ハイスクールAMEN   作:雑魚グール

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#7

深夜、悪魔としての業務を終えた俺はアーシアと共に帰宅していた。

俺の場合がアレだったから警戒していたが、アーシアの時は問題なく契約も取れた。

この差は…

 

「イッセー、先にシャワー入るぞ。」

 

「あ、おう。 ごゆっくり。」

 

「悪いな。 お疲れさん。」

 

と、アーシアは俺の背を叩いてから風呂に向かった。

何というか、あんな美少女がまるで男の友達のような態度なのでギャップが凄い、そこに萌える。

しかしこれだとアーシアを襲ってしま… そんなことしたら本人に殺されるか。

 

もっと強くならねば!

まずは筋トレを…!!

 

と、思って床に腕立て伏せをするために両手をついた時、部屋の中に魔法陣が現れた。

見覚えのある紋様、ってかグレモリー眷属の物だ。

光はいっそうあふれ、女性のシルエットを形成した。

抜群のスタイルに、紅の髪。

 

「ぶ、部長!?」

 

「イッセー、私を抱きなさい。」

 

え? え?

思考力が限界を迎えた俺を、部長が追い打ちする。

 

「私の処女をもらってちょうだい。 至急頼むわ。」

 

…何と刺激的な日本語だろうか…

 

♠︎♤♠︎

 

「…こんなことをして破談に持ち込もうというわけですか?」

 

俺の部屋、ベッドの上で。

俺と俺に覆いかぶさった裸の部長は銀髪の… メイドさん?を見ていた。

あ、危ねえ! こんなところを他の眷属に見られるとこだった!

 

「こんな下賤な輩に操を捧げると知れッ!?」

 

そのメイドさんの言葉が途中で途切れる。

なぜか? 背後に途轍もなく凶悪な元悪魔祓いさまが現れたからだ。

 

「アーシア、どうしたの?」

 

「グレモリー眷属のメンバー以外の術式の反応があったので、警戒に来た。 見たところリアスと同じグレモリーの者らしいが…」

 

「彼女はグレモリー家のメイドよ。 名前はグレイフィア・ルキフグス。」

 

「初めまして。 ご紹介に預かった通り、私はグレモリー家に仕える者です。 グレイフィアと申します。 以後、お見知り置きを。」

 

と、グレイフィアさんが丁寧に頭をさげる。

ってかさっき下賤な者って…

 

「何故来たのかは知らないが… お前がリアスの悩みに一枚噛んでる感じか? リアス、殺っていいか?」

 

「殺っちゃダメよ。 グレイフィア、ここに来たのはあなたの意志? それとも家の総意? もしくはお兄様の?」

 

半眼で口をへの字に曲げた部長、なんか年頃の女の子みたいだな。 いや、間違いなく年頃の女の子だが。

っていうかアーシアはそれとなく殺そうとするな!

 

「全てですよ、お嬢様。」

 

そう即答したグレイフィアさん。

 

「ハア、イッセー、さっきのことは無かったことにしましょう。 ごめんなさい、私も少し冷静じゃ無かったわ。」

 

と、服を着ていく部長。

うん、これで良かったんだ、これで…

 

「イッセー、と言いますと彼が?」

 

グレイフィアさんが驚愕した表情で俺を見てくる。

クールな人がここまで驚くとは。

 

「ええ、兵頭一誠。 私の兵士(ポーン)よ。 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の使い手。」

 

「…赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)、龍の帝王に憑かれた者…」

 

俺を異質な者を見る目で見た後、グレイフィアさんはアーシアの方に視線を移す。

 

「お嬢様、そちらは? どうやら悪魔のようですが…」

 

「ああ、彼女は私の新しい眷属よ。 駒は僧侶(ビショップ)。」

 

僧侶(ビショップ)… 彼女に変異の駒(ミューテーション・ピース)を?」

 

「ええ、そうよ。 名前は」

 

部長の言葉に割り込み、アーシアが自分の胸に手を置きながら言う。

 

「アーシア・アルジェントだ。 その銀髪にグレモリー家に仕える者となると、そちらは最強の女王(クイーン)様とお見受けする。」

 

アーシアの自己紹介を聞いたグレイフィアさんが、尚いっそう途轍もなく驚いた顔になる。

 

「アーシア・アルジェント? まさか彼女が教会の決戦兵器(リーサルウェポン)の?」

 

「そのとおり、私がアーシア・アルジェントだよ。 リアスに仕える者同士仲良くしようじゃないか。」

 

と、アーシアが構えた銃剣を下げずに笑顔で言う。

グレイフィアさんは緊張した表情になった。

それも当然だろう。 アーシアは教会でも最強級の悪魔祓い、正しく悪魔の天敵と言えるほどの敵だったのだから。

 

「…お嬢様、素晴らしい眷属を手に入れられましたね。」

 

「ええ、全くラッキーだったわ。」

 

部長に話しかけながらも、グレイフィアさんの視線はアーシアから動かないし、良く見れば冷や汗を流している。

アーシアは最強の女王(クイーン)と言っていたが… そのグレイフィアさんが恐れるほどなのか、どんだけ強いんだアーシア。

 

「じゃあ話の続きは私の根城でしましょう、朱乃も呼んでいいかしら?」

 

「お心遣い感謝します。」

 

と、二人は魔法陣で転移して行った。

 

♧♣︎♧

 

「お、おい、リアス……。 この下僕君、俺を見て大号泣しているんだが。」

 

昨日の騒動から一夜明け、放課後のオカルト研究部部室にはいつものメンバーの他に昨夜のグレイフィアさんと、ガラの悪いホストのような男とその眷属がいた。

どうやらそのホストは部長と同じ悪魔の眷属、フェニックス家の三男にして部長の婚約者で、ライザー・フェニックスというらしい。

俺たちはこいつとこいつの眷属と戦い、勝利すれば部長の縁談をなかったことにできるそうだ。

ついでにこいつ、部長以外(主に俺)への態度が違くて、好ましくない。

そして部長の悩みはこいつが原因か。

ちなみに今は将来的にハーレムを目指す俺が見事なハーレム眷属を築くライザーに感動し、泣いているところだ。

 

「その子、将来の夢が上級悪魔になってハーレムを作ることなのよ。 きっと、ライザーの下僕悪魔たちを見て感極まったんだと思うわ。」

 

どこか呆れたように部長が言う。

そうですその通りです! 目の前に夢を実現した男が現れて感動してます!

 

「きもーい。」

 

「ライザーさまー、このヒト、気持ちわるーい。」

 

ライザーの眷属の女の子たちが俺を見て心底気持ち悪そうにしていた。

余計なお世話だこんちくしょう!

そんな女の子の体をなで回しながらライザーが慰める。

 

「そう言うな、俺のかわいいお前たち。 上流階級のものを羨望の眼差しで見てくるのは下賤の輩の常さ。 あいつらに俺とお前たちが熱々なところを見せつけてやろう。」

 

そう言うと、ライザーは女の子の一人と濃厚なディープキスをしだした。

その瞬間、俺の後ろから何かが投げられる。

 

-スコンッ-

 

軽い音とともにライザーの前の机に突き刺さったのはアーシアの銃剣だった。

 

「お前がどれだけ眷属と仲が良くても構わん、生殖行為に至るのも否定はしない。 しかしこの場で前戯を始めるな。 不愉快だ。」

 

振り返った俺の視線の先にいたのは、明らかにキレてるアーシアだった。

そのアーシアは腕を組みライザーを睨みつけている。

 

「お、おい、リアス。 この恐い子は?」

 

明らかに恐れているライザーが部長に質問する。

部長はため息まじりに答えを返した。

 

「新しく私の眷属に入った子よ。 元悪魔祓いで、欲のままに生きる悪魔が嫌いだから… 色欲まみれのあなたが嫌いなんじゃないかしら?」

 

「色欲まみれは手厳しいな… な、なあ君…!?」

 

ライザーの恐れ半分のセリフが途中で途切れたのはアーシアがその手に銃剣を構えたからだ。

アーシアは開いている手で頭を押さえながら言う。

 

「その通り、私はお前が嫌いだ… だが! だがな、甚だ遺憾だが私も悪魔になってしまった身、主人のために我慢せねばならない。 私は今凄まじく悪魔となったことを後悔している…」

 

良く見なくても怒りで手が震えている。

だ、大丈夫? 禁断症状出てない?

 

「大丈夫だ、落ち着いてきた… 取り乱してすまない、ライザーだったか? 君にも謝罪しよう。」

 

「お、おお…」

 

強烈すぎるアーシアのキャラにライザーも困惑している。

まあ元々は悪魔絶対殺すガールだったらしいからなぁ…

 

「あー、ライザー、さん? 一つ質問いいですか?」

 

「…なんだ?」

 

うわ、明らかに態度違うよ。

 

「部長と結婚しても… その、そこの眷属の方と?」

 

「ああ、ヤるぞ。 英雄色を好むってのは人間の諺だろう? 全くその通りだな。」

 

プチっ、その瞬間、俺の中の何かも切れた。

 

「お前みたいな女ったらしと部長は不釣り合いだ!」

 

「は? おまえ、その女ったらしの俺に憧れているんだろう?」

 

うぐっ、否定できないところを… だが!

 

「それとこれとは話が別だ! 何が英雄だこの種まき焼き鳥が! 火の鳥フェニックス? まさに焼き鳥じゃねえか!」

 

俺の挑発に、ライザーは憤怒の表情を浮かべる。

 

「い、いうに事欠いて焼き鳥!? こんの下級悪魔が! 調子こきやがってぇぇぇ!! 上級悪魔に対して態度がなってねぇぜ! リアス、さっきといい今といい、下僕の教育はどうなっているんだ!」

 

と、部長へ問い詰めても部長は「知るか」とばかりにそっぽを向くだけだ。 へっ、いい気味だぜ。

 

「焼き鳥野郎! てめぇなんざ俺のブーステッド・ギアでぶっ倒してやる!」

 

俺の左手に赤龍帝の籠手が出現する!

10秒ごとに力を倍にして、最後には神すらも打ち破る!

 

「ゲームなんざ必要ねぇさ! 俺がこの場で全員倒してやらぁ!」

 

『Boost!!』

 

籠手の手の甲にある宝玉から音声が発せられ、体の中から力が湧き出す!

気合の入った俺に対して、ライザーは呆れるだけであった。

 

「やれ、ミラ。」

 

「はい、ライザーさま。」

 

相手は小猫ちゃんくらいの身長に童顔の女の子。

その子が武術家の使いそうな棍をくるくると回し、構える。

小さい子が相手ではやりにくいが、棍を叩き落とせば戦意も喪失するだろうと思った矢先、俺の突き出す左手が何かに止められた。

 

「…な!?」

 

向こう側からも驚いたような声が聞こえてきた。

目の前にいたのは… 俺の赤龍帝の籠手を片手で受け止め、さらに向こう側のミラって子の棍を掴んで止めたアーシアだった。

規格外の力で握り込まれる指が籠手に食い込んできて痛い、向こう側ではミラって子が棍を取り戻そうと四苦八苦しているのか、幼い声が聞こえてきたがアーシアは微動だにしない。 ってか良く見れば棍にも握力だけでヒビが入っているな。

 

「落ち着け、先に手を出したら負けだ。 いや、私が言えたことでもないが…」

 

ギリギリと万力のように徐々に力をかけながらアーシアが言う。

 

「わかった、わかったから離してくれアーシア! 冷静じゃなかった!」

 

「それで良し。」

 

アーシアはようやく俺の籠手を離してくれた。

あれ? やばくね? これ指の形に凹んでね?

 

「後で治癒するから我慢しろ。」

 

と、優しいお言葉。

ライザーは棍に傷が入って悲しんでる女の子をたしなめながら、俺に顔を向ける。

 

「弱いな、おまえ。」

 

その一言が俺の心を抉った。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使っても大した力もなく、それも新人眷属のお嬢さんにやられちまって。」

 

うぐっ… わかってる、アーシアと俺には果てしない差があるのはわかっているが… それでも女の子に負けるというのは悔しい!

 

「ちなみにおまえが戦ったのは俺の兵士(ポーン)のミラだ。 お嬢さんに止められちまったが、お前、技にかかる寸前だったぞ?」

 

ライザーの言葉が悔しくて、握る拳に力が入る。

 

「確かにそれは強力無比な神器(セイクリッド・ギア)のひとつだ。 お前の他にも使い手は過去に数えるほどだが存在した。 それでも魔王殺しや神殺しはなされていない、何故だかわかるか?」

 

ライザーは嘲笑う。

 

「お前の他にも、過去にいたのはこの神器(セイクリッド・ギア)を使いこなせない弱者ばかりだったからだよ! これを人間界でなんといったか… そうだ! 宝の持ち腐れ、豚に真珠! 今のお前はまさしくそれだな!」

 

笑いながらライザーが言い放つ。 そして次に、視点をアーシアに合わせた。

 

「しかしお嬢さん、あなたは随分とお強いようだ。 使用者があれとはいえ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を片手で止めちまうなんて… 名前は?」

 

「…アーシア・アルジェント。」

 

いかにも不機嫌そうなアーシアが答える。

そして、ライザーは少し考えた後、ハッとした表情をしてアーシアと机に刺さったままの銃剣を交互に見る。

 

「…まさか、お前… ユダ達の長! A×Aか!?」

 

A×A…はてな?

ああ! (A)ーシア(×)(A)ルジェントか!

 

「その通りだ、ライザー・フェニックス。 と言っても今はただの悪魔だがね。」

 

自嘲気味に笑うアーシア。

ライザーの眷属の子達も身構えて、アーシアを警戒している。

オカ研の部室の中で、アーシアは確実な強者であった。

 

「リアス、ゲームは10日後だ。 今すぐやってもいいが、少し準備期間が欲しい。」

 

「…わざわざ私たちに時間をくれるというの?」

 

「違う、お前達へのハンデもあるが何よりもそのアーシア・アルジェントには… 首斬判事二世には生半可な覚悟では勝てない。 屈辱だが、勝つためにな。 お前のところの赤龍帝も時間があった方がいいだろう。」

 

ライザーの言葉を部長は文句一つ言わずに黙って聞いていた。

ライザーが下へ手を向けると、魔法陣が輝きだす。

 

「10日、それだけあればキミなら下僕をなんとかできるだろう…」

 

そしてライザーの視線が俺に移動する。

 

「リアスに恥をかかせるなよ、リアスの兵士(ポーン)、お前の一撃がリアスの一撃なんだよ。」

 

そして最後に、アーシアへ。

 

「アーシア・アルジェント! お前は何よりも手強い相手となるだろう! だから俺はお前を叩き潰すぞ!」

 

それほどまでに、それほどまでにアーシアは強いのか。

あの常に涼しそうな顔をしている男に、ここまで言わせるとは…

 

「リアス、次はゲームで会おう。」

 

その言葉を残して、ライザーは下僕の女の子たちと光の中に消えていった。

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