ハイスクールAMEN   作:雑魚グール

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#2

一昨日、私ーーーアーシアは日本に来た。

イッセーに案内してもらい、教会に来た後夕食を取って神に祈りすぐに寝て。

その翌日は一日中祈って過ごした。

 

そして恐らく0時を回った頃に、私は就寝前に神に祈るため、聖書を開いた。

 

「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ…」

 

その内容を読もうとした時、部屋の木の扉が音を立てて開いた。

 

「…何の用だ。」

 

聖書から目を離し、扉の方に目を向けるとそこには、白髪に赤い目をした少年がいた。

ただの少年ではない、恐らくは悪魔祓いの者だろう。

 

「ああ、君がアーシアちゃん? 僕フリードっていうの、よろしく。 それで僕さぁ… これから悪魔祓いに行くんだけども、アーシアちゃんもつい来てちょ?」

 

「…まあいいだろう。 しかしお前はなぜここにいるんだ? 悪魔を祓う、という事は少なからず神を信じているのだろう?」

 

「おんやぁ? それならばアーシアちゃんもそうじゃないですかい?」

 

「… 自分の境遇を忘れていたよ。」

 

小さく笑いながら言葉を返し、手元の聖書に視線を戻す。

一節を音読してから立ち上がり、フリードに出発を促す。

フリードは笑いながら私の背を押し、廊下を歩いた。

 

ー○●○ー

 

暗い深夜の町を歩く影が二つ、その影はどちらも修道服を着ている。

前を歩くのはフリード、後ろを歩くの私だ。

フリードは一つの民家の前で足を止めた。

 

「この家の人が悪魔を呼び出している、と?」

 

「そうそうその通り、だから僕ちゃんはこの家の人を説得して悔い改めさせるでござんすよぉ。」

 

会話を交わすと、フリードが扉を開いた。

 

「…一応聞くが、どうやって開けた?」

 

「ピッキングでござい!」

 

満面の笑みで答えるフリード。

こいつは本当に神父なのだろうか? きっと今鏡を覗いたら、私はさぞ呆れた顔をしているだろう。

声に反応した一人暮らしの男が玄関に出てきた。

 

「き、君たちはなんだ?」

 

「おー、俺たち神父と修道女。 んでおっさんさぁ、悪魔呼び出してんだろ? 結構な頻度で。 だからお話に来たでござんす。」

 

「私は何をすれば? 彼に道を説けば良いのかい?」

 

「あー、アーシアたんは結界を張っててくださいな! 説得中に悪魔が来たら祓わないといけないからさ!」

 

私はその言葉を聞き、適当な部屋に入り、聖書を開いた。

そのページの幾つかを切り取り、部屋に貼り付ける。

 

「これで良いだろう。 防音の上悪魔の力が弱まる結界だ。」

 

「完璧!」

 

「じゃあ私は部屋の外で待っている。」

 

私は男とフリードを部屋の中に通し、隣の部屋に引っ込む。

聖書を開き、朗読を始めた。

 

そして、どれほど立った時か、玄関から物音が聞こえた。

泥棒でも入ってきたか? いや、もしかしたらあの男が悪魔を呼んだのかもしれない。

まあ、フリードが退治するだろうから気にしないことにしよう。

だが、部屋の防音だけは切っておこう、何かあった時に戦わねばならない。

 

暫く部屋の中の音を盗み聴きしていると、声からその悪魔がイッセーであることがわかった。

…どうするか、彼には恩がある。 それに彼は血に酔ったようには思えなかった。

だが、他人が悪魔を祓っているのを邪魔する意味があるのか?

 

「いや、行ってみれば解る話か。」

 

扉を開けて、隣の部屋の中に入る。

そこには光の剣と銃を装備したフリード、両足から血を流すイッセー、そしてなんとか元が人間であったとわかる死体があった。

 

「あ、アーシア!?」

 

「…フリード、どう言う事だ?」

 

「いえいえ、クソ悪魔くんが乱入してきたもんで悪魔退治を…」

 

「違う、そっちの死体の方だ。」

 

「ん? いや、クソ悪魔にすがったクソ野郎は退治して当然でしょ? それに良いオブジェにしてやったんだ、彼も喜んでいるでござんすよ!」

 

「『悪い事をした人はお仕置きよー』か、随分と悪趣味なオブジェを作る物だ。 悪いがフリード、私はお前と戦わなければならないようだ。 私たちのすべき事は彼を正しき道に導く事だ、決して惨殺する事ではない。」

 

袖から銃剣を取り出し、左右に一本ずつ持ち、それらを交差させ十字を作る。

 

「へえ、今自分が何やってんのかわかってる?」

 

「『我らは神の代理人 神罰の地上代行者 我らが使命は 我が神に逆らう愚者を その肉の最後の一片までも絶滅すること』…AMEN(エイメン)。」

 

左右の手に銃剣を3本ずつ追加で握り、構えをとる。

 

「イッセー、道案内の恩返しだ。 このイカれ神父は私が相手取るから君は帰るといい。」

 

「ハンッ、クソアマが! お前が僕ちゃんに敵うわけないでしょ!」

 

フリードは叫びながら、左手に持つ銃を撃ってくる。

銃声のない光の弾、教会産の祓魔弾か!

 

「そのセリフ、そっくりそのままお返ししよう。」

 

右手に持つ銃剣で弾を弾き、それと同時に左手の銃剣を二本投げつける。

フリードはその内一本を避け、一本を剣で弾いた。

しかしそれはデコイ、奴がこちらに視線を戻す前に肉薄し、腹を蹴りつける。

 

「な!?」

 

「鈍間が、その程度であの言葉を吐いたのか?」

 

右手の銃剣で斬りつけるが、奴は体勢を崩したまま剣で防ぐ。

しかし、私は彼の顔面に左膝で蹴りを入れた。

奴は少し吹っ飛び、その場に転んだ。

 

「グアッ!?」

 

「無様だな、貴様のような信者は神にとっての邪魔になる。 正しい道を説きたいところだが… それは体罰の後でも遅くはあるまい? だからこそ、私はこれから貴様をいたぶる。 AMEN(エイメン)

 

左手の銃剣を追加し、構え直す。

フリードは顔を押さえながら立ち上がり、何発も銃を放つ。

 

「狙いが粗雑だ。」

 

銃弾を避け、弾き、フリードに近づく。

 

「この… クソアマが!!」

 

フリードが大ぶりに剣を振る。

 

「蝶でも止まりそうな剣だな、成る程、お前は蝶や自然を愛する少年だったわけか?」

 

「あっはは、そんなんじゃ天国いけないザンスよ?」

 

「行く気もない、私は地獄に落ちて悪鬼どもと合戦に洒落込む予定だ。」

 

フリードの脇腹に蹴りを入れ、よろけたころで鳩尾を蹴り上げる。

 

「グゥッ…」

 

声を漏らしながら、フリードは地に沈んだ。

その襟首を掴んで退散しようとした時、部屋の床に紅い魔法陣が現れた。

 

「これは… 驚いた。 イッセー、お前はもしやグリモリーの眷属か?」

 

「え、ああ、そうだけど…」

 

「そうか、それはいい主を持ったな。 グリモリーは悪魔の中でも眷属への愛が深いと聞く。」

 

「アーシア、お前これからどうするんだ?」

 

イッセーの質問に、少し考えてから答える。

 

「私が堕天使のところにいる事はこいつに聞いただろう? 教会から追放されてね、彼処しか行く場所がないんだよ。」

 

そう答えた時に、魔法陣から数人の悪魔が現れた。

白い髪に低身長の女、長い黒髪をまとめた女、金髪の美形の男、それと紅く長い髪を持つ女。

 

「御機嫌よう、グリモリー眷属の皆様。 今宵はもう深い、家に帰って寝るといい、夜更かしは美容の大敵というだろう?」

 

「あら、わかっているじゃない。 でも、私は美容以上にこの子が大事なの。」

 

答えたのは紅髪の女、恐らくはグレモリーだろう。

この子、とはイッセーのことか。

 

「私にイッセーを攻撃する気はないよ、それをやっていたのはこいつだ。」

 

手元の気絶したフリードを持ち上げて見せる。

 

「そう、それなら私たちは帰らせて頂くわね?」

 

「ああ、早くそうしろ。 私も帰りたい。」

 

グレモリーから視線を外し、無惨な死体の前に屈む。

 

「光栄に満ちた聖ヨゼフ、マリアの幸せな浄配よ、世の救い主イエズスの保護者に選ばれたあなたは、御子を抱いて、天の楽しみを前もって味わいました。

わたしのために罪の完全なゆるしと、あなたの善徳にならう恵みを取り次いでください。わたしがいつも天国への確かな道を歩めますように。

あなたが臨終の時、イエズスとマリアに守られてやすらかに息絶えたように、わたしの臨終の時にも、敵の手に陥らないように

救いの手をさしのべて見守ってください。

天国であなたとともに永遠の光栄にあずかる希望に満ちて、イエズス、マリア、ヨゼフの尊いみ名を呼びながら、息絶えることができますように。AMEN(エイメン) …もっとも私は、天国への道を歩むつもりはないがね。」

 

立ち上がり、男から視線を外してグレモリーに戻す。

 

「ではさよならだ。 もう2度と会わないといいな。」

 

「ええ、そうね。 今度あった時、あなたは私たちと戦うの?」

 

「君たちがそれに値する悪魔ならば。」

 

フリードを足元に落とし、聖書を開く。

グレモリー眷属は聖書に反応して身構えるが、グレモリーがそれを手で制す。

私はフリードと共に、奇跡によって輝く聖書のその光に身を飲まれた。

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