ハイスクールAMEN   作:雑魚グール

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#5

教会の地下の儀式場、そこで私は阿鼻叫喚の地獄を引き起こした後に友人と向き合っていた。

 

「さて、まずはありがとう、イッセー。」

 

「お、おお。 どういたしまして?」

 

イッセーは私が生き返った(死んではいないが)ことが衝撃だったのか、何処かオロオロとしている。

 

「だがもう一度聞く。 何故きた? 私は助けなど必要ないと言ったが。」

 

「ならもう一度答える! 友達が危ねえのに助けに来ねえ奴はいないってな!」

 

真剣な表情で答えるイッセー。

うん、こいつは馬鹿だ。

 

「この話題は終わらせるか、際限なく続きそうだ… さて、後ろのお二方は紹介してくれるんだろうな?」

 

イッセーの後ろには彼の仲間と思われる金髪の少年と白髪の少女がいる。 さすがに教会までご足労願ったのだから名を名乗らない訳にもいかないしな。

 

「ああ、こっちは小猫ちゃん。 このいけ好かないイケメンは木場だ。」

 

「…よろしくお願いします。」

 

「あはは、いけ好かないって…」

 

小猫ちゃんの方は控えめな子らしい。 木場は苦労してそうだな、主にイッセー関係で。

ここにいる時点で二人とも悪魔、おそらくはグレモリー眷属だろう。

 

「にしても驚いたぞ! アーシアがあんなに強いなんて!」

 

「…これでも教会の特務科の隊長だったんでな。 伊達に悪魔祓いやってないよ。」

 

「ええ、その実力は見せて貰ったわ。」

 

声がした方に目を向けると、通路に面した扉を開けてこちらに歩いてくる紅髪の女がいた。

魔王の妹にしてグレモリー眷属の王、リアス・グレモリーだ。

その横に着く黒髪の女は女王(クイーン)の雷光の巫女様だろう。

 

「これはこれは、リアス・グレモリー殿。 わざわざ教会までご足労頂き恐悦至極に存じます。 して、何用で?」

 

「その言葉遣いは接し難いわね… 別にタメ口でもいいわよ?」

 

「そうか、んじゃこっちでいかせてもらおう。 んで、何の用だ?」

 

私の問いに、リアス・グレモリーは笑みを浮かべながら答える。

 

「一つは私の眷属を見守るため。 もう一つは… あなたを眷属に勧誘するためよ。」

 

「…ほう?」

 

「あなた、教会に追放されたんでしょう?」

 

「勤勉だな、リアス・グレモリー。 その通りに私は教会に追放され、堕天使に縋って生きたのさ。 それで、そんな薄汚い悪魔祓いに何か?」

 

「言ったじゃない、あなた、私の眷属にならない?」

 

笑みを絶やさず、リアス・グレモリーはチェスの駒… 僧侶(ビショップ)を取り出した。

この駒は悪魔(イーヴィル・ピース)の駒か。 他の種族の体を作り変えることで悪魔に転生させる道具だ。

しかし、リアス・グレモリーの差し出すそれはただの悪魔の駒(イーヴィル・ピース)ではない。

 

変異の駒(ミューテーション・ピース)か…!」

 

「ご名答よ。 私はこれを二つも持っていてね、片方はもう使ってしまったけど、こちらが残っていて良かったわ。」

 

そう、リアス・グレモリーの手に握られたそれは王を象徴するかのような紅色の駒。 名を変異の駒(ミューテーション・ピース)

本来悪魔の駒(イーヴィル・ピース)とは駒の種類によって眷属にできる者の価値が変わり、価値が高ければ高いほど高位の駒、大量の駒を必要とする。

しかし、変異の駒(ミューテーション・ピース)ならばそういった制限を受けることなく眷属を作ることができる。

 

「リアス・グレモリー。 私の衣食住は保障してくれるな?」

 

「ええ、もちろん。」

 

「そうか、ならば神に祈らせろ、悪魔や堕天使と闘わせろ、安息日には休みを寄越せ。 それでいいのなら眷属となろう。」

 

言葉の通じない日本では苦労するだろう。 かと言って言葉が通じる地域で暮らせるとも限らない。

ならばここで悪魔となるのも手か。

 

「構わないわ。 でも、悪魔になって神に祈ったらダメージを受けるわよ?」

 

「関係あるか。 私の信仰はその程度で屈しはしない。」

 

「そう、なら… 交渉成立、ね?」

 

ニヤリと笑ったリアス・グレモリーの差し出す駒を受け入れる。

それは何の抵抗もなく胸に沈んでいき、ついには私の体と混ざった。

 

「…成る程、これが悪魔の体か。」

 

いつもよりも感覚が鋭敏で、力の有り余る感覚がある。

 

「あれ? おかしいわね。」

 

「どうしたのですか? 部長。」

 

リアス・グレモリーの隣で佇んでいた雷光の巫女が口を開く。

リアス・グレモリーは悩んだような顔で私をジロジロとみる。

 

「…なんだ?」

 

「いえ、何か反応がおかしいのよね。 悪魔のようだけど… 何処か信仰の香りがする。 ちょっと羽を出してみてくれない?」

 

そんないきなり、とは思ったが、念じてみると出るものだ。 しかし、勢いよく広がった翼は、本来の悪魔のものではない。

コウモリの羽のような形をしているが、色は白だ。

 

「やっぱり、聖なる力が混ざっているわね。」

 

「…成る程、教会の改造が駒を逆に取り込んだ、ということか。」

 

「どういう事?」

 

「いやなに、私の体には教会の技術者からの改造が施されていてな。 生粋の悪魔祓いというわけだが… 恐らくはその改造された体が悪魔の駒(イーヴィル・ピース)に勝った、というわけだな。」

 

これが1番納得できる理論だ。 というかこれ以外に理由が見つからん。

 

「成る程、まあ… グレモリー眷属にようこそ!」

 

リアス・グレモリーが困り顔を止めて笑顔で両手を広げる。

それはつまりそこに飛び込んで豊満な胸に顔を埋める事を許可している、と捉えていいのか?

 

「よろしくお願いしますわ。 私は女王(クイーン)の姫島朱乃です。」

 

黒髪の女がお辞儀をしながら名乗る。

 

「そうか、知っているとは思うが私はアーシア・アルジェントだ。 よろしく頼む。」

 

日本流に名乗った後、お辞儀を返した。

次に声を出したのは金髪の男、先ほど聞いた木場だ。

 

「さっきも言ってたけど、僕は木場祐斗だよ。 駒は騎士(ナイト)よろしくね。 」

 

「ああ、よろしく。」

 

やはり木場は騎士か。

まあ戦い方もスピード重視だったしな。

 

「…塔城小猫です。 戦車(ルーク)です。」

 

「ん、よろしく。」

 

小猫ちゃんの馬鹿力は戦車だからか。

やはり駒の力は馬鹿にできない。

 

「そして、私が(キング)のリアス・グレモリーよ。 よろしくね?」

 

「よろしく頼むよ。 グレモリー様。」

 

「リアスでいいわよ?」

 

「では、リアス。」

 

リアスの差し出してくる手を取って、握手を交わす。

こうして私は悪魔となったのたった。

 

♤♠︎♤

 

堕天使の騒動から一夜明け、ボーイッシュ娘ボイスの目覚ましで起きた俺は急いで支度をし、学校に向かった。

そこにいた部長とお話をして、そして…

 

「これはお呪い。 強くおなりなさい。」

 

額にキスを受けた。

あまりの素晴らしい展開に体がぐらつき、顔が紅潮する。

生涯初めての女の子とのキス!

ほっぺでも唇でもないけどこんなに嬉しい物はない!

感動で涙が出てしまいそうだ!

 

「と、あなたを可愛がるのはここまでにしないとね。 新人の子に嫉妬されてしまうかもしれないわ。」

 

嫉妬? なんの事やら…

疑問とともに、後ろでした物音に振り向いた俺の視線の先には、アーシアがいた。

 

「イッセー、リアス。 私がいる前でそれは少々恥ずかしいな。」

 

「あ、アーシア!?」

 

「ああ、そうだ。 そのとうりだ。」

 

アーシアは少し考えるような素振りをした後、ニヤリと笑って俺の耳の近くで囁く。

 

「イッセー、私に仲間はいたが、友ができたのは初めてだ。 さて、私の初めてを奪ったんだ、責任は取ってもらうぞ?」

 

…部長からのキスを受けた後に、タイプの女の子からそんな事を言われたの俺は当然フリーズするわけで…

 

「はっはっは! そこまで顔を赤くする事か? まるで年頃の少女のようだな! 冗談だよ冗談、そこまで真に受けるな!」

 

アーシアは大笑いしながら俺の肩を叩いた。

まったく、人騒がせな… それに女の子がそんな事を言うもんじゃありません!

 

「しかしね、責任なんぞでお前をもらうつもりはないが、私はお前を手に入れるぞ? 自分の力でな。」

 

アーシアは俺の目を真っ直ぐに見て、そう言いながら俺の胸ぐらを掴んで自分の顔に引き寄せ…

 

-チュッ-

 

…へ?

え、え、えぇぇぇえぇぇぇええええぇぇ!?

キ、キ、キス!? 唇に!?

 

「あら。」

 

「そう紅潮するな、こっちが恥ずかしくなる、一応はファーストキスだ。 私はイッセーに二つも初めてを奪われてしまったな?」

 

アーシアはなんともないような顔をしながらも、少しだけ頬を赤くしてニヤリと笑ったまま言った。

いやいやいやいや! 行動力ありすぎでしょ? あ! 外国の方の挨拶の可能性も…!!

 

「挨拶ではないぞ。 少なくとも私のいた地域ではな。」

 

あぁぁあぁぁぁぁぁ!?

ってかなんで? どこに惚れられる要素が!?

 

「な、な、何故俺なんかを?」

 

「ん? ああ、馬鹿で愚直で優しいところが気に入ってな。 そういえば、お前はどうだったんだ?」

 

「な、何が?」

 

「今のが初めてだったのか?」

 

俺は自分でもわかるぐらいに顔を赤くして、コクンと頷く。

今声を出したら変な声が出てしまいそうだ。

 

「そうかそうか、ならば私もお前の初めてを貰ったわけだ。 責任は取ってやろう。」

 

未だ思考力が回復しない俺を差し置いて、アーシアは部長の方を向く。

 

「さて、リアスよ。 これが私の覚悟だ。 お前に真似ができるか?」

 

「…なかなかやるわね、でも負けないわ!」

 

「ふふふ、それでこそ我が王ぞ。」

 

アーシアは満足気に笑って、踵を返した。

その時、俺はあることに気づく。

 

「あれ? アーシア駒王学園の制服じゃないか?」

 

「気づくのが遅いぞイッセー。 てっきり無視されてるものかと…」

 

「悪い悪い。」

 

「ま、ご考察の通りに駒王学園に通うことになった。 お前と同じ2年でな。 これからよろしく頼むよ。」

 

アーシアはまたまたニヤリと笑いながら、スカートの裾を上げて挨拶をする。

駒王学園の制服のスカートは結構短いのでパンツが見えそうに…!

 

「パンツは見えないぞ? 履いてないからな。」

 

「…え!?」

 

「冗談だよ、冗談。 まあ、パンツぐらいは頼まれたら見せてやろう。 お前が望むならその先も…」

 

「待ちなさい! そっちの先手は譲らないわ!」

 

「ふ、王よ。 やれるものならやってみろ。」

 

なんていうか本当に… ペースを崩される!

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