ポケットモンスター Trans Monsters   作:イビルジョーカー

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次話です。今回は『あの蜂』が登場します。

生粋のトランスフォーマーファンなら超有名なアイツです。

どうぞ!




第4話 始まり カントー編 part4

 

黄色い身体を有するは、先程までピカチュウだった筈のロボットのような存在

『バンブルビー』。

 

それに相対しているのはウインディの姿を借りた同じくロボットに似た外見を有する『バリケード』。

 

一目見ただけで分かるほど、その肉体は金属で構成され、両者共に殺気と闘気を剥き出し牽制し合っていた。

 

無論、その異様な存在感と殺気、闘気の手前では矮小な人間の身であるレッドが入り込める余地など毛頭ない。

 

「貴様がオートボットなのは知っていたが、まさかプライマル直轄の精鋭部隊『エリートガード』のバンブルビーとは…しかも、ガキだったわけだ」

 

「子供だからって甘く見るなよ? お前なんかすぐ機能停止にしてやるさ」

 

嘲笑を交えた風に吐き捨てたバリケードの言に対し、それを同じように嘲笑に満ちた台詞で叩き返す様はカッコ良くも見えれば、同時に若輩故の無謀にも取れる。

 

少なくとも、バリケードは後者として捉えていた。

 

「舐めるなよガキがァァ!!」

 

吼えるバリケードは、両手から火炎を生成し 、それをバンブルビーめがけ投げ付ける。

 

 しかし、ただ投げ付けた訳ではなく、そのまま火炎は『ほのおのトラバサミ』と化す。

 

橙と紅蓮に染まった牙をこれでもかと見せつけるようにして口を開け、バンブルビーへ食らい付こうと迫る二つのトラバサミ。

 

一方、ほんの数秒後には無残なダメージを受ける運命にあるバンブルビーは、特に構え等なく、しかしその顔には諦めではない自信という一つの感情が隠そうともせず、堂々有り有りと晒していた。

 

「スタンピング・キック!!」

 

何かの技名らしきものを口にしつつ、自身の脚から引き出したジャンプ力を駆使する事で軽く身体を宙に浮かせるバンブルビー。

 

その後、重力の法則で地面へと落ちる際に両手を地に付け支えにし、下半身をありえない方向へと曲げるように回転させた。

 

ポケモンでいう『カポエラー』に似た体勢だが、あちらは一本角で身体を逆さに保っているに対し、バンブルビーの場合は両手で逆さ状態を成し得ており、また回転もカポエラーは身体ごと回るがバンブルビーは下半身のみ。

 

故にカポエラーとバンブルビーとでは逆さになると言う共通点があるだけで、実質的に大きく異なっていたわけだ。

 

ともかく。スタンピング・キックなる一風奇抜な回し蹴りは、バリケードのトラバサミを容易に搔き消すには十分だった。ほのおのトラバサミは、まるで夢から覚める際の幻影の如く、容易く消え失せてしまう。

 

だがそれだけで動揺を生み、そこに敵が入り込めるだけの隙を生産するほどバリケードは伊達に戦闘経験、戦場体験を積んではいない。

 

すぐさま攻撃方法をアイアンクローに切り替えて、鋭利に輝くクローラッシュを叩き込んでいく。その対応にバンブルビーは、上手く受け流すことができなかった。

 

防ぐことは辛うじてできるのだが、バリケードの繰り出すアイアンクロー単体の威力はバンブルビーにしてみれば非常に高いと言っていいだろう。

 

それこそ、まともに防ぎ続ければ装甲の耐久値を数分という短時間の内に超えてしまう程にだ。

 

そうなれば、彼は戦闘不能の状態に陥りその胸の中心に位置する生命の証『スパークコア』を抉り出されて、完全なる死の下に敗北することに成り果ててしまう。

 

そんな結末、望むところなんかじゃない。

 

心内でそう呟いたバンブルビーはピカチュウの姿を模した際に得た電気エネルギーを体内の電気袋から生成し、両手とその手首に集約。

 

電気と言う名のガントレットで両手を覆ったバンブルビーはその雷撃を込めた拳でバリケードのアイアンクローとぶつかる!

 

「な、なにぃぃぃぃぃッッッ!!!!」

 

驚愕と苦痛を織り交ぜた絶叫を上げたのはバリケードの方だった。

ご自慢の鉤爪が雷撃の拳によって砕かれ、更に電気エネルギーはバリケードの全身を駆け巡り、筋肉繊維その物やその神経回路をズタズタに破壊して行く。

 

「グゥ、ガァァ、ウウゥッ!!?」

 

ここは退いた方が最良の選択。そう判断したバリケードはすぐさまその身体を変形させ、再びウインディの姿へ変わると脇目も振らず、敵であるバンブルビーに背を向ける形で後方へと去って行った。

 

「に、逃げたのか?」

 

「……みたいだね。とりあえずは安心だよ」

 

敵を深追いするのは得策ではないし、バンブルビー自身……と、彼の属する勢力の流儀に反する為、バンブルビーは敢えてバリケードを見逃した。

 

レッドはまだ状況の云々が正確には分からず、故に明確な判断を下す事ができない。

 

その心中は勇猛さに溢れた雰囲気に反し、かなりの動揺と混乱に陥っているのだ。

 

そんな訳でバンブルビーの行動に対し、特に異論はなかった。

 

「きゃあああああーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!」

 

窮地を脱し、ようやっと安息が訪れたかと思ったのも束の間。

 

それほど遠くない近くから聞こえる少女らしき者の悲鳴。

 

レッドには、この声にはよく聞き覚えがあった。

 

「この声……ブルー!!」

 

「あっ! 待つんだレッド!!」

 

その声は彼の幼馴染であるブルーのものと、完全に一致していたのだ。

 

すぐさまレッドは悲鳴の聞こえた方向へと走り出した。そんな彼にバンブルビーは制止の声をかけるがそれをレッドは一切聞かず、当然足を止める事などはなかった。

 

「あ〜もうッ!!」

 

少し苛立ちを交えたような声を上げ、バンブルビーはロボットモードからポケモンモードへと切り替える。ピカチュウの姿となってそのままレッドの後を追う形となった。

 

 

 

 

 

ブルーの心は混乱と恐怖に見舞われていた。

 

何故なら、突如として自分に襲いかかった蜂のような姿をした『むしタイプ』のポケモンスピアーの存在がその最たる原因だ。

 

別に彼女は野生ポケモンの襲撃を予想していなかったわけではない。ポケモントレーナーとなって様々な道を行くのであれば、突然の野生ポケモンによる襲撃など当たり前な事だからだ。

 

そうなった場合におけるポケモントレーナーの選択肢は三つ。

 

自分のポケモンを使い、野生ポケモンを退かせるか。

 

または何かしらの手段で逃げるか。

 

ある程度弱らせ、モンスターボールを用いてゲットする。

 

これらが通常のポケモントレーナーの取るべき行動だ。

 

ブルーの場合は逃走という選択肢を取った。

 

理由は、今自分を標的と定め追っているスピアーをポケモンとして見ていいのか。

 

判断しかねていたからだ。

 

「ブゥゥーーーーン!! 俺ちゃんから逃げられると思うなよ、ブン!!」

 

喋るのだ。その口で、しっかりと意味を孕んだよく分かる人語で。

 

当然の事だが人の言葉を口にするポケモンなぞブルーは知らない。

 

オーキド博士からポケモンの知識を学ぶ以前に常識としてポケモンが人の言葉を話せないのは、当たり前のように知り得ている。

 

ポケモンは、ポケモンだ。

 

人間ではないし、別種の生き物である人間の言葉を口にする事はできないのだ。

 

これはポケモンという種のスペックによるもの故に覆しようもない事実……しかし、何事も例外は存在する。

 

ある様々な場所に繋げる不思議なリングを持つ伝説のポケモンはある人間を通じて言語を学び、人との会話を成した。

 

また、アーシア島と呼ばれる地には誰に学ぶ訳でもなく、人の言葉を確固とした意味を伴った上で使えるヤドキングなど。

 

例外は、極少数ながら存在しているものなのだ。

 

しかし、現状ではこのスピアーがその極少数に属するものなのか。それを正確に断定付ける判断材料はなく、悠長に調べさせてくれるほどスピアーも友好的ではない。

 

「ブーン、ブンブン!! すばっしこい下等生物め! これでも食らえ!!」

 

ブンブンと変わった口調で唸り叫ぶスピアーは、両手のニードルから無数の針を散弾のように発射。

 

どくばり、と言う『どくタイプ』の技である。

 

「きゃああッッ!!」

 

射ち放たれた無数の毒の針は、ブルーの足下に刺さるもブルーの足その物を刺す事は一本たりともなかった。

 

どうやら運良く回避できたようだ。

 

「フシギダネ、『つるのむち』!!」

 

「ヒトカゲ、『ひのこ』だ〜!!」

 

しかも運の良さはそれだけではない。

 

ブルーのよく知る二人の友の声がフシギダネとヒトカゲに技の指示を告げた。

 

まさしく蔓を鞭のように振るう『くさタイプ』の技、つるのむちがスピアーの顔面へ直撃しその動きを大いに鈍く狂わす。続けて全身を火の粉が襲いかかり、むしタイプであるスピアーにしてみればこれは効果覿面…の筈だった。

 

「ブーンブンブン、ブゥゥーーーーンッッ!!!!!! あんまり俺ちゃんを怒らせるなよガキどもォォォーーーーー!!!!!」

 

ダメージがない訳ではない。

 

だが、それがあまりにも少なかったのだ。

 

「スピアーが、喋っただと……ッ!!」

 

「ど、ど〜なってんのこれ〜!!」

 

ブルーを庇う形で前へ出た二人…フシギダネのトレーナーであるグリーンとヒトカゲのトレーナーイエローは、目の前のスピアーに対しブルーと同じく驚きの二文字がその顔に浮き出ていた。

 

「い、イエロー! グリーン!!」

 

「大丈夫? 悲鳴が聞こえたから急いで駆けつけて来たけど…」

 

「こうして見ても信じられないな。ポケモンである筈のスピアーが人の言葉を話すなんて!!」

 

「おまけになんか〜、弱点のほのおタイプの技が当たった筈なのにダメージが少なそう……」

 

やはりと言えば当たり前の事だがブルーがそうであったようにグリーン、イエローの二人もその反応は驚愕のものと同時に困惑、動揺などの言葉を含むそれだ。

 

通常のポケモンバトルの基礎におけるタイプ技による弱点を突いた、この戦法が通用しない事がそのキッカケだった。

 

ポケモンにはタイプによる相性と言うものが必ず存在する。

 

御三家、三すくみ、などと称される三つのタイプ『炎』、『水』、『草』のこれらを例に上げよう。

 

炎タイプは水タイプに弱く、草タイプに強い。

 

水タイプは炎タイプに強いが、草タイプには弱い。

 

草タイプは水タイプに強く、しかし炎タイプに弱い等。

 

このように、ポケモンのタイプには相性がどのタイプにも必ずあり、これを無視する事はできない。

 

だが。ブルーたちの目の前にいるこのスピアーに至っては、その無視できない筈のタイプの法則を無視していると言っても間違いではなかった。

 

「ワスピネーター、トランスフォーム!!」

 

そんなブルーたちの心中なぞスピアーには関係ない。彼は自らの名と、自身の身体を本来の姿へと変形させるキーボイスを叫んだ。

 

そのあとに起きた変形という現象は、瞬く間だった。

 

両腕のニードールが三等分へと割れ、その間から紫のラインが奔る機械的な部位が露わとなり、頭部は二つに分かれて両肩と化す。

 

そして金属で出来た両腕が胴体の左右側面から出現し、黄と黒の縞模様が映える尻部がパズルのように割れ分離し、そこから両腕と同じ金属で構成されているであろう両足が射出。そのまま尻部は両足と一体化し、パーツの一部となってしまった。

 

最後に凶悪さを醸し出す昆虫的なクリーチャーのような顔の頭部が現れ、変形は無事完了せしめた。

 

「ディセプティコン偵察兵、ワスピネーター! お前らを地獄に送ってやるブン!」

 

 

 

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