とある変態事情   作:ゲロ兄

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いつも読んで頂き感謝の極みです。
今回、完全に原作勢が蚊帳の外回です。
Q.原作の名を借りた詐欺じゃね?
Q.どうしてこうなった!?
Q.詐欺も辞さない!
A.本当ごめんなさい!

文章構成能力はよっ!


四話 :よんでますよ、変態さん

高峰絢香の右目はハイテクの義眼である。本人がその気になれば家庭用電子機器から某国の衛星まで自由に操る事が出来るスペックを有しているのだ。それこそ、個人情報は丸裸に出来るし金融機関へハッキングして金額の改竄もお手の物。

そして、今回絢香は珍しく本気を見せていた。

絢香が盗み、そして闘いにおいて常に重要視しているのは、それに至る迄の準備だと考えている。それは自分の実力を補う為に鍛える事だったりもするが、一番必要な物は情報だ。相手の背景、戦力、クセ…etc。数を挙げればキリがないが、それらを全て分析してこそ勝利へと繋がると信じている。相手の実力も知らないで挑むのは唯の無謀、無策者。もしくは、自殺願望者だ。相手を把握してこそ活路は見出せるし対抗策を講じられれば抑止力となり無益な争いは避けられるかもしれない。

ある人は、卑怯者、臆病者と言うかもしれないが絢香はそれはそれで構わないと言う。絢香は、勝つ為の闘いをするのではなく負けない為の闘いをするのだから。

美琴、黒子が戦闘に入る五分前に遡る。

絢香は常盤台女子寮前でありとあらゆるデータベースにアクセスし、常盤台女子寮を襲撃した人物を調べていく。

しかし、中々該当するデータが見つからない。いつもなら直ぐに調べられるのだが、今日に限っては進みが悪い。腑に落ちないが仕方ないと言い聞かせ、その片手間で常に衛星をハッキングして衛星軌道上から美琴と黒子の動向をチェックしている。二人の実力は自分を悠に超えているだろう。遅れを取る心配はないが万が一という事もある。戦いは相性によって大分違う。事、能力者同士であればそれは如実に表れる。

転ばぬ先の杖。老婆心ながら二人に何かあれば絢香はいつでも向かうつもりでいた。では何故、ここを動かないのか?

「おっと…やっぱり来たか?」

風が吹いて青々とした葉が舞ったと思ったらほんの十m先に黒服の一団がゾロゾロと姿を現した。美琴、黒子と交戦した特殊部隊の様相ではない所を見ると別働隊か。

「伏兵は基本ってね。ガードが甘い所を狙うのも定石。嬢ちゃん達は性格上、背中が甘そうだからこの変態紳士が一肌脱いであげないと、ね!」

絢香の殺気に反応した黒服の一団は、問答無用で襲いかかって来た。絢香は一気に臨戦態勢を取り、一歩大きく踏み込む。

「葬兵武曲ッ!鶴翼ゥッ!」

両袖の下から鎖分銅が放たれ、それが湾曲しながら包み込む様にして敵を次々と薙ぎ払っていく。

だが、数名はそれをするりと交わし、ある者は上空へと跳び回避する。

 

あの身のこなし…。もしかしなくても同類(忍者)か?めんどくせぇ!

 

「葬兵武曲!雷蜂(らいほう)!」

踵を地面に軽く鳴らすと爪先から数本の刃が飛び出てくる。それを蹴り上げ、上空八方へ放つ。

「続けて、五月雨飛礫(さみだれつぶて)!」

懐から鉄製の球体を投げつける。

雷蜂。刃には痺れ薬が塗られており、それに傷付けられでもしたら忽ち動けなくなる。上空に逃げた奴らはそれで一網打尽にされ地面に叩き付けられた。

五月雨飛礫。見た目、唯の鉄球だがそれに亀裂が入り破裂する。鉄球の中に爆薬が仕込まれていて爆ぜると鉄球が砕け小さな鉄の破片が散弾となり地上の敵を撃ち抜いていく。

 

これでも三割しか削れねぇのかよ?俺が鈍ったのか、奴らの練度が高いのか…。

 

技を使い敵を倒すが完全には倒し切れておらず、再び起き上がる者、攻撃を防ぎ切った者と中々に手練が揃っているようだ。

一連の流れで半分は削るつもりだったが、認識が甘かった。

 

少し本気でやるか…。

 

目付きが変わり黒服達も絢香が危険だと判断したのかそれぞれ抜き身の刃や手裏剣、苦無を取り出す。

ナイフや苦無を持った者達が前衛として絢香に襲い掛かり、手裏剣などの飛び道具を持つ者が後衛として絢香を狙い撃つ。

「っフ!」

一番手がナイフを突き出して来た所を絢香は半身で交わしつつ相手の手首を掴み、引っ張り無防備になった脇腹へ肘を叩き込む。悶絶した間に首を押さえつけ飛んで来る手裏剣の盾にする。

攻撃を凌ぐと今度は、続いて襲い来る者へ盾にした黒服を投げつけ、相手の死角から飛び出すと鼻と唇の間、人体の弱点の一つ人中へと拳を振り抜く。

「せいっ!」

背後から来る者へは、上段回し蹴りを放ち難無く迎撃。

「ハァ!!」

「やぁ!!」

左右から女性の黒服達二人。それぞれ鉤爪や刀を装備しているが、絢香はダッキングで交わし目にも留まらぬ早さで交差する様に攻撃はせず離脱する。

「………ッハ!?」

「………え?」

しかし、女性の黒服は赤面してその場にヘナヘナとへたり込んでしまう。

「ふっふっふっ、じゃ〜ん!峰打ちじゃ」と絢香は誇らしげに一枚の紅いショーツと一枚の寄せて上げるタイプのブラを見せつける。全然、峰打ち違うけど……。

「こ、この痴れ者!」

「そ、それをか、返せ!変態!」

「やなこった!これは戦利品じゃい!それに変態は俺にとって褒め言葉だ!」

そう。あの一瞬で下着を剥ぎ取り盗んだのだ。…何だろう、活躍してるのに物凄いやられて欲しい。

「アイツ、変態のクセに強いぞ!」

「変態なのに強い!」

「男が俺に変態って言うんじゃねぇ!」

「グハッ!?」

「オブッ!?」

剥ぎ取った下着を懐に忍ばせつつ、変態と口にした黒服の一人へは顔面への膝。もう一人には頭突きで理不尽な制裁を与える。ある意味やりたい放題だ。

遥か先にて物影から絢香を狙撃して来る奴もいたが、まるで狙っている事が分かっているかの様にバックステップで回避して直ぐさま鉄針を投擲。見事撃破。

前後左右、上下、どこから掛かって行っても返り討ちにされ黒服達に焦り、そして動揺が走る。

強いて言えば、本気を出した絢香に不意討ちは無意味だ。

義眼を駆使し、衛星から周辺の監視カメラ、携帯のカメラに至るまでハッキングして多方面の映像をリアルタイムで確認している。言うなれば、盤上を覗き見ているに等しいのだから。

「隠れても無駄だから、さぁ!」

建物内から銃で狙撃を試みても義眼に内蔵されている暗視や熱感知機能で場所を暴かれて逆に取り出した手投げナイフで狙撃されてしまう。

如何に手練と言えど、正攻法も非正攻法も効かないのでは結果は目に見えている。

その内、敵わないと見てか黒服達の攻撃が止む。

「おっ?諦めた?ならさっさと…」

パンッ!

その時だった。乾いた銃声が鳴り響き絢香の頬を掠った。

 

狙撃?いや、カメラに何も映っていない。どこから?

 

パンッ!パンッ!

 

立て続けに発砲音。慌てて後方へ飛び退く。

地面に穴が二つ。避けなければ銃弾の餌食となっていた。

 

まさかカメラの死角から?衛星軌道上から数えて一体何台あると思ってんだ?そんな神業出来……。

 

パンッ!

 

「危なッ!」

咄嗟に避けて物影へと身を隠す。

 

クソッ!どんな凄腕の奴だよ!?

 

「今は炙り出すのが先決だな。射撃ポイント及び銃弾着弾ポイント算出…。危険度をAへ移行。索敵範囲拡大…」

右目に意識を集中させる。

 

パンッ!…キンッ!

今度は放たれた弾丸が街灯に当たり、跳弾を起こして物影へと身を隠した絢香を狙撃する。

「当たらんっ!」

右目の力を使い銃弾の軌道と着弾を予測。ひらりと交わし見えない狙撃手が潜伏しているであろう場所へ五月雨飛礫をお見舞いする。

飛礫が放たれた先から予想通り身を隠していた敵が堪らず飛び出して来たのでそれに狙い定めて拳を振るう。

すると、敵も迎え討つ形で手にしている拳銃を構える。

敵の銃口が絢香の額に、絢香の拳が敵の額に寸止めする形で双方の動きは止まった。

「……つうか、お前かよ。カナメ」

心底うんざりした顔で絢香は呟く。

「久しいな。アヤカ」

反対に相手は嬉しそうな口調で呟く。『嬉しそうな』というのは相手がのっぺりとした仮面を付けている所為で表情が分からないからだ。

そう敵の正体は、絢香は知らないが当麻を手助けした仮面の男だった。

二人は知り合いなのかそのままの態勢で話を続ける。

「この一件、まさかお前が全部糸引いてるって言うんじゃねぇだろうな?」

「糸は引いてない。ただ、関連はしてるがね」

「相変わらず含みのある言い方しやがって…。どう言う事か話せバカ」

「依頼を請けていてね。内容はとある一団の護衛…」

「此方としてはお前が居るとは計算外だった」と要は一言つけ加えた。

浪松要は裏稼業を営んでいる事を絢香は知っている。実力も折り紙付きで裏工作もお手の物。おそらく、依頼主(主謀者)の人物特定を防ぐ為にデータベースへも介入している。その為、絢香が人物特定する事が出来なかったと言う訳だ。

違法な物品の運送から要人の護衛など明るみに出るのも憚れる内容を主に扱い今回も例に漏れずなのだが、一つ納得出来ない事がある。それは、要が一般人を巻き込む形を取っている事。

一般人からは盗まず・犯さず・殺さず、と要は関係のない人が巻き込まれる事を異様に嫌うからだ。

「……あぁ、そう言う事かよ、ちくしょう!まんまとしてやられちまった!」と構えていた拳を下ろして頭を抱えて悔しそうにしゃがみ込んでしまう。全部理解出来た。全部理解出来た上で利用された事に腹が立つ。

要も銃を仕舞って続きを口にする。

「今回の事は、此方としても遺憾としていてな。依頼主は、この寮の下にある鉱物を狙っているのだが、物品を奪取したら寮生達を皆殺しにするつもりだ。依頼を請けた以上は違えるつもりはない。だが、だからと言って子どもを犠牲にするわけにはいかない。当初は部下を派遣させ寮生達を逃し、鉱物を先に手に入れる手筈だったんだが…」

「俺がいる事を知ったお前は、ワザと交戦して護衛が出来ない大義名分を作る。その間に依頼主がやられてしまえば…」

「そう。依頼を違えず依頼は無効となる」

表情は見えないが要はニヤリと笑みを浮かべた気がした。大義名分さえ出来れば、裏稼業の名声を傷付ける事なく任務を降りる事が出来る。且、自分のポリシーを貫く事が出来る。

「相変わらず強かな奴だ…」

「褒め言葉として受け取っておこう」

二人の視線が交差する。

正直に言えば、絢香は要が嫌いだ。何と言うかウマが合わない。

「ん?あぁ〜っ!?」

すると、絢香は急に狼狽し慌てふためく。

「どうした?」

「ヤバイ!嬢ちゃん達が!?」

衛星を通じて右目に美琴と黒子の映像が送られてくる。そこには、能力を吸収され疲弊している美琴と能力を封じられた黒子の姿が。

「成る程。そうなると此方の計画に支障が出る。出来れば彼女達には頑張って欲しい所だ。…分かってると思うが、此方は力を貸せないぞ」

「んな事分かってらい。とりあえず、お前らが敵ではない事が分かった以上、ここにいる意味はねぇ」と絢香は要に背を向けて走って行く。

「アヤカ!」

「何だよ!急いでるんだ!」

「久々に会えて良かった。此方の思惑に乗ってくれた礼だ。『武器商人』を調べろ。良いな?」

「……サンキュー」

絢香は要が嫌いだ。何と言うかウマが合わない。だが、悪い奴ではないとおもっている。

絢香は脱兎の如く駆け、美琴と黒子のいる場所へと急いだ。

絢香を見送ると要は深く息をつく。

「相変わらず甘い。アヤカ…敵ではないと言う事は味方でもないと言う事だぞ?」

今迄離れていた要の部下達が彼の元へ集まる。

「諸君、では、行こうか。もう一つの依頼を行いに…」

要は部下に号令すると、その足を常盤台女子寮へと進ませた。




実は当初のプロットとは全然違う流れへ行っております。
次回、ようやく上条さんの出番+活躍になるかと思います。
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