少し急ぎ足での投稿なので結構な大穴が出来てしまっている駄文ですが、これに懲りずお付き合いして頂ければ幸いです。
トラックの台数は三台。ひたすらにそれは走る。目的地は、常盤台女子寮。
不意に先頭のトラックが停車する。それに連なり二台目、三台目と動きを止めた。
原因は簡単。トラックの真ん前に少女二人が急に文字通り現れたのだから。
「アンタ達は何者?名乗りなさい」
「ジャッジメントですの!無駄な抵抗はお良しになる事ですわね」
現れたのは、常盤台のエースこと
彼女達の姿を確認すると、先頭トラックの助手席から一人の男が降りて二人に近づく。
歳は若く、24〜26位だろうか。顔付きからおそらく外人であろう。銀髪の髪をオールバックにしてサングラスを掛けている。明らかに上等なライトグリーンのスーツに身を包んでいることからそれなりの身分である事が伺えた。だが、品性や高潔さなど見繕っているだけでドロッとした粘着質な泥土という本性を塗り固めている。若しくは、堰き止めているだけに過ぎないと感じた。
印象は蛇。蛇だ。
相手を追い詰め、痛ぶり、捕食する陰湿な蛇。
「初めまして。私、イーヴィン・クライヴェルと申します」
イーヴィンと名乗った男はサングラスを外し開いているのか、閉じているのか分からない糸目を晒した。
仰々しい挨拶をしてくるので、美琴は今迄の印象に紳士気取りの勘違い野郎というのを追加する。
「イーヴィンさんとやら、この先にある女子寮に何か用?まさかトラック引き連れて下着ドロって訳じゃないわよね?」
「ハハハ、笑える冗談だ。目的は下着何かじゃ勿論ありません。御坂美琴さん」
「!?」
コイツ、私の名前を?
「学園都市に7人といないレベル5の1人。学園第3位の御坂美琴さん…で宜しかったですよね?」
「私を知ってるようね?」
「えぇ、それなりに。有名人ですから」とイーヴィンはニコッと笑みを浮かべる。
「申し上げますと、『寮』が目的ではないのです。まぁ、結果的に『寮』が目的になってしまう訳ですが…」
「?…アンタ、何を言ってるの?」
「それは…『土地』って事ですの?」
二人の会話に黒子が割って入ってきた。
「ほぅ…。白井黒子さん、察しが良いですね」
「褒められても嬉しくなくてよ」
黒子はうんざりした顔付きで肩を竦める。イーヴィンは黒子の事も把握している様だ。
「そう。あの寮の下には珍しい鉱物が眠っていてね。我々はそれが必要なんだ。まぁ、想像がつくと思いますが表を堂々と歩ける仕事に就いてはいないのでね。人払いをして強襲を掛ける手筈だったんですが、バレていたみたいで。お恥ずかしい。正攻法だと色々と難しいので…」
すると、言い終わらない内にイーヴィンはパチンッと指を鳴らす。その合図と共にトラックのコンテナが開き、中から銃を持った特殊部隊が押し寄せて美琴と黒子を囲んだ。
「ちなみに人払いには少々特殊な技術を用いていまして、ここで何をしようと余計な邪魔は入りません。言わば隔離された空間ですので、諦めて投降した方が身の為ですよ」
イーヴィンは既に勝った気でいる。
彼は頭が良い。ここに居る誰よりも。
だからこそ、早く気付くべきだった…。
数で勝っている?装備で優っている?
いやいや、
「成る程、それでひと気がいない訳だわ。って事は…派手に行っても構わないわね」
美琴は、薄っすらと笑みを浮かべると一枚のコインを取り出す。そう、たった一枚のコイン。戦局を覆す唯一無二の切り札。
それをー『弾いた』。
瞬間、音速の三倍以上の速さで射出されたそれは彼女の異名の由来でもある
即座に舞い上がる爆炎、爆風。
「アンタこそ、投降した方が身の為よ。訳の分からない連中に寮を如何にかされてたまるもんですか!」
その振舞いは雄々しく勇壮。強力にして絶対。一騎当千の
「成る程、交渉は決裂ですね。…では、参りましょう」
少しの動揺。だが、イーヴィンは直ぐに別のプランを組み立てる。これぐらいの誤差なら問題ない。
イーヴィンが手を上げると周りを囲んでいる特殊部隊は引き金に力を込める。が…。
発砲と同時に次々と銃が暴発、そして倒れこむ隊員達。
「がぁぁぁぁ…!」
「あ、足がぁ!」
「ひぃぃぃぃぃ!?」
銃口には鉄矢が刺さり、また、隊員の足や手の甲、関節にも鉄矢が刺さっていた。
「お姉様、
太腿に忍ばせていた鉄矢をいつの間にか手にし黒子は叫んだ。
返事は必要ない。合図も必要ない。お互いを信じられる相棒がここにいる。背中を預けられる友がいる。
それだけで美琴は全力で闘える。
「これで…」
「な?」
驚愕した。優位なのは自分達の筈。それが何故、逆転されている?
「チェックメイトよ!」
渾身の電撃を帯びた拳。それがイーヴィンを貫く。
鈍い音と共にイーヴィンの身体が宙を舞い、二転三転して地面に叩き付けられる。
完全決着。美琴の表情に余裕が生まれ、柔らかい笑みが浮かぶ。
「お姉様…」
黒子もそれを確認してふぅ、と一息つく。黒子の後ろには屍累々と積み上げれた隊員達。黒子もまた勝利を収めていた。
「お姉様〜〜!!」
勝利の喜びか、それとも緊張が緩んだ反動か、能力を使って美琴の背後に現れるなり美琴に抱きつく。その際、胸部と臀部を鷲掴みする形で。
「って、やめなさい!」
「あぁ〜ん、お姉様ァ〜!」
だが、直ぐに電撃の反撃を食らう。まぁ、お約束である。
すると…。
「…ッ!?」
「お姉様!?どうかなさいましたの!?」
美琴の視界が揺らいだ。そして脱力、疲労感が襲う。
この症状。美琴は覚えがある。
電池切れ?でも、まさか…。
美琴の能力には弱点が存在する。継続して使用すると、ほぼ全面的に能力が使えなくなる。そして、立っている事もままならなくなる。それが「電池切れ」。
しかし、今回の戦闘では言う程能力を使用していない。それまでにも能力は使っていたが、配分を間違える程間抜けではないし、残量がわからない程愚かではない。
では、何故?
もしかして…?でも、まさか…?
一つの仮定が過る。しかし、それは美琴にとって最悪の結論。
霞む視線の先、イーヴィンが倒れている場所を睨む。
「やれやれ…。もっと穏便に済ませられると思いましたが…そうもいかないみたいですね。…いやぁ、殴られるのは久しぶりです。まだ目の前がチカチカしますよ」
ゆっくりとイーヴィンは汚れたスーツを払いながら立ち上がる。
「アンタ…!?」
美琴は悔しさに歯軋りする。出来れば外れて欲しかった憶測は見事に的中してしまう。
「実は私にも能力が有りましてね。私の能力、
イーヴィンは美琴が攻撃をした際に能力を発動させたのだった。物理的な拳は防ぐ事は出来なかったが、帯びていた電撃と内在する電力を根刮ぎ奪っていったのだ。その所為で美琴は電池切れを引き起こす。
「どう、やって…能力を…得たの?」
糸の切れかかった身体を奮わせ美琴は問い質す。
普通、能力は
だが、それだと理屈が合わない。
「何、簡単な事ですよ。貴女達の言う
「そんな!?」
「えぇ、驚くのは無理もありませんが、事実です。さて、種明かしも済みましたしここまで我々を追い詰めたのですから賞賛の一つとして、特別に我々の正体を教えてあげましょう。見事な一撃も頂きましたしね。
「お姉様、ここは一旦離脱しますわ!」
瞬間、嫌な気配が辺りを包む。形成不利。黒子はそれを感じ取り慌てて美琴と共にこの場から離脱を試みる。が、能力が発動しない。
「
「あぁ、もう貴女方は能力を使えません。コレ、何だか分かりますか?」
そう言って掌サイズの小さな小箱をこれ見よがしにチラつかせる。
「コレは我々が開発したAIMジャマー。要は能力を使えなくする機械です。ただ、従来の物と違い効き目が遅いんですよ」
その説明で美琴と黒子は理解した。おそらく、このAIMジャマーが1km四方に設置されている所為で黒子の
「あ、念の為言っておきますが、私の能力は封じられていません。さて、続けますか?それとも投降しますか?」
追い詰められる二人。しかし、それを享受する訳にはいかない。
まだ抗う。首一つになっても喰らい付く。不屈の心をへし折らない限りは…。
少し短めです。次回はもう少し長く!
綺麗な文章、構成力がほっすぃ〜です