的で自分の信念を貫き通す大バカ。本能に直結してると言っても良い。

少しだけアイツに似てる気がする…。

 

後先考えずに我身の事など省みないそんなバカをもう一人美琴は知っている。

 

…まぁ、そこが良いんだけどさ。………って、何でアイツの事が思い浮かぶのよ!?

 

思考を過った人物を掻き消す様に頭をブンブンと左右に振る。

「…どうした?」

その奇怪な行動に訝しみながら絢香は尋ねた。

「別に何でもないわよ!」

「あ、もしかして俺に惚れた?」

刹那、美琴の蹴りが吊るされて無防備な絢香の顔面を捉える。

「おグッ!?」

「ふざけた事言ってると蹴るわよ」

「もう、蹴ってまふ。ってか、冗談じゃないっすか」

「冗談は嫌いなの。それはそうと…」

そう言って美琴は、絢香を捕らえている拘束具を外す。

「お姉様!?」

「……え?何で?」

その行動に黒子は驚いた。だが、一番驚いたのは絢香だ。

「襲撃を察知して教えてくれたでしょ?もしもそれがなかったらって考えると…。だから今回はこれで下着ドロの件は不問にしてあげる。但し、次はないわよ」

「…」

「じゃ、ほら早く逃げなさいな。こっちはこれから一戦交えなくちゃいけないんだから。黒子、行くわよ」

美琴は、黒子に掴まり空間移動(テレポート)でその場から消える。

「……あぁ〜あ、俺は下着ドロなんですよ。そんなのを野放しにしたらどうなるか火を見るよりも明らかだろうに。お嬢様ってのは皆あぁなのかね?人が良すぎるっての…」

一人残された絢香はばつが悪そうに頭を掻く。

「全く…どうやら俺もここの牙城を崩す事は出来ない様だ」

一人嘆息しつつ呟き、義眼に意識を集中させる。

ありとあらゆる機械にそれこそ宇宙にある衛星にまでハッキングを掛けていく絢香。

「こう見えて受けた恩は倍にして返す口でね。さて、俺も一戦交えさせて貰おうか?」




次回よりバトルが始まります。
……始まりまると良いな。・゜・(ノД`)・゜・。
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